あと何日で死ぬのかな

ひめ?

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暗闇

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夜が明ける。
でも、まだ外は暗い。時計の針は午前5時半を指していた。

「暗い……。冬ってこんなにも暗いんだ。」

隣を見ると、気持ちよさそうに彼が寝ていた。

「ご主人様……。可愛い……。」

すっ……

そう言って彼に触れようとした時、その手を掴まれた。

「ご主人様っ..!おっ..おはようございます」

びっくりして僕の心臓の鼓動が早くなる

「んー……おはよう。」

何だ…寝ぼけてるだけか…一瞬触ろうとしたのが気付かれてしまったんじゃないかとヒヤヒヤした。
ご主人様はとても格好よくて、とても優しいお方だ。
こんな醜い僕を何も言わず拾ってくれた。
あの時の言葉は一分一秒と頭から離れることは未だにない。
それくらい僕の頭の細胞の奥まで染み付いた言葉……。

【お前……。俺の奴隷になれ。】

奴隷……か。僕にぴったりだと思った。
それからは、ご主人様は僕を犬のように扱うようになった。
首輪をつけて、部屋の中を移動する時はリードをつける。
夜になると彼は狼のように強くなる。
激しく何度も何度も求められ、頭が混乱し目の焦点が合わない。
目の前がチカチカしてグラグラと天井と地面が揺れる。
痛い..苦しい..息ができないほど突き上げられる……。
それでも、僕はご主人様の事を深く愛していた。
いっそのこと、ご主人様の身体の一部になってしまいたい……。
そんなことをぼんやりと考えていると、首が引っ張られるのを感じた。
ご主人様が僕の首輪を引っ張っていた。

「行くぞ。」

「はい。」

毎日のようにご主人様は僕を散歩に連れて行ってくれる。
今日は何処に連れて行ってくれるんだろう..。
ドキドキする。
一昨日は地下室、昨日は屋上。
今日は……どこだろう。
僕を散歩に連れていく時は、決まって僕にアイマスクをつける。

暗闇

暗い…。息が上がる。
僕が一番嫌いなものは真っ黒に染まった暗闇だ。

「ご主人様……怖いです……。」

何も返答は無かった。
何も見えない暗闇の中、僕はリードを引っ張られご主人様の足音を聞きながらゆっくりと足を進める。
足音が止まった。
どうやらここが今日の目的地らしい。

「ここだ。」

アイマスクを外され視界に青や緑がかった色が一瞬だけ見える。
やっと焦点が合う。

目の前をみると……

そこは、ガラクタばかりの空き部屋だった。
汚く積み上げられた鉄パイプや、今にも落ちてきそうな壊れたシャンデリア。
真ん中だけ、やけに広く綺麗だ。
その奥に錆びた鉄の扉があるのが分かる。

「ここ…は?」
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