チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~

黒片大豆

文字の大きさ
11 / 69

第2話 【エピローグ】

しおりを挟む
 朝起きた時から、嫌な予感はしていた。
 雨が宿の窓を強く叩き、強風が建物を揺らすほどだった。

 だいたい、こういう不安は伝播する。

 そして案の定、今日の定期船は欠航となった。
 魔王から逃げる人たちは足止めされ、多くの悲観が垣間見られた。

 だが、そんな中に明るい話もあった。
 朝刊に、国の大本営発表が載っていたのだが、

『次元錠前決戦において、北の大地に住む魔物の実に9割以上が消失か』。

 アイサックたち七勇者と、無数の魔物との戦い。アイサックがここで戦線離脱となったあの戦いだ。
 あそこで大多数の魔物を倒すことができたが、こうやって国が正確に数値を示してくれることで、あの時の戦いの激しさを改めて実感した。

 しかし幾分、数字を盛っている可能性もなくはないが。

 北の大地の魔物のほとんどは退治されたという事実を、改めて『9割以上』と、具体的に示してきたこの記事は、絶望に飲み込まれそうだった人間たちに希望を与えた。


 やるやん新聞屋。


 サックは、昨日の去り際のクリエの言葉を思い出した。
『私たち新聞屋も、イーガス家を危険人物として注視していたんですよ。そしたらまさか、あなたが出しゃばって来るとは想定外でした』

 正確には巻き込まれたんだがな……。


 ――しかし、まさかあの怪我で、生きているとは。

 確かに直接命に関わる怪我ではなかったが、痛覚と覚醒のツボを捉えていた。
 のたうち回りそのうち絶命するものと思っていた。

「腕が訛ったかな」

 などと独白しながら、イチホ=イーガスの今の所存が気になる。
 どうやって脱出したのか。
 そして、今どうしているのか。
 生きているのか、野垂れ死んでいるのか。

 もし、生きているとしたら――

「復讐、か」

 十分考えられる、最悪の事柄だ。

「あーダメだダメだ!」

 サックは頭を振った。不安は伝播する。
 あまり深く考える事は止めだ。

 サックは頭を切り替え。
 新たに決めた目標に向かって前進することした。

 女神への復讐だ。

 それには、女神の居場所を突き止める必要がある。

「――ビルガド、行くか」

 元首都ビルガド。
 魔王復活から進軍の影響を受ける可能性があるとして、首都機能を移管された大都市。
 首都ではなくなったが、未だに多くの人が住まい集まる場所だ。
 もちろん、それに乗じた、数々の情報も集まる。
 希望は薄いが、女神の情報も、何かしらあるかもしれない。

 それに……。

 サックは、ビルガドの街の中央街にある、一画を思い描いていた。
 余命1年を宣告されている中、一つの心残りが、この街にあった。


「ビルガドは、確か、魔王討伐軍の募集していたもんな」

 さすがに討伐軍には立候補しないが、ビルガドへ直行する荷馬車が多く出ていることになる。それに便乗して乗せてもらう算段だ。
 持ち合わせは少し心もとない(定期船のチケットは払い戻しできない物を買っていた)が、ビルガドに着いてしまえば、そこで『鑑定師』として少し稼がせてもらおう。

 サックは、雨の降りしきる中。馬車の集まるセンター街に向かった。


 +++++++++++++++


 一人の男が、雨に打たれて泣いていた。
 何度も泣いたが、まだ涙が枯れることは無い。
 これだけの力を持ちながら。
 最愛の人を救えなかった。

 だから彼は。
 誰彼構わず、治療をしまくった。

 それは、死を望んでいたものも、
 死ななければいけなかったものも。
 全員例外なく。


 ありがとう神父様。
 私はまだ生きている。
 これで私は奴に、復讐できる。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...