1 / 2
幸せはなくならない
しおりを挟む
通りから少し外れたところにある広い公園には、私とあなた以外に誰もいなかった。遠くでは、私の家の向かいに住むおじいさんと犬が散歩をしていた。
蕾をつけた桜の木の下で、私たちは肩を並べてベンチを温めていた。私は疲れた足を伸ばしてつま先をぼんやり見ていた。
「寒いなあ」
あなたは、そわそわしながら私の方にちらっと視線を寄こした気がした。
「まだ少し寒いかもしれませんね」
私と向かい合わせの太陽を眺めながら答えた。ふと、あなたは私の右手の先を握った。
「冷たいね」
薄っすら温もりを感じるその手を、一呼吸置いてから握り返し、あなたの方を向いた。あなたはいつもの微笑みを浮かべている。私も笑みがこぼれる。夕焼けが私たちの横顔を照らす。
幸せが私の胸を締め付けた。
目を開けると、薄暗い部屋で眠るように横たわるあなたがいた。私と同じしわしわだった顔は、どこか若返ってしまったような気がした。
蕾をつけた桜の木の下で、私たちは肩を並べてベンチを温めていた。私は疲れた足を伸ばしてつま先をぼんやり見ていた。
「寒いなあ」
あなたは、そわそわしながら私の方にちらっと視線を寄こした気がした。
「まだ少し寒いかもしれませんね」
私と向かい合わせの太陽を眺めながら答えた。ふと、あなたは私の右手の先を握った。
「冷たいね」
薄っすら温もりを感じるその手を、一呼吸置いてから握り返し、あなたの方を向いた。あなたはいつもの微笑みを浮かべている。私も笑みがこぼれる。夕焼けが私たちの横顔を照らす。
幸せが私の胸を締め付けた。
目を開けると、薄暗い部屋で眠るように横たわるあなたがいた。私と同じしわしわだった顔は、どこか若返ってしまったような気がした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる