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「総督代理」
第133話「豪傑と貴人」
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-1547年12月 バルディビア邸大広間-
バルディビアがガスカを支持する宣言をした宴で、
ひっそりと酒を呑んでいた者がいた。
ガスパル「グビッ!
まあ、ワシは戦ができればよいのじゃ・・」
「隣よろしいか?」
粗野なガスパルとは対照的な装いの
貴人がガスパルの隣に座った。
フランシスコ・デ・ビジャグラだった。
ガスパル「おう、フランシスコ殿
ワシの様な一介の武人に貴君の様な華やかな方が
何か御用ですかな?」
フランシスコ「ハハッ!
私は宴ばかりしておるものとお思いか?
こう見えて、私も結構やるのですよ。」
そう言うと、フランシスコは剣を振るう仕草をした。
ガスパル「ほう、これはなかなか。
分かりますぞ、かなりの使い手ですな。
いや、これは失礼した。」
フランシスコ「いえいえ、とは言えガスパル殿には遠く及びませんよ。
ただ、今の型どうもしっくり来ないのですよ。
出来たらご教授願えないかな?」
ガスパルは機嫌良くフランシスコを指導し始めた。
ガスパル「ここは、手首をこうされてみよ。」
フランシスコ「どれどれ。
なるほど!確かにこうした方がキレ良く突きが打てる!
流石ガスパル殿ですな。」
ガスパル「ガハハ!
戦の事ならなんでも聞いてくだされ!」
フランシスコ「私の部下には豪傑と呼べる様な者がおりませぬ。
実は常日頃からガスパル殿のような方とお近づきになりたいと思っておりました。
ただ、私の様に宴に耽ってる様な印象の者は好まないかもしれないと、
今まで話しかけた事がなかったのです。」
ガスパル「まさかその様な事を思っておったとはのぅ・・
ワシこそ、フランシスコ殿とは住む世界が違うと思い
まず話しかける事はなかったですがの。
きっと馬も合わないだろうと。」
フランシスコ「ハハッ。そう言う正直な所も
私の関心を引いておりました。」
ガスパル「なんと・・
食わず嫌いは良くないですのぅ。」
「食べ物と言えば、ガスパル殿の好物のこの料理。」
テーブルにはこの地の郷土料理をスペイン風にアレンジした料理が並んでいた。
フランシスコは、一際目立つ肉料理に注目した。
ガスパル「ほぅ、そんなことまで知っておられるのか?」
これはクイと呼ばれる生き物で、皆ネズミを食べるのかと敬遠するものよ。」
大概の者はそのような事を言われると動きが止まるものだが、フランシスコは躊躇せず豪快に料理を口にし、子供の様な笑みで感想を述べた。
「美味ですな。」
ガスパル「ほう・・気持ちの良い食べっぷりですな。」
フランシスコ「私の口は上辺を、この目は中身を味わいます。
貴方の戦場での在り方とどこか似ておりませんか?
ブロンドの髪といい、私たちには案外共通点が多いのですよ。」
ガスパルはフランシスコの言葉に思考が止まった。
しかし、慌てて最後の言葉を拾い始め、高らかに笑い出した。
ガスパル「ガハハッ、おなご共は貴殿のその口の妙に心を奪われるのでしょうな。」
フランシスコ「ハハッ、かもしれませんな。
ただ私の場合は、好感を抱いた者に対して、口が調子良くなってしまうのは、男女問わずです。
ささ、口直しに一献。」
フランシスコはガスパルに酒を注いだ。
ガスパルは勢いよく飲み干した。
例えようのない空気感を一旦リセットするかの様に。
フランシスコは少し間をおいて、遠くを見ながら呟いた。
「せっかくの機会だ・・
腹を割って申します、
あの論功行賞は微妙でしたね。」
ガスパルの動きが止まった。
バルディビアがガスカを支持する宣言をした宴で、
ひっそりと酒を呑んでいた者がいた。
ガスパル「グビッ!
まあ、ワシは戦ができればよいのじゃ・・」
「隣よろしいか?」
粗野なガスパルとは対照的な装いの
貴人がガスパルの隣に座った。
フランシスコ・デ・ビジャグラだった。
ガスパル「おう、フランシスコ殿
ワシの様な一介の武人に貴君の様な華やかな方が
何か御用ですかな?」
フランシスコ「ハハッ!
私は宴ばかりしておるものとお思いか?
こう見えて、私も結構やるのですよ。」
そう言うと、フランシスコは剣を振るう仕草をした。
ガスパル「ほう、これはなかなか。
分かりますぞ、かなりの使い手ですな。
いや、これは失礼した。」
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ただ、今の型どうもしっくり来ないのですよ。
出来たらご教授願えないかな?」
ガスパルは機嫌良くフランシスコを指導し始めた。
ガスパル「ここは、手首をこうされてみよ。」
フランシスコ「どれどれ。
なるほど!確かにこうした方がキレ良く突きが打てる!
流石ガスパル殿ですな。」
ガスパル「ガハハ!
戦の事ならなんでも聞いてくだされ!」
フランシスコ「私の部下には豪傑と呼べる様な者がおりませぬ。
実は常日頃からガスパル殿のような方とお近づきになりたいと思っておりました。
ただ、私の様に宴に耽ってる様な印象の者は好まないかもしれないと、
今まで話しかけた事がなかったのです。」
ガスパル「まさかその様な事を思っておったとはのぅ・・
ワシこそ、フランシスコ殿とは住む世界が違うと思い
まず話しかける事はなかったですがの。
きっと馬も合わないだろうと。」
フランシスコ「ハハッ。そう言う正直な所も
私の関心を引いておりました。」
ガスパル「なんと・・
食わず嫌いは良くないですのぅ。」
「食べ物と言えば、ガスパル殿の好物のこの料理。」
テーブルにはこの地の郷土料理をスペイン風にアレンジした料理が並んでいた。
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これはクイと呼ばれる生き物で、皆ネズミを食べるのかと敬遠するものよ。」
大概の者はそのような事を言われると動きが止まるものだが、フランシスコは躊躇せず豪快に料理を口にし、子供の様な笑みで感想を述べた。
「美味ですな。」
ガスパル「ほう・・気持ちの良い食べっぷりですな。」
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