【アラウコの叫び 】第3巻/16世紀の南米史

ヘロヘロデス

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キラクラの戦い/逸品

第94話「カスティニャダの謁見」

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-1年前 サンティアゴ/バルディビアの部屋-

モンロイ「バルディビア様、カスティニャダ殿をお連れしました。」

バルディビア「ご苦労。
所で例の件は順調か?」

モンロイ「はい。パステネと共にラ・セレナから9月4日に出航する予定です。」

バルディビア「そうか、よろしく頼むぞ。
すでに数か月前にカセレスも陸路でリマへ向かっておる。
うまく援助の話がまとまれば良いが。」

モンロイ「そうですね。
カセレス殿が到着する頃には、
頼る相手が変わってる可能性もありますし。
もちろん、私どもが到着する頃にも・・」

バルディビア「うむ、リマは情勢が目まぐるしいからのぅ。
その時どう動くかは、モンロイ殿の判断に任せる。
場合によっては立ち寄らずにそのまま本国へ向かっても構わぬ。
何よりも今回の航海は皇帝陛下への書状を届ける事が最優先。
ただ、皇室に顔が効くからといえ、
あやつも同行させておる。
モンロイ殿が目を光らせておけば、
あやつも下手な事はできんだろうが・・

モンロイ「ハッ、肝に銘じます。」

バルディビア「それと、モンロイ殿。ミランダ殿にこれを持っていってくれぬか。」

バルディビアは、モンロイに高価な装いのフルートを渡した。

モンロイ「この楽器は!懐かしい・・
ミランダと生き抜いた日々が甦ってまいります。」

バルディビア「お二方の危機を救ったのは、フルートと呼ばれる楽器だったと聞いておる。
これは、オロ殿が交易で手に入れた代物だ。

ワシはまるで楽器に関しては疎いが、ミランダ殿の様な者にこそ相応しい逸品であろう。
これがフルートであろう?」

モンロイ「ハッ、間違いありませぬ。
当時楽器の音色に何度も癒されたものです。
きっとミランダも喜びまする。」

バルディビアは穏やかな笑みを浮かべ頷いた。

モンロイ「それでは早速届けてまいります。」

バタン

モンロイはバルディビアの部屋を後にした。

バルディビア「カスティニャダ殿、失礼した。
貴君と話がしたくてのぅ。」

カスティニャダ「私も機会を頂ければ、一言礼を言いたい思っておりました。」

バルディビア「どうかな?この地での暮らしは?」

カスティニャダ「土地から使用人まで至れり尽せりで
何不自由なく暮らさせてもらっています。
有事の時にはなんなり私め共をお使いください。」

カスティニャダ(こやつの意図がまるで分からん。これだけの厚遇をしてわざわざ俺たちを捕らえるという事は考えられんが・・俺たちを測ろうとしているのか?)

バルディビア「これは心強い、その時は頼りにしてますぞ。
所であやつの剣捌きはどうであった?」

カスティニャダ「あやつとは・・?
・・イネス殿の事ですね。」

バルディビア「なかなかの腕前であったろう?」

カスティニャダ「もしあの時頑丈な剣お持ちであったならば、私はここにいなかったやもしれませぬ。
そして、彼女の力は剛力で鳴らす男衆ですら舌を巻くでしょう。
あ、いや、失礼。」

バルディビア「良い良い、情熱的であったろう?
力の強い女子、大いに結構!
また、そんな所も魅力的でのぅ。」

カスティニャダ「はぁ・・」

バルディビア「なんとも言えない受け答えだな。
知らぬふりをしなくても良いぞ。
あやつとの間柄は、貴君にすら耳に入っているであろう。」

カスティニャダ(自分の愛人を痛めつけたのを理由に、何か因縁でもつけてくるつもりか?ここは素直に話を合わせるか。)

カスティニャダ「はい、後日その話を聞いて驚きと畏れを抱きました。」

バルディビア「ワシは強い女も好きだが、有能な人物も好きだ。」

カスティニャダ(ん、こちらを持ち上げようとしておるだけか?)

バルディビア「カスティニャダ殿、貴君は見ただけで有能なのは明白。」

カスティニャダ「ハッ!さらに結果を出し、
バルディビア様の目に狂いのない事を証明させて頂きます!」

バルディビア(ほう、賢いな。ここを謙遜したら、イネスの事を貶める事になるからのぅ。)

バルディビア「期待しておるぞ。
と、ワシとあやつめに何かある時は、力になってくれ。」

カスティニャダ(負い目を負わせてるつもりなのか?それとも何か由々しき事でも起きるのか?)

バルディビア「して、貴君の連れには武に長ける者と、武器の扱いに精通してある者がいると聞いたが。」

カスティニャダ(少し大袈裟にアピールしておくか。)
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