【アラウコの叫び 】第3巻/16世紀の南米史

ヘロヘロデス

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決戦!イニャキート

第114話「各々の思惑」

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-トルヒーヨ-
「ゴンサロ様、ヌニェス軍をカルバハル様が見事打ち破りました!」

ゴンサロ「ほう、ヌニェスは捕えたのか?」

「いえ、それが手練の騎士が殿として立ちはだかり、追撃しきれなかったの事です。」

ゴンサロ「何?カルバハル程の者が食い止められたと?」

「ハッ、エルシッドを彷彿とされる騎士の様であったそうです。
その者は先のリマ入場の際、一悶着起こしていた者の様です。」

ゴンサロ「カルバハルに手傷を負わせたという例の奴か。
圧倒的な戦になると思ってはおったが、まさかそれ程の者がいるとはのぅ。」

「と、カルバハル様からの伝言です。
物資の補充と、報酬をよろしく頼むとの事です。」

ゴンサロ「分かった。
まあ、ヌニェスはどちらにしても風前の灯よ。
一騎士の力など、近代戦争の前では水面の小さな波紋に過ぎぬわ。
エルシッドも結局は、不幸な最後であったしの。」

ヌニェス軍はカルバハル軍の強大さに退却を余儀なくされた。
戦の勝敗はカルバハルの手中にあったにもかかわらず、
メルカド軍を戦地に残し、カルバハルは撤退していった。


-リマの酒場-
コルドバは1人酒場で呑んでいた。

「此度のカルバハル様の追撃をやめた事に疑問を持っておられるのですな?」

コルドバ「何奴?」

「シッ!私は通りすがりのただの戦通でございます。」

コルドバ「ふむ。その戦通とやら先の戦をどう見る?」

「カルバハル様の不可解な行動の裏には、戦争を長引かせ、より私腹を肥やす意図があったと思います。」

男はあの状況がいかに有利であり、カルバハルという男がどの様な者であるか、コルドバに説いた。

「ただし、これはあくまで私の考えであります。」

コルドバ「なかなか説得力のある講釈であった。
貴殿、名はなんと申す?」

「人は私の事を<戦場のマエストロ>と呼びます。
只今、隠遁している身の為、
私に会った事は口外せぬで頂けると有り難い。
それでは・・」

コルドバ「な・・」

コルドバ(まさか実在するとは。ただ、あの様な的確な分析只者ではないだろう・・)


-新大陸北部-
ヌニェスは北へ撤退し無事キト(現エクアドルの都市)へ辿り着くが、
直ちにキトを放棄し北のポパヤン(現在のコロンビアの都市)を拠点とした。
そして、自身の忠実な指揮官セバスティアン・デ・ベナルカサルと合流した。

体制を立て直し、ゴンサロ軍と決着のつかない小競り合いが繰り返したが、
猜疑心の強いヌニェスは自身の配下3人を処刑してしまう。

それに乗じてゴンサロは偽の情報を流し、
ポパヤンで固く守っていたニュネスを出陣させる事に成功する。

ヌニェスはキトから北東へ3リーグ離れたグアイリャバンバ川の畔にゴンサロ軍が駐屯しているとは知らず、進軍した。
ディエゴ・センテノ軍、メルカド軍と交戦中のカルバハル軍の援軍として
向かっているはずのゴンサロ軍が別の場所で潜んでいる事を、ヌニェスが知った時には既に手遅れとなっていた。

ベナルカサルはゴンサロ軍の位置があまりにも有利である事を見抜くと、迂回しながら小道を通りキトを目指す事を進言した。
ヌニェス軍はゴンサロの腹心ペドロ・デ・プエリェスが寡兵で守るキトを奪還に成功したものの劣勢は変わらなかった。
ヌニェスは防衛戦を不利と判断し、結局キトからうって出る事にした。

両軍は1546年1月18日にキト近郊のイニャキートで最終決戦を迎える事になる。

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