サイバシスト[PSYBER EXORCIST]

多比良栄一

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エピソード1 平家と源氏の末裔

第9話 霊力馬鹿と体力モンスターのコンビ

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 平平はコールマイナーのブレードを受けきっていたが、そのままツルハシのほうが勢いよく振り抜かれた。一瞬にして平平のからだをトルネードのような突風が吹き抜ける。
 一瞬なにがおきたかわからなかった。平平の身につけた武具や鎧はそのままで、特に目立った切り傷や怪我はないように見えた。だが、服がバッと風にあおられ、うしろ身頃がめくれあがると、平平のどてっぱらにおおきな穴が空いていることがわかる。
 今度は上空に浮かぶ平平の霊力陣の右上3分の1、『赤』属性の一角がパーンと破壊されて吹き飛んだ。これで左上3分の1の三角だけになってしまう。

 平平が「ぐはっ」と苦悶の声をあげて、口から吐血した。
「うわ、きたない!」
 突然抱えていた平平の頭が血を吐いたので、まひるはあわてて腕を突き出して、自分のからだに血がかからないようにした。あまりに邪険に自分の頭を扱う、まひるに平平が苦言を呈した。
「ま、まひるっち、汚い、はねーだろうよ。こっちは死にかけてんだ……」
 平平の表情はさすがに苦しげにゆがんでいた。
 まひるが、手元の平平の頭の上の空間に浮かぶ数字が、カウント・ダウンしはじめたの気づいた。また勢いよく「0」にむかって数字が減っていく。
「ミーナ、まずいぜよ 。数字が勢いよく減っていっちゅうがよ」
 まひるに心配そうな顔をむけられて、源子が口元をゆるめた。
「まひるさん。ご心配なく。もういちどわたしのマナを分け与えたので大丈夫です」
 そう言って、矢の刺さった『MOVE HP (HP 移動」』の護符に目をむけた。
 源子の言う通りで、1000の単位で減っていっていた数字が500でストップしたかと思うと、数字がまた戻り始め、あっという間に4800の数字にまで回復した。
「みなもとはん、あんたまた、ぎょうさんのマナ、この男にくれてやりましたの?」
 みかげが源子の様子を心配しながら言った。
「まぁ……、この人、もう一回くらいはやらかすと思っておりましたから……」
 だが、その顔はかなり青ざめており、足元はいくばかりかふらついて見える。みかげは源子が精いっぱい虚勢を張っていることに気づいたが、あえてそれには触れず今おかれた状況についてだけ言った。
「みなもとはん、これで『緑』属性、パーしか出せなくなりましたえ」
 源子はゆっくりとみかげのほうを見あげた。
「えぇ。注文通りです。見事に『半殺し』されてくれました」
 あまりにも自信に充ち満ちた返事。ただの空元気や負け惜しみではなさそうだった。だが、そうだとしたら意味がわからない。
 上空に座っているみかげも、その下で平平の頭を抱えたままのまひるもきょとんした表情で、それ以上なにも言えなかった。

 源子のことばの意味がわからなかったのは、音無姉妹だけではなかった。
 アミと一緒に戦況を見守っていたノンも同様に頭の上に?マークを浮かべていた。
「ど、どういうことなんです。だって……パーだけでジャンケンって……。もう無理じゃないですか?」
「『クジャン』はふつうのジャンケンとはちがう。やり方次第ではまだやれるのだよ」
「ですが、またクリティカルでももらったら……」
「そうだな。次にクリティカル・ヒットをくらったら、げじげじが危ないな」
「源子さんが?。だってなんのダメージも受けてないじゃないですか?」
「なんのダメージも?。なにを見ている。ぴらぴらがくらった二発のクリティカル・ヒットで削られたのは、源子の体力、マナだぞ。そうでなきゃ、ぴらぴらはとっくにくたばってる」
 そう言ってアミが源子の頭上を指さした。
 そこに浮かんでいる数字は「8000」。
「まだ体力は充分あるように見えますけど……」
「あぁ、そこがげじげじのスゴイところだ。すでにぴらぴらに10000を超えるマナを補充していながら、まだあれだけ残っている……。あいつの……、源源子みなもと・みなこの精神力は底なしだな。まったくもって『体力マナ・モンスター』だよ」
「ーって、『霊力馬鹿』と『体力マナ・モンスター』のコンビ……」
 ノンが呟くようにそう言うのを聞きながら、アミは右手を前にゆっくりと持ちあげた。その手のひらのなかに、9色の光がぼうっと浮かんだかと思うと、そのまますっと消えうせた。が、いつのまにか、その手にはマグナムを思わせる重厚なリボルバー銃が握られていた。
 アミは親指で撃鉄を起こしてから言った。
「まぁ、これでも一応担任なのでな。万が一の時は、さすがに加勢しないわけにはいかんな」

 その銃のもつ重圧感とアミの顔に浮かんだ決意の表情に、ノンがごくりとツバを飲み込んだ。
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