VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

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第五章 幸せに向かって

第四話 幕切れ 結びにとって予想外

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 縁達はカナリア先生と子供達とで、数時間お絵かきをした。
 数時間後、今日のお絵かき教室は終わり、子供達が保護者と帰っていった。
 お絵かき教室で使った物を、カナリア先生と共に片付けた2人。
 子供達とのふれあいに心を癒されたのだった。 

「ん~充実した一日だったね~」
「ああ……てか、疲れた」
「そりゃあんだけ上手かったらねだられるね、しかも兎だし」
「ま、たまにはいいさ」

 子供達に描いて描いてとお願いされた縁。
 疲れて当たり前だが、いい疲れだったようだ。

「カナリア先生、この後時間はありますか?」
「ええ、有りますが……何かありましたか? 縁さん」
「お節介なのは百も承知ですが、貴方に紹介しておきたい人……というか神が居ます」
「神ですか?」
「ええ、もしもの時に、後ろ盾があった方がいいでしょう」
「……確かにそうですね」

 カナリア先生は頷いた、もしもの時とは色々とある。
 自分に何かあった時、子供達に何かあった時。
 後ろ盾があれば安心だ、しかし、カナリア先生は少々渋い顔をした。

「私が払える対価は少ないかと」
「いえ、いりませんよ」
「いや、それでは……」
「まあまあカナリア先生、ここは神様一年生という事で、縁君の好意を受け取ってくださいな」
「そう言われてしまっては……ありがとうございます」
「で、縁君、他の神様にお願いをしに行くの?」
「ああ」
「ほえ~やっぱり縁も顔が広いね」
「ま、縁の神だからな、早速行こうか」
「ほいよ~」
「はい」

 という訳で、縁の転移魔法で何処かの山奥にやって来た。
 獣道が山頂へと続いている、縁を先頭に歩き始める。

「って、凄い山の中に転移したね~」
「目的の神様は山頂に祀られている、いや縛られていると言った方がいいのか……ま、凄い神様だ」
「ほえ~」

 山頂には、ぽつんと小さい社があった。
 ボロボロで今にも崩れそうな社だ。
 それを見た結びはニヤリと笑った。

「……縁君」
「どうした?」
「……ここに祀られている神は強い、ワクワクする」
「何で戦う前提なんだよ」
「いやいや、つい……でも直さないの? ボロボロじゃん」
「だ、そうですよ?」
「気持ちはありがたいが、わしゃボロい方がいい」

 そのボロボロの社の目の前に、いつの間にか老人が社の前で座っていた。
 世捨て人の様な一枚布で、キセルを持っている。
 縁は綺麗なおじぎをして、結びがビックリする一言を言った。

「お久しぶりです、おじいちゃん」
「おじいちゃん!?」

 結びは縁とおじいちゃんを交互に見た。

「ふっふっふっ、昔みたいにワシをクソじじいとは言わないのかい?」
「本当にすみませんでした」
「縁君! おじいちゃんに会うならちゃんと言って! 手土産も持ってこないダメな奴と思われるじゃんか!」
「その話は後で聞く、今はカナリア先生の事が先」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!」

 結びはその場に崩れ、地面をバンバンと叩き始めた。
 かなり悔しいらしく、山が物凄く揺れている。
 鳥達が木から飛び立ち、動物達の鳴き声を聞こえる。
 縁は結びをなだめるのだった、それを縁のおじいちゃんは笑って見ている。

「で、お前があの時の約束を守ったようだから、ワシも聞くかの?」
「え? あの時の約束?」
「なんじゃ忘れとるのか? 仕方ない奴じゃ、どれ……」

 縁のおじいちゃんはキセルを吸い、口から煙を出した。
 その煙は一つの大きな塊となり、七色に輝き始める。
 そして、輝きが収まると、若い頃の縁とおじいちゃんが映っていた。

『縁よ、お主――』
『うるせぇよ! クソじじい! 人を殺すな!? 妹が殺されかけて、我慢しろってか!? ふざけるな!』
『今のお主に何を言ってもダメかの?』
『ああ! そうだよ黙れよクソじじい!』
『ならば……お主に試練を与えよう』
『あ!?』
『ワシを黙らせたかったら、描きたくなるような、色付いた縁をつくって見せろ? 黙ってやるし、タダで願いも聞いてやろう?』
『はっ! 俺は縁の神だ! てめぇを黙らせるなんて簡単だよ!』
『それは楽しみだ』

 どうやら過去の映像らしい。
 その煙が消えると、縁はその場に泣き崩れる勢いで地面を叩いた。

「ぐおおおぉぉぉぉぉおおおぉぉぉぉぉ……昔の俺のイキリ散らしがやべぇ!」

 縁にとっては目をそらしたい過去の映像、結びはニヤニヤしながら縁の肩を叩いた。
 蚊帳の外のカナリア先生は、苦笑いするしかなかった。

「ふむ、この時の約束を守りにに来たのかと思ったわい」
「……あ、まあ、はい」
「そこの新しい神の面倒を見てくれというのじゃろ?」
「……ありがとうございます、今のうちに挨拶回りをした方がいいかと」
「ふむ、縁よ、その名に恥じぬ神になったな、嫁を見つけただけではなく、他人に手を差し伸べるとはな」
「いえ、私はまだまだです、最近ですよ、神として少しはちゃんとしなきゃと思ったのは」
「ふっふっふっ……いい色になったな」

 縁のおじいちゃんはキセルを吸いながら、本当に嬉しそうにしている。

「……お嬢さん」
「うお!? なんでございやしょうか!?」
「孫をよろしくお願いいたします」
「あ! 今度ちゃんとご挨拶します! 手土産も持ってきます!」
「おお、そうそう……名前を言ってなかったね」
「はっ! 申し訳ございません! 私は風野音結びです!」
「はっはっは、落ち着いてお嬢さん、知っているよ」

 ゆっくりと立ち上がる、その場に居る3人は息を吞む。
 目の前に居るのは、世捨て人の様なみすぼらしい老人。
 だが、今すぐに跪かないといけない、そんな気迫を出していた。

「我が名は人世色彩展ひとよしきさいてん、人生は酸いも甘いも一枚の絵、同じ作品は存在しない」

 正に上位の神、言葉では言い表せない貫禄。
 説明不要の圧が目の前にあった。

「って感じの神の前に、縁のおじいちゃんじゃよ、まあ名前は……人世とか色彩展とか、ま、好きに呼んどくれ」
「じゃあ……色彩展さんで、今度手土産も持ってまた来ます! あ! 縁君とは夫婦になる予定の! 実質夫婦です!」
「はっはっは、元気なお嬢さんだ……ふむ、後日ちゃんと改めて話した方がいいかね」

 色彩展はカナリア先生をじっと見た。

「それじゃあ、2人はもう下山しなさい、そこの神様とはサシで話したい」
「わかりました」

 縁達は下山を開始した、転移で戻ろうとしたが、結びが言いたい事があると歩く事にしたのだ。

「縁君! おじいちゃんはきいてねーよ!」
「ああ、ごめん、真っ先に助けてくれそうなのがおじいちゃんだった」
「何で?」
「ああ、色を司るの上位の神だからね」
「なるほど……でも先に行っといて」
「ごめんごめん、んで、カナリア先生を助けるついでに、紹介したかった」
「わたしゃついでかい」
「今回はね、ただ、親族、友人、知人が集まる時は主人公確定だ」
「……しょうがないね~許す」

 もはや説明不要だろう、そしてこんな言い回しをされてしまっては、といったところだろう。

「でもおじいちゃんは何でこんな山に?」
「ああ、昔父さんと戦ったらしい」
「何で? 娘をやれるか! って奴?」
「母さんは上位の幸運の神、それが地上で暮らすとなると、問題が色々と出で来るだろ?」
「ああ、さらわれたり、なんだりかんだりと、つまりは娘を守れるかってやつね?」
「そうだ、父さんはあらゆる人脈を使っておじいちゃんと戦い、封印した」
「封印? いや、あれ封印されてなかったよね? 形だけ?」
「おじいちゃんと父さんの約束の社さ、この社が崩れるまで娘を守ってみせろとね」
「あ~他人がどうこう言えない約束だ」
「ああ」
「ふむ、ツッコミは色々とあるけど、縁君と絆ちゃんは会いに来てたの?」
「ああ……母さんにつれられたり、絆はこっそりと来てたり……ああ……」
「……あれ? むむ!? って考えたら縁君のおじいちゃん!?」
「あ、ああ、そうだけど?」
「私のおじいちゃんとおばあちゃんに挨拶したよね?」
「ああ、そうだね」

 なんだかんだと、縁は結びの親族には挨拶をしている。
 だが――

「はっ! てか今考えたらさ! 縁君のご両親にちゃんと挨拶していない! てかアレ? もしかして過去でしか会った事ない!?」
「なら今度、両家の両親での食事会をしよう」
「っしゃキタコレ! 気合い入れるぞこんちくしょう!」
「今思ったら、俺は君のご両親には挨拶はしていたな」
「バッキャロウ! 私はしてねーんだよ! 何で今まで私は気付かなかったんだ! クソ! 縁君と一緒に居るのが楽しいからだ! ご両親に挨拶しないなんて! 不出来な嫁と思われかねない! まだ間に合うか!? いや、間に合ってくれ!」
「あ、ああ……お、おれも悪かったよ、お、落ち着いてくれ」
「……よし、縁君のフォロー楽しみにしておく」
「おおう……」

 身から出た錆、縁は申し訳なく思った。
 このような小さい衝突を、これから何度もしていくんだろうな。
 そう考えながら縁は、どうフォローするか考えるのだつた。
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