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第十六話 王子様がぐいぐい来る
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ミーア嬢の様子が変だ。特に廊下を歩く彼女は周りを気にしすぎている。
「どうしました?」
レナンジェスは悪役令嬢に声を掛ける。
「ヒッ…レナンジェス殿でしたか。びっくりさせないでください」
「あの…チャールズ様とカイザル様がご迷惑をおかけしているのでは?」
「迷惑ではありません。私が教えられることが山ほどありますから。でも…」
「押しが強すぎると?」
「はい…それに急に引いたかと思えば3日後くらいで背後から耳元で甘い囁きをされたりで…」
「私の責任ですね。申し訳ございません…御二方には自重するようお願いしてみます」
「迷惑ではありませんは。寧ろ嬉しいですし…」
悪役令嬢は頬を染めながら呟くように言う。
どうやらチャールズとカイザルの猛アタックで困惑しているみたいだ。これが同じ公爵家ならば逆ハーレムも有りだろう。しかし帝国皇太子と王国第一王子でハーレムを作るとなると両国を掌握する必要がある。
つまり帝国、王国を武力で屈服させ新たな国を作るのだ。
(うん、この逆ハーレムは成立しないね。むしろ男がヤンデレになりそうだよ)
ゲームでは存在しないルートだ。どんなフラグが立ってもおかしくはない。
「私はどうすれば…」
途惑った表情の悪役令嬢は守ってあげたくなるような儚さを醸し出している。
「そうですねぇ…どちらの男性を選ぶだけな気がしますが」
「それは違いますわ。婚約破棄された私がチャールズ様ともカイザル様とも結ばれはしませんわ。それだけ王妃は清廉さを求められますから」
「でも、カイザル様を婿養子にするのは大丈夫だと思いますが?」
「でも…それではチャールズ様の弟君に王位継承権を譲って婿入りしかねませんわよ」
(“でもでもだって”でもダメンズと別れるのと優良物件を選ぶのでは大きな違いがあるな)
そう考えている時だった。
『最近、ミーア嬢は目立ちすぎですわ!』
『そうですわよ!殿方2人を連れて歩くなんて』
周りでミーアの悪口が聞こえてくる。ミーアもそれは仕方がないとあきらめた表情で受け流していた。
「それは仕方ねぇよなぁ。何しろ仕草が色っぽくて礼儀作法が完璧だからよぉ」
チャールズが令嬢達にノロケ話をしだすのが聞こえる。
「朕もそう思うぞ。更に言えば何事も妥協せず向き合う姿は守りたくなる」
「解るぜぇ。それに従者にも民にも優しいしなぁ」
「フム、そうであるな。時折見せる儚げな表情も守りたくなる」
どうやら王子2人が令嬢に惚気合戦を見せつけているようだ。それには悪役令嬢も顔を紅潮させている事しかできない。
(仕方がないか…)
レナンジェスは意を決する。そして惚気る(のろける)2人の前に行くと水魔法を放つ。すると2人の王子は頭から水浸しになった。
『無礼者!』
W王子はレナンジェスを睨みつける。
「罰はどのようにでも受けます。しかし御二人は少し自重が必要かと。令嬢達をご覧になってください。美形2人に褒めちぎられ、愛の言葉を囁かれては立場が無いではありませんか。それにミーア嬢の事も考えてください。2人の行動や言動が彼女に僻みや羨望で立場が悪くなりかねません。それに彼女の過去もご存じでは?惚気る前に障害を取り払う方が先だと進言します」
『正論だな』
2人はそう言うと「罰だ」と言ってレナンジェスにデコピンを食らわせる。そしてその場を去って行った。
「レナンジェス殿…あまり優しくしないでください」
W王子に解放されたレナンジェスに悪役令嬢は悲しそうに言う。
「今回もそうですがアリウス殿下に婚約破棄された時も不敬罪に問われかねない行動をするなんて…」
「それは仕方がありません。上の者に命を賭して進言するのも貴族の務めですので」
「そんな事ではありません。それと…私の事をどう思っているのですか?何とも思っていないなら優しくしないで!」
そう叫び一筋の涙を流すミーア。周りの貴族は興味深げに見ている。
「ミーア様、男は好いた女性の品位を落すことを嫌う生き物なのですよ。私の様な下々の者の事など気になさらずに」
レナンジェスはそう言うと優雅に一礼してその場を去った。
(やってしまった…あれは完全に告白だ。貴族として尊敬していると言いたかったのに…)
そう考えながら自己嫌悪に陥るレナンジェス。
『おい、何を抜け駆けしているんだ?』
見ると着替えて来たW王子がレナンジェスを睨んでいる。
「誤解されるような言動でした。私はミーア様を貴族としてお慕いしていると伝えたかっただけなのに…」
『命を懸けた敬意は好意と同じだぞ?』
「確かに…」
『それで本音は?』
「彼女には幸せになって欲しいです。しかし帝国皇太子殿下と王国第一王子殿下が彼女を取り合えば争いになりかねません。それは彼女を不幸にします」
『そこまで解っているのが余計ムカつくな』
そう言いながらW王子はレナンジェスの頭を拳でグリグリと押す。
「お許しを…」
『許さねぇ!今後はお前もライバルになるんだからな』
2人曰く、レナンジェスの言葉に悪役令嬢は惚けてしまったらしい。
『命懸けで2回も行動すれば惚れられもするだろ!』
「私では身分が違います…」
『ほう、身分の違いを乗り越えるマンガを描くお前が言うか』
「あれは物語であって…」
『それに憧れる年ごろだろ?ミーア嬢は』
そう言いながら暫くW王子に説教されるレナンジェスであった。
「どうしました?」
レナンジェスは悪役令嬢に声を掛ける。
「ヒッ…レナンジェス殿でしたか。びっくりさせないでください」
「あの…チャールズ様とカイザル様がご迷惑をおかけしているのでは?」
「迷惑ではありません。私が教えられることが山ほどありますから。でも…」
「押しが強すぎると?」
「はい…それに急に引いたかと思えば3日後くらいで背後から耳元で甘い囁きをされたりで…」
「私の責任ですね。申し訳ございません…御二方には自重するようお願いしてみます」
「迷惑ではありませんは。寧ろ嬉しいですし…」
悪役令嬢は頬を染めながら呟くように言う。
どうやらチャールズとカイザルの猛アタックで困惑しているみたいだ。これが同じ公爵家ならば逆ハーレムも有りだろう。しかし帝国皇太子と王国第一王子でハーレムを作るとなると両国を掌握する必要がある。
つまり帝国、王国を武力で屈服させ新たな国を作るのだ。
(うん、この逆ハーレムは成立しないね。むしろ男がヤンデレになりそうだよ)
ゲームでは存在しないルートだ。どんなフラグが立ってもおかしくはない。
「私はどうすれば…」
途惑った表情の悪役令嬢は守ってあげたくなるような儚さを醸し出している。
「そうですねぇ…どちらの男性を選ぶだけな気がしますが」
「それは違いますわ。婚約破棄された私がチャールズ様ともカイザル様とも結ばれはしませんわ。それだけ王妃は清廉さを求められますから」
「でも、カイザル様を婿養子にするのは大丈夫だと思いますが?」
「でも…それではチャールズ様の弟君に王位継承権を譲って婿入りしかねませんわよ」
(“でもでもだって”でもダメンズと別れるのと優良物件を選ぶのでは大きな違いがあるな)
そう考えている時だった。
『最近、ミーア嬢は目立ちすぎですわ!』
『そうですわよ!殿方2人を連れて歩くなんて』
周りでミーアの悪口が聞こえてくる。ミーアもそれは仕方がないとあきらめた表情で受け流していた。
「それは仕方ねぇよなぁ。何しろ仕草が色っぽくて礼儀作法が完璧だからよぉ」
チャールズが令嬢達にノロケ話をしだすのが聞こえる。
「朕もそう思うぞ。更に言えば何事も妥協せず向き合う姿は守りたくなる」
「解るぜぇ。それに従者にも民にも優しいしなぁ」
「フム、そうであるな。時折見せる儚げな表情も守りたくなる」
どうやら王子2人が令嬢に惚気合戦を見せつけているようだ。それには悪役令嬢も顔を紅潮させている事しかできない。
(仕方がないか…)
レナンジェスは意を決する。そして惚気る(のろける)2人の前に行くと水魔法を放つ。すると2人の王子は頭から水浸しになった。
『無礼者!』
W王子はレナンジェスを睨みつける。
「罰はどのようにでも受けます。しかし御二人は少し自重が必要かと。令嬢達をご覧になってください。美形2人に褒めちぎられ、愛の言葉を囁かれては立場が無いではありませんか。それにミーア嬢の事も考えてください。2人の行動や言動が彼女に僻みや羨望で立場が悪くなりかねません。それに彼女の過去もご存じでは?惚気る前に障害を取り払う方が先だと進言します」
『正論だな』
2人はそう言うと「罰だ」と言ってレナンジェスにデコピンを食らわせる。そしてその場を去って行った。
「レナンジェス殿…あまり優しくしないでください」
W王子に解放されたレナンジェスに悪役令嬢は悲しそうに言う。
「今回もそうですがアリウス殿下に婚約破棄された時も不敬罪に問われかねない行動をするなんて…」
「それは仕方がありません。上の者に命を賭して進言するのも貴族の務めですので」
「そんな事ではありません。それと…私の事をどう思っているのですか?何とも思っていないなら優しくしないで!」
そう叫び一筋の涙を流すミーア。周りの貴族は興味深げに見ている。
「ミーア様、男は好いた女性の品位を落すことを嫌う生き物なのですよ。私の様な下々の者の事など気になさらずに」
レナンジェスはそう言うと優雅に一礼してその場を去った。
(やってしまった…あれは完全に告白だ。貴族として尊敬していると言いたかったのに…)
そう考えながら自己嫌悪に陥るレナンジェス。
『おい、何を抜け駆けしているんだ?』
見ると着替えて来たW王子がレナンジェスを睨んでいる。
「誤解されるような言動でした。私はミーア様を貴族としてお慕いしていると伝えたかっただけなのに…」
『命を懸けた敬意は好意と同じだぞ?』
「確かに…」
『それで本音は?』
「彼女には幸せになって欲しいです。しかし帝国皇太子殿下と王国第一王子殿下が彼女を取り合えば争いになりかねません。それは彼女を不幸にします」
『そこまで解っているのが余計ムカつくな』
そう言いながらW王子はレナンジェスの頭を拳でグリグリと押す。
「お許しを…」
『許さねぇ!今後はお前もライバルになるんだからな』
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