50 / 88
第五十話 学院の怪談
しおりを挟む
残暑が残るこの季節、学生たちの話題は学院の怪談話だ。
『中央塔の12段の階段が夜中の2時に13段になっていてそこを登ると…』
モブ男子が話している。
『どうなるの?』
『縄が首に絡まって…床が抜けるそうだ。そして翌日には変わり果てた生徒が…』
『キャー』
モブ女子が悲鳴をあげる。
「怪談の季節ではないのに」
レナンジェスはそう呟きながら授業の準備をする。
「ママってお化けが苦手?」
アリスがレナンジェスに問かけてくるがレナンジェスは苦笑いを浮べるだけだ。
『今日の授業は自習とする』
何でも教師が夏風邪を引いたらしい。
「それでは怪談話をしましょう」
アリスが皆に言うと男子生徒は嬉しそうに笑った。
(学院の怪談話も日本と同じか)
何しろ口裂け女とかトイレのレイミーさん等、どこの学校にもありそうな話題だった。
「それでは私から1つ」
不意にアリスがそう言うと怪談話を始める。
「ある夕暮れの時にわたくしが実際に遭遇した話なのですが…」
アリスの乗っていた馬車がトンネルに入ったそうだ。そこはお化けが出るという事で有名だったらしい。
そして坑道に入る直前に大雨が降っていた。
「そしてトンネルの中でメイドが言うのです。ここはまずいと…」
雨音で会話もろくに出来ないトンネルを進む馬車。メイドはずっと怖がっていたそうな。
「そして屋敷に着いてから何故、怖がっていたか聞いたのです。するとメイドが言いました。「トンネルの中で何故、雨音が聞こえ続けるのですか?」と」
初めは「?」を頭の上に浮かべていた生徒。しかしトンネルの中で馬車が雨に打たれる事は無いと気が付く。
『キャー』
モブ女子がモブ男子に抱き着く。モブ男子も脂汗を垂らしながら女性とに抱き着いていた。
「それにしても100話もお化けの話をするなんて」
レナンジェスがため息をつく。
「問題がありまして?」
「100話お化け話をすると最後にお化けが出てくると聞いたことがありますし」
その言葉に皆が息をのむ。
“ドンドンドンドン”
不意に窓を叩く音がした。しかしそこには誰居ない。
『これって…』
生徒達の顔が青くなる。
“ドンドンドンドン”
今度は教室のドアが激しくノックされる。
『ギャー』
皆は震えながら近くの者と抱き合う。
「何ですの?わたくしの話の後に悪戯するなんて」
そう言いながらドアを開けるアリス。するとそこには小悪魔~ズが居た。
「何事だ?」
レナンジェスは小悪魔~ズに問い掛ける。
『忘れ物です』
小悪魔~ズはレナンジェスに教科書を渡す。
「ありがとう。それでもドアを叩きすぎだよ」
『え?僕達はドアを叩いていませんよ?ドアの前に来たら中から激しく叩いていたじゃありませんか!』
そう言いながらムクれる小悪魔~ズ。
「つまり…中から誰かが叩いていたという事か…」
レナンジェスがそう言うとモブ生徒は一斉に叫び声をあげた。
「そんな事がありまして」
レナンジェスがミーアの部屋でW王子に話す。ミーアとアリスは抱き合って怖がっている。
『つまりお化けは部屋の中に居たのか…』
「そう言う事になりますね」
そんな事を言っている時だった。
「ドアを叩く音は下の階でそこの2人が壁の修理をしていた音でしょう。それからドアの真下でも作業をしていましたから」
間者メイド曰く、2人の作業音が2階まで響いていたという事だった。
『そうなんだ…怖かった~』
そう言いながらミーアとアリスはホッとした表情を浮かべる。
それから3日ほど、学院で百物語が流行る。そしてそれを行った者は必ず幽霊に会うと言われていた。何でも絶世の美女が短いスカートを履いて歩いて来るのを見た男子が声を掛けると消えてしまうそうな。
『噂に尾ひれが付くと都市伝説が出来上がるのだろうな』
そう言いながら絶世の美女に説教をするW王子。
「目覚めてしまいまして」
美女はクールに言い放つ。そう、幽霊の正体はライディースであったのだ。
『それでも全身赤いフードを被って床を赤く染めるのはやり過ぎです!』
ミーアとアリスも説教する。
「え?それは我ではないぞ?」
その言葉で部屋の空気は凍るのであった。
「母上…戯れが過ぎますぞ」
俺様王子は第一王妃に苦言を呈す。
「フフフ…吊り橋効果でカップルが誕生しているから良いじゃない」
全身を赤いフードで覆い赤い絵の具を持つ第一王妃は悪戯な笑みを浮かべていた。
『中央塔の12段の階段が夜中の2時に13段になっていてそこを登ると…』
モブ男子が話している。
『どうなるの?』
『縄が首に絡まって…床が抜けるそうだ。そして翌日には変わり果てた生徒が…』
『キャー』
モブ女子が悲鳴をあげる。
「怪談の季節ではないのに」
レナンジェスはそう呟きながら授業の準備をする。
「ママってお化けが苦手?」
アリスがレナンジェスに問かけてくるがレナンジェスは苦笑いを浮べるだけだ。
『今日の授業は自習とする』
何でも教師が夏風邪を引いたらしい。
「それでは怪談話をしましょう」
アリスが皆に言うと男子生徒は嬉しそうに笑った。
(学院の怪談話も日本と同じか)
何しろ口裂け女とかトイレのレイミーさん等、どこの学校にもありそうな話題だった。
「それでは私から1つ」
不意にアリスがそう言うと怪談話を始める。
「ある夕暮れの時にわたくしが実際に遭遇した話なのですが…」
アリスの乗っていた馬車がトンネルに入ったそうだ。そこはお化けが出るという事で有名だったらしい。
そして坑道に入る直前に大雨が降っていた。
「そしてトンネルの中でメイドが言うのです。ここはまずいと…」
雨音で会話もろくに出来ないトンネルを進む馬車。メイドはずっと怖がっていたそうな。
「そして屋敷に着いてから何故、怖がっていたか聞いたのです。するとメイドが言いました。「トンネルの中で何故、雨音が聞こえ続けるのですか?」と」
初めは「?」を頭の上に浮かべていた生徒。しかしトンネルの中で馬車が雨に打たれる事は無いと気が付く。
『キャー』
モブ女子がモブ男子に抱き着く。モブ男子も脂汗を垂らしながら女性とに抱き着いていた。
「それにしても100話もお化けの話をするなんて」
レナンジェスがため息をつく。
「問題がありまして?」
「100話お化け話をすると最後にお化けが出てくると聞いたことがありますし」
その言葉に皆が息をのむ。
“ドンドンドンドン”
不意に窓を叩く音がした。しかしそこには誰居ない。
『これって…』
生徒達の顔が青くなる。
“ドンドンドンドン”
今度は教室のドアが激しくノックされる。
『ギャー』
皆は震えながら近くの者と抱き合う。
「何ですの?わたくしの話の後に悪戯するなんて」
そう言いながらドアを開けるアリス。するとそこには小悪魔~ズが居た。
「何事だ?」
レナンジェスは小悪魔~ズに問い掛ける。
『忘れ物です』
小悪魔~ズはレナンジェスに教科書を渡す。
「ありがとう。それでもドアを叩きすぎだよ」
『え?僕達はドアを叩いていませんよ?ドアの前に来たら中から激しく叩いていたじゃありませんか!』
そう言いながらムクれる小悪魔~ズ。
「つまり…中から誰かが叩いていたという事か…」
レナンジェスがそう言うとモブ生徒は一斉に叫び声をあげた。
「そんな事がありまして」
レナンジェスがミーアの部屋でW王子に話す。ミーアとアリスは抱き合って怖がっている。
『つまりお化けは部屋の中に居たのか…』
「そう言う事になりますね」
そんな事を言っている時だった。
「ドアを叩く音は下の階でそこの2人が壁の修理をしていた音でしょう。それからドアの真下でも作業をしていましたから」
間者メイド曰く、2人の作業音が2階まで響いていたという事だった。
『そうなんだ…怖かった~』
そう言いながらミーアとアリスはホッとした表情を浮かべる。
それから3日ほど、学院で百物語が流行る。そしてそれを行った者は必ず幽霊に会うと言われていた。何でも絶世の美女が短いスカートを履いて歩いて来るのを見た男子が声を掛けると消えてしまうそうな。
『噂に尾ひれが付くと都市伝説が出来上がるのだろうな』
そう言いながら絶世の美女に説教をするW王子。
「目覚めてしまいまして」
美女はクールに言い放つ。そう、幽霊の正体はライディースであったのだ。
『それでも全身赤いフードを被って床を赤く染めるのはやり過ぎです!』
ミーアとアリスも説教する。
「え?それは我ではないぞ?」
その言葉で部屋の空気は凍るのであった。
「母上…戯れが過ぎますぞ」
俺様王子は第一王妃に苦言を呈す。
「フフフ…吊り橋効果でカップルが誕生しているから良いじゃない」
全身を赤いフードで覆い赤い絵の具を持つ第一王妃は悪戯な笑みを浮かべていた。
10
あなたにおすすめの小説
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
婚約破棄された公爵令嬢アンジェはスキルひきこもりで、ざまあする!BLミッションをクリアするまで出られない空間で王子と側近のBL生活が始まる!
山田 バルス
BL
婚約破棄とスキル「ひきこもり」―二人だけの世界・BLバージョン!?
春の陽光の中、ベル=ナドッテ魔術学院の卒業式は華やかに幕を開けた。だが祝福の拍手を突き破るように、第二王子アーノルド=トロンハイムの声が講堂に響く。
「アンジェ=オスロベルゲン公爵令嬢。お前との婚約を破棄する!」
ざわめく生徒たち。銀髪の令嬢アンジェが静かに問い返す。
「理由を、うかがっても?」
「お前のスキルが“ひきこもり”だからだ! 怠け者の能力など王妃にはふさわしくない!」
隣で男爵令嬢アルタが嬉しげに王子の腕に絡みつき、挑発するように笑った。
「ひきこもりなんて、みっともないスキルですわね」
その一言に、アンジェの瞳が凛と光る。
「“ひきこもり”は、かつて帝国を滅ぼした力。あなたが望むなら……体験していただきましょう」
彼女が手を掲げた瞬間、白光が弾け――王子と宰相家の青年モルデ=リレハンメルの姿が消えた。
◇ ◇ ◇
目を開けた二人の前に広がっていたのは、真っ白な円形の部屋。ベッドが一つ、机が二つ。壁のモニターには、奇妙な文字が浮かんでいた。
『スキル《ひきこもり》へようこそ。二人だけの世界――BLバージョン♡』
「……は?」「……え?」
凍りつく二人。ドアはどこにも通じず、完全な密室。やがてモニターが再び光る。
『第一ミッション:以下のセリフを言ってキスをしてください。
アーノルド「モルデ、お前を愛している」
モルデ「ボクもお慕いしています」』
「き、キス!?」「アンジェ、正気か!?」
空腹を感じ始めた二人に、さらに追い打ち。
『成功すれば豪華ディナーをプレゼント♡』
ステーキとワインの映像に喉を鳴らし、ついに王子が観念する。
「……モルデ、お前を……愛している」
「……ボクも、アーノルド王子をお慕いしています」
顔を寄せた瞬間――ピコンッ!
『ミッション達成♡ おめでとうございます!』
テーブルに豪華な料理が現れるが、二人は真っ赤になったまま沈黙。
「……なんか負けた気がする」「……同感です」
モニターの隅では、紅茶を片手に微笑むアンジェの姿が。
『スキル《ひきこもり》――強制的に二人きりの世界を生成。解除条件は全ミッション制覇♡』
王子は頭を抱えて叫ぶ。
「アンジェぇぇぇぇぇっ!!」
天井スピーカーから甘い声が響いた。
『次のミッション、準備中です♡』
こうして、トロンハイム王国史上もっとも恥ずかしい“ひきこもり事件”が幕を開けた――。
美人王配候補が、すれ違いざまにめっちゃ睨んでくるんだが?
あだち
BL
戦場帰りの両刀軍人(攻)が、女王の夫になる予定の貴公子(受)に心当たりのない執着を示される話。ゆるめの設定で互いに殴り合い罵り合い、ご都合主義でハッピーエンドです。
推しを擁護したくて何が悪い!
人生1919回血迷った人
BL
所謂王道学園と呼ばれる東雲学園で風紀委員副委員長として活動している彩凪知晴には学園内に推しがいる。
その推しである鈴谷凛は我儘でぶりっ子な性格の悪いお坊ちゃんだという噂が流れており、実際の性格はともかく学園中の嫌われ者だ。
理不尽な悪意を受ける凛を知晴は陰ながら支えたいと思っており、バレないように後をつけたり知らない所で凛への悪意を排除していたりしてした。
そんな中、学園の人気者たちに何故か好かれる転校生が転入してきて学園は荒れに荒れる。ある日、転校生に嫉妬した生徒会長親衛隊員である生徒が転校生を呼び出して──────────。
「凛に危害を加えるやつは許さない。」
※王道学園モノですがBLかと言われるとL要素が少なすぎます。BLよりも王道学園の設定が好きなだけの腐った奴による小説です。
※簡潔にこの話を書くと嫌われからの総愛され系親衛隊隊長のことが推しとして大好きなクールビューティで寡黙な主人公が制裁現場を上手く推しを擁護して解決する話です。
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる
ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。
この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。
ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる