幽霊の俺が使い魔召喚されたのだが

松林 松茸

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第28話 薬の効果

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それから3日後の事だった。洋子が開発した薬が大量に最前線に届けられる。

「とりあえずゴーレムに塗って様子を見よう」

そう言いながら獣人王は洋子の薬をゴーレムに吹き付けて様子を見ることにした。すると、ゴーレムに近付いたオークやゴブリンはいきなり自慰行為を初めて何回も黒い瘴気を一物から噴出させると塵となって消えてしまった。

「これは凄い!全兵士の防具とロボットにもぬりましょう!」

ドワーフ王は興奮しながらそれらの事を指示していく。そしてその日を境に兵士の被害はゼロとなった。近付いて来ただけで勝手に自慰行為を初めて自爆するのだ。

「この薬の効果は3年間ですので効果が切れる前に塗りなおしてくださいね。それと散布するときは霧状で噴出してください」

洋子は電話でその旨を報告する。

(3年だって?長すぎだな)

和也はそう思いながらも洋子の作った薬が兵士の命を守る事に尊敬の念を抱く。

「洋子さん凄いです!ただの腐女子じゃなかったんですね!」

「腐女子は余計よ」

そう言いながら和也の頭を軽く叩く。

(これで平和な世界に戻ると良いな)

和也はそんな事を考えていた。


しかし、この薬には大きな欠点があった。空中から薬を散布し、瘴気の大地を観察していた兵士の報告でそれは明らかになる。

「大変です!」

兵士が慌てて司令官に近寄る。

「ん?どうした?」

「瘴気の大地にミノタウロスとサイクロプスの男女が出現したとたん交尾を始めました!オスだけの者やメスだけの者は自慰行為にふけっていますが塵にはなりません」

「え?上位の怪物が出たのか?それで交尾しだしたと。更に自慰行為しても死なないと」

「はい、このままだと上位の怪物が一気に増える恐れがあります」

「それは…まずいな…」

どうやら洋子の薬は自然発生する怪物は殺せても交尾して種族を増やす怪物にはベビーブームをもたらすらしい。

「それでも…生まれるまでに10か月だし…育つまでは数十年掛かるだろうから…」

「数十年後には上位種が一気に攻め込んできますよ!」

「確かに…」

その時点を持って洋子の薬は瘴気の大地に散布することを禁止にされた。それでも防具やロボットに散布する分には勝手に発情するので倒すのは多少容易にはなるが。


「何てことかしら!まさか上位種が交尾するなんて!ちゃんと避妊しなさいよ!全く!私だって必ずゴム付きでやるのに」

洋子は思わぬ事態に動揺していた。聞いてもない夜の事情を口走るくらいだ。よっぽど悔しかったのだろう。

「でも、低位の怪物は掃討できますから…それに単体の上位種も自慰行為を始めるので動きは止められますし…」

和也は必死にフォローしようとするが洋子は怒り狂っている。

「こうなったら上位種だけに効かない薬を作らなくては!」

「上位種なんてどうやって捕獲するんですか?無理ですよ」

「じゃあ、上位種に避妊具を配給するわ!」

「絶対に無理です」

和也は洋子を宥めつつ、ゴブリン、オーク、オーガ、グールの脅威がなくなったことで良しとするべきだと説得する。それに上位種も発情するならそれなりに戦い方はあるはずだ。

「それより上位種の映像はありませんか?」

「メールに動画が添付されてきているわ」

「それを見せてください」

「こんな時に怪物で自慰行為する気なの!」

「そうじゃなくて…怪物の瘴気の流れを見たいのです」

そう言うと洋子は添付されていた動画を再生させた。そこにはバックや正常位で愛し合う怪物たちが映し出されている。

「どうやら…上位種の弱点は人間と同じ心臓と脳みたいですね」

和也は瘴気の流れを見ながら弱点を言い当てる。

「それでも上位種は硬いのよ!」

「そうですね。一物は特に硬そうだ」

その言葉に再び洋子に頭を叩かれる。

「それでも心臓や頭はレーザーガンで貫けそうですよ?怪物より倒しやすそうですが…」

「上位種も武装するのよ?弱点をさらけ出してこないわ」

「じゃあ、電気ショックで心肺停止させれば動きは止められますかね?」

「上位種はタフなのよ!これを見ればわかるでしょ!何回も連続で腰を振るくらいなんだから!」

「…洋子さん、お茶でも飲んで落ち着きましょう」

そう言いながら和也はお茶を取りに行く。その間も洋子の悔しそうな声が聞こえていた。
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