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第27話 怪物たちの捨て身の作戦

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ある日の事だった。戦況が動いたのは。怪物たちはトンネルを掘るのをあきらめて山から転げ落ちてきたのだ。人間だったら即死するところだが怪物は再生力が強い。ゴブリン、オーク、オーガの群れが山頂から一気に転げ落ちながら攻めてきた。中には股間を強打したり、尖った岩に後ろの口が刺さり塵と化す者も居たがそれでも落ちてくる怪物の数は多い。

「一斉射撃しろ!」

司令官が超電磁砲を一斉に発射する。それでも2割くらいの怪物は山の外に出てきてしまった。

「ここで食い止めるぞ」

ロボット部隊が怪物めがけて突進する。そして怪物たちを塵にしていくがそれでも次から次へと転がり落ちてくるのだ。段々と押され気味になってくる。

「魔法隊前へ!」

その掛け声とともに兵隊が魔法を放つ。それで足止めをしながらレーザーガンで股間や後ろの口を狙撃していく。まさに一進一退の攻防となったのだ。


「我が眷属よ!怪物に目に物を見せてやりなさい!」

美少女真祖がヴァンパイア部隊を突撃させる。

この世界のヴァンパイアは日光に耐性がある。更に家畜から廃棄される血液を一滴飲めば怪物以上の力を出せるのだ。通常はカプセルにされた血液をヴァンパイアに販売される。

ヴァンパイア部隊は血液を口に含むと彼らは手刀で怪物の一物を切り裂いたり、怪物に浣腸をして塵に返す。

数時間後、怪物の群れは勢いを無くし転げ落ちてくるものが減っていた。それでも油断できる状況ではない。出てくるのは知能の低い物ばかりなのだから。どこかで高位の怪物が観察している事だろう。

「被害状況は?」

軍隊の司令官が確認する。

「被害はありませんがこのままだと弾薬が底をつきます」

その報告に司令官は苦虫を嚙み潰したような顔をする。持久戦になればいずれ弾薬の底はつくのだ。怪物はそれを狙っているのだろう。故に低位の怪物しか攻めてこないのだ。

「大丈夫だ、問題ない」

獣人族は槍を携えて言い放った。彼等の身体能力で怪物の弱点を確実に破壊できるからだ。

「それでも白兵戦になればいずれは被害が拡大するでしょう」

エルフの司令官と人間の司令官がそう言いながら顔をしかめる。

「ならば山脈の内側を滑るように変えてしまおう」

ドワーフの司令官がそう言いながら飛行兵器に岩肌を滑るように変化させる装置を搭載させる。そして一斉に飛びあがると山脈の内側を滑るように加工していく。それでも瘴気の大地は直径100キロあるのだ。全て施工するには数週間はかかるだろう。

「その間、俺の紋章で警備しよう」

獣人王がそう言いながら彼が持つ“無限艦隊の紋章”を掲げる。すると武器を携えたゴーレムが無限に湧き上がって来た。彼の紋章の力は無限にゴーレムを作成できるのだ。

数時間後、山脈の周りはゴーレムの群れで埋め尽くされていた。これで怪物が攻撃してきても部隊が移動する時間は稼げる。そして補給が終わるまで怪物を撃退できるはずだ。


前線で怪物たちが捨て身の攻撃をかけてきたころ、アーの国の宮殿で洋子はある薬の精製に着手していた。

「それは何ですか?」

竜馬は不思議そうに聞く。

「これはね、怪物に自慰行為を強制的にさせるクスリよ」

そう言いながら洋子はニヤリと笑う。

「え?怪物を興奮させる薬なんですか?」

「違うわよ!怪物が自慰行為を瘴気が尽きるまで続ける薬なの。実験は済ませてあるわ」

「いつの間に…」

「この間、竜馬様が森で怪物と戦ったでしょ?その時に怪物を数匹生け捕りにしてもらっていたのよ」

そう言いながら洋子は和也を地下の実験室に連れていく。そこには水槽みたいな檻に入った怪物が3匹ほど別々の檻にいれっれていた。それ以外の檻には塵になった何かが積もっている。

「見ていなさい」

そう言うと洋子は薬の瓶の中身を1つの檻に入れた。するとそこに居たオークの一物が反り返り、自らの手でしごき出した。それから数十分後、何度も黒い瘴気を一物から放出させながら気持ち良さそうにオークは塵となって崩れ落ちた。

「なんて恐ろしい薬だ…」

和也は思わず絶句する。

「これを量産すれば攻めてくる怪物は全て倒せるわ」

「人間や亜人に影響はないんですか?」

「無いわよ!大魔法使いにして薬学の天才の私がそんなへまはしないわ!」

そう言いながら洋子は満足げに笑っている。そして残り2体の怪物の檻にも薬を入れると同様に自慰行為の末、怪物は塵となっていった。

「数日あれば大量生産できるわね」

そう言いながら洋子は部屋を後にする。

(なんて恐ろしい人なんだ…)

和也は洋子の薬の効果に茫然としていた。
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