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愛されすぎる一夜――イケメンエリート吸血鬼が抱いて離してくれない
3. 肌の熱さ
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彼の牙が静かに引いていく。
傷口を舌でぬめるように舐められて、ぞわっとした感覚が背中を這い上がる。
「……美味しい、だけじゃない。君の血、熱いね」
吐息混じりの声が、耳のすぐそばで落ちる。
背筋にぞくりとした震えが走る。
蒼真さんの指先が、ゆっくりと鎖骨をなぞる。
唇も、肌の上を離れない。
傷口を確かめるように、吸って、舐めて、唇でそっと塞ぐ。
そのまま、右手の指がドレスの縁をくすぐる。
肩紐を外すのではなく、なぞるだけ。ほんの指の腹で。
「こんなに張ってるのに……まだ触れちゃダメ?」
「……っ」
胸の上に彼の掌が乗るのを待つように、肌がうずいている。
けれど彼は、触れない。際を滑るだけ。布越しのふくらみを、そっとなぞる。
「柔らかいの、わかる。……でも、君の口から言ってほしいな」
「な、にを……」
「どこを、どうしてほしいのか。……全部、ちゃんと」
ずるい声。
低くて甘くて、耳の奥を撫でるような囁き声で、そんなことを言う。
胸元にかかる髪を掬いながら、首筋にまたキスが落ちる。
もう吸血の痛みはないのに、肌がひりついて、敏感に反応してしまう。
「さっき、ここ……ちょっと震えた」
蒼真さんの唇が、喉の奥をくすぐるように這う。
唇だけでなく、鼻先や顎まで、すべてで肌を撫でてくる。
「……あ」
「ああ、やっぱり、ここも」
鎖骨の下、ドレスのふちに沿って、指がゆっくり滑っていく。
それだけなのに、心臓が跳ねて、息が詰まりそうになる。
「ねえ、なんで? 慣れてるんでしょ?」
「……はい。でも……」
「じゃあ、どうして、そんな顔するの。……今夜だけ、何が違うの?」
問いながら、指先が胸の谷間をくすぐる。
服の上から、ほんの一瞬、押しあてられた掌。
でも、すぐ離れる。
「ん……っ」
声が漏れると、彼はくすっと笑って耳に息を吹きかけてきた。
「可愛い……そんな声、もっと聞かせて」
触れてほしい場所には触れてくれない。
でも、その周囲ばかりを何度もなぞる。
胸元の布が揺れるたび、肌に擦れる感触だけで呼吸が乱れてくる。
そして次に――彼の手が、ゆっくりと太ももに降りてくる。
ドレスのスリットの間から滑り込むように、指が入ってくる。
「こっちも……もう熱い。すごい」
「や……っ」
「感じてるの、全部伝わってきてる。声も、呼吸も、ここも……」
太ももの内側を指先でなぞられる。
けれど、核心には触れない。近いのに、届かない。
じらすように、何度も太ももの肌を往復する。
「焦らされてるの、気づいてる?」
「……はい……っ」
「うん、それでいい。……もっと、もっと焦らしてあげる。君が、自分から求めるまで」
蒼真さんの声は穏やかなのに、支配の色がにじんでいる。
手のひらは熱いのに、指先は冷たい。
身体の中と外で、温度がずれていって、快感がじわじわと染みてくる。
「そろそろ……お願い、したくなってきた?」
「まだ……わかんないです……っ」
「ふふ、じゃあ、もっとわからなくなるくらい、気持ちよくしてあげる」
唇が再び胸元へ下りていく。
まだ何も脱がされていないのに、肌が全部さらけ出されているようで、羞恥で身体が震える。
けれど、彼の指先は、まだ触れない。
触れてしまえば終わってしまう、そんなタイミングを、彼はわざと外し続けている。
私は、もう、声にならない熱に呑まれはじめている――
傷口を舌でぬめるように舐められて、ぞわっとした感覚が背中を這い上がる。
「……美味しい、だけじゃない。君の血、熱いね」
吐息混じりの声が、耳のすぐそばで落ちる。
背筋にぞくりとした震えが走る。
蒼真さんの指先が、ゆっくりと鎖骨をなぞる。
唇も、肌の上を離れない。
傷口を確かめるように、吸って、舐めて、唇でそっと塞ぐ。
そのまま、右手の指がドレスの縁をくすぐる。
肩紐を外すのではなく、なぞるだけ。ほんの指の腹で。
「こんなに張ってるのに……まだ触れちゃダメ?」
「……っ」
胸の上に彼の掌が乗るのを待つように、肌がうずいている。
けれど彼は、触れない。際を滑るだけ。布越しのふくらみを、そっとなぞる。
「柔らかいの、わかる。……でも、君の口から言ってほしいな」
「な、にを……」
「どこを、どうしてほしいのか。……全部、ちゃんと」
ずるい声。
低くて甘くて、耳の奥を撫でるような囁き声で、そんなことを言う。
胸元にかかる髪を掬いながら、首筋にまたキスが落ちる。
もう吸血の痛みはないのに、肌がひりついて、敏感に反応してしまう。
「さっき、ここ……ちょっと震えた」
蒼真さんの唇が、喉の奥をくすぐるように這う。
唇だけでなく、鼻先や顎まで、すべてで肌を撫でてくる。
「……あ」
「ああ、やっぱり、ここも」
鎖骨の下、ドレスのふちに沿って、指がゆっくり滑っていく。
それだけなのに、心臓が跳ねて、息が詰まりそうになる。
「ねえ、なんで? 慣れてるんでしょ?」
「……はい。でも……」
「じゃあ、どうして、そんな顔するの。……今夜だけ、何が違うの?」
問いながら、指先が胸の谷間をくすぐる。
服の上から、ほんの一瞬、押しあてられた掌。
でも、すぐ離れる。
「ん……っ」
声が漏れると、彼はくすっと笑って耳に息を吹きかけてきた。
「可愛い……そんな声、もっと聞かせて」
触れてほしい場所には触れてくれない。
でも、その周囲ばかりを何度もなぞる。
胸元の布が揺れるたび、肌に擦れる感触だけで呼吸が乱れてくる。
そして次に――彼の手が、ゆっくりと太ももに降りてくる。
ドレスのスリットの間から滑り込むように、指が入ってくる。
「こっちも……もう熱い。すごい」
「や……っ」
「感じてるの、全部伝わってきてる。声も、呼吸も、ここも……」
太ももの内側を指先でなぞられる。
けれど、核心には触れない。近いのに、届かない。
じらすように、何度も太ももの肌を往復する。
「焦らされてるの、気づいてる?」
「……はい……っ」
「うん、それでいい。……もっと、もっと焦らしてあげる。君が、自分から求めるまで」
蒼真さんの声は穏やかなのに、支配の色がにじんでいる。
手のひらは熱いのに、指先は冷たい。
身体の中と外で、温度がずれていって、快感がじわじわと染みてくる。
「そろそろ……お願い、したくなってきた?」
「まだ……わかんないです……っ」
「ふふ、じゃあ、もっとわからなくなるくらい、気持ちよくしてあげる」
唇が再び胸元へ下りていく。
まだ何も脱がされていないのに、肌が全部さらけ出されているようで、羞恥で身体が震える。
けれど、彼の指先は、まだ触れない。
触れてしまえば終わってしまう、そんなタイミングを、彼はわざと外し続けている。
私は、もう、声にならない熱に呑まれはじめている――
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