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第2話 あにけん?
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「アニメはもう、もはや日本の文化なのよ!日本=アニメは世界の常識になってるの。そして昔はアニメオタクって言ってたらバカにされてたけどいまや、胸をはってオタクだってことを主張できる。そして、老若男女、どんな人からでも愛されてる。それほど素晴らしい我が国の文化なんだよ!」
夏休みが終わり皆が休みボケしていた授業が終わり昼休み時間中。ボクの隣に座るヤチに、前に座っていた成瀬鈴華は立ち上がり、キスしてしまうのではないかと思うくらい、だんだんと近づいていく顔が熱弁する。
隣に立つ友達の矢部静香も「品川さんも見てみようよぉ」といつも大人しい彼女が、横から目をキラキラさせながらヤチに話している。
ヤチが「どうしたらいいの?」と言いたそうにボクの顔を横目でみる。さっき「わたしはアニメ見たことないなぁ」とアニメ研究部に通う二人の前で口にしてしまったヤチが悪い、と思ったが...ボクは助け船を出そうと口を開く。
「鈴華、矢部さん、ヤチみたいなアニメ見たことない女子でも興味がもてそうなのがあったら教えてよ」
ボクは鈴華とはすでに、よくアニメについてしゃべったことがある。学科は別だが授業で一緒になることが多い。入学して早々、「ボクはスポコン系のアニメが好きだなぁ」と話したらすぐに仲良くなれた。「ナオもアニ研入ろうよ」と誘われたが、それよりもミステリーのほうが好きだったので断った。彼女が言うには、「自分をボクって呼ぶ女の子は珍しいよ!アニメのキャラみたい!絶対先輩達から可愛がられるから!」とのこと。ボクのこのクセは兄貴たちの影響だ。まぁ、『オレ』よりかはいいんじゃないかと思っている。
夏休みが終わり久しぶりに会えた鈴華が同じアニ研の友達、矢部さんを紹介してくれた。ボクも先ほどヤチを紹介できた。
「それだったら、青春ストーリーがいいんじゃない?女子高生と男子のラブコメとか」と鈴華
「ミス研なら探偵が出てくるようなアニメもたくさんあるよ。わたしDVDいろいろあるから今度貸してあげる」と矢部さん
ヤチは、ラブストーリーには興味無さそうだったが、探偵という言葉を聞いてそちらに感心がいった。ヤチと矢部さんは仲良くなれそうだ。
「それにしても、聞いたよナオ!夏休み前に事件に巻き込まれたんだって?合宿中に人が殺されたって。しかもその犯人が私たちの学年にいたって噂になってるよ。だれだったの犯人?」
その話か...と私はあまり思い出したくないことを思い出してしまった。
7月、私たちがミス研の合宿中に遭遇した殺人事件。事件は解決した。しかも、私とヤチで捕まえたも同然だ。
しかし、その事件の真犯人の動機がとても理不尽で残忍だったため、殺人事件に合うことはもちろん初めてで、それだけでも悪い思い出だが、私たちが捕まえた犯人がとても印象が悪いまま捕まったので忘れたい気持ちはとても強かった。
だが、噂は忘れさせてくれない。その事件は大学中に知られたが、犯人が誰だったかまでは、まだ知られていない。この夏休み中に退学した一年生も、ちらほらいるみたいだから誰が捕まったなど分からないだろう(それも時間の問題か?)。
もちろん、私とヤチで捕まえたなどとは、ミス研内、四人だけの秘密である。
「あぁそれね...その噂は嘘だよ。イカれた変質者の仕業だったんだ」と、誤魔化す。
「よかったら、今度教えてよ」
ボクが困った顔をしたからだろう、鈴華は察してくれたのか、慮り話題を変えようとしてくれた。
「アニ研って人数多いよね!ボクたちの学科だけでも10人以上はいると思うよ!ミス研なんてたった4人だ。合宿があったら盛り上がるだろうね!」
ボクは羨ましく思った。
「まぁね!さっきも言ったけどアニメは文化だからね。それに、アニメって一言で言っても、いろんなジャンルで好きな人がいるから、そりゃ多くなるよ!」
鈴華が胸を張る。また熱を与えてしまった。
「アニメのストーリー重視だったり、キャラクターが可愛い、イケメンで好きだったり。あとは声優ファンとかね。
もちろん、そっち関係で将来仕事に就こうとしてる学生もたくさんいるよ。私と静香は趣味の範囲だけどね」
「へー」と感心してしまう。はっ!とボクはヤチを見るがヤチも、強ち《あながち》嫌いな話では無さそうだ。
「部員の男女比は半々ですね。全部で40人くらいいるんじゃないかしら?だから、まだ名前も知らない先輩たちも多くて」
とおっとりしたしゃべり方で矢部さんは言う。
「何人かで固まってることが多いんですよ、それぞれのアニメの趣味によってバラけてるんです。私とリンちゃんも先輩たちに誘われて、元からあるグループに入ってるのよ」
「へー。面白いね、部室の中でもまた違った派閥ができてるんだ」
とボクは納得
「そうなの、その派閥をいくつも掛け持ってる人もいるしね!そのグループで合宿したりイベントに参加したりするの」
「全員では合宿に行かない?」
「歓迎会はみんなで集まってしてくれたよ。あと、忘年会とか新年会はみんなでやるみたいだけどね」
「いいなー、すごい楽しそう」
「今からでも遅くないよ」
鈴華がまたボクを誘ってくる。
「うーん」
(ミス研と掛け持ちでもいいかも)と考えてしまった。
また、横でヤチを見る。少し寂しそうな顔をしながら少し首を横にふる。
「やっぱりやめとくよ。ミス研気に入ってるし、ヤチが一人になっちゃうと可愛そうだし」と本音をいう。
「あんたたち仲良いんだねぇ。しかたない、諦めるよ」
残念そうにする鈴華と矢部さん。ホッとするヤチ。
「それじゃあさ、もし予定なければ今度の合宿、一日だけ参加しない?アニメのイベント見に行くんだ。先輩たちは土日で泊まりがけなんだけど、私たちは土曜日アルバイトが入ってて2日目のアニメイベントだけに参加するつもりなの。そのイベントに一緒に行ってみない?チケット代は必要だけど定価の半額で買えるんだよ」
と鈴華。興味はあるが、お金を出してまでは...と考えたとき。
鈴華がまた口を開き
「ナオの好きな野球アニメの声優も出てくるらしいよ。あの『安善伯斗』!」
「えー!ハクトが生で見られるの?!いくら??」
ボクが見ていた野球アニメ『ウイニングショット』で主人公の声をあてていた『安善伯斗』。爽やかな顔立ちで、今、女性中心に話題の人気声優である。
急に大声あげたボクにヤチが隣でビクッとする。
「今だったら2,500円のところをわたしも払ってあげるから、たった2,000円!」
(よし、貯金から出せる!)
「ありがとうリン!
ヤチ!ごめんボクは行きたい!」
興奮してしまったボク、鈴華を『リン』と呼んでしまった。
それに対し、ヤチは優しい顔で穏やかな声で言う(その声でボクは我にかえる)
「もちろん!ナオが行くならわたしも行きたいな」その顔はボクに落ち着いてって言っているようだった。
「決まり!二人ぶん先輩たちに頼んでみるね。一日だけだから気軽に行こうね!詳しくは後で教えるね」
それから、私たちはメッセージアプリのグループを作り、別れた。
楽しみが増えた!放課後、DVDを借りて、夜、部屋で見返そう!
※
ボクたちがアニ研二人とおしゃべりをした、2日後の水曜日の深夜
通り魔殺人事件が起きる。
襲われたのはボクたちと同じ大学のアニメ研究部、三年生の女子生徒だった。
襲われかたが異常で、目撃者はいたものの、特徴がはっきりとしないため犯人も見つからず報道番組でも話題になっていた。
「目撃者である男性会社員によると、
『夜間自宅に帰宅中、遠く前方で女性が電灯の少ない歩道を歩いているのが見えました。目を凝らして見ると、その背後にフードを被った全身真っ黒の性別不明な人が歩いていて、ストーカーかと思った瞬間。
手に持った長い棒状な物を振り上げ女性の背中目掛けふり下ろしました。そのあと、それを、振り返った彼女の胸に刺した。そのとき、彼女のでしょうか、悲鳴がありましたがすぐに消えました。
すぐに私は掛けつけましたが、そのフードの者はいなかった。倒れた女性に近寄るとその棒状の物の正体がわかりました。刀でした。刀で彼女の背を斬り胸を刺したのだとわかり。そのあと救急車と警察に通報しました。』
近くの地域で目撃情報、変質者の情報がありましたら......」
翌朝のニュースで報道する男性キャスター
ボクは味噌汁茶碗を持ちながら固まってしまった。
嫌な予感がする。
夏休みが終わり皆が休みボケしていた授業が終わり昼休み時間中。ボクの隣に座るヤチに、前に座っていた成瀬鈴華は立ち上がり、キスしてしまうのではないかと思うくらい、だんだんと近づいていく顔が熱弁する。
隣に立つ友達の矢部静香も「品川さんも見てみようよぉ」といつも大人しい彼女が、横から目をキラキラさせながらヤチに話している。
ヤチが「どうしたらいいの?」と言いたそうにボクの顔を横目でみる。さっき「わたしはアニメ見たことないなぁ」とアニメ研究部に通う二人の前で口にしてしまったヤチが悪い、と思ったが...ボクは助け船を出そうと口を開く。
「鈴華、矢部さん、ヤチみたいなアニメ見たことない女子でも興味がもてそうなのがあったら教えてよ」
ボクは鈴華とはすでに、よくアニメについてしゃべったことがある。学科は別だが授業で一緒になることが多い。入学して早々、「ボクはスポコン系のアニメが好きだなぁ」と話したらすぐに仲良くなれた。「ナオもアニ研入ろうよ」と誘われたが、それよりもミステリーのほうが好きだったので断った。彼女が言うには、「自分をボクって呼ぶ女の子は珍しいよ!アニメのキャラみたい!絶対先輩達から可愛がられるから!」とのこと。ボクのこのクセは兄貴たちの影響だ。まぁ、『オレ』よりかはいいんじゃないかと思っている。
夏休みが終わり久しぶりに会えた鈴華が同じアニ研の友達、矢部さんを紹介してくれた。ボクも先ほどヤチを紹介できた。
「それだったら、青春ストーリーがいいんじゃない?女子高生と男子のラブコメとか」と鈴華
「ミス研なら探偵が出てくるようなアニメもたくさんあるよ。わたしDVDいろいろあるから今度貸してあげる」と矢部さん
ヤチは、ラブストーリーには興味無さそうだったが、探偵という言葉を聞いてそちらに感心がいった。ヤチと矢部さんは仲良くなれそうだ。
「それにしても、聞いたよナオ!夏休み前に事件に巻き込まれたんだって?合宿中に人が殺されたって。しかもその犯人が私たちの学年にいたって噂になってるよ。だれだったの犯人?」
その話か...と私はあまり思い出したくないことを思い出してしまった。
7月、私たちがミス研の合宿中に遭遇した殺人事件。事件は解決した。しかも、私とヤチで捕まえたも同然だ。
しかし、その事件の真犯人の動機がとても理不尽で残忍だったため、殺人事件に合うことはもちろん初めてで、それだけでも悪い思い出だが、私たちが捕まえた犯人がとても印象が悪いまま捕まったので忘れたい気持ちはとても強かった。
だが、噂は忘れさせてくれない。その事件は大学中に知られたが、犯人が誰だったかまでは、まだ知られていない。この夏休み中に退学した一年生も、ちらほらいるみたいだから誰が捕まったなど分からないだろう(それも時間の問題か?)。
もちろん、私とヤチで捕まえたなどとは、ミス研内、四人だけの秘密である。
「あぁそれね...その噂は嘘だよ。イカれた変質者の仕業だったんだ」と、誤魔化す。
「よかったら、今度教えてよ」
ボクが困った顔をしたからだろう、鈴華は察してくれたのか、慮り話題を変えようとしてくれた。
「アニ研って人数多いよね!ボクたちの学科だけでも10人以上はいると思うよ!ミス研なんてたった4人だ。合宿があったら盛り上がるだろうね!」
ボクは羨ましく思った。
「まぁね!さっきも言ったけどアニメは文化だからね。それに、アニメって一言で言っても、いろんなジャンルで好きな人がいるから、そりゃ多くなるよ!」
鈴華が胸を張る。また熱を与えてしまった。
「アニメのストーリー重視だったり、キャラクターが可愛い、イケメンで好きだったり。あとは声優ファンとかね。
もちろん、そっち関係で将来仕事に就こうとしてる学生もたくさんいるよ。私と静香は趣味の範囲だけどね」
「へー」と感心してしまう。はっ!とボクはヤチを見るがヤチも、強ち《あながち》嫌いな話では無さそうだ。
「部員の男女比は半々ですね。全部で40人くらいいるんじゃないかしら?だから、まだ名前も知らない先輩たちも多くて」
とおっとりしたしゃべり方で矢部さんは言う。
「何人かで固まってることが多いんですよ、それぞれのアニメの趣味によってバラけてるんです。私とリンちゃんも先輩たちに誘われて、元からあるグループに入ってるのよ」
「へー。面白いね、部室の中でもまた違った派閥ができてるんだ」
とボクは納得
「そうなの、その派閥をいくつも掛け持ってる人もいるしね!そのグループで合宿したりイベントに参加したりするの」
「全員では合宿に行かない?」
「歓迎会はみんなで集まってしてくれたよ。あと、忘年会とか新年会はみんなでやるみたいだけどね」
「いいなー、すごい楽しそう」
「今からでも遅くないよ」
鈴華がまたボクを誘ってくる。
「うーん」
(ミス研と掛け持ちでもいいかも)と考えてしまった。
また、横でヤチを見る。少し寂しそうな顔をしながら少し首を横にふる。
「やっぱりやめとくよ。ミス研気に入ってるし、ヤチが一人になっちゃうと可愛そうだし」と本音をいう。
「あんたたち仲良いんだねぇ。しかたない、諦めるよ」
残念そうにする鈴華と矢部さん。ホッとするヤチ。
「それじゃあさ、もし予定なければ今度の合宿、一日だけ参加しない?アニメのイベント見に行くんだ。先輩たちは土日で泊まりがけなんだけど、私たちは土曜日アルバイトが入ってて2日目のアニメイベントだけに参加するつもりなの。そのイベントに一緒に行ってみない?チケット代は必要だけど定価の半額で買えるんだよ」
と鈴華。興味はあるが、お金を出してまでは...と考えたとき。
鈴華がまた口を開き
「ナオの好きな野球アニメの声優も出てくるらしいよ。あの『安善伯斗』!」
「えー!ハクトが生で見られるの?!いくら??」
ボクが見ていた野球アニメ『ウイニングショット』で主人公の声をあてていた『安善伯斗』。爽やかな顔立ちで、今、女性中心に話題の人気声優である。
急に大声あげたボクにヤチが隣でビクッとする。
「今だったら2,500円のところをわたしも払ってあげるから、たった2,000円!」
(よし、貯金から出せる!)
「ありがとうリン!
ヤチ!ごめんボクは行きたい!」
興奮してしまったボク、鈴華を『リン』と呼んでしまった。
それに対し、ヤチは優しい顔で穏やかな声で言う(その声でボクは我にかえる)
「もちろん!ナオが行くならわたしも行きたいな」その顔はボクに落ち着いてって言っているようだった。
「決まり!二人ぶん先輩たちに頼んでみるね。一日だけだから気軽に行こうね!詳しくは後で教えるね」
それから、私たちはメッセージアプリのグループを作り、別れた。
楽しみが増えた!放課後、DVDを借りて、夜、部屋で見返そう!
※
ボクたちがアニ研二人とおしゃべりをした、2日後の水曜日の深夜
通り魔殺人事件が起きる。
襲われたのはボクたちと同じ大学のアニメ研究部、三年生の女子生徒だった。
襲われかたが異常で、目撃者はいたものの、特徴がはっきりとしないため犯人も見つからず報道番組でも話題になっていた。
「目撃者である男性会社員によると、
『夜間自宅に帰宅中、遠く前方で女性が電灯の少ない歩道を歩いているのが見えました。目を凝らして見ると、その背後にフードを被った全身真っ黒の性別不明な人が歩いていて、ストーカーかと思った瞬間。
手に持った長い棒状な物を振り上げ女性の背中目掛けふり下ろしました。そのあと、それを、振り返った彼女の胸に刺した。そのとき、彼女のでしょうか、悲鳴がありましたがすぐに消えました。
すぐに私は掛けつけましたが、そのフードの者はいなかった。倒れた女性に近寄るとその棒状の物の正体がわかりました。刀でした。刀で彼女の背を斬り胸を刺したのだとわかり。そのあと救急車と警察に通報しました。』
近くの地域で目撃情報、変質者の情報がありましたら......」
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