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1巻
1-10
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◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「それではジーナ、しっかりとシゲト殿とフー太様をお守りするのだぞ」
「はい、村長! それでは行ってまいります」
そして次の日の朝、村長さんや村のみんなが村の入口まで見送りに来てくれている。
昨日の夜は村のみんなが盛大に宴会を開いてくれた。ジーナは村の人達一人ずつと抱き合い、別れを惜しんでいた。
こうやって温かな光景を見ると、村長さんの、この村はみんなが家族という言葉の意味が、しっかりと伝わってくる。
「……そうだ、シゲト。ちょっとこっちに来てくれ」
「うん? どうした」
なぜかエイベンとベルクの二人に呼ばれ、俺はジーナと村長さんから少し離れた。
「……ジーナのやつは男にまったく免疫がないからな。いろいろと教えてやってくれ」
「んなっ!?」
「ホー?」
いきなりエイベンがとんでもないことを言い出した。
「うちの村にはジーナと同じ年頃の男が少なかったからな。それにジーナは小さい頃からうちの村で育ってきた大切な家族だから、恋人ができるような機会もなかったんだ」
ベルクも小さな声でそんなことを言う。確かにエイベンやベルクも含めて、この村にはジーナと同じ年頃の男の人は少なかった。
「ジーナのやつはエルフであの外見だからな。もう少し成長したらもっと綺麗になるだろう。どこぞのやつとくっつくくらいなら、シゲトとくっついてくれた方がいいだろ」
「ああ。そうなったら、シゲトも俺達の家族だ。おっと、とはいえ力尽くってのは駄目だからな!」
「まだ昨日の宴会気分のままなのか? そんなことしたら間違いなく俺の方が返り討ちにあうだろうな……」
「はは、それもそうか」
「それじゃあシゲト、ジーナをよろしく頼むぞ!」
「フー太様もどうかお元気で!」
「……教えるとかはともかく、了解だ。エイベンもベルクも元気でな。また一月後には村に戻ってくるからよろしく頼む」
「ホー!」
エイベンとベルクと軽いハグをする。まったく、二人とも何を言っているんだか。
この二人とは特に仲良くなった。今度この村に来た時にはぜひとも酒を酌み交わしたいところだ。
「シゲトお兄ちゃん!」
「エリナちゃん、まだ治ったばかりなんだから、歩き回っちゃ駄目だよ」
「ホー!」
エリナちゃんとエリナちゃんの両親が村の入口まで見送りに来てくれている。
もう赤い発疹はすべて消え、無事に歩き回れるくらいに回復したみたいだ。
「シゲトさん、この度は本当にありがとうございました」
「娘の命が助かったのはシゲトさんのおかげです。このご恩は一生忘れません!」
「エリナちゃんが治ってよかったです。たまたま特効薬の材料を持っていただけなので、そこまで気にしないでください」
エリナちゃんの両親からは昨日何度も頭を下げられ、お礼を言われた。
「ジーナもエリナを助けてくれて、本当にありがとうな」
「気を付けて行ってくるんだよ」
「ええ、みんなも体には気を付けてください」
村のみんなには、ジーナが自分の意思で俺とフー太を護衛するのだと村長さんが説明してくれている。でないと、俺がエリナちゃんを助けた対価としてジーナを護衛に連れていくと思われてしまうからな。
その辺りについてはみんな俺のことを信じてくれた。ひとえに、エリナちゃんを全力で助けようとしたことと、この村に来てからの俺の言動の賜物だな。
「シゲトお兄ちゃん、ジーナお姉ちゃん、フー太様。また村に来てね、約束だよ!」
「うん、エリナちゃん。一月後にはまた村に来るからね」
「エリナ、何かお土産を持ってくるから良い子にしているんですよ」
「ホー♪」
うん、やっぱりエリナちゃんは笑顔が一番だ。
この子を助けることができて本当によかったよ。
この村に来てから短い時間だったけれど、本当に楽しく過ごすことができた。
一月後にまた必ず来るとしよう。
村のみんなに見送られながら、俺達はハーキム村を出発した。
「……よし、この辺りでいいか」
村から少し離れたところで、キャンピングカーを出す。このキャンピングカーのことについては村長さんとジーナ以外には秘密にしている。
キャンピングカーに乗り込み、オドリオの街へ行った時と同様に、俺は運転席、ジーナは助手席、フー太はジーナの上に座った。
「それじゃあジーナ、しばらくの間よろしくな」
「ホホー、ホー♪」
「はい! こちらこそよろしくお願いします、シゲト、フー太様!」
キャンピングカーでの旅に、一月だけではあるがジーナが加わった。さあ、これからこの異世界を本格的に旅するとしよう!
「それじゃあ次に目指すのはロッテルガの街だ。今日中には着かないから、今日はどこかで泊まって休むとしよう」
「はい!」
「ホー!」
ロッテルガの街はキャンピングカーでもここから二日くらいかかる、オドリオの街よりも大きな街だ。
ハーキム村から一番近いのはドルダ病の特効薬を買いに行ったオドリオの街だが、エミリオさんと取り引きをしたばかりだし、森フクロウのフー太を連れて歩いてしまったからな。
下手をしたら俺達を待ち構えているやつらがいる可能性もゼロではない。
そこで、ここから距離がある別の街へ行ってみることにしたわけだ。
次にどこを目指すかを考えた際、やはりせっかくなら異世界の街に行ってみたいということで、村長さんからこの辺りで大きな街であるロッテルガの街の場所を聞いた。
目的にも合っているし、フー太もジーナも快く了承してくれた。
このキャンピングカーのカーナビ機能は、一度行ったことがある街や村でないと検索機能は使用できないが、手動でカーナビのマップを操作して、目的地をセットすることはできる。
村長さんから聞いた道をマップで追って、ロッテルガの街らしき場所を目的地に設定した。
「……よし、ポイントも1ポイント増えて、残りは3ポイントになっているな」
やはり二日前と同様に1ポイントが増えていた。どうやら二日に1ポイント増えるのは確定と見て間違いないだろう。
「そのポイントというのは、このキャンピングカーというものを強化するのに必要なものなのですよね?」
これから一月はジーナと一緒に行動するわけだし、このキャンピングカーのポイントのことについては説明をしておいた。
「ああ、そうだぞ。次はいよいよ自動修復機能を取るか」
このキャンピングカーには、ゴブリンに殴られた傷と、ディアクの突進を防御した時に凹んだ傷が残っている。何かあった時のために、機能を拡張するポイントを残しておきたいという気持ちはあるけれど、さすがにそろそろキャンピングカーの自動修復機能を取ることにした。
それに、この異世界の舗装されていない悪路を長い距離走ることになるんだ。見えないところでガタがきている可能性だってあるから、これだけは早めに取っておかないといけない。何せこのキャンピングカーは俺の生命線で、もしこれが壊れたら完全に詰んでしまうからな。
補給機能は夜のうちに発揮されていたので、この自動修復機能も夜のうちに行われるに違いない。今日の夜までに何事もなければ、この機能を取ることにしよう。
「それじゃあ、ロッテルガの街へ向けて出発だ!」
「はい!」
「ホー♪」
アクセルを踏んでキャンピングカーを出発させる。ジーナもオドリオの街まで往復したことにより、多少はキャンピングカーに慣れてきたようだ。
それにしても、この旅へ出掛ける時のワクワク感は本当にたまらないよな!
なんたって元の世界ではなく異世界だ。余計にワクワクする。
オドリオの街へ向かった時は、エリナちゃんを助けるために必死だったから、景色なんかを楽しむ余裕はまったくなかったが、これからは楽しみながら異世界を回ることができる。
やはりエリナちゃんを助けることができて本当によかった。もしも彼女を見捨てていたら、こんな気持ちにはなれなかっただろうからな。
「よし、この辺りで昼食にしようか」
「はい」
「ホー♪」
ロッテルガの街を目指し、ハーキム村を出発してから三時間ほど経った。途中までは先日通ったオドリオの街へ向かう道を進み、途中から別の新しい道を進んでいる。
やはりレベルアップまでの距離は、今まで通ったことのない道をキャンピングカーで走ると減っていくようだ。ハーキム村に戻る時もできるだけ別の道を走るとしよう。
今日の道のりはとても順調で、一昨日のようなブラックブルの群れなどには遭遇せずにすんだ。そろそろお昼を回るので、一度落ち着いた場所に停めて昼食にしようと思う。
「さて、この辺りにするか、辺りには何もないからな。ジーナ、俺が昼食を作っている間、外で見張りをしてもらってもいいか?」
「ええ、もちろんですよ! お任せください」
この辺りは広い草原となっているので、遠目からでもこのキャンピングカーは少し目立つ。停まって車内で料理をしている間に魔物の群れに囲まれたりするとまずいから、ジーナに見張りをしてもらうことにした。
「それじゃあテーブルとイスを準備するから、ちょっと手伝ってくれ」
「はい」
「ホー」
ジーナと一緒にキャンピングカーの外にテーブルとイスを準備する。
「それにしてもこのテーブルとイスは本当にすごいですね。こんなに小さく折りたためる上に、こっちのイスはとても座り心地がいいです」
「俺の故郷の折りたたみ式のテーブルとイスなんだけれど、なかなか便利なんだよ」
確かにこちらの世界の木でできたイスなんかと比べれば、最近のキャンプギアはとても座り心地がよく、折りたためて持ち運びもしやすいように作られている。この世界では明らかにオーバーテクノロジーだし、他の人に見せる時には十分気を付けないといけないな。
だけど、その分最新のキャンプギアは値段がお高いんだよね……
しかも新しいモデルが毎年のように販売されるので、マジでキャンプギアは沼なのである……
さて、今あるのはいろいろな種類の野菜と卵にディアクの肉、そしてパンか。お昼は手っ取り早く作れるものにしておこうかな。
「お待たせ。お昼は肉野菜炒めとパンだよ」
「とてもよい香りですね!」
「ホーホー♪」
三つの皿をテーブルの上に置き、パンの載った大きなお皿をテーブルの中央に置く。
「……っ!? シゲト、なんですかこれは! お肉と野菜を炒めただけなのに、とってもおいしいです!」
早速口に運んだジーナが、毎度のごとく驚きの声を上げる。
「ホー! ホーホー♪」
「シンプルに肉と野菜を炒めただけだよ。ただ、味付けには中華スープの素という調味料を使ったけどね」
この肉野菜炒めの作り方は本当に簡単だ。切った肉と野菜を炒めて、塩コショウを少々、そして中華スープの素を加えただけである。
これは中華料理などでよく使われる万能調味料で、肉や野菜のエキスをベースに、醤油や香味油などで味が調えられている。
スープだけでなく、炒めものやチャーハン、ラーメンなどに加えると、お手軽に本格的な中華料理の味付けができるのだ。元の世界ではいろんな名前で販売されていたな。
「あのアウトドアスパイスという香辛料を掛けて食べるディアクのお肉もとてもおいしかったのですが、こちらの味もとてもおいしいです!」
「ホー♪」
「確かにこっちもディアクの肉に合うね。それに村で採れた野菜も本当においしいよ。すごいな、今朝の採れたてだからなのか、こっちで採れる野菜だからなのかわからないけれど、俺の故郷で食べる野菜よりもおいしい」
どうやら中華スープの素で味付けした野菜炒めはジーナとフー太に好評のようだ。
ハーキム村でもらった野菜はキャベツやタマネギやニンジンなど、元の世界でよく見た野菜ばかりで、見た目もほとんど同じだ。
だけど、元の世界のものよりもみずみずしく味が濃くておいしい気がする。
キャンピングカーのアイテムボックス機能があれば、採れたばかりの食材をそのまま保存できるから本当に助かるな。
それに加えて、元の世界の調味料や香辛料が補給できて自由に使えるのはとてもありがたい。昨日と一昨日の夜には、オドリオの街で売ったアウトドアスパイス二つが補給されていた。
いきなりわけのわからないこの異世界へ飛ばされてきたが、チートなキャンピングカーが一緒だったのは本当に助かった。
「……よし、もうすぐ日が暮れるだろうし、今日はこの辺りまでにしようか」
午後もキャンピングカーで走り続け、少しだけ道を外れて川辺へとやってきた。カーナビによって、付近の川の場所がわかるのはとても便利だ。この川辺には大きな木なんかもあるので、日が暮れればこのキャンピングカーもそれほど目立たないだろう。
今日は結構な距離を進んできたので、レベルアップまで残り三百五十キロメートルとなった。ようやく半分を切ってくれたな。
今日のところは、道を走っていてもあんまり人には会わなかった。数組の商人と思われる人達としかすれ違っていない。
ちなみに、すれ違った人達はとても驚いた様子で、臨戦態勢を取られたりすることもあった。
けれど、ジーナとフー太が早めに気付いてくれたおかげで、少しだけ道を逸れて避けることができたので、いきなり攻撃を仕掛けてくる人はいなかったから助かった。
この世界には魔道具というものがあるらしいし、このキャンピングカーもその一つだと思ってくれればいいんだけどな。
まあ、すれ違った人達とまた会う可能性はほとんどないだろう。
「やはりこのキャンピングカーは本当にすばらしいですね。あれだけの速度でずっと走り続けることができるなんて!」
「ホー!」
「一日に走れる距離の制限はあるんだけどね。それに森や川なんかは迂回しないと駄目なんだ。それでも十分にすごいと思うけれどね」
今日は大きなトラブルもなく結構な距離を走ったので、燃料を六割近く消費している。
「それじゃあ晩ご飯にしようか。少し待っていてくれ」
「シゲト、何か私にも手伝えることはないですか?」
「今日は肉と野菜を切るだけですぐに終わっちゃうんだよな。それじゃあ外にテーブルとイスを準備してもらってもいい?」
「はい、もちろんです!」
今日の晩ご飯の準備はすぐにできるので、ジーナには先に外でテーブルとイスの準備をしてもらう。
これまでは魔物などがいる外で食事をするのは少し怖かったが、ジーナが護衛として活躍してくれるので、多少は安心して外で食事をすることができる。
もちろん万が一に備えて、すぐにキャンピングカーの中に逃げ込んで走り出せるよう、キャンピングカーのすぐ近くにテーブルとイスを設置してもらった。
「さあ、晩ご飯はバーベキューだよ!」
「ばーべきゅーですか?」
「ホー?」
目の前にはバーベキューコンロがあり、すでに炭に火が付いている。数人用のバーベキューコンロは結構な大きさなのだが、キャンピングカーなら余裕で収納することができる。
俺も稀にだが複数人でバーベキューをすることがあるから、キャンピングカーに積んでおいたのだ。
「……切り分けられた肉と野菜があるので、ここで直接焼いて食べるということですか?」
「正解だよ。バーベキューは、一口大に切った食材をその場で焼いて味を付けて食べるんだ。自分の好きな食材を好きな焼き加減で食べることができるんだよ」
肉と野菜を切るだけのバーベキューだからと、手を抜いたというわけではないぞ。実はバーベキューを一緒に食べることによって、結構いろいろなことがわかったりするのだ。
この人はどれくらいの量を食べるのか、濃いめの味と薄めの味のどちらが好みか、嫌いな野菜や肉の種類はないかなどなど、一緒に食べる者の様々な情報を得ることができる。
しばらくはジーナとフー太と一緒に旅をすることになったし、二人の好みなどを把握しておこうというわけだ。
「こんな感じで、自分で肉や野菜を焼いて、こっちの小皿に入れた調味料を付けて食べるんだよ」
試しに俺がディアクの肉と野菜をバーベキューコンロの上に乗せて焼いていく。
調味料はキャンピングカーに元々積んであったレモン汁、アウトドアスパイス、塩とコショウ、そして、エミリオさんにも少し渡した焼き肉のタレがある。
やはりバーベキューと言えば、焼き肉のタレだよな。
焼きあがったディアクの肉に焼き肉のタレを付けて口へと放る。甘辛い焼き肉のタレとディアクの肉の脂が絡み合って非常に旨い!
「うん、やっぱりこのディアクの肉は旨い。野菜は少しだけ塩を掛けて食べるのがいいかもしれないな」
ディアクの肉は分厚く切ってステーキにしてもいいが、一口サイズに切ってバーベキューで食べてもいけるな。
野菜の方はタレに付けて食べるよりも、軽く塩を掛けるだけで野菜本来の味がよくわかって好きだ。これは元の世界の野菜よりもこちらの野菜の方がおいしいから、俺の好みに合うのかもしれない。
ジーナとフー太の方を見ると、とても羨ましそうに俺が味見をするのを眺めていた。
「ディアクの肉や野菜は山ほどあるからな。さあ、お腹いっぱい食べてくれ」
「……っ!? シゲト、この焼き肉のタレというものは、今まで味わったことがない味で本当においしいですよ! 辛さや甘さ、それに酸味もあって、それがディアクの肉ととてもよく合っています! それにこっちのアウトドアスパイスを掛けてもやっぱりおいしいですね!」
ジーナが焼いたディアクの肉を食べながら満面の笑みを浮かべている。
少し大袈裟かもしれないけれど、今まで味付けが塩だけだった人が、焼き肉のタレやアウトドアスパイスの味付けで肉を食べるとこうなるのは当然なのかもしれない。
「ホー♪ ホーホー♪」
「おお、フー太も旨いか。やっぱり焼いて味を付けた肉の方が好きなのか?」
「ホー!」
「そ、そうか。まあ、フー太が好きなら、それでいいか……」
力強く頷くフー太。
いちおう焼く前の生の肉を食べてもいいと言ったのだが、器用にその可愛らしいくちばしを使って肉や野菜を焼き、小皿に入れた調味料を付けて食べていく。
この世界のフクロウはグルメなんだな……
「しかし、このディアクの肉は本当に旨いな。確かにこれは多少危険だとしても、狩って食べたくなる味だ」
「ええ、狩りの難易度が高く、めったに食べられないご馳走ですからね」
ジーナが誇らしげに言うが、今のところ肉はこの肉しか食べたことがないからな。ロッテルガの街へ行ったら別の肉も購入してみるか。
二人は初めてのバーベキューの味に夢中になっているようだし、俺はいつも以上に警戒するとしよう。キャンピングカーを背面にテーブルやイスを組み立てているので、前方だけ気を付けておけばいい。
「す、すみません! あまりにおいしくて、こんなに食べてしまいました!」
「ああ、気にせず好きなだけ食べてくれ。ディアクはジーナが狩ってくれたんだし、まだまだ肉はあるからな。それに食べられる魔物が出たら、ジーナがまた狩ってくれるだろ?」
「はい、任せてください!」
ディアクの肉は半分を村の人に渡したが、残り半分とはいえ三人で食べるにしてはまだまだたくさんある。それに、つい忘れそうになってしまうが、ジーナは狩人だ。肉が少なくなってきたら、何かを狩ってきてもらうとしよう。
……その際は道に迷ったりしないよう、俺とフー太も同行した方がいいかもしれないけれどな。
その後もジーナとフー太と一緒にバーベキューを楽しんだ。
ジーナは女性の割にかなり食べる方で、俺よりも食べていた。フー太も体の大きさの割にはよく食べていて、俺の半分くらいは食べていたな。俺も他の人よりは食べる方だし、どうやらこのパーティは食いしん坊がそろっているようだ。
それにしても、異世界でエルフのジーナと森フクロウのフー太と一緒にバーベキューをするとは、先週までの俺では考えられないことだった。
もちろんソロでキャンプをするのも好きなのだが、こうして誰かと一緒に食事を楽しむのも良いものだ。
「それではジーナ、しっかりとシゲト殿とフー太様をお守りするのだぞ」
「はい、村長! それでは行ってまいります」
そして次の日の朝、村長さんや村のみんなが村の入口まで見送りに来てくれている。
昨日の夜は村のみんなが盛大に宴会を開いてくれた。ジーナは村の人達一人ずつと抱き合い、別れを惜しんでいた。
こうやって温かな光景を見ると、村長さんの、この村はみんなが家族という言葉の意味が、しっかりと伝わってくる。
「……そうだ、シゲト。ちょっとこっちに来てくれ」
「うん? どうした」
なぜかエイベンとベルクの二人に呼ばれ、俺はジーナと村長さんから少し離れた。
「……ジーナのやつは男にまったく免疫がないからな。いろいろと教えてやってくれ」
「んなっ!?」
「ホー?」
いきなりエイベンがとんでもないことを言い出した。
「うちの村にはジーナと同じ年頃の男が少なかったからな。それにジーナは小さい頃からうちの村で育ってきた大切な家族だから、恋人ができるような機会もなかったんだ」
ベルクも小さな声でそんなことを言う。確かにエイベンやベルクも含めて、この村にはジーナと同じ年頃の男の人は少なかった。
「ジーナのやつはエルフであの外見だからな。もう少し成長したらもっと綺麗になるだろう。どこぞのやつとくっつくくらいなら、シゲトとくっついてくれた方がいいだろ」
「ああ。そうなったら、シゲトも俺達の家族だ。おっと、とはいえ力尽くってのは駄目だからな!」
「まだ昨日の宴会気分のままなのか? そんなことしたら間違いなく俺の方が返り討ちにあうだろうな……」
「はは、それもそうか」
「それじゃあシゲト、ジーナをよろしく頼むぞ!」
「フー太様もどうかお元気で!」
「……教えるとかはともかく、了解だ。エイベンもベルクも元気でな。また一月後には村に戻ってくるからよろしく頼む」
「ホー!」
エイベンとベルクと軽いハグをする。まったく、二人とも何を言っているんだか。
この二人とは特に仲良くなった。今度この村に来た時にはぜひとも酒を酌み交わしたいところだ。
「シゲトお兄ちゃん!」
「エリナちゃん、まだ治ったばかりなんだから、歩き回っちゃ駄目だよ」
「ホー!」
エリナちゃんとエリナちゃんの両親が村の入口まで見送りに来てくれている。
もう赤い発疹はすべて消え、無事に歩き回れるくらいに回復したみたいだ。
「シゲトさん、この度は本当にありがとうございました」
「娘の命が助かったのはシゲトさんのおかげです。このご恩は一生忘れません!」
「エリナちゃんが治ってよかったです。たまたま特効薬の材料を持っていただけなので、そこまで気にしないでください」
エリナちゃんの両親からは昨日何度も頭を下げられ、お礼を言われた。
「ジーナもエリナを助けてくれて、本当にありがとうな」
「気を付けて行ってくるんだよ」
「ええ、みんなも体には気を付けてください」
村のみんなには、ジーナが自分の意思で俺とフー太を護衛するのだと村長さんが説明してくれている。でないと、俺がエリナちゃんを助けた対価としてジーナを護衛に連れていくと思われてしまうからな。
その辺りについてはみんな俺のことを信じてくれた。ひとえに、エリナちゃんを全力で助けようとしたことと、この村に来てからの俺の言動の賜物だな。
「シゲトお兄ちゃん、ジーナお姉ちゃん、フー太様。また村に来てね、約束だよ!」
「うん、エリナちゃん。一月後にはまた村に来るからね」
「エリナ、何かお土産を持ってくるから良い子にしているんですよ」
「ホー♪」
うん、やっぱりエリナちゃんは笑顔が一番だ。
この子を助けることができて本当によかったよ。
この村に来てから短い時間だったけれど、本当に楽しく過ごすことができた。
一月後にまた必ず来るとしよう。
村のみんなに見送られながら、俺達はハーキム村を出発した。
「……よし、この辺りでいいか」
村から少し離れたところで、キャンピングカーを出す。このキャンピングカーのことについては村長さんとジーナ以外には秘密にしている。
キャンピングカーに乗り込み、オドリオの街へ行った時と同様に、俺は運転席、ジーナは助手席、フー太はジーナの上に座った。
「それじゃあジーナ、しばらくの間よろしくな」
「ホホー、ホー♪」
「はい! こちらこそよろしくお願いします、シゲト、フー太様!」
キャンピングカーでの旅に、一月だけではあるがジーナが加わった。さあ、これからこの異世界を本格的に旅するとしよう!
「それじゃあ次に目指すのはロッテルガの街だ。今日中には着かないから、今日はどこかで泊まって休むとしよう」
「はい!」
「ホー!」
ロッテルガの街はキャンピングカーでもここから二日くらいかかる、オドリオの街よりも大きな街だ。
ハーキム村から一番近いのはドルダ病の特効薬を買いに行ったオドリオの街だが、エミリオさんと取り引きをしたばかりだし、森フクロウのフー太を連れて歩いてしまったからな。
下手をしたら俺達を待ち構えているやつらがいる可能性もゼロではない。
そこで、ここから距離がある別の街へ行ってみることにしたわけだ。
次にどこを目指すかを考えた際、やはりせっかくなら異世界の街に行ってみたいということで、村長さんからこの辺りで大きな街であるロッテルガの街の場所を聞いた。
目的にも合っているし、フー太もジーナも快く了承してくれた。
このキャンピングカーのカーナビ機能は、一度行ったことがある街や村でないと検索機能は使用できないが、手動でカーナビのマップを操作して、目的地をセットすることはできる。
村長さんから聞いた道をマップで追って、ロッテルガの街らしき場所を目的地に設定した。
「……よし、ポイントも1ポイント増えて、残りは3ポイントになっているな」
やはり二日前と同様に1ポイントが増えていた。どうやら二日に1ポイント増えるのは確定と見て間違いないだろう。
「そのポイントというのは、このキャンピングカーというものを強化するのに必要なものなのですよね?」
これから一月はジーナと一緒に行動するわけだし、このキャンピングカーのポイントのことについては説明をしておいた。
「ああ、そうだぞ。次はいよいよ自動修復機能を取るか」
このキャンピングカーには、ゴブリンに殴られた傷と、ディアクの突進を防御した時に凹んだ傷が残っている。何かあった時のために、機能を拡張するポイントを残しておきたいという気持ちはあるけれど、さすがにそろそろキャンピングカーの自動修復機能を取ることにした。
それに、この異世界の舗装されていない悪路を長い距離走ることになるんだ。見えないところでガタがきている可能性だってあるから、これだけは早めに取っておかないといけない。何せこのキャンピングカーは俺の生命線で、もしこれが壊れたら完全に詰んでしまうからな。
補給機能は夜のうちに発揮されていたので、この自動修復機能も夜のうちに行われるに違いない。今日の夜までに何事もなければ、この機能を取ることにしよう。
「それじゃあ、ロッテルガの街へ向けて出発だ!」
「はい!」
「ホー♪」
アクセルを踏んでキャンピングカーを出発させる。ジーナもオドリオの街まで往復したことにより、多少はキャンピングカーに慣れてきたようだ。
それにしても、この旅へ出掛ける時のワクワク感は本当にたまらないよな!
なんたって元の世界ではなく異世界だ。余計にワクワクする。
オドリオの街へ向かった時は、エリナちゃんを助けるために必死だったから、景色なんかを楽しむ余裕はまったくなかったが、これからは楽しみながら異世界を回ることができる。
やはりエリナちゃんを助けることができて本当によかった。もしも彼女を見捨てていたら、こんな気持ちにはなれなかっただろうからな。
「よし、この辺りで昼食にしようか」
「はい」
「ホー♪」
ロッテルガの街を目指し、ハーキム村を出発してから三時間ほど経った。途中までは先日通ったオドリオの街へ向かう道を進み、途中から別の新しい道を進んでいる。
やはりレベルアップまでの距離は、今まで通ったことのない道をキャンピングカーで走ると減っていくようだ。ハーキム村に戻る時もできるだけ別の道を走るとしよう。
今日の道のりはとても順調で、一昨日のようなブラックブルの群れなどには遭遇せずにすんだ。そろそろお昼を回るので、一度落ち着いた場所に停めて昼食にしようと思う。
「さて、この辺りにするか、辺りには何もないからな。ジーナ、俺が昼食を作っている間、外で見張りをしてもらってもいいか?」
「ええ、もちろんですよ! お任せください」
この辺りは広い草原となっているので、遠目からでもこのキャンピングカーは少し目立つ。停まって車内で料理をしている間に魔物の群れに囲まれたりするとまずいから、ジーナに見張りをしてもらうことにした。
「それじゃあテーブルとイスを準備するから、ちょっと手伝ってくれ」
「はい」
「ホー」
ジーナと一緒にキャンピングカーの外にテーブルとイスを準備する。
「それにしてもこのテーブルとイスは本当にすごいですね。こんなに小さく折りたためる上に、こっちのイスはとても座り心地がいいです」
「俺の故郷の折りたたみ式のテーブルとイスなんだけれど、なかなか便利なんだよ」
確かにこちらの世界の木でできたイスなんかと比べれば、最近のキャンプギアはとても座り心地がよく、折りたためて持ち運びもしやすいように作られている。この世界では明らかにオーバーテクノロジーだし、他の人に見せる時には十分気を付けないといけないな。
だけど、その分最新のキャンプギアは値段がお高いんだよね……
しかも新しいモデルが毎年のように販売されるので、マジでキャンプギアは沼なのである……
さて、今あるのはいろいろな種類の野菜と卵にディアクの肉、そしてパンか。お昼は手っ取り早く作れるものにしておこうかな。
「お待たせ。お昼は肉野菜炒めとパンだよ」
「とてもよい香りですね!」
「ホーホー♪」
三つの皿をテーブルの上に置き、パンの載った大きなお皿をテーブルの中央に置く。
「……っ!? シゲト、なんですかこれは! お肉と野菜を炒めただけなのに、とってもおいしいです!」
早速口に運んだジーナが、毎度のごとく驚きの声を上げる。
「ホー! ホーホー♪」
「シンプルに肉と野菜を炒めただけだよ。ただ、味付けには中華スープの素という調味料を使ったけどね」
この肉野菜炒めの作り方は本当に簡単だ。切った肉と野菜を炒めて、塩コショウを少々、そして中華スープの素を加えただけである。
これは中華料理などでよく使われる万能調味料で、肉や野菜のエキスをベースに、醤油や香味油などで味が調えられている。
スープだけでなく、炒めものやチャーハン、ラーメンなどに加えると、お手軽に本格的な中華料理の味付けができるのだ。元の世界ではいろんな名前で販売されていたな。
「あのアウトドアスパイスという香辛料を掛けて食べるディアクのお肉もとてもおいしかったのですが、こちらの味もとてもおいしいです!」
「ホー♪」
「確かにこっちもディアクの肉に合うね。それに村で採れた野菜も本当においしいよ。すごいな、今朝の採れたてだからなのか、こっちで採れる野菜だからなのかわからないけれど、俺の故郷で食べる野菜よりもおいしい」
どうやら中華スープの素で味付けした野菜炒めはジーナとフー太に好評のようだ。
ハーキム村でもらった野菜はキャベツやタマネギやニンジンなど、元の世界でよく見た野菜ばかりで、見た目もほとんど同じだ。
だけど、元の世界のものよりもみずみずしく味が濃くておいしい気がする。
キャンピングカーのアイテムボックス機能があれば、採れたばかりの食材をそのまま保存できるから本当に助かるな。
それに加えて、元の世界の調味料や香辛料が補給できて自由に使えるのはとてもありがたい。昨日と一昨日の夜には、オドリオの街で売ったアウトドアスパイス二つが補給されていた。
いきなりわけのわからないこの異世界へ飛ばされてきたが、チートなキャンピングカーが一緒だったのは本当に助かった。
「……よし、もうすぐ日が暮れるだろうし、今日はこの辺りまでにしようか」
午後もキャンピングカーで走り続け、少しだけ道を外れて川辺へとやってきた。カーナビによって、付近の川の場所がわかるのはとても便利だ。この川辺には大きな木なんかもあるので、日が暮れればこのキャンピングカーもそれほど目立たないだろう。
今日は結構な距離を進んできたので、レベルアップまで残り三百五十キロメートルとなった。ようやく半分を切ってくれたな。
今日のところは、道を走っていてもあんまり人には会わなかった。数組の商人と思われる人達としかすれ違っていない。
ちなみに、すれ違った人達はとても驚いた様子で、臨戦態勢を取られたりすることもあった。
けれど、ジーナとフー太が早めに気付いてくれたおかげで、少しだけ道を逸れて避けることができたので、いきなり攻撃を仕掛けてくる人はいなかったから助かった。
この世界には魔道具というものがあるらしいし、このキャンピングカーもその一つだと思ってくれればいいんだけどな。
まあ、すれ違った人達とまた会う可能性はほとんどないだろう。
「やはりこのキャンピングカーは本当にすばらしいですね。あれだけの速度でずっと走り続けることができるなんて!」
「ホー!」
「一日に走れる距離の制限はあるんだけどね。それに森や川なんかは迂回しないと駄目なんだ。それでも十分にすごいと思うけれどね」
今日は大きなトラブルもなく結構な距離を走ったので、燃料を六割近く消費している。
「それじゃあ晩ご飯にしようか。少し待っていてくれ」
「シゲト、何か私にも手伝えることはないですか?」
「今日は肉と野菜を切るだけですぐに終わっちゃうんだよな。それじゃあ外にテーブルとイスを準備してもらってもいい?」
「はい、もちろんです!」
今日の晩ご飯の準備はすぐにできるので、ジーナには先に外でテーブルとイスの準備をしてもらう。
これまでは魔物などがいる外で食事をするのは少し怖かったが、ジーナが護衛として活躍してくれるので、多少は安心して外で食事をすることができる。
もちろん万が一に備えて、すぐにキャンピングカーの中に逃げ込んで走り出せるよう、キャンピングカーのすぐ近くにテーブルとイスを設置してもらった。
「さあ、晩ご飯はバーベキューだよ!」
「ばーべきゅーですか?」
「ホー?」
目の前にはバーベキューコンロがあり、すでに炭に火が付いている。数人用のバーベキューコンロは結構な大きさなのだが、キャンピングカーなら余裕で収納することができる。
俺も稀にだが複数人でバーベキューをすることがあるから、キャンピングカーに積んでおいたのだ。
「……切り分けられた肉と野菜があるので、ここで直接焼いて食べるということですか?」
「正解だよ。バーベキューは、一口大に切った食材をその場で焼いて味を付けて食べるんだ。自分の好きな食材を好きな焼き加減で食べることができるんだよ」
肉と野菜を切るだけのバーベキューだからと、手を抜いたというわけではないぞ。実はバーベキューを一緒に食べることによって、結構いろいろなことがわかったりするのだ。
この人はどれくらいの量を食べるのか、濃いめの味と薄めの味のどちらが好みか、嫌いな野菜や肉の種類はないかなどなど、一緒に食べる者の様々な情報を得ることができる。
しばらくはジーナとフー太と一緒に旅をすることになったし、二人の好みなどを把握しておこうというわけだ。
「こんな感じで、自分で肉や野菜を焼いて、こっちの小皿に入れた調味料を付けて食べるんだよ」
試しに俺がディアクの肉と野菜をバーベキューコンロの上に乗せて焼いていく。
調味料はキャンピングカーに元々積んであったレモン汁、アウトドアスパイス、塩とコショウ、そして、エミリオさんにも少し渡した焼き肉のタレがある。
やはりバーベキューと言えば、焼き肉のタレだよな。
焼きあがったディアクの肉に焼き肉のタレを付けて口へと放る。甘辛い焼き肉のタレとディアクの肉の脂が絡み合って非常に旨い!
「うん、やっぱりこのディアクの肉は旨い。野菜は少しだけ塩を掛けて食べるのがいいかもしれないな」
ディアクの肉は分厚く切ってステーキにしてもいいが、一口サイズに切ってバーベキューで食べてもいけるな。
野菜の方はタレに付けて食べるよりも、軽く塩を掛けるだけで野菜本来の味がよくわかって好きだ。これは元の世界の野菜よりもこちらの野菜の方がおいしいから、俺の好みに合うのかもしれない。
ジーナとフー太の方を見ると、とても羨ましそうに俺が味見をするのを眺めていた。
「ディアクの肉や野菜は山ほどあるからな。さあ、お腹いっぱい食べてくれ」
「……っ!? シゲト、この焼き肉のタレというものは、今まで味わったことがない味で本当においしいですよ! 辛さや甘さ、それに酸味もあって、それがディアクの肉ととてもよく合っています! それにこっちのアウトドアスパイスを掛けてもやっぱりおいしいですね!」
ジーナが焼いたディアクの肉を食べながら満面の笑みを浮かべている。
少し大袈裟かもしれないけれど、今まで味付けが塩だけだった人が、焼き肉のタレやアウトドアスパイスの味付けで肉を食べるとこうなるのは当然なのかもしれない。
「ホー♪ ホーホー♪」
「おお、フー太も旨いか。やっぱり焼いて味を付けた肉の方が好きなのか?」
「ホー!」
「そ、そうか。まあ、フー太が好きなら、それでいいか……」
力強く頷くフー太。
いちおう焼く前の生の肉を食べてもいいと言ったのだが、器用にその可愛らしいくちばしを使って肉や野菜を焼き、小皿に入れた調味料を付けて食べていく。
この世界のフクロウはグルメなんだな……
「しかし、このディアクの肉は本当に旨いな。確かにこれは多少危険だとしても、狩って食べたくなる味だ」
「ええ、狩りの難易度が高く、めったに食べられないご馳走ですからね」
ジーナが誇らしげに言うが、今のところ肉はこの肉しか食べたことがないからな。ロッテルガの街へ行ったら別の肉も購入してみるか。
二人は初めてのバーベキューの味に夢中になっているようだし、俺はいつも以上に警戒するとしよう。キャンピングカーを背面にテーブルやイスを組み立てているので、前方だけ気を付けておけばいい。
「す、すみません! あまりにおいしくて、こんなに食べてしまいました!」
「ああ、気にせず好きなだけ食べてくれ。ディアクはジーナが狩ってくれたんだし、まだまだ肉はあるからな。それに食べられる魔物が出たら、ジーナがまた狩ってくれるだろ?」
「はい、任せてください!」
ディアクの肉は半分を村の人に渡したが、残り半分とはいえ三人で食べるにしてはまだまだたくさんある。それに、つい忘れそうになってしまうが、ジーナは狩人だ。肉が少なくなってきたら、何かを狩ってきてもらうとしよう。
……その際は道に迷ったりしないよう、俺とフー太も同行した方がいいかもしれないけれどな。
その後もジーナとフー太と一緒にバーベキューを楽しんだ。
ジーナは女性の割にかなり食べる方で、俺よりも食べていた。フー太も体の大きさの割にはよく食べていて、俺の半分くらいは食べていたな。俺も他の人よりは食べる方だし、どうやらこのパーティは食いしん坊がそろっているようだ。
それにしても、異世界でエルフのジーナと森フクロウのフー太と一緒にバーベキューをするとは、先週までの俺では考えられないことだった。
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