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第17話 おっさん陰陽師、恩を返す
「お父さん、お母さん!」
「よかった、本当によかった!」
「ああ、神様、ありがとうございます!」
拠点にあった食料を童たちに与え、拘束した悪党どもを見張りながらしばらく待つと、街の方から40人ほどの武装した者たちがやってきた。そして童のひとりがその者たちのもとへ駆けていく。どうやら一部の親は彼らに同行してきたらしい。
我が街まで送った形代は無事にその役目を果たしたようだな。我だけでは童や賊を連れて街まで戻るのは大変だったからありがたい。
「サムル!」
「お父さん!」
そしてその中にはバルム殿の姿もあった。我が子を助けに自ら悪党どもの拠点へとやってきたのだろう。
「……あんたが宵闇の黒鴉団にさらわれた子供たちを助けてくれたのか?」
「おお、ダンケ殿か。うむ、探索の術には長けていたものでな。悪党どもは拘束してあるゆえ、早めに連行を頼む」
我へ話しかけてきたのは冒険者ギルドで我の試験を行ってくれたダンケ殿であった。騎士だけでなく冒険者も宵闇の黒鴉団の討伐に協力しているらしい。
セイはすでに還したがしばらくの間森羅樹縛の根は残っているので、今のうちに改めて拘束しておかねばならない。
「おい、そいつらの拘束を頼む。あの首領の男はそこそこの賞金首となっていたんだがな……。なるほど、あんたがダンケの言っていたヤコウ殿か」
ダンケ殿の隣にはこれまた筋肉質の男が並んで立っていた。
……この者はかなりできるな。強者独特の風格が漂っている。おそらくあの首領よりも上であろう。
「ミニカムの街の冒険者ギルドマスターをしているガドンだ。子供たちを助けてくれて感謝する」
そう言いながらガドン殿は我に向かって頭を下げた。ますたあとやらはよくわからぬが、おそらくダンケ殿の上司であろう。
「構わぬ。ちょうど我の恩人の子もこやつらにさらわれていたからな。これでその恩も返せたところだ」
そろそろミニカムの街を出ようと思っていたところだが、バルム殿にはまだ恩を受けたままであった。恩を受けたまま街を出るのも心苦しかったところだが、今回の件でその恩も返せたであろう。
『おいらたちなら余裕だったよ!』
「おおっ、本当に喋る魔物を連れているのか。なるほど、いきなり地図の描かれた紙が飛んできた時はなにかと思ったが、随分と変わった魔法を使うのだな」
「これは陰陽術というのだ」
スーを見て驚くガドン殿。式神を見た者はだいたい同じ反応をするな。
「おじさんは大きなドラゴンを召喚していたよ!」
「うん、とっても強かったんだ!」
我の服を引っ張り、童たちが目をキラキラさせながら話す。最初は怯えていた童たちだが、賊どもを捕らえ、水と食料を与えるとすぐに我に寄ってきた。特にスーは小柄で喋ることもあって、童に囲まれていたな。童の相手などあまりしたことがなかったので、スーとレイラがいてくれて助かったぞ。
「なに! まさかドラゴンを召喚できるのか!?」
「……いや、ドラゴンではなく龍なのだが」
レイラから話を聞いたところ、この世ではドラゴンというのはすさまじい力を持った魔物らしい。それを単独で倒した者は畏敬の念を込めてドラゴンスレイヤーという称号が送られるほどのようだ。
とはいえ、青龍とは少し姿が異なるらしい。そもそも現世とこの世自体が異なるわけだしな。
「ヤコウ、息子を助けてくれて本当にありがとう!」
「ヤコウおじちゃん、ありがとう!」
ギルドマスターとやらと話をしていると、バルム殿が息子を連れてこちらへやってきた。獣の耳や尻尾など、2人並んでみると本当にそっくりである。
「バルム殿には以前助けてもらったからな。童たちが無事でよかったぞ」
「いや、あんなのはたいしたことじゃない。改めて礼をさせてくれ!」
「本当に気にせずとも大丈夫だ。見知らぬ土地にやってきたばかりだったゆえ、貴殿の優しさには我も心救われたものだ。それにここを探して皆を呼べたのは我だけでなくレイラの協力もあった。レイラは以前からバルム殿にはいろいろと世話になっていたから、恩を返したかったようだぞ」
「そうだったのか……。レイラ、本当に助かった!」
「ううん! バルムおじちゃん、私の方こそいつもありがとう!」
土地勘のない我にとっては周囲を捜索し、この森のことを街にいる者へどう伝えればよいのかわからぬところであったから、レイラが共にいてくれて助かった。
我もレイラもバルム殿には助けられてきたからな。その善行が巡ってバルム殿に返ってきただけであろう。
そのあとは賊どもを連行してミニカムの街へと戻り、我らは冒険者ギルドのギルドマスターの部屋へと通された。何やら今回の件で話があるらしい。
「よかった、本当によかった!」
「ああ、神様、ありがとうございます!」
拠点にあった食料を童たちに与え、拘束した悪党どもを見張りながらしばらく待つと、街の方から40人ほどの武装した者たちがやってきた。そして童のひとりがその者たちのもとへ駆けていく。どうやら一部の親は彼らに同行してきたらしい。
我が街まで送った形代は無事にその役目を果たしたようだな。我だけでは童や賊を連れて街まで戻るのは大変だったからありがたい。
「サムル!」
「お父さん!」
そしてその中にはバルム殿の姿もあった。我が子を助けに自ら悪党どもの拠点へとやってきたのだろう。
「……あんたが宵闇の黒鴉団にさらわれた子供たちを助けてくれたのか?」
「おお、ダンケ殿か。うむ、探索の術には長けていたものでな。悪党どもは拘束してあるゆえ、早めに連行を頼む」
我へ話しかけてきたのは冒険者ギルドで我の試験を行ってくれたダンケ殿であった。騎士だけでなく冒険者も宵闇の黒鴉団の討伐に協力しているらしい。
セイはすでに還したがしばらくの間森羅樹縛の根は残っているので、今のうちに改めて拘束しておかねばならない。
「おい、そいつらの拘束を頼む。あの首領の男はそこそこの賞金首となっていたんだがな……。なるほど、あんたがダンケの言っていたヤコウ殿か」
ダンケ殿の隣にはこれまた筋肉質の男が並んで立っていた。
……この者はかなりできるな。強者独特の風格が漂っている。おそらくあの首領よりも上であろう。
「ミニカムの街の冒険者ギルドマスターをしているガドンだ。子供たちを助けてくれて感謝する」
そう言いながらガドン殿は我に向かって頭を下げた。ますたあとやらはよくわからぬが、おそらくダンケ殿の上司であろう。
「構わぬ。ちょうど我の恩人の子もこやつらにさらわれていたからな。これでその恩も返せたところだ」
そろそろミニカムの街を出ようと思っていたところだが、バルム殿にはまだ恩を受けたままであった。恩を受けたまま街を出るのも心苦しかったところだが、今回の件でその恩も返せたであろう。
『おいらたちなら余裕だったよ!』
「おおっ、本当に喋る魔物を連れているのか。なるほど、いきなり地図の描かれた紙が飛んできた時はなにかと思ったが、随分と変わった魔法を使うのだな」
「これは陰陽術というのだ」
スーを見て驚くガドン殿。式神を見た者はだいたい同じ反応をするな。
「おじさんは大きなドラゴンを召喚していたよ!」
「うん、とっても強かったんだ!」
我の服を引っ張り、童たちが目をキラキラさせながら話す。最初は怯えていた童たちだが、賊どもを捕らえ、水と食料を与えるとすぐに我に寄ってきた。特にスーは小柄で喋ることもあって、童に囲まれていたな。童の相手などあまりしたことがなかったので、スーとレイラがいてくれて助かったぞ。
「なに! まさかドラゴンを召喚できるのか!?」
「……いや、ドラゴンではなく龍なのだが」
レイラから話を聞いたところ、この世ではドラゴンというのはすさまじい力を持った魔物らしい。それを単独で倒した者は畏敬の念を込めてドラゴンスレイヤーという称号が送られるほどのようだ。
とはいえ、青龍とは少し姿が異なるらしい。そもそも現世とこの世自体が異なるわけだしな。
「ヤコウ、息子を助けてくれて本当にありがとう!」
「ヤコウおじちゃん、ありがとう!」
ギルドマスターとやらと話をしていると、バルム殿が息子を連れてこちらへやってきた。獣の耳や尻尾など、2人並んでみると本当にそっくりである。
「バルム殿には以前助けてもらったからな。童たちが無事でよかったぞ」
「いや、あんなのはたいしたことじゃない。改めて礼をさせてくれ!」
「本当に気にせずとも大丈夫だ。見知らぬ土地にやってきたばかりだったゆえ、貴殿の優しさには我も心救われたものだ。それにここを探して皆を呼べたのは我だけでなくレイラの協力もあった。レイラは以前からバルム殿にはいろいろと世話になっていたから、恩を返したかったようだぞ」
「そうだったのか……。レイラ、本当に助かった!」
「ううん! バルムおじちゃん、私の方こそいつもありがとう!」
土地勘のない我にとっては周囲を捜索し、この森のことを街にいる者へどう伝えればよいのかわからぬところであったから、レイラが共にいてくれて助かった。
我もレイラもバルム殿には助けられてきたからな。その善行が巡ってバルム殿に返ってきただけであろう。
そのあとは賊どもを連行してミニカムの街へと戻り、我らは冒険者ギルドのギルドマスターの部屋へと通された。何やら今回の件で話があるらしい。
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