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第60話 沖縄県④ 波照間島、宮古島

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 今日は日本最南端の波照間島で宿をとっている。とはいえこの島には今までに泊まってきたような10階建ての高級ホテルなんてあるわけはないので、リゾートペンションのような宿に泊まることとなった。

 とはいえ南の島にはこっちのほうが合っているかもしれない。目の前には海が広がっているし、明かりも少ない島だから、星空がとても綺麗に見えた。天気も良かったので、例の南十字星もばっちりだった。

「それでは明日の予定はこんなところで」

「いよいよ喜屋武さんの実家かあ。実家に帰るのは久しぶりになるの?」

「そうですね、数年ぶりといったところです。やはり沖縄なので、気軽に帰ることができないですからね」

「なるほど」

 喜屋武さんとの打ち合わせを終える。明日は西表島などの離島を回ってから喜屋武さんの実家である宮古島を訪れる予定だ。

 今はミルネさんの転移魔法というチートがあるが、実際に離島を訪れるのは大変なのだ。今日行った与那国島や波照間島などはフェリーで数時間かかるうえに沖縄の海は波が激しいので、なかなか辛い道のりだ。

 フェリー自体の便も少なく、フェリーにはいつ吐いてもいいように洗面器が常備されていることからゲロ船なんて呼ばれている。高速フェリーの方は速いが揺れがとても大きい。前高速フェリーに乗った時は子供たちが泣き叫び、嘔吐した人も多く、まさに地獄絵図だったな……

 それにフェリーや飛行機の値段はなかなか高い。離島暮らしは羨ましいが、規制するのも大変そうだよな。

「それじゃあいつものやつだ。今日のはちょっと度数が高いやつだから気を付け……って言うまでもないことか。それに小さなボトルしか買っていないから大丈夫だし」

「泡波ですか。やはり沖縄のお酒と言えば泡盛ですよね」

 沖縄と言えば泡盛が有名だ。そもそも泡盛とは蒸留酒の一種で、原料にタイ米を使用しており、黒麹菌を使用しているという大きな特徴がある。アルコール度数の低いものでは20度から、高いものでは50度近くになる。基本的には30~40度くらいのものが多い。

 そしてこの泡波という泡盛はこの波照間島でしか販売していない幻の泡盛と呼ばれている。最近では小さなサイズのボトルが販売されている。多少割高だが、他の泡盛との飲み比べができるのでおすすめだぞ。

「それでは乾杯」

「乾杯」

 つまみには沖縄名物の島ラッキョウやミミガー、海ブドウを用意してある。やはりその土地のつまみを食べながら飲む酒は格別である。

 度数は高いが量は少ないので、喜屋武さんもさすがに酔ったりはしなかったが、地元の沖縄ということもあっていつもより饒舌だった気がした。




 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「おお~これは今までに見た海の中で一番きれいな海かもしれんのう!」

「宮古島の海はミヤコブルーと呼ばれており、日本一綺麗な海とも呼ばれておりますね」

「ダイビングやシュノーケリングでも有名らしいね」

 宮古島の海は沖縄の海の中でも格別美しいので、大勢の観光客がここを訪れる。

 今日は宮古島を訪れている。俺は前回の旅で宮古島には来たことがなかったので、今回は喜屋武さんの記憶をもとに転移魔法でここまでやってきた。

「ここはイムギャーマリンガーデンと呼ばれているビーチです。自然にできた入江の周りに橋やこの展望台などがある観光スポットですね」

 高台の上から宮古島の美しい海と入江が見下ろせる場所だ。確かにこれは一見する価値があるな。

「今は時期ではないので観光客はおりませんが、夏場の時期は人の姿しか見られないくらいに大勢が押しかけますよ」

「夏の宮古島とか尋常じゃないほど混んでいそうだよね……」

 どの観光地もピーク時は観光客がすごいが、沖縄の観光地は他の観光地とは段違いなんだろうな。



「ここが私の実家です」

 続いてやってきたのは喜屋武さんの実家である。今日は喜屋武さんの実家に泊めてもらうことになっている。いつも通りホテルに泊まっても良かったのだが、ミルネさんが喜屋武さんの家に泊まってみたいという要望があった。正直なところ、俺も沖縄の一般の家がどうなっているのかは興味があった。

 喜屋武さんの実家は沖縄でよく見かける昔ながらの家だった。沖縄はとても暑いため風通しの良さが特徴となっている。また台風も多いため、それを防ぐための石垣などがどの家にもある。そして屋根の上には沖縄定番のシーサーの置物があった。

「あれ、勝手に入っちゃっていいの?」

「ええ。両親は近くの宿に泊まってもらっています」

「なんじゃ、別に気を遣わんでも良かったのに」

「すみません、いろいろと機密保持のこともありましたから」

 まあミルネさんや異世界のことを両親に説明するのは難しいもんな。

「地元の人と話すのは楽しいからちょっと残念だな」

 実際に旅をしながらその土地に住む人たちと話をするのはとても楽しい。今回はミルネさんがいるのでそれは難しいが、喜屋武さんの両親なら話を聞けるかと楽しみにしていたのに……

「……おそらく方言でまともに会話ができないと思いますよ」

「あっ、確かに……」

 地方によって方言はあるものだが、特に東北とここ沖縄の方言はとにかくヤバい。若い人なら全然会話になるのだが、高齢な方と話すと、はっきり言って会話がまったく成立しない。

 同じ日本語とは思えないほど方言やなまりが分からないのだ。俺も東北で地元の人に声を掛けてくれたのは嬉しかったが、会話の半分以上が理解できずに相槌を打っていただけだったのを思い出す。
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