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第72話 岐阜県① 白川郷、高山ラーメン
しおりを挟む「ここがあの有名な白川郷ですか。確か世界遺産に登録されているのですよね?」
「そうだね。白川郷、五箇山の合掌造り集落として世界遺産に登録されているよ」
本日やってきたのは岐阜県の飛騨にある白川郷だ。
「この建物の何がそんなにすごいのじゃ? ビルのような建物のほうがよっぽどすごいと思うのじゃ」
「この辺りの建物は合掌造りと呼ばれる造りの建物で、現代ではこういう昔の集落なんかはほとんどなくなってしまったからね」
確かに異世界からやって来たミルネさんからしたら、コンクリートや高い建物もの方が珍しいと思うのかもしれないが、現代の日本ではこういった伝統的な造りをした建造物はほどんどなくなってきているのが現状だ。
この合掌造りとは木材を梁の上に手の平を合わせた合掌のように山型に組み合わせて建築された家屋だ。勾配の急な茅葺きの屋根が特徴的な家屋となる。積雪が多く、雪が重い白川の自然に合わせて雪が積もらないような構造となっている。
また、建物は南北に面して建てられているものが多く、この地方の風向きを考えて建てられており、風の抵抗を最小限にするとともに屋根にあたる日照量を調節して、夏は涼しくて冬は保温されるような造りとなっているのも特徴的だ。
もうひとつ特徴があり、合掌造りの家には屋根裏があり、蚕産業が盛んな時期には風と光を取り込むことで蚕の飼育に優れた環境となっていたらしい。
「白い雪が積もってとても綺麗な光景ですね」
「うむ、妾の国も寒い時期には雪が降るのじゃ!」
この白川郷は標高が高く、周囲を高い山々に囲まれているため、積雪量はかなり多いらしい。そして真っ白な雪が合掌造りの家に積もってとても幻想的な光景を醸し出している。
俺が前回旅で来た時は雪が積もっていない時期だったので、この景色を見るのは初めてだ。雪があるのとないのではだいぶ違うな。雪がないときは雪がない時で緑に囲まれていて、とても綺麗な景色だった。
できればどちらの季節にも来られるのが理想だが、この白川郷の交通の便はあまりよくないから、なかなか白川郷へ行くのも大変なのだ。自転車でここに来た時は本当に大変だったなあ……
今回はミルネさんの転移魔法によって一瞬で来られたからよかった。だが、車やバイクや自転車などで来ると、白川郷以外の合掌造りの集落を見ることもできるので、それはそれでいいんだよな。
「それじゃあまずは展望台へ登ってみようか」
「白川郷が一望できるとても素晴らしい景色ですね!」
「うむ。街の高いビルなどの景色も良いが、自然の多いこの景色も良いものじゃな」
「時期にもよるけれど、夜はライトアップもされるみたいだからね」
坂道を登ってやってきたのは萩町城跡展望台だ。ここは白川郷の合掌造りの集落を上から一望できる展望台となっている。
ちなみにこの世界遺産である白川郷は某有名なアニメの聖地にもなっている。この展望台に登る坂は嘘だ!の坂なんて呼ばれているらしいからな。白川八幡神社の絵馬にはそのアニメのいわゆる痛絵馬なんかがいっぱいある。
冬の間はライトアップされるのだが、俺が来た時期はライトアップはなかった。そしてこの集落に会うように電灯は最低限しかなく、オレンジ色をした古い電灯なので、夜に出歩くとめちゃくちゃ怖かったのを覚えている……
そのあとは実際に合掌造りの家の中を見学できる和田家住宅や郷土館などをミルネさんと喜屋武さんと一緒に見学していった。
「そういえばラーメンも久しぶりじゃな」
「確かにそうかもね。でも今まで来ていた都道府県にも俺達が食べていないだけで、ご当地ラーメンはいっぱいあるんだよ」
白川郷での観光を終えて、今日のお昼ご飯は岐阜県の高山市にある高山ラーメンである。飛騨・高山も白川郷と同様に周囲を山々に囲まれている場所だ。
高山ラーメンは和風だしの醤油スープに細めの縮れ麵が入っているのが特徴だ。店にもよるが、鶏ガラ、魚介、野菜、椎茸などをベースとしたあっさりとした醤油スープである。
ちなみに地元民の間やメニューには中華そばやそばという呼び名で慣れ親しまれているため、店によっては高山ラーメンとしてではなく、中華そばというメニューで書かれている場合も多い。
「うむ、シンプルではあるが、温かくてとてもおいしいのじゃ!」
「ええ。昔ながらの中華そばといった感じでとてもおいしいです。なんだか懐かしい味がしますね」
こってりしたラーメンもうまいが、シンプルな中華そばもおいしいよな。特に関東の方では昔ながらの中華そばの店も減ってきている気がする。それと今日は雪の積もる場所を歩いたということでなおおいしく感じるのかもしれない。冬のラーメンはなぜこんなにうまいのだろうか。
この高山ラーメンは有名なアニメ映画で出てきたことによって一気に有名になったらしい。俺も前に旅をしていた時には食べなかったしな。
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