『億り人』になって田舎に家を買ったら、異世界と現代日本を行き来できるようになった件。~お金と文明の利器を使ってのんびり生活~

タジリユウ

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第27話 朝食

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「ふあ~あ」

「キュ!」

 目が覚めると、そこにはようやく見慣れ始めた天井と横にはハリーの可愛らしい姿があった。

「おはよう、ハリー」

「キュウ」

「朝ご飯を作るからちょっと待っていてくれ。そうだ、リリスも食べるかな?」

 昨日は本当にいろいろとあったんだった。

 あの鏡を作ったというエルフの少女と出会い、お互いにいろいろと協力することになった。あの小屋に着いた時にもお腹を空かせていたし、食材とか持っていなそうだったもんな。

 一度様子を見にいってみるか。

「リリス、よかったら朝ご飯を――」

「っ!」

「うわっ、ごめん!」

「キュ!?」

 いつものように鏡を通り抜けると、いきなり胸元に衝撃が走った。どうやらリリスが鏡を至近距離で見ていたらしく、思いっきりぶつかる。

 身長差と体格差もあって、ラブコメのように唇同士がぶつかったり、胸に手を触れたりみたいなことはなく、軽いリリスが後ろに吹き飛んでしまった。

「大丈夫。私も不注意だった……」

「今度から鏡を通る時は気を付けるよ」

 転んだリリスに手を差し出して引き上げる。リリスの年齢はわからないけれど、身体は完全に少女の姿でとても軽かった。

 これからは鏡を通る時はゆっくり通るようにしよう。

「朝から鏡の検証? ……というか、昨日はちゃんと寝たの?」

「鏡のことが気になって、気付いたら朝になっていた」

「………………」

 どうやら徹夜だったらしい。

 確かに実験が成功して別の世界への扉が繋がったら気になる気持ちも分かるけれど、睡眠は大事だ。

「気持ちは分かるけれどほどほどにね。もしよかったら朝ご飯を一緒にどうかなと思って?」

「……可能ならお願いしたい。昨日ケンタが作ってくれたご飯はおいしかった」

「了解。朝は簡単なものにするつもりだから、そこまで期待はしないでね」

 さすがに朝からそこまで凝った料理を作る気はないのである。



「おまたせ。それじゃあ食べようか」

「キュウ♪」

 本日の朝食は洋食にしてみた。

「っ! 中が真っ白で柔らかいパン! それにこのジャムはとても甘い!」

「……こっちの世界だと、こういうパンが基本なんだよ」

 普通のパンにいちごのジャムを塗っただけなのに驚いているリリス。

 そう言えばベリスタ村でパンは出てこなかったけれど、こちらの世界では精製された真っ白な小麦だけを使ったパンは珍しいのかもしれない。それに嗜好品である砂糖は高価だって村長さんが言っていたな。

「キュキュ~!」

「うん、やっぱり野菜はおいしいよな。それにチーズオムレツも我ながらうまくできたよ」

 もらった野菜をベーコンと一緒にバターソテーにしてみたが、それだけで十分にうまい。野菜自体がうまいのだろう。

 オムレツの中にチーズを入れたチーズオムレツも初めて作った割にうまくできたな。

「このスープもとてもおいしい。やっぱりケンタは料理が上手」

「え~と、コーンクリームスープはインスタントのものなんだ。お湯を加えて混ぜれば誰でも簡単に作れるものなんだよ」

 リリスが不思議そうにしている。これはあとで実物を見せた方が早いか。

「ケンタは魔法を使えないと言っていたのに、なぜこのミルクは冷えているの?」

「冷蔵庫っていう物を冷やして保存できる道具があるんだよ。昨日教えた電気っていうものを使っているんだ。火を使わずにお湯を沸かす道具もあるよ」

「……この透明で綺麗なグラスといい、ケンタの世界には本当に驚かされる」

 牛乳の入った透明なガラスのグラスを見つめながらそんなことを呟くリリス。

 100均で購入したグラスだが、こちらの世界ではかなりの値打ち物らしい。改めて考えても、現代の加工技術はすごいな。

 こちらの世界の物を異世界で販売して、手に入れた金貨をこちらの世界で買い取ってもらうだけで大儲けできそうだ。まあ、お金は十分にあるし、いろいろと目を付けられそうだからやらないけれど。



「昨日の続き。ケンタの世界のことをいろいろ教えて」

「ああ、それはもちろん構わないし、俺もリリスの世界のことをいろいろと知りたいんだけれど、さすがにその前に少し休んだ方がいいと思うよ」

「キュ」

 朝ご飯を食べたあと、昨日の続きでお互いの世界のことについて話したいというリリスだが、ここに到着してから一睡もしていないようだし、まずはしっかりと寝て休んだ方がいい。ここまで来るために休まず移動してきたらしいからな。

 今は興奮してアドレナリンが出ているのかもしれないが、徹夜は身体にも良くない。

 ……俺もブラック企業で働いていた時は残業で夜遅くまで働き、そこから仮想通貨で取引をしたりとあまり睡眠を取れていなかったから、身体の方はボロボロだった。

「身体なら大丈夫だから気にしなくていい」

「焦らなくても時間はたくさんあるよ。それに俺も少し買い物に行きたいんだよね。そうだ、リリスが大人しく休んでいたら、俺の世界のいろいろな物を買ってきてあげるよ」

「わかった、すぐに寝る!」

 なんとも物わかりのいいリリスだった。

 リリスとは今後とも長い付き合いになりそうだし、いろいろと必要な物を購入してきてあげるとしよう。
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