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第89話 お昼休憩
しおりを挟む「ケンタ、こんくらいの速さなら大丈夫か?」
「あ、ああ。少し怖いけれど大丈夫だよ」
前回と同様に5~6メートルほど上昇して飛行しているのだが、スピードは前回よりもかなり速い。
前は俺とハリー2人分の重さをリリス一人で運んでいたからな。
「うん、ゴーグルとライディングジャケットも問題なさそうだ」
スピードは前回よりも速いということで、バイク用の装備を用意してきた。前に飛んでいた時は風が少し寒かったので、今回はもっと寒くなると踏んで装備を整えておいて正解だった。
ヴィオラとリリスはいつも通りの服装だが、風魔法で向かい風を軽減しているようだ。俺の分も風魔法を使うと魔力の消費とやらが激しいらしいので、俺は装備で対応することにした。ゴーグルのおかげで飛んでいる間も前を見ることができ、ライディングジャケットによって寒さも大丈夫だ。
「本当に綺麗な景色だよなあ」
「ケンタの世界は高い建物がいっぱいあったから、飛行魔法で飛び回るのも大変そうだな」
距離が近いこともあって、俺のすぐ横にいるヴィオラの声は小さいながらも聞き取ることができた。
「……そうだね、もしも俺の世界で飛行魔法が使えたら、多分空を飛ぶ際の規制が入っていたかもしれない」
もしも俺の世界に魔法があったら、車やバイクなんかは作られない代わりに空中へ道ができていたかもしれない。
……というか、正面からの風が強いこともあって、ヴィオラの胸がものすごく揺れているので目に毒だ。強風が正面からぶつかるとあんな風に揺れるんだな……
そんなことがありつつも2時間ほど飛行魔法によって進み、無事に昼食をとる予定の見晴らしのいい丘の上へと到着した。
「よし、ちょっくら休憩だ」
「日が暮れるまでにはサミアルの街に着きそう」
ここは見晴らしがいいので、魔物なんかが急に襲ってきてもすぐに気付けそうである。
リリスが収納魔法から取り出してくれたシートを草むらに敷きつつ、休憩をしながら今後の予定を話す。このまま順調に行けば、今日の目的地であるサミアルの街まで到着する予定らしい。前回レジメルの街へ行った時よりもだいぶ速度を上げて移動してきているため、今回の目的地であるロールルの街は明後日には到着予定だ。
「さて、お昼ご飯は何にしようかな」
「キュキュウ」
お昼ご飯は作っている暇がなさそうなので、俺の世界で購入してきた料理を食べる。こっちの世界だと日が暮れてしまうと本当に危険だから、それまでにはサミアルの街に到着しなければならない。
こっちの世界をいろいろとまわるということで、昨日はアウトドアショップやファーストフード店などで道具や食料などを買い込んできた。リリスとヴィオラの収納魔法は収納した時点で時が止まるので、持ち帰りで頼んだ料理は出来立てのまま食べられるのである。
「それじゃあこれにしようかな。多分日本だと一番多いファーストフード店の料理だぞ」
「ケンタの国で一番!」
「そいつは楽しみだぜ!」
「キュキュ!」
世界を含めるとどうなるのかは分からないが、少なくとも日本では一番多いファーストフード店のはずだ。
「これはハンバーガーだよ。こっちはフライドポテトでこっちがナゲットだ」
早い、安い、うまいと三拍子そろったファーストフード店。その中でもハンバーガーショップは最たる店だ。
学生から大人まで幅広くお世話になっている。当然俺も社畜時代はしょっちゅう利用していたぞ。
「っ! この甘いソースがお肉とパンとよく合っている」
「こっちのでけえやつもうまいぜ! 焼いた肉が2つも重ねてあんのか」
「キュウ、キュウ~♪」
いろんな種類のハンバーガーを買ってきたが、どれもみんなに好評のようだ。俺は定番だけどテリヤキバーガーが好きである。あのソースがたまらないんだよ。
お金はあることだし、もうちょっと高級なハンバーガーを買ってきてもよかったのだが、まずはこのハンバーガーを食べてもらわないとな。チェーン店特有のジャンクな味もたまに食べたくなるのである。
「こっちのナゲットって料理もおいしい。甘辛いソースと黄色くて辛いソース、どっちもよく合っている」
「このイモもいけるな。サクサクしているのに中は温かくてホクホクだぜ!」
ナゲットとポテトもうまいがこれらはチェーン店によってだいぶ味が変わる。個人的にはポテトは別の店のやつが好きである。
「ハリー、ポテトにはこっちのケチャップを付けて食べてもおいしいぞ」
「キュウ~」
座りながらポテトを食べているハリーは見ているだけで癒される。この動画をCMに使ったら売り上げが増えることは間違いないだろう。
まさか異世界でピクニックのようにシートを敷いて俺の世界のハンバーガーを食べるとは、人生何が起こるか分からないものだな。
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