『億り人』になって田舎に家を買ったら、異世界と現代日本を行き来できるようになった件。~お金と文明の利器を使ってのんびり生活~

タジリユウ

文字の大きさ
96 / 113

第96話 偵察の依頼


「そんで状況はどんな感じなんだ?」

 レンダーさんと挨拶を終え、部屋の椅子へ座る。魔物の素材を使用しているのか、とても柔らかくて座り心地がいい。

 そしてこの部屋には魔物の剥製が飾ってあった。しかも一本角の巨大な顔を持つ魔物だったので、すごい迫力だ。俺の世界へ持って帰ったら、いろいろと騒ぎになりそうな代物である。

「今のところは落ち着いているがだいぶ数が増えてきている。そろそろあふれ出して近隣の村へ襲い掛かってもおかしくないころだ。一番近くの村の者は一時的に避難している」

「数匹程度なら問題ないけれど、が群れになると少し面倒……」

 そう、今回のヴィオラへの依頼はロールルの街周辺に現れたドラゴンの群れの討伐だ。アースドラゴンは空を飛べない魔物らしいけれど、一応ドラゴンに分類されるらしい。だが、空を飛べないだけで、その脅威は他のドラゴンと同等のものになるようだ。

 以前にリリスが倒してくれたクラウドワイバーン以上の大きさと強さといえば、その脅威の一端がわかるだろう。それが群れになっているのだから、その近くに住む村の人たちは怖いだろうなあ……。

 今のところは群れで巣を作り動かないようだが、数が増えてくると、巣から溢れて別の土地へ移動し、また新たな群れを作るようだ。なんて迷惑な魔物なのだろう……。

「リリスの言う通りだ。すでに他の冒険者にも要請をして、ある程度の戦力は集まっている。ヴィオラとリリスが来てくれたのなら十分だ。準備をして数日後に総攻撃をかけるとしよう」

「アースドラゴンの群れか。久しぶりに暴れられそうだぜ!」

「……くれぐれも味方の方には突っ込んでくれるなよ」

「できる限りこっちでもフォローをする」

 ……レンダーさんとリリスも大変そうだな。

 とはいえ、それだけ暴れ回れる力がヴィオラにはあるということだろう。さすがSランク冒険者でリリスの師匠である。

「できれば事前にアースドラゴンの数をある程度把握しておきたいのだが、やつらは生物の気配に敏感で偵察もなかなか難しい。ぶっつけ本番になるのが少し不安なところではあるな」

 ドラゴンやワイバーンなどは生物の気配に敏感な魔物らしい。そういえばクラウドワイバーンも空を飛んでいた俺たちに気付いていたっけ。

 確かに敵の数がわからないのは不安かもしれない。昔の戦いもそうだが、敵の数を把握することは大事だ。

「……それならこちらでなんとかできるかもしれない」

「なにっ、それは本当か!」

「偵察用の魔道具で上空からアースドラゴンの状況を探る。アースドラゴンは空を飛ばないし、その魔道具は生物でもなく魔力を発さないから、うまくいく可能性が高い」

「おおっ、それはすごい! リリス、ぜひとも頼めないか? もちろん報酬も出すぞ」

「ちょっと考えてみる。仮に依頼を受けた場合、失敗してもその魔道具が壊れてしまったら金貨50枚は出して欲しい」

「それくらいなら安いものだ。むしろそんなにすごい魔道具が金貨50枚でいいのか?」

「その辺りも今夜ゆっくり考えてみる」

 ……なるほど、リリスの考えていることが金貨50枚という言葉でピンときた。念のために持ってきたが、確かにあれなら安全に偵察ができそうだ。



「うわっ、すごい部屋だな。一昨日泊まったサミアルの街の宿よりも立派だよ」

「キュキュウ~♪」

 レンダーさんとの打ち合わせを終え、冒険者ギルドの方で用意してくれた宿へと移動してきた。

 街の中心地にあるとても大きな建物で、宿泊するお客さんも身なりが良く、宿の職員さんの接客も俺の世界並みにすごい高級宿だった。部屋は4人用の部屋と言っていたけれど、その倍くらいの人が泊まれそうな広さがあり、あちこちに高価そうな美術品が飾ってある。

 ……きっと1泊の宿泊費はとんでもないんだろうな。いくら仮想通貨で大金を手に入れたところで、いちいちそこらへんを気にしてしまうのは小市民の証な気もする。

「レンダーのやつも随分と奮発してくれたな。遠慮なくのんびりさせてもらうとしようぜ」

「この街の中でもかなり上位の宿。それだけ期待しているということ」

「……その割には偵察をする時は絶対に手を出さないように念を押されたけれどね」

 偵察を引き受けなくても構わないけれど、絶対にアースドラゴンの群れに一人で突っ込むのだけは止めてくれとレンダーさんに念押しされた。

 確かにヴィオラの性格上、偵察のついでとか言って、一人で群れに突っ込んでいきそうだよなあ……。

「リリスが言っていた偵察はを使うってことだよね?」

「うん。もちろんケンタが許可してくれればだけど。ケンタの所有する道具というよりも私の魔道具にしておいた方が面倒ごとが少ないと思った」

「その配慮は助かるよ。もし壊れたとしても弁償してくれるみたいだし、もちろん協力させてもらうよ」

「ケンタ、ありがとう! 偵察をすればイレギュラーな事態を防げるかもしれないし、被害も減らせる」

 レンダーさんに話していた魔道具とは俺が持っているドローンのことだ。あれなら機械だし、魔道具のように魔力を持たないからアースドラゴンに狙われない可能性が高い。それに途中で壊されてしまったとしても人的な被害はないし、まさに偵察のための道具である。

 それでリリスやヴィオラや他の冒険者たちが怪我をする可能性を減らせるのなら、迷わず協力させてもらおう。

「……そのドローンてやつはいったいなんなんだ?」

 そういえばヴィオラはまだドローンのことは知らなかったか。実物は明日に見せるとしよう。
感想 8

あなたにおすすめの小説

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの翔胡
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます! ※AI学習禁止・無断転載禁止・無断翻訳禁止・無断朗読禁止

家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。

希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。 手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。 「このまま死ぬのかな……」 そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。 ​そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。 試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。 ​「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」 ​スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。 たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。 ※本作は小説家になろうでも投稿しています。

最強魔王の学園無双 ~世界を平定したチート魔王は学園で無双し花嫁を探す。側近・貴族・勇者? まとめて余のハーレムに加えてやろう~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
ファンタジー
 主人公ディノス・レアルノートは魔王だ。  その絶大なる力で人族を撃破し、世界を平定した。  そして、1年後……。 「クハハ! 愚民どもは、幸せを満喫しているようだな。大変結構!」 「ディノス陛下。陛下も、そろそろ跡継ぎをつくられてはいかがでしょうか? 平和を勝ち取った今こそ、その好機かと愚行致しますが」 「クハハ! それも悪くはないな。しかし、余はそういうことに疎くてな……。強さに重きを置いていたせいだろうが……」 「ああ、確かに……。ディノス陛下は、そういう話が一切ありませんもんね。俗に言う、陰キャぼっちというやつでしょうか……」 「な、なにぃ!? 陰キャぼっちだと! 余は断じて陰キャぼっちなどではない! リア充だ!」  そんなこんなで、身分を隠して学園に通うことになった魔王様。  抜群の戦闘能力を持つ最強魔王様だが、年齢は16歳。  学園に通うことがおかしいというほどではない。  はたして、彼は真実の愛を見つけて花嫁を得ることができるのか?  無自覚セクハラ三昧が、今始まる!!!