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玄関を開けて靴を脱いだ瞬間、後ろから霧生の腕が伸びてくる。バランスを崩した身体は、見事にその腕の中にすっぽりと収まってしまった。
「ちょっ、霧生……!」
逃れようと藻搔くも、離さないと言わんばかりに抱きすくめられる。今からこの男に抱かれるのだと、否が応でもわかった。うなじを舐め上げられ、大和の力がふっと抜ける。
「霧生、待て、風呂……」
「待てない」
霧生が耳裏から首筋を余すことなく舐めながら、性急に服を脱がしていく。
「霧生、逃げねぇから」
「大和」
シャツのボタンを外すのさえ煩わしいと苛立つ霧生の指先を大和が掴み、そっと口付けてくる。彼は背中まで赤くなっていて、霧生は目の眩むような興奮にヒュッと喉が鳴った。
「頼む、シャワーだけさせて」
「俺は気にしない」
「俺が!気にするんだっつの!」
振り返って霧生の胸に顔を擦り付けながら、大和が「集中できない」と小さく呟く。それは裏を返せば、霧生との性交に集中したいということで。霧生は破裂しそうな胸を押さえ、あふれるものを堪えるように天を仰いだ。
風呂から上がる頃には、大和は心身共にぐったりとしていた。事前に“そういうこと”をする時の準備などは調べていたのだが、いざやってみると、なかなかに抵抗のあるものだった。手伝うと言っていた霧生を拒んだのは正解だったと思う。あんな姿、とてもじゃないが見せられない。
「霧生、またせ、た……」
バスタオルを腰に巻いて部屋に戻ると、霧生はベッドに四つん這いになり、大和の布団に顔を押し付け、腰だけをカクカクと振っていた。フーフーと荒い息遣いも聞こえる。
自慰をしているわけではないようだ。ズボンも履いたままだし、あそこをベッドに擦り付けているわけでもない。
「フー……大和、大和っ」
その激しい腰の動きが、これから自分に襲い掛かるのだと嫌でも実感させられる。怖くないと言えば嘘になる。が、嫌ではない。それどころか、少しだけ期待している。腰のバスタオルを押し上げている大和の陰茎が、それを表していた。
「霧生」
少し大きい声で呼ぶと、パッと霧生がベッドから起き上がる。振り向いたその顔は完全に熱に浮かされていて、涎が口の端から伝っていた。霧生のズボンにもテントができており、その頂点は色濃く染まっている。
「ごめ、ん、大和……大和の匂いを嗅いだら、堪らなかった」
「ん……別に、お前が俺で興奮してんの、嫌じゃ、ねぇし……」
「大和っ」
霧生が飛びついてくる。ゴリゴリと陰部を擦り付けられて大和の喉がごくりと鳴った。
「俺も、湯、浴びてくる」
「俺は気にしないぞ」
「グルル……だめだ、ちょっと落ち着かないと、大和に酷くしてしまう……」
霧生は狼のように唸った後、足早に浴室へ向かっていった。一人になった大和は、先にベッドに横になる。布団から霧生の匂いがして、腰がズンと重くなった。さっきまでの霧生と同じことをし始めそうで、必死に気を紛らわせようとする。
(俺、今から霧生に抱かれんの、か……。)
当然、気が紛れるわけはなく。はち切れそうなほど大きくなっていた股間を思い出してしまった。あんな長大なもの、はたして自分に入るのだろうか。後孔をそっと人差し指で摩ると、蕾は固く口を噤んでいる。とてもじゃないが収まりそうにない。
しかし、胎の奥がきゅんきゅんと甘く痺れているのも事実だった。番いたいのは大和も同じなのだ。
シャワーの音が止み、暫くして浴室の扉が開く。大和は心臓が口から飛び出るのではないかと思うほど緊張していた。だが、姿を現した霧生の髪から雫が滴っているのを見て少しだけ冷静になる。
「おい、髪の毛乾かせ。風邪引くだろ」
「大和、無理、もう待てない」
「だーっ!俺がドライヤーしてやるから、早くこっち来い!」
嫌がる霧生を座らせ、両足で挟み込んでドライヤーの電源を入れる。途端に耳を塞ぎ、下を向く霧生。人間になった今も、やはりこれは苦手なままのようだ。
「大和のも、大きくなってる」
「……そりゃ、なるだろ」
後ろから身体をくっつけている分、霧生の背中に股間が当たってしまう。腰に巻いたバスタオルに裏筋が擦れて、くちゅっと小さく濡れた音がした。
見れば霧生の陰茎も、今にも弾けそうなほど大きく膨らんでいる。何本も血管が浮いていて、グロテスクだ。
「大和、もう、乾いた……っ」
「ん……」
ドライヤーの電源を切ると、立ち上がった霧生に抱き上げられた。そのままベッドに横たえられ、唇を塞がれる。
「んんっ」
「大和……ん、ん……」
口の中で霧生の舌が暴れる。歯列をなぞられ、犬歯を愛おしげに舐められる。上顎の粘膜を擽られると、大和の背中が弓形に反った。
キスをしている間に、霧生が大和のバスタオルを剥ぐ。ぷるんと飛び出したそれは案の定しとどに濡れていて、バスタオルとの間に透明の糸が引いていた。
唇を離した霧生が、まじまじとそこを見つめてくる。恥ずかしくてもじもじと両腿を擦り合わせると、無理矢理広げて抱え上げられた。陰茎も陰嚢も、奥まった窄まりまで、全てを晒け出す格好に、大和の全身がぶわあっと赤く染まる。
「やっ、ばか、見んなよぉっ」
「はーっ、はーっ、はーっ」
霧生は息を荒げながら、目を見開いている。そのまま陰嚢に鼻を埋め、スンスンと匂いを嗅がれた。恥ずかしくて恥ずかしくて涙を滲ませながら必死に身を捩る。
「大和……すごい、いい匂い、興奮する」
「ンなわけあるか、ばかぁ……っ」
また新しい蜜がとろりと腹に垂れた。霧生は大和に覆い被さると、尻の割れ目に熱い剛直を擦り付ける。どれほど先走りがあふれているのか、霧生の陰茎が前後する度にぐちゅぐちゅと滑った音が響いた。
「大和……っ、入れたいっ、入れたいっ!」
「ぁ、さすがに、すぐには無理だから……!」
「どうすればいいっ、早く、教えてくれ、大和……ッ」
それはつまり、自分から何をして欲しいか伝えなければならないということで——。
大和はギリギリと歯を食い縛り、羞恥心と戦う。そして、腹を括り、霧生の目を見て口を開いた。
「まず、尻を、濡らして……」
「わかった」
「えっ?!いや、これ、あ゙あ゙ッ?!」
帰り際にこっそり買っておいたローションを手渡す暇もなく、霧生が蕾に舌を這わせる。表面を舐めるのもそこそこに、少し緩んだ隙を見計らって中に侵入された。柔らかい舌で粘膜を直接舐められる感覚に、大和が身体をびくびくと跳ねさせる。
「やッ、霧生、だめ、そんなッ、うああ!」
「ここに、入れる……はあっ、いっぱい、濡らす……っ」
「あ゙ッ、無理ぃ、やばい、それ……ッ」
ぞわぞわとした快感が全身を包む。まるで広げるように大きく円を描きながら、何度も何度も唾液を送り込まれた。熱いものがどろどろと逆流してくる感覚に、全身が総毛立つ。
「あ゙、きりゅ、やばい、やばいぃ……ッ」
「フー、フー、もっと……」
「あ゙あ゙あ゙ッ!も、ケツ、溶けるってぇ!」
自分が後孔で感じるなんて知らなかった。ただ浅いところを弄られているだけなのに、つま先までじんじんと熱を持っている。このまま続けられると頭がおかしくなりそうで、大和は必死に霧生を止めた。
「きりゅ、霧生ッ、も、次、いくから……っ」
「大和、大和」
「だめ、舌、抜け、ぇ」
大和の指示がかろうじて霧生に届いたのか、ずるりと後孔から舌を引き抜かれる。その出ていく感覚が堪らなくて、大和の陰茎からぴゅっと一筋、白濁が漏れた。
「ひ、ぅ……っ」
「大和、入れるか?もう入れていいか?」
「ま、だあッ!」
「グルルル……ッ」
霧生が苦しげに唸り声を上げる。大和の後孔は名残惜しそうにきゅんきゅんと収縮していた。霧生はその窄まりに陰茎を押し付けながら、無理にでも割り開きたい本能に抗っている。
「き、りゅ……指、指入れて」
「指……」
「一本ずつ、増やして、広げ、る」
「わかった」
霧生はすぐさま自身の中指を唾液で濡らし、後孔にあてがった。大和のそこが求めるように吸い付く。誘われるがまま押し込むと、きつく締め付けながらも全てを迎えてくれた。
「うああ……っ」
「痛むか」
「痛くは、ねぇ、けど……変な感じ、ッ」
教えずとも霧生が中で指を曲げ、大和のいいところを探し始めた。内臓を掻き回される感覚。気持ちいいはずないと思っていたのに、陰茎は萎えることなく先走りを腹に零し続けている。
そして。
「んあああっ?!」
ある一点を掠めた瞬間、大和の口から一際大きな嬌声が漏れた。後孔がぎゅうっと収縮し、霧生の指を痛いほど締め付ける。解そうと霧生が指を動かした途端、大和は大きく仰け反って太腿を痙攣させた。
「きりゅ、そこッ、無理……ッ!」
「ここか?ここ、いいか?」
「あ゙あ゙あ゙あ゙、ダメだっ、て!無理無理無理、んあああ!」
神経を直接握られて揉み潰されているようだった。身体が勝手に跳ね、甘い声が出る。たった一箇所、霧生の指が当たるだけで、どうしようもなく思考が快感に塗りつぶされる。涙も涎も止まらない。強制的に絶頂へと押し上げられていく。
「可愛い、大和、可愛い」
「あ゙ーーー!無理っ、霧生、霧生、やばいやばいやばい……っ」
「イくか?大和、尻でイくのか?」
「嫌ぁっ!嫌、きりゅ、あ゙あ゙もう、む、り……ッ!ん゙ーーー!イ、ッく!」
びくん、と大きく身体が震える。射精では感じたことのない、長く余韻の続く絶頂。陰茎からは先走りだけがとぷとぷとあふれ、精液は出ていなかった。そのせいで霧生は大和が絶頂できなかったのだと思い、指を増やしてそのしこりを捏ね続ける。
「大和、射精していい。我慢するな」
「も、イッたからぁ!あ゙あ゙ッ、イ゙、てる、イ゙ッ゙でる゙!あ゙っ、やめ、ッ、またぁ、イくの来てる……ッ!イくイくイくッ!あ゙ーーー!!」
大きく背筋を反らせ、何度も痙攣を繰り返す。後孔は狂ったようにうねり、霧生の指に肉ひだを絡みつかせていた。二本の指でそれを掻き分け、霧生がしこりを挟んで小刻みに揺する。
「ぎゃあああああッ!」
もう息もできない。カヒュッと喉が鳴ったのが聞こえ、霧生が慌てて大和に口付けて息を吹き込む。その間も後孔の指は止まらない。いつしか霧生の指は三本になっていた。しこりを挟まれ、優しく抉られ、何度も揺さぶられる。大和の身体がカタカタと小刻みに震え始めた。つま先が丸まり、瞳が潤んで焦点がぼやける。
「ぁ……ぁ……」
「大和?」
「ふ……ッ、ぐ……ぅっ」
霧生の肩を掴んでいた手にぎゅっと力が入った。そのまま静かに静かに深い絶頂に達する。呼吸は浅く、全身が硬直していた。腹筋だけが大きく波打っている。
「大和、可愛い……」
「ふ……ぁ……」
半ば意識を失っていた大和は、後孔の圧迫感がなくなったことで浮上した。霧生が指を抜いたらしい。快楽を知った後孔は生き物のようにうねり、新しい刺激を求めてぱくぱくと口を開いていた。
「大和、もういいか?もう、入りたい。大和と番いたい、早く」
「ぁ、きりゅ……」
「もう、我慢が……」
霧生は自分の手で陰茎の根本を絞っていた。それでも先端からぽたぽたと白濁混じりの先走りが零れている。荒い息を吐きながらこちらを射抜くように見つめる霧生に、大和の胸がぎゅっと締め付けられた。
全身の力を抜き、両手を伸ばす。身体を寄せてきた霧生を抱きしめ、両脚を緩く開いた。ここに入れるのだと示すように、陰茎に後孔を擦り付ける。
「ほら……来い」
「やま、とっ」
霧生が息を呑み、ぐっとそれを押し込んだ。きつい抵抗に逆らい、深く、もっと奥へと、狭い中をこじ開けていく。
「ひッ、ぐ……ぅ……っ」
「大和、ごめん、もう少し」
「ふ、かい、深いッ、ぁ゙、ゔ!」
内臓をいっぱいに押し広げる熱。どくんどくんと下肢全体が脈打っているようだ。指では届かなかった場所が開かれ、余りの圧迫感と鈍痛に冷や汗をかく。息をするのもやっとなくらいだが、目の前の霧生の瞳は燃えるような欲に濡れていた。
「フー……フー……」
「霧生、好きに、動いていいぞ」
「……大和ッ!」
霧生が大和の唇に噛み付くようなキスをし、そのまま大きく腰を揺する。霧生の額にも珠のような汗が浮かんでいた。
「大和ッ、すぐ、出る……ッ」
「いいぜ、ッ、そのまま、出せよ」
「ゔーッ、ぐぅ……!」
余程我慢していたのだろう。抽送は3回ほどだった。霧生が低く唸りながら最奥の肉壁に亀頭を突き込み、そのまま腰を震わせる。
「ッふ……ぅ゙……ぐ……っ」
「ぁ……すげ、出てる……霧生の……」
何度も陰茎が脈を打ち、大量に射精しているのがわかった。中が満たされていく。同時に、大和の心にも温かいものが満ちていくのを感じた。
(これで、霧生と、番いになれた……。)
ぎゅうっと霧生を抱きしめる。いつしか後孔の痛みも消えていた。ただ目の前の男への愛おしさだけがあふれている。
「霧生と番いになれて、嬉しい」
「大和……大和っ」
がばりと霧生にも抱きしめ返される。耳元で、「愛している」と小さく聞こえた。その声はまるで泣いているように震えていて、大和も思わず涙ぐむ。
「霧生はもう俺の家族だ。遅くなってごめんな」
「大和……俺の愛する伴侶」
「ん。これからもずっと一緒にいよう」
「大和っ」
「……え?」
霧生が顔を上げると案の定涙を零していた。指で目元を拭ってやると、その手を取られぎゅっと握られる。そして彼はもう片方の手で大和の脚を抱え直した。後孔に埋まっている陰茎は、なぜかまた固く熱くなっていて。
「えーと……霧生?」
「次は、大和も気持ちよくする」
「えぇっ?!俺は、もう、いいから……!」
身を捩っても霧生の拘束は解けない。熱のこもった視線に射抜かれ、大和はヒュッと息を吸った。
「ちょっ、霧生……!」
逃れようと藻搔くも、離さないと言わんばかりに抱きすくめられる。今からこの男に抱かれるのだと、否が応でもわかった。うなじを舐め上げられ、大和の力がふっと抜ける。
「霧生、待て、風呂……」
「待てない」
霧生が耳裏から首筋を余すことなく舐めながら、性急に服を脱がしていく。
「霧生、逃げねぇから」
「大和」
シャツのボタンを外すのさえ煩わしいと苛立つ霧生の指先を大和が掴み、そっと口付けてくる。彼は背中まで赤くなっていて、霧生は目の眩むような興奮にヒュッと喉が鳴った。
「頼む、シャワーだけさせて」
「俺は気にしない」
「俺が!気にするんだっつの!」
振り返って霧生の胸に顔を擦り付けながら、大和が「集中できない」と小さく呟く。それは裏を返せば、霧生との性交に集中したいということで。霧生は破裂しそうな胸を押さえ、あふれるものを堪えるように天を仰いだ。
風呂から上がる頃には、大和は心身共にぐったりとしていた。事前に“そういうこと”をする時の準備などは調べていたのだが、いざやってみると、なかなかに抵抗のあるものだった。手伝うと言っていた霧生を拒んだのは正解だったと思う。あんな姿、とてもじゃないが見せられない。
「霧生、またせ、た……」
バスタオルを腰に巻いて部屋に戻ると、霧生はベッドに四つん這いになり、大和の布団に顔を押し付け、腰だけをカクカクと振っていた。フーフーと荒い息遣いも聞こえる。
自慰をしているわけではないようだ。ズボンも履いたままだし、あそこをベッドに擦り付けているわけでもない。
「フー……大和、大和っ」
その激しい腰の動きが、これから自分に襲い掛かるのだと嫌でも実感させられる。怖くないと言えば嘘になる。が、嫌ではない。それどころか、少しだけ期待している。腰のバスタオルを押し上げている大和の陰茎が、それを表していた。
「霧生」
少し大きい声で呼ぶと、パッと霧生がベッドから起き上がる。振り向いたその顔は完全に熱に浮かされていて、涎が口の端から伝っていた。霧生のズボンにもテントができており、その頂点は色濃く染まっている。
「ごめ、ん、大和……大和の匂いを嗅いだら、堪らなかった」
「ん……別に、お前が俺で興奮してんの、嫌じゃ、ねぇし……」
「大和っ」
霧生が飛びついてくる。ゴリゴリと陰部を擦り付けられて大和の喉がごくりと鳴った。
「俺も、湯、浴びてくる」
「俺は気にしないぞ」
「グルル……だめだ、ちょっと落ち着かないと、大和に酷くしてしまう……」
霧生は狼のように唸った後、足早に浴室へ向かっていった。一人になった大和は、先にベッドに横になる。布団から霧生の匂いがして、腰がズンと重くなった。さっきまでの霧生と同じことをし始めそうで、必死に気を紛らわせようとする。
(俺、今から霧生に抱かれんの、か……。)
当然、気が紛れるわけはなく。はち切れそうなほど大きくなっていた股間を思い出してしまった。あんな長大なもの、はたして自分に入るのだろうか。後孔をそっと人差し指で摩ると、蕾は固く口を噤んでいる。とてもじゃないが収まりそうにない。
しかし、胎の奥がきゅんきゅんと甘く痺れているのも事実だった。番いたいのは大和も同じなのだ。
シャワーの音が止み、暫くして浴室の扉が開く。大和は心臓が口から飛び出るのではないかと思うほど緊張していた。だが、姿を現した霧生の髪から雫が滴っているのを見て少しだけ冷静になる。
「おい、髪の毛乾かせ。風邪引くだろ」
「大和、無理、もう待てない」
「だーっ!俺がドライヤーしてやるから、早くこっち来い!」
嫌がる霧生を座らせ、両足で挟み込んでドライヤーの電源を入れる。途端に耳を塞ぎ、下を向く霧生。人間になった今も、やはりこれは苦手なままのようだ。
「大和のも、大きくなってる」
「……そりゃ、なるだろ」
後ろから身体をくっつけている分、霧生の背中に股間が当たってしまう。腰に巻いたバスタオルに裏筋が擦れて、くちゅっと小さく濡れた音がした。
見れば霧生の陰茎も、今にも弾けそうなほど大きく膨らんでいる。何本も血管が浮いていて、グロテスクだ。
「大和、もう、乾いた……っ」
「ん……」
ドライヤーの電源を切ると、立ち上がった霧生に抱き上げられた。そのままベッドに横たえられ、唇を塞がれる。
「んんっ」
「大和……ん、ん……」
口の中で霧生の舌が暴れる。歯列をなぞられ、犬歯を愛おしげに舐められる。上顎の粘膜を擽られると、大和の背中が弓形に反った。
キスをしている間に、霧生が大和のバスタオルを剥ぐ。ぷるんと飛び出したそれは案の定しとどに濡れていて、バスタオルとの間に透明の糸が引いていた。
唇を離した霧生が、まじまじとそこを見つめてくる。恥ずかしくてもじもじと両腿を擦り合わせると、無理矢理広げて抱え上げられた。陰茎も陰嚢も、奥まった窄まりまで、全てを晒け出す格好に、大和の全身がぶわあっと赤く染まる。
「やっ、ばか、見んなよぉっ」
「はーっ、はーっ、はーっ」
霧生は息を荒げながら、目を見開いている。そのまま陰嚢に鼻を埋め、スンスンと匂いを嗅がれた。恥ずかしくて恥ずかしくて涙を滲ませながら必死に身を捩る。
「大和……すごい、いい匂い、興奮する」
「ンなわけあるか、ばかぁ……っ」
また新しい蜜がとろりと腹に垂れた。霧生は大和に覆い被さると、尻の割れ目に熱い剛直を擦り付ける。どれほど先走りがあふれているのか、霧生の陰茎が前後する度にぐちゅぐちゅと滑った音が響いた。
「大和……っ、入れたいっ、入れたいっ!」
「ぁ、さすがに、すぐには無理だから……!」
「どうすればいいっ、早く、教えてくれ、大和……ッ」
それはつまり、自分から何をして欲しいか伝えなければならないということで——。
大和はギリギリと歯を食い縛り、羞恥心と戦う。そして、腹を括り、霧生の目を見て口を開いた。
「まず、尻を、濡らして……」
「わかった」
「えっ?!いや、これ、あ゙あ゙ッ?!」
帰り際にこっそり買っておいたローションを手渡す暇もなく、霧生が蕾に舌を這わせる。表面を舐めるのもそこそこに、少し緩んだ隙を見計らって中に侵入された。柔らかい舌で粘膜を直接舐められる感覚に、大和が身体をびくびくと跳ねさせる。
「やッ、霧生、だめ、そんなッ、うああ!」
「ここに、入れる……はあっ、いっぱい、濡らす……っ」
「あ゙ッ、無理ぃ、やばい、それ……ッ」
ぞわぞわとした快感が全身を包む。まるで広げるように大きく円を描きながら、何度も何度も唾液を送り込まれた。熱いものがどろどろと逆流してくる感覚に、全身が総毛立つ。
「あ゙、きりゅ、やばい、やばいぃ……ッ」
「フー、フー、もっと……」
「あ゙あ゙あ゙ッ!も、ケツ、溶けるってぇ!」
自分が後孔で感じるなんて知らなかった。ただ浅いところを弄られているだけなのに、つま先までじんじんと熱を持っている。このまま続けられると頭がおかしくなりそうで、大和は必死に霧生を止めた。
「きりゅ、霧生ッ、も、次、いくから……っ」
「大和、大和」
「だめ、舌、抜け、ぇ」
大和の指示がかろうじて霧生に届いたのか、ずるりと後孔から舌を引き抜かれる。その出ていく感覚が堪らなくて、大和の陰茎からぴゅっと一筋、白濁が漏れた。
「ひ、ぅ……っ」
「大和、入れるか?もう入れていいか?」
「ま、だあッ!」
「グルルル……ッ」
霧生が苦しげに唸り声を上げる。大和の後孔は名残惜しそうにきゅんきゅんと収縮していた。霧生はその窄まりに陰茎を押し付けながら、無理にでも割り開きたい本能に抗っている。
「き、りゅ……指、指入れて」
「指……」
「一本ずつ、増やして、広げ、る」
「わかった」
霧生はすぐさま自身の中指を唾液で濡らし、後孔にあてがった。大和のそこが求めるように吸い付く。誘われるがまま押し込むと、きつく締め付けながらも全てを迎えてくれた。
「うああ……っ」
「痛むか」
「痛くは、ねぇ、けど……変な感じ、ッ」
教えずとも霧生が中で指を曲げ、大和のいいところを探し始めた。内臓を掻き回される感覚。気持ちいいはずないと思っていたのに、陰茎は萎えることなく先走りを腹に零し続けている。
そして。
「んあああっ?!」
ある一点を掠めた瞬間、大和の口から一際大きな嬌声が漏れた。後孔がぎゅうっと収縮し、霧生の指を痛いほど締め付ける。解そうと霧生が指を動かした途端、大和は大きく仰け反って太腿を痙攣させた。
「きりゅ、そこッ、無理……ッ!」
「ここか?ここ、いいか?」
「あ゙あ゙あ゙あ゙、ダメだっ、て!無理無理無理、んあああ!」
神経を直接握られて揉み潰されているようだった。身体が勝手に跳ね、甘い声が出る。たった一箇所、霧生の指が当たるだけで、どうしようもなく思考が快感に塗りつぶされる。涙も涎も止まらない。強制的に絶頂へと押し上げられていく。
「可愛い、大和、可愛い」
「あ゙ーーー!無理っ、霧生、霧生、やばいやばいやばい……っ」
「イくか?大和、尻でイくのか?」
「嫌ぁっ!嫌、きりゅ、あ゙あ゙もう、む、り……ッ!ん゙ーーー!イ、ッく!」
びくん、と大きく身体が震える。射精では感じたことのない、長く余韻の続く絶頂。陰茎からは先走りだけがとぷとぷとあふれ、精液は出ていなかった。そのせいで霧生は大和が絶頂できなかったのだと思い、指を増やしてそのしこりを捏ね続ける。
「大和、射精していい。我慢するな」
「も、イッたからぁ!あ゙あ゙ッ、イ゙、てる、イ゙ッ゙でる゙!あ゙っ、やめ、ッ、またぁ、イくの来てる……ッ!イくイくイくッ!あ゙ーーー!!」
大きく背筋を反らせ、何度も痙攣を繰り返す。後孔は狂ったようにうねり、霧生の指に肉ひだを絡みつかせていた。二本の指でそれを掻き分け、霧生がしこりを挟んで小刻みに揺する。
「ぎゃあああああッ!」
もう息もできない。カヒュッと喉が鳴ったのが聞こえ、霧生が慌てて大和に口付けて息を吹き込む。その間も後孔の指は止まらない。いつしか霧生の指は三本になっていた。しこりを挟まれ、優しく抉られ、何度も揺さぶられる。大和の身体がカタカタと小刻みに震え始めた。つま先が丸まり、瞳が潤んで焦点がぼやける。
「ぁ……ぁ……」
「大和?」
「ふ……ッ、ぐ……ぅっ」
霧生の肩を掴んでいた手にぎゅっと力が入った。そのまま静かに静かに深い絶頂に達する。呼吸は浅く、全身が硬直していた。腹筋だけが大きく波打っている。
「大和、可愛い……」
「ふ……ぁ……」
半ば意識を失っていた大和は、後孔の圧迫感がなくなったことで浮上した。霧生が指を抜いたらしい。快楽を知った後孔は生き物のようにうねり、新しい刺激を求めてぱくぱくと口を開いていた。
「大和、もういいか?もう、入りたい。大和と番いたい、早く」
「ぁ、きりゅ……」
「もう、我慢が……」
霧生は自分の手で陰茎の根本を絞っていた。それでも先端からぽたぽたと白濁混じりの先走りが零れている。荒い息を吐きながらこちらを射抜くように見つめる霧生に、大和の胸がぎゅっと締め付けられた。
全身の力を抜き、両手を伸ばす。身体を寄せてきた霧生を抱きしめ、両脚を緩く開いた。ここに入れるのだと示すように、陰茎に後孔を擦り付ける。
「ほら……来い」
「やま、とっ」
霧生が息を呑み、ぐっとそれを押し込んだ。きつい抵抗に逆らい、深く、もっと奥へと、狭い中をこじ開けていく。
「ひッ、ぐ……ぅ……っ」
「大和、ごめん、もう少し」
「ふ、かい、深いッ、ぁ゙、ゔ!」
内臓をいっぱいに押し広げる熱。どくんどくんと下肢全体が脈打っているようだ。指では届かなかった場所が開かれ、余りの圧迫感と鈍痛に冷や汗をかく。息をするのもやっとなくらいだが、目の前の霧生の瞳は燃えるような欲に濡れていた。
「フー……フー……」
「霧生、好きに、動いていいぞ」
「……大和ッ!」
霧生が大和の唇に噛み付くようなキスをし、そのまま大きく腰を揺する。霧生の額にも珠のような汗が浮かんでいた。
「大和ッ、すぐ、出る……ッ」
「いいぜ、ッ、そのまま、出せよ」
「ゔーッ、ぐぅ……!」
余程我慢していたのだろう。抽送は3回ほどだった。霧生が低く唸りながら最奥の肉壁に亀頭を突き込み、そのまま腰を震わせる。
「ッふ……ぅ゙……ぐ……っ」
「ぁ……すげ、出てる……霧生の……」
何度も陰茎が脈を打ち、大量に射精しているのがわかった。中が満たされていく。同時に、大和の心にも温かいものが満ちていくのを感じた。
(これで、霧生と、番いになれた……。)
ぎゅうっと霧生を抱きしめる。いつしか後孔の痛みも消えていた。ただ目の前の男への愛おしさだけがあふれている。
「霧生と番いになれて、嬉しい」
「大和……大和っ」
がばりと霧生にも抱きしめ返される。耳元で、「愛している」と小さく聞こえた。その声はまるで泣いているように震えていて、大和も思わず涙ぐむ。
「霧生はもう俺の家族だ。遅くなってごめんな」
「大和……俺の愛する伴侶」
「ん。これからもずっと一緒にいよう」
「大和っ」
「……え?」
霧生が顔を上げると案の定涙を零していた。指で目元を拭ってやると、その手を取られぎゅっと握られる。そして彼はもう片方の手で大和の脚を抱え直した。後孔に埋まっている陰茎は、なぜかまた固く熱くなっていて。
「えーと……霧生?」
「次は、大和も気持ちよくする」
「えぇっ?!俺は、もう、いいから……!」
身を捩っても霧生の拘束は解けない。熱のこもった視線に射抜かれ、大和はヒュッと息を吸った。
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鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
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告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
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