毒舌少女も恋してる!

高草木文歌

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今更毒舌だと自覚したんだが

〝①〟

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「お願いします!」

練習場の中に入り、扉の前で挨拶をする。そして、近くにあった椅子に背負っていたリュックを置き、中からラケットを出す。
そう、私は卓球を習っている。清掃会社で習っているため、冷房もちゃんとついている!
そんな快適な場所で出会ったのが、爽真。〝そうま〟って読むらしい。彼と出会ったのは小学4年生の頃かな…すごく面白いし、話しやすい。卓球クラブ内でも付き合っていると言う噂が流れるくらいだ。まぁそんな彼に恋してしまったんだけどね…でも本当に好きか分からなくて…いろんな人に心を奪われそうになる。けどやっぱり、爽真にはかなわなかった。

そんなある日、悲劇が起きた…
爽真の好きな人が私じゃないということ、そして爽真の好きな人が私の嫌いな人だと分かってしまった。
この情報を教えてくれたのは、一つ年下の小6、樹。〝いつき〟って呼ばれている。
うわぁ!!もう無理だ!恋なんてできない!
失恋しながら今日の練習をやり終え、いつものテンションで爽真に話しかけた。
「爽真~!!お前の好きな人わかったぞ!いやぁ、まさかあの人とはね…」
悲しみを抑えつつも、テンションを変えない私。
神。
「は!?誰から教えてもらった!ちょっとそいつシバくわ」
そんなことを言っている爽真の笑顔が何よりも好きだった。
爽真は部活で先生から差別を受けていて、毎日必ず「爽真さんは今日もダメでしたね~」って言われている。その分、ストレスが溜まって、時々卓球場でキレてしまう時がある。ま、そこを笑いに変えて収めるのが私なんだけどね~
はぁ…もうどうしよう。私…好きな人わかんない。もう一生できないのかな。そうだ!幼馴染にでも相談してみようかな。

練習が終わり、家に帰ると真っ先にlain(レイン)をつけた。そう、今から幼馴染の翔〝はやと〟と話す!
そして早速相談してみた。

私「はやとー。起きちょう?」
今は夜の9時。大体の人は起きてると思うけど…こいつは9時にはもう寝てる。
すると返信が来た。
「起きてるけど、なに?」
私「私さ、好きな人いなくなったかも。失恋しちゃってさ…これからも仲良くしようとは思ってるけど、なんか冷めちゃってね…どうしよう」
とにかく、言いたいことは全部こいつに話す!とは決めていた。すると…
「俺が奪ってやろうか?(笑)」
ムムッ!ななななんだこれは!
「はい、お願いします♡」みたいな返信を送ろうかと一瞬思った自分が馬鹿らしい…
とは言え、少しドキッとしたな。
でも、そう思うのも正直しょうがないか。
翔はイケメンで高身長でリア充経験2回。ま、両方ともむこうから振られたんだけどね。
別に付き合ってもいいけれど、翔の告白の仕方を聞いたら引いてしまって…

━━━━━━━放課後━━━━━━━

私じゃないけど、告白された子がいるんじゃん。
そのこの名前は愛海〝あいみ〟女子には冷たく、男子には可愛く…ぶりっ子の彼女。そんな人を好きになるなんて、翔も騙されたなと思ったぜ…

翔「あのっ…」
愛海「なーにぃ?」
と言って彼女は微笑んだ。自分の笑顔が好きなんだろうか、ちょっと引いてしまう。
翔「僕っ…君のことが…」
愛海「ん~?」
いちいち語尾を伸ばす愛海にムカついたが、そこを笑いで吹き飛ばしてくれた翔がいた

翔「好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです」
愛海「…わ、私も…だよ♡」

戸惑いつつも答えた愛海が面白かったことと告白の仕方が半端なくすごかったことに驚いた。
このカップルは三日で終了したそうです。
しかも別れた理由が私にバレたからだってさ!本当にウザイわ。
こんなこと話していて気づいたが…

翔のlain既読スルーしていた。
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