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2章
翠くんの気持ち【前編】
「……楓、翠せんぱいの……あの体型の凄いな……」
空くんの言葉に、僕だって予想外で驚いたんだから空くんも驚くよなと……漠然と頭をよぎった。
空くんに話しかけようと思った時にはすでに、翠くんの方へと向かって走り出している。
「空は相変わらずだね……」
先生は、細く見えてもしっかりと筋肉が付いていた。
空くんもスポーツが好きだから、普通に筋肉がある。
僕だけが、細長い……
「彼はどんな相模くんでも好きだと見てとれる、個によって体質も違う、そんなに気にやむ必要性はないと僕は思うよ……それより、テントを立てるのを少し手伝って貰えると助かるんだけど。」
先生は片手にテント、もう片方の手には色々と入ったカバンを持っている。
僕はカバンからシートを取り出して広げた上にカバンを置くと先生と一緒にテントの設置をした。
「先生ってやっぱり教師なんですね……」
一瞬、ビックリした表情を浮かべた先生は君たちより早く生まれてますからと柔らかい笑みを浮かべている。
あっ……この表情って遥に似てる……今まで僕を見るときには眉間にシワを寄せていた先生とのギャップに驚くと同時に、こんな柔らかい表情ができる人なんだと感じた。
きっと、あの時から僕の事を警戒していたのかも……。
「相模くん、きみの彼氏が凄い顔をしているよ……早く行ってあげたほうがいいと思うよ」
そう言い終わるとクスクスと楽しそうに肩を揺らしている。
翠くん達の方へと顔を向けると、不機嫌そうな翠くんの隣で満面の笑顔の空君が両手を大きく振っている。
「僕は、久々の長距離運転だったから少し疲れたみたいだから、休んでると空に伝えてくれる?」
それだけ言うとテントの中へと入っていった。
翠くん達の方へと顔を向けると空くんは状況がわかったのか、早く来いよと言いながら手招きしている。
翠くんと空くんが楽しそうに声をだしながら、はしゃいでいる姿を見ると翠くんも高校生なんだとあらためて実感する。
――たった2個しか変わらないんだよな……。
学校に居るときや受験の話をしているときには、凄く年上に感じてしまう。
なのに今、空くんと一緒に笑っている翠くんの姿を見ると、僕には引き出すことが出来ない年相応の笑顔で笑う翠くん……それを空くんが引き出した……そう思うと翠くんの笑顔を見てなぜだが胸がキュッと痛むのは何故……。
空くんに、こんな感情は持ちたくないのに……空くんが翠くんの体型の話をした時から自分らしくない感情を持ってしまう。
「楓!早く来いよ!」
キラキラした笑顔を僕に向けている2人は、僕がこんな最低な事を考えているなんて、まったく思ってはいないだろうな。
僕は小さく息を吐くと、2人の方へと走った。
「楓はなんでラッシュガードを着てきたんだ?暑くねぇの?」
不思議そうな顔をした空くんに、翠くんが楓は色白で日焼けに弱いんだよと言いながら僕にフードをかぶせた。
――やっぱり翠くんは言わなくてもわかってくれた……
フードの中で頬が熱くなるのがわかったけど、お日様のせいにできるほどに今は暑くなってきた……
翠くんは僕と空くんに浮き輪を渡すと、行こうぜと言いながら沖の方へと進んでいく。
僕と空くんは翠くんを追いかける。
どれくらい浮き輪で波乗りして遊んでいたか分からないけれど、ふと空くんが何かに気が付くとテントへと戻っていった。
プライベートビーチということもあって海にいるのは僕たちと、砂浜で子供連れの親子が数組いるくらいだった。
砂浜にはポツポツとテントが目に入るぐらいで、それぞれがのんびりした時間を過ごしている。
「楓、今日はありがとな」
翠くんの笑顔に僕もつられて、顔がゆるむ。
「楓は海水浴は苦手だよな?思い込みかもしれないけど、もしかして俺が海が好きなの知って決めてくれた?」
――やっぱり翠くんには隠せないか、僕が頷くと翠くんの目が大きく見開いた後に、ふにゃふにゃとした笑顔を浮かべた。
今まで見たことがない無防備な笑顔が僕の目に飛び込んでくると胸がドクンと音を立てる……
その時、僕の中でなにかがどこかで、はじけた……そして頭で考えるより先に僕の手は翠くんの後頭部を捕えると、本能のままに唇を深く重ねた。
その時、何度か嗅いだことのある柑橘系の香りが僕の鼻を激しく刺激する。
今まで、感じた時よりも濃い香りに酔ったのか、それとも日差しの強さに当てられたのか唇が離れた時に、感じた事のない感覚におちいる。
翠くんは、そんな僕を熱をおびた目で見つめていた。
空くんの言葉に、僕だって予想外で驚いたんだから空くんも驚くよなと……漠然と頭をよぎった。
空くんに話しかけようと思った時にはすでに、翠くんの方へと向かって走り出している。
「空は相変わらずだね……」
先生は、細く見えてもしっかりと筋肉が付いていた。
空くんもスポーツが好きだから、普通に筋肉がある。
僕だけが、細長い……
「彼はどんな相模くんでも好きだと見てとれる、個によって体質も違う、そんなに気にやむ必要性はないと僕は思うよ……それより、テントを立てるのを少し手伝って貰えると助かるんだけど。」
先生は片手にテント、もう片方の手には色々と入ったカバンを持っている。
僕はカバンからシートを取り出して広げた上にカバンを置くと先生と一緒にテントの設置をした。
「先生ってやっぱり教師なんですね……」
一瞬、ビックリした表情を浮かべた先生は君たちより早く生まれてますからと柔らかい笑みを浮かべている。
あっ……この表情って遥に似てる……今まで僕を見るときには眉間にシワを寄せていた先生とのギャップに驚くと同時に、こんな柔らかい表情ができる人なんだと感じた。
きっと、あの時から僕の事を警戒していたのかも……。
「相模くん、きみの彼氏が凄い顔をしているよ……早く行ってあげたほうがいいと思うよ」
そう言い終わるとクスクスと楽しそうに肩を揺らしている。
翠くん達の方へと顔を向けると、不機嫌そうな翠くんの隣で満面の笑顔の空君が両手を大きく振っている。
「僕は、久々の長距離運転だったから少し疲れたみたいだから、休んでると空に伝えてくれる?」
それだけ言うとテントの中へと入っていった。
翠くん達の方へと顔を向けると空くんは状況がわかったのか、早く来いよと言いながら手招きしている。
翠くんと空くんが楽しそうに声をだしながら、はしゃいでいる姿を見ると翠くんも高校生なんだとあらためて実感する。
――たった2個しか変わらないんだよな……。
学校に居るときや受験の話をしているときには、凄く年上に感じてしまう。
なのに今、空くんと一緒に笑っている翠くんの姿を見ると、僕には引き出すことが出来ない年相応の笑顔で笑う翠くん……それを空くんが引き出した……そう思うと翠くんの笑顔を見てなぜだが胸がキュッと痛むのは何故……。
空くんに、こんな感情は持ちたくないのに……空くんが翠くんの体型の話をした時から自分らしくない感情を持ってしまう。
「楓!早く来いよ!」
キラキラした笑顔を僕に向けている2人は、僕がこんな最低な事を考えているなんて、まったく思ってはいないだろうな。
僕は小さく息を吐くと、2人の方へと走った。
「楓はなんでラッシュガードを着てきたんだ?暑くねぇの?」
不思議そうな顔をした空くんに、翠くんが楓は色白で日焼けに弱いんだよと言いながら僕にフードをかぶせた。
――やっぱり翠くんは言わなくてもわかってくれた……
フードの中で頬が熱くなるのがわかったけど、お日様のせいにできるほどに今は暑くなってきた……
翠くんは僕と空くんに浮き輪を渡すと、行こうぜと言いながら沖の方へと進んでいく。
僕と空くんは翠くんを追いかける。
どれくらい浮き輪で波乗りして遊んでいたか分からないけれど、ふと空くんが何かに気が付くとテントへと戻っていった。
プライベートビーチということもあって海にいるのは僕たちと、砂浜で子供連れの親子が数組いるくらいだった。
砂浜にはポツポツとテントが目に入るぐらいで、それぞれがのんびりした時間を過ごしている。
「楓、今日はありがとな」
翠くんの笑顔に僕もつられて、顔がゆるむ。
「楓は海水浴は苦手だよな?思い込みかもしれないけど、もしかして俺が海が好きなの知って決めてくれた?」
――やっぱり翠くんには隠せないか、僕が頷くと翠くんの目が大きく見開いた後に、ふにゃふにゃとした笑顔を浮かべた。
今まで見たことがない無防備な笑顔が僕の目に飛び込んでくると胸がドクンと音を立てる……
その時、僕の中でなにかがどこかで、はじけた……そして頭で考えるより先に僕の手は翠くんの後頭部を捕えると、本能のままに唇を深く重ねた。
その時、何度か嗅いだことのある柑橘系の香りが僕の鼻を激しく刺激する。
今まで、感じた時よりも濃い香りに酔ったのか、それとも日差しの強さに当てられたのか唇が離れた時に、感じた事のない感覚におちいる。
翠くんは、そんな僕を熱をおびた目で見つめていた。
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