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2章
Switch
あの時、僕は心から翠くんを僕だけのものにしてしまいたいと願ってしまった。
その行為が責任を生じる事だったなんて、そのときの僕まったく知るよしもなかった。
あれから数日後、僕と父さんと遥は翠くんの家にきている。
翠くんの家族の前で頭を下げている父さんと遥。
見たことがない形相で僕を睨めつけている緑兄。
翠くんの両親からは落胆の表情……
なぜか、翠くんの姿だけがない……
重い空気が流れるなか、口を開いたのは父さんだった。
「この度は、うちの楓が本当に申し訳ありませんでした。」
父さんが頭を下げると、続くように遥も頭を下げた。
この状況に頭が追い付けない僕は、両親の姿をただ見つめることしかできない。
普段は感じたことがない空気に重さがあるかのように、見えないなにかに全身が押し潰されるような感覚を感じたそのとき、空気が揺れた。
「頭を上げてください、我が家も翠の変化に気付けたはずなのに、きちんと見ていなかった……お互い様ではないでしょうか……」
翠くんの、お父さんの絞り出すように発する言葉……僕たちが何かをしでかしたのは間違いない、けれど何をしたのかが僕には分からなかった。
視界の端には、見たことがない目で僕を捕らえながらギリギリで感情をセーブしている緑兄の姿がみえる。
「ねぇ楓くん、翠を好きな気持ちは今もかわらない?」
おばちゃんの言っている意味が分からない、僕が翠くんの事を好きじゃなくなる事なんてないって、観察の時とかにも相談にのってくれたから知ってるはずなのに。
僕はその、言葉を聞いて気持ち悪い違和感を感じた。
「僕が翠くんを好きじゃなくなる事はないです、翠くんを幸せに出来るのは翠くんの家族以外では僕だけだと思ってるから」
僕の言葉を聞いた、おばちゃんはさっきまでの表情とは別人のような……いや、いつも僕の相談をのってくれていた時みたいな【いつも通り】の表情を僕に向けた。
「楓くん、そこまで翠の事を好きになってくれてありがとう、それでも……あなたたちは、まだ子供なんだから何が違うと感じた時には今までみたいに、相談してほしかったな。」
おばちゃんの言葉で重々しかった空気が軽くなるのを感じると同時に違和感を感じた。
――翠くんに、何かあったんですか?
僕の質問に反応したのは、おばちゃんではなく烈火のごとく怒りをあらわにした緑兄だった。
「何かあったじゃねぇだろ!若気の至りとかでは、到底ゆるせる範囲を越えている事をしやがって!俺の可愛い翠に……なんてことをしてくれたんだ……」
見たことがないほどに取り乱している緑兄。
僕がした事って……何?
「本当に申し訳ありません、可能性が0ではない限り私がきちんと楓に説明をするべきでした、ちょっとした違和感を、ありえないと思い込んでいた私にも責任があります。」
父さんが再び頭を下げると、翠くんのお父さんは席を立ち父さんのもとへと近づいた。
「私も妻も、有能とは言えなくてもαの端くれです、話を聞いたことがあっても実際に見たことはなかった、本当にそんなことが有るのかと半信半疑な所がありましたから、だからこそ我が家にも翠に伝えなかった責任があります、ここはお互い様ではないですか、これからは未熟な2人を見守っていきませんか?」
翠くんのお父さんの話を聞いて不安が沸き起こる……
――翠くんになにかあったの?
そう言葉にすると、指先が震えているのが分かる。
「楓くん、どんな翠でも変わらずに接してくれる?」
おばちゃんの言葉に頷くと、はじめから違和感があった事に気付く。
居るはずの翠くんの姿がないこと。
ここ数日は、なぜか翠くんが学校に来ていなかった事。
メッセのやり取りはしているのに、翠くんの姿をみていなかった事。
――翠の所へ行こう。
そう、おばちゃんに促され僕はおばちゃんと一緒に翠くんの部屋へと向かった。
この時の僕はまだ、翠くんがβからΩへと変わっているだなんて微塵も考えていなかった。
その行為が責任を生じる事だったなんて、そのときの僕まったく知るよしもなかった。
あれから数日後、僕と父さんと遥は翠くんの家にきている。
翠くんの家族の前で頭を下げている父さんと遥。
見たことがない形相で僕を睨めつけている緑兄。
翠くんの両親からは落胆の表情……
なぜか、翠くんの姿だけがない……
重い空気が流れるなか、口を開いたのは父さんだった。
「この度は、うちの楓が本当に申し訳ありませんでした。」
父さんが頭を下げると、続くように遥も頭を下げた。
この状況に頭が追い付けない僕は、両親の姿をただ見つめることしかできない。
普段は感じたことがない空気に重さがあるかのように、見えないなにかに全身が押し潰されるような感覚を感じたそのとき、空気が揺れた。
「頭を上げてください、我が家も翠の変化に気付けたはずなのに、きちんと見ていなかった……お互い様ではないでしょうか……」
翠くんの、お父さんの絞り出すように発する言葉……僕たちが何かをしでかしたのは間違いない、けれど何をしたのかが僕には分からなかった。
視界の端には、見たことがない目で僕を捕らえながらギリギリで感情をセーブしている緑兄の姿がみえる。
「ねぇ楓くん、翠を好きな気持ちは今もかわらない?」
おばちゃんの言っている意味が分からない、僕が翠くんの事を好きじゃなくなる事なんてないって、観察の時とかにも相談にのってくれたから知ってるはずなのに。
僕はその、言葉を聞いて気持ち悪い違和感を感じた。
「僕が翠くんを好きじゃなくなる事はないです、翠くんを幸せに出来るのは翠くんの家族以外では僕だけだと思ってるから」
僕の言葉を聞いた、おばちゃんはさっきまでの表情とは別人のような……いや、いつも僕の相談をのってくれていた時みたいな【いつも通り】の表情を僕に向けた。
「楓くん、そこまで翠の事を好きになってくれてありがとう、それでも……あなたたちは、まだ子供なんだから何が違うと感じた時には今までみたいに、相談してほしかったな。」
おばちゃんの言葉で重々しかった空気が軽くなるのを感じると同時に違和感を感じた。
――翠くんに、何かあったんですか?
僕の質問に反応したのは、おばちゃんではなく烈火のごとく怒りをあらわにした緑兄だった。
「何かあったじゃねぇだろ!若気の至りとかでは、到底ゆるせる範囲を越えている事をしやがって!俺の可愛い翠に……なんてことをしてくれたんだ……」
見たことがないほどに取り乱している緑兄。
僕がした事って……何?
「本当に申し訳ありません、可能性が0ではない限り私がきちんと楓に説明をするべきでした、ちょっとした違和感を、ありえないと思い込んでいた私にも責任があります。」
父さんが再び頭を下げると、翠くんのお父さんは席を立ち父さんのもとへと近づいた。
「私も妻も、有能とは言えなくてもαの端くれです、話を聞いたことがあっても実際に見たことはなかった、本当にそんなことが有るのかと半信半疑な所がありましたから、だからこそ我が家にも翠に伝えなかった責任があります、ここはお互い様ではないですか、これからは未熟な2人を見守っていきませんか?」
翠くんのお父さんの話を聞いて不安が沸き起こる……
――翠くんになにかあったの?
そう言葉にすると、指先が震えているのが分かる。
「楓くん、どんな翠でも変わらずに接してくれる?」
おばちゃんの言葉に頷くと、はじめから違和感があった事に気付く。
居るはずの翠くんの姿がないこと。
ここ数日は、なぜか翠くんが学校に来ていなかった事。
メッセのやり取りはしているのに、翠くんの姿をみていなかった事。
――翠の所へ行こう。
そう、おばちゃんに促され僕はおばちゃんと一緒に翠くんの部屋へと向かった。
この時の僕はまだ、翠くんがβからΩへと変わっているだなんて微塵も考えていなかった。
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