【BL】正統派イケメンな幼馴染が僕だけに見せる顔が可愛いすぎる!

ひつじのめい

文字の大きさ
46 / 51
2章

Switch

しおりを挟む
 あの時、僕は心から翠くんを僕だけのものにしてしまいたいと願ってしまった。

 その行為が責任を生じる事だったなんて、そのときの僕まったく知るよしもなかった。

 あれから数日後、僕と父さんと遥は翠くんの家にきている。

 翠くんの家族の前で頭を下げている父さんと遥。

 見たことがない形相で僕を睨めつけている緑兄。

 翠くんの両親からは落胆の表情……

 なぜか、翠くんの姿だけがない……

 重い空気が流れるなか、口を開いたのは父さんだった。

「この度は、うちの楓が本当に申し訳ありませんでした。」

 父さんが頭を下げると、続くように遥も頭を下げた。

 この状況に頭が追い付けない僕は、両親の姿をただ見つめることしかできない。

 普段は感じたことがない空気に重さがあるかのように、見えないなにかに全身が押し潰されるような感覚を感じたそのとき、空気が揺れた。

「頭を上げてください、我が家も翠の変化に気付けたはずなのに、きちんと見ていなかった……お互い様ではないでしょうか……」

 翠くんの、お父さんの絞り出すように発する言葉……僕たちが何かをしでかしたのは間違いない、けれど何をしたのかが僕には分からなかった。

 視界の端には、見たことがない目で僕を捕らえながらギリギリで感情をセーブしている緑兄の姿がみえる。

「ねぇ楓くん、翠を好きな気持ちは今もかわらない?」

 おばちゃんの言っている意味が分からない、僕が翠くんの事を好きじゃなくなる事なんてないって、観察の時とかにも相談にのってくれたから知ってるはずなのに。

 僕はその、言葉を聞いて気持ち悪い違和感を感じた。

「僕が翠くんを好きじゃなくなる事はないです、翠くんを幸せに出来るのは翠くんの家族以外では僕だけだと思ってるから」

 僕の言葉を聞いた、おばちゃんはさっきまでの表情とは別人のような……いや、いつも僕の相談をのってくれていた時みたいな【いつも通り】の表情を僕に向けた。

「楓くん、そこまで翠の事を好きになってくれてありがとう、それでも……あなたたちは、まだ子供なんだから何が違うと感じた時には今までみたいに、相談してほしかったな。」

おばちゃんの言葉で重々しかった空気が軽くなるのを感じると同時に違和感を感じた。

――翠くんに、何かあったんですか?

僕の質問に反応したのは、おばちゃんではなく烈火のごとく怒りをあらわにした緑兄だった。

「何かあったじゃねぇだろ!若気の至りとかでは、到底ゆるせる範囲を越えている事をしやがって!俺の可愛い翠に……なんてことをしてくれたんだ……」

 見たことがないほどに取り乱している緑兄。

 僕がした事って……何?

「本当に申し訳ありません、可能性が0ではない限り私がきちんと楓に説明をするべきでした、ちょっとした違和感を、ありえないと思い込んでいた私にも責任があります。」

 父さんが再び頭を下げると、翠くんのお父さんは席を立ち父さんのもとへと近づいた。

「私も妻も、有能とは言えなくてもαの端くれです、話を聞いたことがあっても実際に見たことはなかった、本当にそんなことが有るのかと半信半疑な所がありましたから、だからこそ我が家にも翠に伝えなかった責任があります、ここはお互い様ではないですか、これからは未熟な2人を見守っていきませんか?」

 翠くんのお父さんの話を聞いて不安が沸き起こる……

 ――翠くんになにかあったの?

 そう言葉にすると、指先が震えているのが分かる。

「楓くん、どんな翠でも変わらずに接してくれる?」


 おばちゃんの言葉に頷くと、はじめから違和感があった事に気付く。


 居るはずの翠くんの姿がないこと。

 ここ数日は、なぜか翠くんが学校に来ていなかった事。

 メッセのやり取りはしているのに、翠くんの姿をみていなかった事。

 ――翠の所へ行こう。

 そう、おばちゃんに促され僕はおばちゃんと一緒に翠くんの部屋へと向かった。

 この時の僕はまだ、翠くんがβからΩへと変わっているだなんて微塵も考えていなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

胎児の頃から執着されていたらしい

夜鳥すぱり
BL
好きでも嫌いでもない幼馴染みの鉄堅(てっけん)は、葉月(はづき)と結婚してツガイになりたいらしい。しかし、どうしても鉄堅のねばつくような想いを受け入れられない葉月は、しつこく求愛してくる鉄堅から逃げる事にした。オメガバース執着です。 ◆完結済みです。いつもながら読んで下さった皆様に感謝です。 ◆表紙絵を、花々緒さんが描いて下さいました(*^^*)。葉月を常に守りたい一途な鉄堅と、ひたすら逃げたい意地っぱりな葉月。

地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛

中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。 誰の心にも触れたくない。 無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。 その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。 明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、 偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。 無機質な顔の奥に隠れていたのは、 誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。 気づいてしまったから、もう目を逸らせない。 知りたくなったから、もう引き返せない。 すれ違いと無関心、 優しさと孤独、 微かな笑顔と、隠された心。 これは、 触れれば壊れそうな彼に、 それでも手を伸ばしてしまった、 不器用な男たちの恋のはなし。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

【完結】異世界から来た鬼っ子を育てたら、ガッチリ男前に育って食べられた(性的に)

てんつぶ
BL
ある日、僕の住んでいるユノスの森に子供が一人で泣いていた。 言葉の通じないこのちいさな子と始まった共同生活。力の弱い僕を助けてくれる優しい子供はどんどん大きく育ち――― 大柄な鬼っ子(男前)×育ての親(平凡) 20201216 ランキング1位&応援ありがとうごございました!

処理中です...