【BL】正統派イケメンな幼馴染が僕だけに見せる顔が可愛いすぎる!

ひつじのめい

文字の大きさ
19 / 51
1章

翠くんと交際(仮)

しおりを挟む
 翠くんの発した言葉の意味を理解した時に、僕の意思とは関係なく涙が勝手に零れてた……

 心のどこかでは、どっちも無理って言われたらと考えない訳ではなかった……

 色んな感情が混じり合って、なぜだか声を出すことが出来なかった。

「楓?」

 翠くんは僕の名前を呼ぶと、僕の背中に手を回しポンポンと叩いた。

 背中に感じる翠くんの手は、子供の頃に僕の手を引いてくれた時と変わらなくて、大きくて温かかった。

 本当に翠くんは格好いいな……

 僕がどんなにかっこつけても、絶対に敵わない……

 それでも……翠くんの隣に立つなら僕も覚悟を決めなければならない。

 都合が良いことに、お手本になるαが僕の周りには居るから相談にのって貰える。

  翠くん、ありがとう……

 そう伝えると僕は翠くんの肩に顔を埋めた。

「ねぇ……翠くん……」

 耳元で囁くと僕の声に反応をするように翠くんの体がピクッと動いたのを感じると、あらためて翠くんは僕の事が好きなのが伝わってきた。

「翠くん……お試しだけど、付き合ったって証拠がほしいな」

 翠くんは何かを考えているようで少しの間をおいてから、俺が渡せるものなら……いいよと答えてくれた。

 言質は取った、僕は翠くんと顔を合わせると翠くんの手を握ると、翠くんの顔に近付いた……

 お互いの鼻がふれそうに、なった時に目が合い思わず笑みがもれた……

「――翠くん……目を閉じて……」

  驚くほどに低く甘い声が僕から出てたのには驚いたけど、それ以上に素直に僕の言葉通り翠くんが、ゆっくりと目を閉じた事が驚きつつも、僕は翠くんの閉じられた目蓋に唇を重ねた。

 僕の記憶はこの後からは途切れていた。
 
 胸に残る微かな甘い痛みと、翠くんを抱きしめた時の体の柔らかさだけが生々しく残っていただけだった……
 
 ****

  今、自分の部屋のベッドに転がっている僕は、どうやって自分の部屋へと戻ってきたんだろう?

 けれど胸の中が凄く充たされているのに、苦しさも覚えた。

 はぁ~間違いなくあと時、翠くんが僕の腕の中にいた……
 抱きしめてる感覚は今も残っている。

 たとえ(仮)だとしても、やっと……やっと翠くんの隣に立てることができた。

 ふわふわした感覚が心地よくて、今日は眠れそうになかったのもあって、僕は頭を整理する時間も必要なんだろうなと思った。

 αであることは隠さない……

 その事で一つだけ気になって居るのは空くんの事だった。

  あきらかに分かる程にαを怖がる空くん……

 先生の前に付き合ってた人がΩだった、幸せそうな空くんが一方的に別れを告げられた時、驚くほどに荒れて、見ていられないほどに苦しんでいたのを見てきた。

 空くんに伝えたら怖がらせてしまうかな……

 隠していた事で軽蔑されるかな……

 考え出すと、さっきまでのふわふわしていた頭の中が一気に冷静になってくる。

 空くんにαでも受け入れてほしい……

 そうだ、光くんにも報告した方がいいよな……でも光くんは若干、気付いてそうなのが分かるから、空くんと同じく敢えて聞かないでいてくれてるのだろう……。

 明日、聞いて欲しい話があるんだけど

 気付いた時には2人にReinでメッセージを送信していた。

 僕が、2人への説明をシミュレーションしていると部屋のドアがたたかれ、遥が顔を出した。

「楓、やっぱり髪を乾かしてなかったんだ……」

  手に持ったドライヤーを僕に見せながら入ってもいい?と笑顔を向けていた。

 僕が頷くの確認してから部屋に入るとドライヤーの準備をすると腰を下ろし、僕においでと声をかけた。

  遥の前に腰を下ろすと、少し前まで赤ちゃんだったのに今は僕よりも大きくなったね……

  昔を懐かしむような柔らかな声に目を閉じると、遥に髪を乾かして貰うのは小学校低学年の頃ぶりだと思うと、少し恥ずかしくなった。
「ねぇ、遥はどうやって父さんと付き合う事になったの?」

  遥は僕の髪を乾かす手を止めずに恥ずかしいと言いながらも僕に教えてくれた。

  初め遥は父さんと接点をもたないように気を付けていたと言う事。 

 それなのに、父さんが諦めずに追いかけていたらしい……時には見つからない様に陰から見ていた時もあったみたいだけど遥は気付いていたと、聞いて僕の観察も翠くんが気付いていたらと思うと恥ずかしくて顔が熱くなった。

「結局、僕がヒートを起こしてしまった時に助けてくれたのがなぎさんで、そこから一気に距離が縮まったんだよ」

 みなまで聞くつもりは無いけど時期的に考えて……その時から少しして僕が出来たのが分かったんだろうな……

 僕が生まれる前に結婚したと、じぃちゃんが言ってたから、なんとなくで理解はしている。

 「反対はされなかった?」

 遥が頷いたのがわかった、そしてドライヤーの音が鳴りやんだ時に遥は僕の耳に触れると、ため息混じりに自分の事を傷つけないでと呟いた。

 僕は遥の方へと体を向けて笑顔を見せた。

「誰かの為にかっこよくなりたくて、その為の痛みなら全然痛くないよ……むしろ嬉しくて痛みは感じなかったよ」

 そう言うと、遥は少しだけ困ったような顔をしていたけれど、目を細めると見た目は僕に似ているのに性格は渚さんにそっくりだと笑った。

「――嫌なんだけど……」

 咄嗟にでた言葉に遥は声を出して笑っていた。

  両親を見てるとバース関係なく仲良くなれるって分かるから……

 明日、空くんと光くんにちゃんと話そう……

 その前に、遥にも聞いて欲しい事がある。

「遥……僕ね、翠くんと付き合うことになったよ。」

 そう話した時、遥は凄く嬉しそうな顔をしていた。

「まだ……(仮)なんだけど……」

  遥は、ふふふと笑うと翠くんは楓のヒーローだけど一筋縄ではいかないんだねと言いながら僕の頭のを撫でてくれた、遥から見たら僕はまだ子供なのかな……

 確かに大人ではない……けれど子供でもないとは思うんだけどな……

「楓、教えてくれて嬉しいよ。」

 僕の目をしっかりと見て遥は口にした。

 僕は少しだけ、はにかみなかがらも……

 どういたしましてと答えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結済】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!

キノア9g
BL
モテたくて完璧な幼馴染に弟子入りしたら、なぜか俺が溺愛されてる!? あらすじ 「俺は将来、可愛い奥さんをもらって温かい家庭を築くんだ!」 前世、ブラック企業で過労死した社畜の俺(リアン)。 今世こそは定時退社と幸せな結婚を手に入れるため、理想の男「スパダリ」になることを決意する。 お手本は、幼馴染で公爵家嫡男のシリル。 顔よし、家柄よし、能力よしの完璧超人な彼に「弟子入り」し、その技術を盗もうとするけれど……? 「リアン、君の淹れたお茶以外は飲みたくないな」 「君は無防備すぎる。私の側を離れてはいけないよ」 スパダリ修行のつもりが、いつの間にか身の回りのお世話係(兼・精神安定剤)として依存されていた!? しかも、俺が婚活をしようとすると、なぜか全力で阻止されて――。 【無自覚ポジティブな元社畜】×【隠れ激重執着な氷の貴公子】 「君の就職先は私(公爵家)に決まっているだろう?」 全8話

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

溺愛の加速が尋常じゃない!?~味方作りに全振りしたら兄たちに溺愛されました~

液体猫(299)
BL
毎日AM2:10分に予約投稿。  *執着脳筋ヤンデレイケメン×儚げ美人受け   【《血の繋がりは"絶対"ではない。》この言葉を胸に、クリスがひたすら生きる物語】  大陸の全土を治めるアルバディア王国の第五皇子クリスは謂れのない罪を背負わされ、処刑されてしまう。  けれど次に目を覚ましたとき、彼は子供の姿になっていた。  これ幸いにと、クリスは過去の自分と同じ過ちを繰り返さないようにと自ら行動を起こす。巻き戻す前の世界とは異なるけれど同じ場所で、クリスは生き残るために知恵を振り絞っていく。  かわいい末っ子が兄たちに可愛がられ、溺愛されていくほのぼの物語。やり直しもほどほどに。罪を着せた者への復讐はついで。そんな気持ちで、新たな人生を謳歌するマイペースで、コミカル&シリアスなクリスの物語です。  主人公は後に18歳へと成長します(*・ω・)*_ _)ペコリ ⚠️濡れ場のサブタイトルに*のマークがついてます。冒頭のみ重い展開あり。それ以降はコミカルでほのぼの✌ ⚠️本格的な塗れ場シーンは三章(18歳になって)からとなります。

【完結】アイドルは親友への片思いを卒業し、イケメン俳優に溺愛され本当の笑顔になる <TOMARIGIシリーズ>

はなたろう
BL
TOMARIGIシリーズ② 人気アイドル、片倉理久は、同じグループの伊勢に片思いしている。高校生の頃に事務所に入所してからずっと、2人で切磋琢磨し念願のデビュー。苦楽を共にしたが、いつしか友情以上になっていった。 そんな伊勢は、マネージャーの湊とラブラブで、幸せを喜んであげたいが複雑で苦しい毎日。 そんなとき、俳優の桐生が現れる。飄々とした桐生の存在に戸惑いながらも、片倉は次第に彼の魅力に引き寄せられていく。 友情と恋心の狭間で揺れる心――片倉は新しい関係に踏み出せるのか。 人気アイドル<TOMARIGI>シリーズ新章、開幕!

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

処理中です...