【BL】正統派イケメンな幼馴染が僕だけに見せる顔が可愛いすぎる!

ひつじのめい

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1章

翠くんが僕の部屋に

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 今日の最後の授業を終えるチャイムが鳴ると、緊張からか身体が固くなるのを感じ始めたとき後ろから強烈な一撃が飛んできた。

「今日、ちゃんと話すんだろ?マジがんばれよ!」

 空くんの笑顔を見ると身体が解れたのが分かった、背中が痛いのは変わりなかったけど……

「楓くん大丈夫だよ、僕なんとなくだけど会長も楓くんと同じ気持ちにしか見えないから素直に伝えて来てね」

 緊張しすぎてお腹が痛くなってきた時、クラスメイトの視線が後ろの扉に注がれているみたいだった。

 光くんは一瞬おどろいて、にっこりと僕の顔をみた……

 空くんに、後ろと言われて振り替えると息を切らしている翠くんが立っているのが見えた。

 ――翠くん……

 「あっ……この後、楓の事を借りても良いかな?」

 翠くんの言葉に胸が跳ねた……でも期待しすぎないようにしないとと思っていると空くんと光くんに荷物を持たされ、頑張れと物理的に背中を押された。

 振り返るとクラスメイトが応援をしてくれてるのが痛いほど伝わってきて泣きそうになるのを堪えるのが大変だった。

「――楓に話したいことがあるんだ……」

 そう話す翠くんの顔が昨日の表情とは、あきらかに違い何の話を、されるのだろうと考えるとだけで怖くないと言ったら嘘になりそうだ。

 なんとなく翠くんの後ろを無言で歩いていると、翠くんが隣を歩いてよと困った様な笑みを浮かべていた。


「楓、昨日はゴメンな……俺は楓が思ってるほど格好よくはないんだよ……」

 そんな事はないと言いたかった……でも今日は翠くんの話をちゃんと聞くと決めたんだ……

「楓の前では格好よくいたかったんだけどね……」

 伏せられた睫毛が憂いを漂わせている姿すらも僕には魅力的に見える……どんな翠くんでも好きなんだけどな……

「どこかで、ゆっくり話せる所に行こう」

 僕は翠くんに僕の家じゃダメかな?と尋ねれば、いいよと答えてくれた。

 ✽✽✽✽

 家に着いた時には、遥はまだ帰宅していなかった事もあり、翠くんに先に僕の部屋に行って貰って僕は飲み物を用意しながらも冷静さを保てるようにと、気持ちを切り替えてから飲み物を持って部屋へと向かった。

「翠くん、座ってれば良かったのに……」

 部屋に入ると翠くんは立ったままシェルフに飾った写真立てを見ていた。

今日、翠くんを部屋に呼んで話をするつもりで敢えて隠さなかった翠くんを隠し撮りした何枚かの写真に翠くんが気づいたみたいだった。

「気持ち悪いでしょ……でも僕は悪いことはしてないから謝らないよ……」

 翠くんの横顔からは感情は読み取れないけれど……気持ちが良いものではない行為だと言う事は僕だって分かる……

「翠くん座って……」

  僕の目の前に、翠くんが座ったのを確認して飲み物を差し出した。

 若干の沈黙の後に先に声を出したのは翠くんだった。

「楓、昨日は本当にごめん……俺、帰ってから自分の事しか考えてなかった事に改めて気づいたんだ……本当にごめん……泣かせてごめん……」

 僕が頷くと、翠くんはほっとしたような顔をした後に大きく息を吐いて真っ直ぐに僕を見据えた。

「楓は本当にαなの?それなのにβの俺が彼氏でも良いと思えるの?」

 真っ直ぐに僕を見つめる瞳には僕だけが写し出されているのを見て、翠くんが僕だけを見ていると思うと顔が火照った。

「本当にαだよ……それでも僕は翠くんじゃないと嫌だバースは関係ない、僕が好きな人は翠くんだから……僕の最初も最後も翠くんじゃないと嫌だ……」

 僕の言葉を聞いた翠くんの目が大きく見開かれると同時に翠くんの瞳がゆらゆらと揺らめいていた……

 あきらかに動揺しているのが分かったけれど、翠くんから素直な言葉を引き出したい……

「――それって……楓は今まで、そういう関係になった人は居ないってこと……」

 僕が頷くと、翠くんは凄い勢いで僕に頭を下げた。

「俺の勝手な思い込みで、楓を傷つける事を言って本当にゴメン、謝ったところで許せることじゃないと思う……ひどい事を言ってごめん……」

 翠くんの表情は分からないけれど指先が小刻みに震えているのを見て、やっぱり僕は翠くんの事を手放せないと思った。

「翠くん、僕は怒ってないよ……翠くん以外の誰かを好きになると思われたことが悲しくて苦しかった……」

 翠くんに、頭を上げてと言いたいけれど……たぶん翠くんの顔が涙で濡れていそうで、言葉にする事ができなかった。

 いつもより、穏やかな声色で翠くんに話をかける事だけが今の僕に出来る事だと改めて思った。

 翠くんは僕の事が嫌いなの?と尋ねれば、やっと僕が望んでいた言葉……好きだと答えてくれた。

 翠くんの口から発せれた『好き』の2文字の言葉は今まで苦しかった事などがリセットされる程に僕にとって幸せな言葉だった。

「ねぇ翠くん……僕が翠くんを隠し撮りをして、しかもそれを内緒で部屋に飾ってるのは気持ち悪くない?」

 涙声の翠くんは、途切れ途切れではあったけど気持ち悪いなんて思ったことはないと答えてくれた。

 その一言で僕がどれほど嬉しかったか翠くんには分からないだろう、自分の事を肯定してくれた……それだけで僕は嬉しかった……

  僕は翠くんの隣に移動すると翠くんの頬に両手を添え僕の方へと顔を向けさせた。

 ――やっぱり……泣いていた……

「楓、本当にごめん……傷つけて……泣かせてごめん……βでごめん……」

 最後の言葉を絞り出すように放った翠くんに僕の胸が締め付けられた。

 「翠くん……もし嫌じゃなかったらギューしてもいい?」

 翠くんの涙に濡れた顔が小さく縦に動いたと同時に僕は翠くんを腕のなかに閉じ込めた……

 やっと……捕まえた……もう絶対に離してあげない……

「僕は翠くんがいいんだよ……βなんて僕にとったらただのアルファベットにしかすぎない……小野寺翠おのでらすいが好きで好きで仕方ないんだ……だから翠くん……」

 そこまで言った時に、翠くんに言葉を遮られた……この期に及んでまだ僕の翠くんに……なってくれないのかと思った時、僕の胸元に顔を付けていた翠くんが僕の方へと顔を向けた。

「楓……2ヶ月後に神社で行われる祭りの時に、俺から楓に伝える……だから、それまで仮のままで居たい……」

 頭をフル回転で考えれば別れなくても良いと言う事、翠くんから僕に告白をしてくれると言う事……そんな僕にとってご褒美みたいな事を断る人が居るのだろうか?

 僕は翠くんの耳元に顔を近づけると、待ってるねとだけ伝えると、翠くんを捕らえている腕に力をいれた。

 僕の胸でモゴモゴと動いている翠くんが愛らしくて、腕を離したくないと思っていると部屋のドアを叩く音がした。

「楓、帰ってるの?誰か来ているなら何か持ってこようか?」

 遥の声に、悪いことをしている訳ではないのに心臓が凄い勢いで暴れだし口から出そうになる。

「自分で用意したから大丈夫、遥は下にいていいよ……」

 何故か早口になってしまったけれど、遥は何か欲しいものがあったら取りに来てねとドア越しに言うと下へと降りていった。

 ドキドキドキ

 僕の音なのか……翠くんの音なのか……分からないけど心地よい胸の痛みを感じた。

「楓……そろそろこの体勢が恥ずかしくなってきた……」

 そう言いながら僕の腕から抜け出た翠くんは少し汗ばんだ顔は今まで見たことが無いほどに艶っぽかった。

 そしてあの時、翠くん部屋で香ってきた甘い香りが、僕の部屋に充満している事に気付いた。

 そうか……この香りは翠くんの香りなんだと、この時やっと理解をした。

「お祭りの日、俺からちゃんと話すから……」

 そう話す翠くんを見て、悪い返事ではないと何故だか確信していた。
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