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1章
空くんと光くんのコーディネート
――あの日から気が付くと月が変わっていた、日差しも強くなって夏が本格化してきたみたいだった。
翠くんが付けてくれた印も今では分からなくなってしまったけれど、翠くんの唇の感覚だけは生々しく身体が覚えていて現実だったと理解できる。
「楓、そんなにショックなら翠先輩に、また付けてもらえばいいじゃね?」
空くんの言葉に、あの日の事を思い出すと顔から火が出そうだった……
「えっ……そんな風に赤面されるとどうしたら、いいか分からなくなる……」
なんとなく空くんと2人でモジモジしていると光くんが不思議そうな顔をして僕を見ていた。
「楓くんと翠先輩って、やることやってるのに、なんでそんなに恥ずかしがるの?」
光くんの、とんでも発言に僕の口は閉じることを忘れてしまった。
光くんは、いつも通りの表情をしながら再び口を開いた。
「熱烈な印を付けられたなら、何もないとは考えられいよね?――あっ、楓くん卒業おめでとうございます」
僕に頭を下げた光に空くんが、俺はその話は聞いてないぞとショックを受けているようだった。
「――まだ……卒業してないよ……」
僕の言葉に今度は2人の口が開きっぱなしになっていた。
「――えっと……あえて聞かなかったけど、どんな状況だったんだよマジで……」
ざっくりと話をすると2人は信じられないといった表情をしていた。
空くんに関しては若干、哀れみの目を向けていていたたまれなかった……。
「――今週末には神社のお祭りがあるから……僕は大丈夫だよ……」
聞かれてもいないのに、取って付けたような言葉を僕が発すると、空くんが何かを思い付いたようで僕の肩を叩いた……もちろん加減なんてしてくれないから痛かった……。
「祭りってさ、翠先輩が結論を出すって日だよな?その日に、めっちゃ格好いい感じでいけば、いいんじゃね?」
そう言いながら、空くんは僕の髪をいじりながらアレンジ楽しそうと言った。
――どうしてだろう……空くんに髪を触られても何とも思わないのに、翠くんに触られた時は凄く安心感があった。
「楓くん、ここは浴衣を着て翠先輩をメロメロにするのも有りだと僕は思うな……」
光くんの言葉に、空くんは顔を輝かせた。
「トータル・コーディネート俺にまかせてくれない?」
僕は空くんの勢いに押されるかたちで断れずに頷いた。
光くんも僕も参加したいと言い、今日の授業が終わったら空くんの家に行くことにした。
「楓、今日も翠先輩と帰る約束してるんじゃねぇの?一応、おれ達と帰るって伝えといたほうが良いんじゃね?」
帰る約束はしてない……毎日、翠くんが靴箱に来るのを待って一緒に帰ってるだけ……
それでも、翠くんに話しに行かなければと思い授業の終了のチャイムと同時に教室を飛び出した。
通い慣れた翠くんの教室……
今ではもう、僕を傷付けるような声は聞こえなくなった、代わりに分かりやすい程に手のひらを返した言葉しか聞こえてこない、それも翠くんが注意をしてくれた事で僕の耳には入らなくなった。
教室の入り口の近くの人に、翠くんを呼んで欲しいとお願いするとすぐに呼んでくれて、翠くんが僕のもとへと笑ながら来てくれた。
翠くんに、教室まで来てごめんねと伝えると、大丈夫だよと笑っていた。
「――翠くん、今日ね空くんと光くんと帰るから明日、一緒に帰れる?お祭りの事も決めたい。」
そう言うと何故か翠くんの眉がピクリと動いたように見えた。
「分かった……明日は俺が楓を教室まで迎えにいっても大丈夫?」
――なんだか違和感を感じる……笑っているのに目が笑っていないような感覚に僕は頷くことしか出来なかった。
楓……そう呼ばれて、翠くんが僕の耳元に顔を近づけると、あまり遅くならないようにねと言われると、もしかして嫉妬してくれてるのかな……なんて勝手な思い込みをしていると、なんだか胸のあたりが少しくすぐったかった。
****
「楓は、どんな感じで行きたい?」
空くんに聞かれてすぐに思い浮かんだのが、翠くんが好きそうな可愛い感じが、いいなと思った。
「可愛い感じがいい」
空くんが真顔になってキャラちがくね?と言うと光くんはギャップありそうだねと笑った……
空くんの家に向かう途中、空くんと光くんが僕がどんな感じが似合うか、可愛くなれるかを考えてくれてた。
空くんの家に着くと、空くんの部屋へと通された。
「空くんの部屋は相変わらずだね」
空くんは、褒め言葉だと受けとると笑っていた。
空くんの部屋には、メイク道具やヘアケア用品が並んでいる……前に来た時よりも数が増えているのは、季節によって使うものを変えているのかもしれない。
「空くんって何気にお洒落男子だよね」
光くんの言葉に何故か空くんは照れていた……
「まぁ座れよ」
照れ隠しなのか、ぶっきらぼうに言うと棚からスケッチブックを取り出し僕たちの前に開いた。
ページを開くと、空くんの才能が溢れているのが目に飛び込んできた。
「――すごい……」
光くんがもらした言葉に僕も同感だった。
髪の長さ別にアレンジされたイラストが、たくさん描かれていた。
「楓はどんな感じの浴衣が好み?」
真剣な顔になった空くんを見て、将来を見据えてる空くんは格好いいと思った。
「楓くん的にはどんな感じだと、しっくりくる?可愛い感じだと色とかで可愛くする?」
2人が色々と考えてくれているのを見て凄く嬉しくて、僕の気付かなかった『似合う』を探してくれているのも楽しかった。
「僕は、空くんがアレンジしてくれるハーフアップは好きだな」
そう話すと、空くんは考えながらもデートなんだから、それっぽい感じが良くないか?と言っていた。
そんな時、何かを思い付いた光くんが目をキラキラとさせていた。
「――淡い色味とかどうかな……」
光くんの提案に空くんは、それだ!と言うと凄い勢いで部屋を出ていった。
僕……大きくなってから浴衣って着たことないけど大丈夫なのかな……そんな不安な気持ちが分かったのか光くんがニコニコしながら口を開いた。
「遥先生の浴衣姿も眩しいくらい綺麗だったから、楓くんも似合うはずだよ……そして間違いなく可愛いと思う。」
うっとりとした表情の光くんに色々と、聞きた事が多いけど……本能がやめておけと警告していた。
待たせてゴメンと戻ってきた空くんの手には何着かの浴衣が乗せられていた。
「兄貴達の浴衣だから、楓でも着れると思うんだ……」
そう言いながら空くんは、淡い色味の浴衣をベッドへと並べると、どれが似合うかな?と言いながら楽しそうにしていた。
将来は美容師になりたいと言っていた空くん、同じ年なのに凄いなと思った。
「楓は、どんな感じが良い?濃い色より可愛い感じなら淡い方がいいかなと思うだよな……」
空くんに言われて、1つ1つ見させて貰って、一着の浴衣に目を奪われた。
エメラルドグリーンの綺麗な色をした浴衣……そして朱色の金魚が施された帯……
「僕はこれが、いい……」
そう言うと空くんはすぐに、僕に浴衣を合わせると頷いた。
光くんも、似合っているよと言ってくれた。
「よし、これに決まりだな、当日は店のほうに来いよ、着付けは母さんに頼んでおくし、ヘアメは俺がやるから貴重品だけもってこいよ」
僕が思っている以上に2人は、僕と翠くんの事を気にかけてくれていると思うと目の奥が熱くなった。
「楓くん、そのままの楓くんで絶対に大丈夫だから、楽しんできてね」
光くんとの付き合いは本当に短いのに……色々と相談にのってくれたりと、友達になるのに時間は関係ないと思いながらも、2人の顔を上手く見ることが出来ずに顔を伏せて気持ちを伝えた。
「――ありがとう……」
僕の頭をグリグリと撫で回しながら、頑張ってこいと言った空くん、リラックスだよ~と声をかけてくれた光くん。
正直、翠くんからの言葉を受けるのに緊張しないと言ったら嘘になるけれど、応援してくれる人が居ると思うと勇気が出た。
当日、僕は2人が選んでくれた浴衣を着て翠くんに会いに行く。
翠くんが付けてくれた印も今では分からなくなってしまったけれど、翠くんの唇の感覚だけは生々しく身体が覚えていて現実だったと理解できる。
「楓、そんなにショックなら翠先輩に、また付けてもらえばいいじゃね?」
空くんの言葉に、あの日の事を思い出すと顔から火が出そうだった……
「えっ……そんな風に赤面されるとどうしたら、いいか分からなくなる……」
なんとなく空くんと2人でモジモジしていると光くんが不思議そうな顔をして僕を見ていた。
「楓くんと翠先輩って、やることやってるのに、なんでそんなに恥ずかしがるの?」
光くんの、とんでも発言に僕の口は閉じることを忘れてしまった。
光くんは、いつも通りの表情をしながら再び口を開いた。
「熱烈な印を付けられたなら、何もないとは考えられいよね?――あっ、楓くん卒業おめでとうございます」
僕に頭を下げた光に空くんが、俺はその話は聞いてないぞとショックを受けているようだった。
「――まだ……卒業してないよ……」
僕の言葉に今度は2人の口が開きっぱなしになっていた。
「――えっと……あえて聞かなかったけど、どんな状況だったんだよマジで……」
ざっくりと話をすると2人は信じられないといった表情をしていた。
空くんに関しては若干、哀れみの目を向けていていたたまれなかった……。
「――今週末には神社のお祭りがあるから……僕は大丈夫だよ……」
聞かれてもいないのに、取って付けたような言葉を僕が発すると、空くんが何かを思い付いたようで僕の肩を叩いた……もちろん加減なんてしてくれないから痛かった……。
「祭りってさ、翠先輩が結論を出すって日だよな?その日に、めっちゃ格好いい感じでいけば、いいんじゃね?」
そう言いながら、空くんは僕の髪をいじりながらアレンジ楽しそうと言った。
――どうしてだろう……空くんに髪を触られても何とも思わないのに、翠くんに触られた時は凄く安心感があった。
「楓くん、ここは浴衣を着て翠先輩をメロメロにするのも有りだと僕は思うな……」
光くんの言葉に、空くんは顔を輝かせた。
「トータル・コーディネート俺にまかせてくれない?」
僕は空くんの勢いに押されるかたちで断れずに頷いた。
光くんも僕も参加したいと言い、今日の授業が終わったら空くんの家に行くことにした。
「楓、今日も翠先輩と帰る約束してるんじゃねぇの?一応、おれ達と帰るって伝えといたほうが良いんじゃね?」
帰る約束はしてない……毎日、翠くんが靴箱に来るのを待って一緒に帰ってるだけ……
それでも、翠くんに話しに行かなければと思い授業の終了のチャイムと同時に教室を飛び出した。
通い慣れた翠くんの教室……
今ではもう、僕を傷付けるような声は聞こえなくなった、代わりに分かりやすい程に手のひらを返した言葉しか聞こえてこない、それも翠くんが注意をしてくれた事で僕の耳には入らなくなった。
教室の入り口の近くの人に、翠くんを呼んで欲しいとお願いするとすぐに呼んでくれて、翠くんが僕のもとへと笑ながら来てくれた。
翠くんに、教室まで来てごめんねと伝えると、大丈夫だよと笑っていた。
「――翠くん、今日ね空くんと光くんと帰るから明日、一緒に帰れる?お祭りの事も決めたい。」
そう言うと何故か翠くんの眉がピクリと動いたように見えた。
「分かった……明日は俺が楓を教室まで迎えにいっても大丈夫?」
――なんだか違和感を感じる……笑っているのに目が笑っていないような感覚に僕は頷くことしか出来なかった。
楓……そう呼ばれて、翠くんが僕の耳元に顔を近づけると、あまり遅くならないようにねと言われると、もしかして嫉妬してくれてるのかな……なんて勝手な思い込みをしていると、なんだか胸のあたりが少しくすぐったかった。
****
「楓は、どんな感じで行きたい?」
空くんに聞かれてすぐに思い浮かんだのが、翠くんが好きそうな可愛い感じが、いいなと思った。
「可愛い感じがいい」
空くんが真顔になってキャラちがくね?と言うと光くんはギャップありそうだねと笑った……
空くんの家に向かう途中、空くんと光くんが僕がどんな感じが似合うか、可愛くなれるかを考えてくれてた。
空くんの家に着くと、空くんの部屋へと通された。
「空くんの部屋は相変わらずだね」
空くんは、褒め言葉だと受けとると笑っていた。
空くんの部屋には、メイク道具やヘアケア用品が並んでいる……前に来た時よりも数が増えているのは、季節によって使うものを変えているのかもしれない。
「空くんって何気にお洒落男子だよね」
光くんの言葉に何故か空くんは照れていた……
「まぁ座れよ」
照れ隠しなのか、ぶっきらぼうに言うと棚からスケッチブックを取り出し僕たちの前に開いた。
ページを開くと、空くんの才能が溢れているのが目に飛び込んできた。
「――すごい……」
光くんがもらした言葉に僕も同感だった。
髪の長さ別にアレンジされたイラストが、たくさん描かれていた。
「楓はどんな感じの浴衣が好み?」
真剣な顔になった空くんを見て、将来を見据えてる空くんは格好いいと思った。
「楓くん的にはどんな感じだと、しっくりくる?可愛い感じだと色とかで可愛くする?」
2人が色々と考えてくれているのを見て凄く嬉しくて、僕の気付かなかった『似合う』を探してくれているのも楽しかった。
「僕は、空くんがアレンジしてくれるハーフアップは好きだな」
そう話すと、空くんは考えながらもデートなんだから、それっぽい感じが良くないか?と言っていた。
そんな時、何かを思い付いた光くんが目をキラキラとさせていた。
「――淡い色味とかどうかな……」
光くんの提案に空くんは、それだ!と言うと凄い勢いで部屋を出ていった。
僕……大きくなってから浴衣って着たことないけど大丈夫なのかな……そんな不安な気持ちが分かったのか光くんがニコニコしながら口を開いた。
「遥先生の浴衣姿も眩しいくらい綺麗だったから、楓くんも似合うはずだよ……そして間違いなく可愛いと思う。」
うっとりとした表情の光くんに色々と、聞きた事が多いけど……本能がやめておけと警告していた。
待たせてゴメンと戻ってきた空くんの手には何着かの浴衣が乗せられていた。
「兄貴達の浴衣だから、楓でも着れると思うんだ……」
そう言いながら空くんは、淡い色味の浴衣をベッドへと並べると、どれが似合うかな?と言いながら楽しそうにしていた。
将来は美容師になりたいと言っていた空くん、同じ年なのに凄いなと思った。
「楓は、どんな感じが良い?濃い色より可愛い感じなら淡い方がいいかなと思うだよな……」
空くんに言われて、1つ1つ見させて貰って、一着の浴衣に目を奪われた。
エメラルドグリーンの綺麗な色をした浴衣……そして朱色の金魚が施された帯……
「僕はこれが、いい……」
そう言うと空くんはすぐに、僕に浴衣を合わせると頷いた。
光くんも、似合っているよと言ってくれた。
「よし、これに決まりだな、当日は店のほうに来いよ、着付けは母さんに頼んでおくし、ヘアメは俺がやるから貴重品だけもってこいよ」
僕が思っている以上に2人は、僕と翠くんの事を気にかけてくれていると思うと目の奥が熱くなった。
「楓くん、そのままの楓くんで絶対に大丈夫だから、楽しんできてね」
光くんとの付き合いは本当に短いのに……色々と相談にのってくれたりと、友達になるのに時間は関係ないと思いながらも、2人の顔を上手く見ることが出来ずに顔を伏せて気持ちを伝えた。
「――ありがとう……」
僕の頭をグリグリと撫で回しながら、頑張ってこいと言った空くん、リラックスだよ~と声をかけてくれた光くん。
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当日、僕は2人が選んでくれた浴衣を着て翠くんに会いに行く。
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