【BL】正統派イケメンな幼馴染が僕だけに見せる顔が可愛いすぎる!

ひつじのめい

文字の大きさ
29 / 51
1章

空くんと光くんのコーディネート

 ――あの日から気が付くと月が変わっていた、日差しも強くなって夏が本格化してきたみたいだった。

 翠くんが付けてくれたしるしも今では分からなくなってしまったけれど、翠くんの唇の感覚だけは生々しく身体が覚えていて現実だったと理解できる。

「楓、そんなにショックなら翠先輩に、また付けてもらえばいいじゃね?」

 空くんの言葉に、あの日の事を思い出すと顔から火が出そうだった……

「えっ……そんな風に赤面されるとどうしたら、いいか分からなくなる……」

 なんとなく空くんと2人でモジモジしていると光くんが不思議そうな顔をして僕を見ていた。

「楓くんと翠先輩って、やることやってるのに、なんでそんなに恥ずかしがるの?」

 光くんの、とんでも発言に僕の口は閉じることを忘れてしまった。

 光くんは、いつも通りの表情をしながら再び口を開いた。

「熱烈な印を付けられたなら、何もないとは考えられいよね?――あっ、楓くん卒業おめでとうございます」

 僕に頭を下げた光に空くんが、俺はその話は聞いてないぞとショックを受けているようだった。

「――まだ……卒業してないよ……」

 僕の言葉に今度は2人の口が開きっぱなしになっていた。

「――えっと……あえて聞かなかったけど、どんな状況だったんだよマジで……」

 ざっくりと話をすると2人は信じられないといった表情をしていた。

 空くんに関しては若干、哀れみの目を向けていていたたまれなかった……。

「――今週末には神社のお祭りがあるから……僕は大丈夫だよ……」

 聞かれてもいないのに、取って付けたような言葉を僕が発すると、空くんが何かを思い付いたようで僕の肩を叩いた……もちろん加減なんてしてくれないから痛かった……。

「祭りってさ、翠先輩が結論を出すって日だよな?その日に、めっちゃ格好いい感じでいけば、いいんじゃね?」

 そう言いながら、空くんは僕の髪をいじりながらアレンジ楽しそうと言った。

――どうしてだろう……空くんに髪を触られても何とも思わないのに、翠くんに触られた時は凄く安心感があった。

「楓くん、ここは浴衣を着て翠先輩をメロメロにするのも有りだと僕は思うな……」

 光くんの言葉に、空くんは顔を輝かせた。

「トータル・コーディネート俺にまかせてくれない?」

 僕は空くんの勢いに押されるかたちで断れずに頷いた。

 光くんも僕も参加したいと言い、今日の授業が終わったら空くんの家に行くことにした。

「楓、今日も翠先輩と帰る約束してるんじゃねぇの?一応、おれ達と帰るって伝えといたほうが良いんじゃね?」

 帰る約束はしてない……毎日、翠くんが靴箱に来るのを待って一緒に帰ってるだけ……

 それでも、翠くんに話しに行かなければと思い授業の終了のチャイムと同時に教室を飛び出した。

 通い慣れた翠くんの教室……

 今ではもう、僕を傷付けるような声は聞こえなくなった、代わりに分かりやすい程に手のひらを返した言葉しか聞こえてこない、それも翠くんが注意をしてくれた事で僕の耳には入らなくなった。

 教室の入り口の近くの人に、翠くんを呼んで欲しいとお願いするとすぐに呼んでくれて、翠くんが僕のもとへと笑ながら来てくれた。

 翠くんに、教室まで来てごめんねと伝えると、大丈夫だよと笑っていた。

「――翠くん、今日ね空くんと光くんと帰るから明日、一緒に帰れる?お祭りの事も決めたい。」

 そう言うと何故か翠くんの眉がピクリと動いたように見えた。

「分かった……明日は俺が楓を教室まで迎えにいっても大丈夫?」

  ――なんだか違和感を感じる……笑っているのに目が笑っていないような感覚に僕は頷くことしか出来なかった。

  楓……そう呼ばれて、翠くんが僕の耳元に顔を近づけると、あまり遅くならないようにねと言われると、もしかして嫉妬してくれてるのかな……なんて勝手な思い込みをしていると、なんだか胸のあたりが少しくすぐったかった。

****

 「楓は、どんな感じで行きたい?」

 空くんに聞かれてすぐに思い浮かんだのが、翠くんが好きそうな可愛い感じが、いいなと思った。

「可愛い感じがいい」

 空くんが真顔になってキャラちがくね?と言うと光くんはギャップありそうだねと笑った……

 空くんの家に向かう途中、空くんと光くんが僕がどんな感じが似合うか、可愛くなれるかを考えてくれてた。

 空くんの家に着くと、空くんの部屋へと通された。

「空くんの部屋は相変わらずだね」

  空くんは、褒め言葉だと受けとると笑っていた。

 空くんの部屋には、メイク道具やヘアケア用品が並んでいる……前に来た時よりも数が増えているのは、季節によって使うものを変えているのかもしれない。

「空くんって何気にお洒落男子だよね」

 光くんの言葉に何故か空くんは照れていた……

「まぁ座れよ」

 照れ隠しなのか、ぶっきらぼうに言うと棚からスケッチブックを取り出し僕たちの前に開いた。

 ページを開くと、空くんの才能が溢れているのが目に飛び込んできた。

「――すごい……」

 光くんがもらした言葉に僕も同感だった。

 髪の長さ別にアレンジされたイラストが、たくさん描かれていた。

「楓はどんな感じの浴衣が好み?」

 真剣な顔になった空くんを見て、将来を見据えてる空くんは格好いいと思った。

「楓くん的にはどんな感じだと、しっくりくる?可愛い感じだと色とかで可愛くする?」

  2人が色々と考えてくれているのを見て凄く嬉しくて、僕の気付かなかった『似合う』を探してくれているのも楽しかった。

「僕は、空くんがアレンジしてくれるハーフアップは好きだな」

 そう話すと、空くんは考えながらもデートなんだから、それっぽい感じが良くないか?と言っていた。

 そんな時、何かを思い付いた光くんが目をキラキラとさせていた。

「――淡い色味とかどうかな……」

 光くんの提案に空くんは、それだ!と言うと凄い勢いで部屋を出ていった。

 僕……大きくなってから浴衣って着たことないけど大丈夫なのかな……そんな不安な気持ちが分かったのか光くんがニコニコしながら口を開いた。

「遥先生の浴衣姿も眩しいくらい綺麗だったから、楓くんも似合うはずだよ……そして間違いなく可愛いと思う。」

 うっとりとした表情の光くんに色々と、聞きた事が多いけど……本能がやめておけと警告していた。

 待たせてゴメンと戻ってきた空くんの手には何着かの浴衣が乗せられていた。

「兄貴達の浴衣だから、楓でも着れると思うんだ……」

 そう言いながら空くんは、淡い色味の浴衣をベッドへと並べると、どれが似合うかな?と言いながら楽しそうにしていた。

 将来は美容師になりたいと言っていた空くん、同じ年なのに凄いなと思った。

「楓は、どんな感じが良い?濃い色より可愛い感じなら淡い方がいいかなと思うだよな……」

 空くんに言われて、1つ1つ見させて貰って、一着の浴衣に目を奪われた。

 エメラルドグリーンの綺麗な色をした浴衣……そして朱色の金魚が施された帯……

「僕はこれが、いい……」

 そう言うと空くんはすぐに、僕に浴衣を合わせると頷いた。

 光くんも、似合っているよと言ってくれた。

「よし、これに決まりだな、当日は店のほうに来いよ、着付けは母さんに頼んでおくし、ヘアメは俺がやるから貴重品だけもってこいよ」

 僕が思っている以上に2人は、僕と翠くんの事を気にかけてくれていると思うと目の奥が熱くなった。

「楓くん、そのままの楓くんで絶対に大丈夫だから、楽しんできてね」

 光くんとの付き合いは本当に短いのに……色々と相談にのってくれたりと、友達になるのに時間は関係ないと思いながらも、2人の顔を上手く見ることが出来ずに顔を伏せて気持ちを伝えた。

 「――ありがとう……」

 僕の頭をグリグリと撫で回しながら、頑張ってこいと言った空くん、リラックスだよ~と声をかけてくれた光くん。

 正直、翠くんからの言葉を受けるのに緊張しないと言ったら嘘になるけれど、応援してくれる人が居ると思うと勇気が出た。

 当日、僕は2人が選んでくれた浴衣を着て翠くんに会いに行く。
感想 0

あなたにおすすめの小説

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

【本編完結】黒歴史の初恋から逃げられない

ゆきりんご
BL
同性の幼馴染である美也に「僕とケッコンしよう」と告げた過去を持つ志悠。しかし小学生の時に「男が男を好きになるなんておかしい」と言われ、いじめにあう。美也に迷惑をかけないように距離を置くことにした。高校は別々になるように家から離れたところを選んだが、同じ高校に進学してしまった。それでもどうにか距離を置こうとする志悠だったが、美也の所属するバレーボール部のマネージャーになってしまう。 部員とマネージャーの、すれ違いじれじれラブ。

元魔術師の主夫は過保護剣士の扶養から抜けたい

鳥羽ミワ
BL
ナラは年下の幼馴染のソルに誘われて故郷を飛び出し、魔術師になった。ところが全然芽が出ないまま10年が経ち、現在は剣士として名を上げたソルに養われて主夫をやっている。ナラが大怪我を負って以来、過保護になってしまったソルは、ナラへ何でも買い与えてくれる。けれど、目の届く範囲にいてくれと家から出させてはくれない。 もやもやが募るばかりのある日、ソルと口論をしたナラは家を飛び出し、郊外でスライムに襲われる。たまたま通りがかった薬師のエルフ・ガーデに助けられ、さらに薬学を学ばないかと打診されたナラは、二つ返事で薬師になることを決めた。 夢破れても人生セカンドシーズン到来!ナラの新しい挑戦が始まる! 両片思いの幼馴染は、ちゃんとカップルになれるのか?(作者注:なります!!!) ※拙作「鈍感苦労人魔術師は、年下凄腕剣士の片思いに気づかない!」と世界観を同じくしていますが、前述の作品をご覧いただかなくとも楽しんでいただけます ※アルファポリス、ムーンライトノベルズへ掲載しています

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

束縛彼氏から逃げたのに、執着が想像以上に重すぎた

鱗。
BL
愛されても、満たされない。 それでも彼は、相手を手放さない。 空虚な社会人、湊と。 彼に執着する、後輩の悠真。 そして二人の関係を見抜く占い師、榊。 三人の想いは交錯し、やがて静かに壊れていく。 選ばれるのは、愛か、それとも支配か。 ——誰のものにもならない男が、最後に選んだのは。 歪んだまま成立する、逃げ場のない関係。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

本気になった幼なじみがメロすぎます!

文月あお
BL
同じマンションに住む年下の幼なじみ・玲央は、イケメンで、生意気だけど根はいいやつだし、とてもモテる。 俺は失恋するたびに「玲央みたいな男に生まれたかったなぁ」なんて思う。 いいなぁ玲央は。きっと俺より経験豊富なんだろうな――と、つい出来心で聞いてしまったんだ。 「やっぱ唇ってさ、やわらけーの?」 その軽率な質問が、俺と玲央の幼なじみライフを、まるっと変えてしまった。 「忘れないでよ、今日のこと」 「唯くんは俺の隣しかだめだから」 「なんで邪魔してたか、わかんねーの?」 俺と玲央は幼なじみで。男同士で。生まれたときからずっと一緒で。 俺の恋の相手は女の子のはずだし、玲央の恋の相手は、もっと素敵な人であるはずなのに。 「素数でも数えてなきゃ、俺はふつーにこうなんだよ、唯くんといたら」 そんな必死な顔で迫ってくんなよ……メロすぎんだろーが……! 【攻め】倉田玲央(高一)×【受け】五十嵐唯(高三)

ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果

SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。  そこで雪政がひらめいたのは 「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」  アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈  ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ! ※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。