命、からがら尽きる

四季坊

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世界の終わりを聞いた

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────世界とは何か。


 たぶん僕は、すごく暇なのだろう。

 20××年11月15日
 高校3年の冬。つまり、受験シーズンだ。
 周りの生徒は机に顔を向け、先生方も負けじと仕事をこなしている。より良い学校に行くために、あるいは自分の進みたい道へ進めるように。

 かくいう僕も夢のために、文系大学への合格を目指している。
 知らない誰かに認めてもらい、誰が確かめたかもわからない人づての知識にお金を払う。学生が偉そうに考えてみた学校の像とはこの程度のものだ。

 最近学校で聞いたあやふやな知識によると、人が死ぬ時1番最後まで機能する感覚は聴覚らしい。
 誰がこれを証明できるだろうか。脳の各所に電極を刺して死にかけの頭を調べたのかもしれない。脳波を検出して聴覚に最後まで反応があったのかもしれない。しかし、それで本当に当人が音を感じているかはわからない。死体が体験談を話したりしない限り、あくまで客観的な証明なのだ。

 気づけば学校の帰り道。
 この日の不毛な自己討論の中で僕はふと思った。

「この世界は僕のものなんだ」 と。

 壮大なようで大した考えではない。究極に自己中心的な考えだ。
 僕が目を閉じれば暗くなり、手を叩けば音が鳴る。これは、僕が自分の脳で認知しているから感じれることなのだ。もし、僕の嗅覚に欠陥があり、スイーツの匂いを感じないとすると、この世の中の全てでスイーツは匂いがしないことになる。誰かがこれを否定し、スイーツからはとても甘い香りがすると主張しても、僕が感じない限り、匂いの証明をすることができないのだ。
 故に、この世界は僕のものであると思う。僕が知覚し、僕が感じる事で世界は動く。身の回りの人間も実際に存在するかはわからない。あくまで、僕が脳で受け取った刺激によりこの世界に存在するのだ。

 逆を考えてみた。
 僕が死んだらどうなるのだろうか。

 世界は終わるはず。
 僕が全ての物事を認知できなくなるため、この世界は全く存在しないことになる。
 つまるところ、これが人生最後の思考だ。
 無差別な殺人や歪んだ性による犯罪、虐待や窃盗など、この世の中には悪が多すぎる。これら全てを無くすためには、全てを終わらせてしまえばいいのだ。

 即席の英雄になりきった僕は早速、帰り道の踏切に立った。
 降りる遮断機と警告音の中、僕は笑顔で、世界を終わらせることにした。
 やがて眩い光と共に、世界は消えていった。

 確かに最後まであった感覚は、鳴り響くサイレンの音だった。
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