命、からがら尽きる

四季坊

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人生のご褒美

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 事の真偽は自らが実感しないとわからない。
 僕は、人生の全てを理解することにした。


 この春高校生になった僕は、とある授業で恐ろしい事を耳にした。
 「人が死ぬ時、セックスの100倍もの脳内麻薬が分泌される。死の恐怖から逃れるためだとか、未だにはっきりとした原因はわかってないが、人生において死は最大の喜びなのだ。」
 これは高校生に、少なくとも1年生に教えるべき内容ではないと思った。
 しかしこれが事実なら、脳が感じる快感という意味では最大の喜びになるのかもしれない。ある種洗脳と疑われても仕方の無いこの授業は、僕の人生を変える大きなきっかけとなった。

 この授業の残り時間もあと3分。昨日の晩飯は母の手作りハンバーグだったので、今日の弁当にもその残りが入っているだろう。いつものパターンなので僕は弁当を開けずとも中身がわかっていた。
 空腹でお腹が鳴りそうな中、次に聞こえてきたのは耳に残る喜びの音だった。

ぷしゅっ

 先生は倒れた。
 刃物で首を切られた先生は、とても苦しそうだった。
 まして、どう捉えても人生最大の喜びではないように見えた。

 快楽の真偽が気になった僕は屋上へ駆け上がり、勢いに任せて塀を超えた。そして、頭から地面に落ちた。


 走馬灯とは人生のハイライトを眺めることが出来るものらしいが、それならいい人生を送った人間はとてもいい景色が広がるのだろうか。
 僕の走馬灯は、空っぽの部屋と父の手前だけ優しい母、そしてぐちゃぐちゃに残りカスが詰め込まれた弁当箱と赤く塗られた刃物を持つ僕の右手だけだった。

 
 事の真偽は自らが実感しないとわからない。
 こんな僕でも、実感出来るものならしてみたかった。
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