転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀

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96.ホリデー(1)

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学園に入ってから初めてのホリデーが来た。

私はカイお兄様と一緒にダンパーネ領に帰ってきた。

「わぁ!久しぶりのお家だわ!」

穏やかな時間が流れるダンパーネ領。やっぱり慣れ親しんだこのお家が1番落ち着く。たったの数ヶ月なのに色々あったせいか何年も帰ってきてない感覚になった。凄く濃い学園生活だった気がして。

「スー、部屋に戻った後はお茶しないか?スーの大好きなキリアを買ってきたんだ。」
「まぁ!カイお兄様…是非お茶しましょう!私早く荷物を置きに部屋に行ってきますわ!」
「俺も遅れないようにするよ。スーとは話したい事があるからね。」
「話したい事…ですか?」
「ああ、スーが話してくれた前世の話に関してだよ。」

(そうだったわ…。アイロウルフの事もあるし私もカイお兄様に相談したいわ。)

「私もお兄様に話したい事がありますの。またお庭で待ってますわ!」

私は急いで部屋に行った。







「カイお兄様お待たせしました!!」

私よりも先にカイお兄様は先に着いていたようだった。
遠目から見るとお兄様は本を片手に足を組み真剣に読んでいた。

(な、なんでこんなにカッコいいのかしら…兄じゃなかったらこんなイケメンもういるだけで目の保養だし絶対ときめいてたわ…)

無駄にキラキラしているお兄様…もう主役でもいいのでは?と思う程に眩しかった。

私に気が付いたカイお兄様は笑顔で手を振ってくれている。私も笑顔で振りかえした。

「ぐっ…スーが可愛すぎて無理だ…。なんでスーはそんなに可愛いんだ…。他の女性が目に入らないくらいだ!妹じゃなかったら直ぐにでも求婚してたよ!!」

(うわ…私、今お兄様と同じ事考えてたのね…)

苦笑いをしてしまう私。

「お兄様…そろそろ妹離れしないと本気で婚期を逃してしまうわよ…。」
「可愛い妹に心配されるなんて嬉しいな。まぁ、それなりに婚約も進むだろうけど…今はまだスーと一緒に居たいかな。」

(今はまだって…いつまでなのかしら…)

「じゃぁそれまではお兄様と一緒に楽しくお茶出来るの楽しみにしてますわ。」
「やっぱり結婚なんてしないで永遠にスーと一緒に居ようかな」
「それはやめて下さい…。」
「うそうそ、冗談だよ。本題に入るんだけど…スーの言っていた前世の小説上の話だとルルは無くなってしまうけどそれを阻止する事が出来た。と捉えていいのかな?」
「そう思いたいのですが…」
「何か思う所があるのか?」

カイお兄様の目つきが急に変わり真剣な顔つきになった。

「はい…。私が前世で読んでいた小説では、アロイス様がスパイになってルル様に怪我を負わしてしまう時期は秋でした。でも実際起こったのは春過ぎなんです。時期が違うだけなのかもと思ったのですが、先日魔獣が学園に入ってきたんです。」
「魔獣が…?そういえばそんな事をルルが言っていたな…。」
「その時に魔獣が私に伝えたい事があるといってハッキリと言われたんです。『まだ物語は終わっていない』と…。」
「物語は終わっていない…。それはまだルルが命を落とす危険性があると言う事なのか?」
「分かりません…。ですがあの小説ではルル様は序盤で亡くなっていました。季節は秋でした。この世界でももしかしたら強制的にシナリオ修正が行われているとしたら…。」
「そうなるとまだ安心していられないな…。」
「はい。もしかしたら秋に何か起こるのかもしれません。」
「秋か…。ホリデーが終わったら極力ルルから離れないように見張っておかないとだな。」
「はい!」
「ところで…なんでスーは必死にルルを助けようとしているんだい?もしかして、ルルの事を特別に想っていたりする?」


私はカイお兄様にそんなこと聞かれるとは思っていなくて目を丸くしてしまった。


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