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第4章 古代遺跡探索行
7. 贈り物
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応接机を挟んで向かい合うソファに着席し、仲間たちと兄上からの依頼内容を聞くことになった。
「ザッフィロ地下遺跡?」
「はい。ある程度の調査は済んでいますので、そこまでの危険はないと思われます。おそらく最深部には貴重な古代のアイテムが隠されていますので、私たち二人と同行していただける実力があり、信頼に足る冒険者パーティを探しているのです」
「そうだ。実力を伴わない冒険者たちなど話にならない。かと言って遺跡探索を得意としているベテラン冒険者パーティは、私たちの目を盗んでちょっとした遺跡の宝をちょろまかす、こざかしい術に長けている」
兄上が真剣な面持ちで、じぃっと俺の目を見つめて尋ねた。
「ノア。おまえが適任だ。引き受けてもらえるだろうか」
「はい!お引き受けいたします、兄上」
兄上から必要とされている。俺の胸は、誇らしさでいっぱいだった。
「こちらは前金です。支度金などにお使いください。成功報酬は探索完了後にお渡しいたします。それと…」
「ルク…いや、ノアに私から贈り物がある。開けてみてくれ!」
兄上から手渡された大小いくつかの包装された箱たち。豪華なリボンを解いて現れたのは、魔法の杖やローブ、魔力を高める効果のある装飾品の数々だった。
「これ…これも……すごい!」
否が応にもテンションが上がる。喜ぶ俺を、兄上はにこにこと上機嫌で見守っている。
40㎝程の長さの杖にはいくつかの宝石のような青い石が嵌められている。
「この杖……城の図書館の書物に載っていました!伝説級の強力な魔力を秘めた杖ですよね!?これを……私に?」
「よい杖は魔術師ギルドの倉庫で埃をかぶっているよりも、おまえに持たれて役に立ってこそだ。帝都の魔術師ギルドに一番いい杖をよこせと言って出させたものだから、間違いないだろう。愚かな爺ども、出し渋りおったから給金を下げてやったわ。はっはっはっは」
ギルドの魔術師たち、気の毒に……。
装飾品の数々も、どれも一級品だった。魔力を高めるのはもちろんのこと、敵の攻撃からも身を守ってくれる効果のついた希少なものばかりだ。
「指輪も腕輪も耳飾りも首飾りも!どれもこれも、美しい青い石が使われていますね!」
「青はル…ノアの瞳の色だ!おまえの瞳に勝るほどの美しさではないが、これらの品は魔力を高める効果も抜群だぞ」
「兄上の瞳も同じではないですか」
「いや!ノアのほうが少し色が濃いぞ」
「うーん……そうかな?」
(……わかりますか?ウィル……)
(いやぜんぜん……)
「ああ!このローブ、素敵です!こういうのがほしかったんです!」
黒を基調とした布地には、濃青の糸で繊細な文様がふんだんに織り込まれている。一本一本に魔力が込められた糸が使われ、それらが丁寧に確たる技術をもって織られていた。
「喜んでもらえて嬉しいぞ。このローブは帝都の魔術師ギルドの職人たちに作らせたものだ。刺繍部分にに使われている糸に魔力を込めたのは、私だ!」
「兄上が自ら?」
「嘘ではありませんよ。遠征先に持ち込んで、夜なべしてやっておられましたから」
「私がルクスに嘘など吐くものか!」
「ルクスではありません、『ノア』です。肖像画を使って、さんざん練習したでしょう」
「そうだった……」
何やってるんだこの人たち…という仲間たちが引いているのを感じたが、俺は兄上が俺のために心を砕いておられたと聞いて、とても嬉しかったのだった。
(ねえ、あれって――)
(はい……おそらく、あれらの品のひとつひとつが、国宝級の逸品です。特にあの杖……値がつけられないほど貴重なものでしょうね)
(贈り物っていうか、貢物ってレベルだな……)
「ザッフィロ地下遺跡?」
「はい。ある程度の調査は済んでいますので、そこまでの危険はないと思われます。おそらく最深部には貴重な古代のアイテムが隠されていますので、私たち二人と同行していただける実力があり、信頼に足る冒険者パーティを探しているのです」
「そうだ。実力を伴わない冒険者たちなど話にならない。かと言って遺跡探索を得意としているベテラン冒険者パーティは、私たちの目を盗んでちょっとした遺跡の宝をちょろまかす、こざかしい術に長けている」
兄上が真剣な面持ちで、じぃっと俺の目を見つめて尋ねた。
「ノア。おまえが適任だ。引き受けてもらえるだろうか」
「はい!お引き受けいたします、兄上」
兄上から必要とされている。俺の胸は、誇らしさでいっぱいだった。
「こちらは前金です。支度金などにお使いください。成功報酬は探索完了後にお渡しいたします。それと…」
「ルク…いや、ノアに私から贈り物がある。開けてみてくれ!」
兄上から手渡された大小いくつかの包装された箱たち。豪華なリボンを解いて現れたのは、魔法の杖やローブ、魔力を高める効果のある装飾品の数々だった。
「これ…これも……すごい!」
否が応にもテンションが上がる。喜ぶ俺を、兄上はにこにこと上機嫌で見守っている。
40㎝程の長さの杖にはいくつかの宝石のような青い石が嵌められている。
「この杖……城の図書館の書物に載っていました!伝説級の強力な魔力を秘めた杖ですよね!?これを……私に?」
「よい杖は魔術師ギルドの倉庫で埃をかぶっているよりも、おまえに持たれて役に立ってこそだ。帝都の魔術師ギルドに一番いい杖をよこせと言って出させたものだから、間違いないだろう。愚かな爺ども、出し渋りおったから給金を下げてやったわ。はっはっはっは」
ギルドの魔術師たち、気の毒に……。
装飾品の数々も、どれも一級品だった。魔力を高めるのはもちろんのこと、敵の攻撃からも身を守ってくれる効果のついた希少なものばかりだ。
「指輪も腕輪も耳飾りも首飾りも!どれもこれも、美しい青い石が使われていますね!」
「青はル…ノアの瞳の色だ!おまえの瞳に勝るほどの美しさではないが、これらの品は魔力を高める効果も抜群だぞ」
「兄上の瞳も同じではないですか」
「いや!ノアのほうが少し色が濃いぞ」
「うーん……そうかな?」
(……わかりますか?ウィル……)
(いやぜんぜん……)
「ああ!このローブ、素敵です!こういうのがほしかったんです!」
黒を基調とした布地には、濃青の糸で繊細な文様がふんだんに織り込まれている。一本一本に魔力が込められた糸が使われ、それらが丁寧に確たる技術をもって織られていた。
「喜んでもらえて嬉しいぞ。このローブは帝都の魔術師ギルドの職人たちに作らせたものだ。刺繍部分にに使われている糸に魔力を込めたのは、私だ!」
「兄上が自ら?」
「嘘ではありませんよ。遠征先に持ち込んで、夜なべしてやっておられましたから」
「私がルクスに嘘など吐くものか!」
「ルクスではありません、『ノア』です。肖像画を使って、さんざん練習したでしょう」
「そうだった……」
何やってるんだこの人たち…という仲間たちが引いているのを感じたが、俺は兄上が俺のために心を砕いておられたと聞いて、とても嬉しかったのだった。
(ねえ、あれって――)
(はい……おそらく、あれらの品のひとつひとつが、国宝級の逸品です。特にあの杖……値がつけられないほど貴重なものでしょうね)
(贈り物っていうか、貢物ってレベルだな……)
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