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第5章 砂漠の国の錬金術師
8. 初めての成功
しおりを挟む「ノア、楽しそうだねぇ…」
「ええ……まるで、兄弟のようですね」
「ちがうちがう。もっと細かく……。ん~……ちょっとじっとしてね」
「えっ。なに?」
うしろから腕を回され、ニケと俺のからだが密着した。顔は頬に息のかかるのを感じるくらいに近い。
両手を上から重ねられる。
「このくらいの間隔で……」
ナイフを持った俺の手をとり、薬草を切っていくニケ。
「この態勢、恥ずかしいんだけど……」
「こうすると、早く上達できるよ~」
ニケはニコニコと上機嫌だ。
「まさか…アレをするためにノアをこの国に呼んだんじゃないよね……」
「アレはいけません。教育的指導が必要ですね」
「できたー!」
二回の失敗の後、俺はなんとかポーションを作り上げることができた。
「おめでとう。初日で成功できたら上出来だよ」
「えへへへへ」
「えらいえらい」
ニケに頭をポンポンされる。
「ちょっと……俺の方が年上なんだけど」
「細かいことは気にしないの」
そのとき、部屋の扉がノックされた。
「ハディール王子、お食事の準備ができております」
女性の声だった。宮殿に仕えている女性のようだ。
「――だってさ。行こうか」
「やったー!飯だ!待ってましたー!」
「もうそんな時間か……早いなぁ」
「ノア、とても集中してましたから、おなかすいてるでしょう」
意識した途端、俺の腹からぐぅ~という音が鳴った。
「はははは…」
「ノア、タイミングよすぎ」
部屋はみんなの笑い声に包まれた。
豪勢でおいしい食事と飲み物に舌鼓を打ち、みんなで宮殿の温泉に浸かって疲れを癒した後、それぞれに与えられた部屋で就寝することになった。
「客室まで豪華だなぁ……」
高い天井には細やかな彫刻などの装飾がほどこされている。寝台のシーツはサラサラで、とても肌触りがよかった。天蓋には星空を模した刺繍がされている。ほの明るく瞬くそれらは、安らかな眠りへの導きの光のようだった。
俺は疲れていたのか、すぐに寝入ってしまった。
そして、夢を見た。
そこには見知らぬ女性がいた。
金色に輝くまっすぐな長い髪に、雪のように白い肌。あかいぽってりとした唇。薄い水色の瞳。
一目で高級品とわかる上品な白いドレスに身を包んでいる。
手を取られた。彼女の手は白くたおやかでやさしく、あたたかかった。
――ありがとう、そして、ごめんなさい……
声はきこえなかったが、そう言われたような気がした。
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