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第11話 黒いウェディングドレスと、立ちはだかる『鉄の女』
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「さあ、リリス。好きなドレスを選んでくれ」
王宮の特別サロン。 壁一面に並べられた純白のウェディングドレス。 レース、シルク、サテン。 国中の職人が魂を込めて作り上げた最高級のドレスたちが、私を威圧するように輝いている。
アレクセイ様は、ソファに優雅に腰掛け、愛おしげに私を見つめていた。 その瞳は、獲物を前にした肉食獣のように爛々と輝いている。
「どれも君に似合うだろうけれど、君が選ぶ一着こそが、この国の新たな伝説になるはずだ」
伝説? やめてほしい。 私はただ、この結婚をぶち壊したいだけなのだ。
(……でも、これはチャンスかもしれないわ)
私はドレスの列を見渡しながら、悪巧みを巡らせた。
結婚式において、花嫁の純潔を象徴する「白」を着るのは常識だ。 もし、私がその伝統を無視して、不吉な色……例えば「黒」のドレスを選んだら? あるいは、露出が激しすぎて「下着か?」と見間違えるような卑猥なドレスを選んだら?
きっと、堅苦しい王族や貴族たちは激怒するはず。 「なんて常識のない娘だ!」「王室への侮辱だ!」と。 そして、その非難の声が高まれば、結婚は白紙に戻るかもしれない!
「……デザイナーさん」
私は部屋の隅で控えていた王室御用達のデザイナーを呼んだ。
「はい、リリス様! どのようなデザインがお好みでしょうか? やはり、王道のプリンセスライン? それとも清楚なエンパイアライン?」
「いいえ。わたくしが着たいのは……『これ』よ」
私が指さしたのは、デザイナーが「参考資料(悪魔的なイメージのサンプル)」として隅に置いていた、漆黒のドレスだった。 喪服のように黒く、そして背中が腰まで大きく開いた、背徳的なデザイン。 蜘蛛の巣のような黒いレースがあしらわれ、どこからどう見ても「魔女」か「未亡人」の衣装だ。
「えっ……こ、こちらですか?」
デザイナーが絶句する。
「ええ。わたくしの心はこの色のようにドス黒く染まっておりますの。純白なんて似合いませんわ。……結婚式には、この『絶望の黒』こそが相応しいと思いましてよ」
どうだ。 これならドン引きでしょう。 「縁起でもない!」と怒鳴りつけて、私を部屋から追い出してちょうだい!
デザイナーがチラリとアレクセイ様を見る。 アレクセイ様は、驚いたように目を見開き、そして……口元を手で覆った。
「……っ」
(よし! ショックを受けたわね! さあ、怒りなさい!)
「……素晴らしい」
「はい?」
アレクセイ様が立ち上がり、私の手を取った。
「黒……! まさかその色を選ぶとは! 君の感性は、常に僕の想像の遥か上を行く!」
「えっと、殿下? これ、喪服みたいですわよ?」
「いいや、違う。これは『覚悟』の色だ」
彼は熱っぽく語り出した。
「結婚とは、今までの自分を殺し、新たな自分として生まれ変わること。君はあえて『死』を連想させる黒を纏うことで、『少女時代のリリスは死に、王太子妃リリスとして再生する』という不退転の決意を表現しようとしているんだね!」
「違います。ただの嫌がらせです」
「それに、黒は『何色にも染まらない』強さの象徴だ。他国の圧力にも、古い因習にも屈しない、君の気高い精神を表している。……ああ、黒いドレスの君は、夜空の女神ニュクスのようだ」
アレクセイ様がうっとりとする。 デザイナーも、ハッとした顔でメモを取り始めた。
「なるほど……! 『サムシング・ブラック』! 常識を覆す、新しいウェディングの形……! これは流行ります! 間違いなく歴史に残ります!」
「ちょ、ちょっと! 待って!」
「早速、仕上げにかかります! ヴェールも黒になさいますか? それとも血のような赤でアクセントを?」
「やめて! 呪いの儀式みたいになっちゃう!」
私の抵抗も虚しく、採寸が始まってしまった。 このままでは、私は国中の花嫁に「黒いドレス」を流行らせた元凶として歴史に名を刻んでしまう。
その時だった。
バーン!!
サロンの扉が乱暴に開かれた。
「お待ちなさい!!」
凛とした、しかし怒りを含んだ女性の声が響き渡った。 全員の動きが止まる。
入ってきたのは、一人の貴婦人だった。 年齢は二十代半ばだろうか。 燃えるような赤い髪を厳格なシニヨンにまとめ、隙のない紺色のドレスを着こなしている。 その手には扇子、背筋は剣のように真っ直ぐで、目には強烈な意志の光が宿っていた。
「黒いウェディングドレスですって? 王家の伝統をなんだと思っているのです!」
(!!)
私は心の中でガッツポーズをした。 来た! 常識人だ! この狂った状況に「待った」をかけてくれる、まともな人がようやく現れた!
「……ベアトリス嬢か」
アレクセイ様が、わずかに眉をひそめた。
ベアトリス。 その名を聞いて、私の前世の記憶が検索をかける。 ベアトリス・フォン・オルデンブルク。 大公家の令嬢であり、かつてアレクセイ様の婚約者候補筆頭と呼ばれた才女だ。 幼い頃から「王妃教育」を受け、その完璧すぎる振る舞いから『鉄の女』『歩く礼儀作法書』と恐れられていた人物。
彼女は数年前、語学留学のために国外へ出ていたはずだが……。
「お久しぶりですわ、アレクセイ殿下。帰国早々、耳を疑うような噂を聞きましてよ。殿下が『稀代の悪女』ごときに誑かされ、国を傾けようとしていると!」
ベアトリス様が、鋭い視線を私に向けた。 敵意。軽蔑。そして侮蔑。 完璧だ。私が求めていた視線だ。
「あなたがリリス・フォン・ローゼンバーグね。……ふん、見た目は派手だけど、品性の欠片も感じられないわ。こんな娘が王太子妃? 冗談も休み休み言になさい」
「おっしゃる通りですわ!」
私は彼女に駆け寄り、その手を握りしめた。
「ベアトリス様! よくぞ言ってくださいました! わたくしもそう思いますの! わたくしのような性悪女は、王室には相応しくありませんわ!」
「……は?」
ベアトリス様がキョトンとする。 予想外の反応だったらしい。 普通なら「失礼な!」と怒るところを、全力で同意されたのだから。
「わたくしは浪費家で、性格も歪んでいて、しかも黒いドレスを着ようとするような常識知らずです。どうか、その『鉄の女』の権限で、この結婚を阻止してくださいまし!」
「な、なによ、その態度は……」
ベアトリス様が少し引いている。 いけない、勢い余ってしまった。
「ベアトリス」
アレクセイ様が、私の肩を抱き寄せ、冷ややかな声で言った。
「僕の婚約者に対する無礼は許さない。……リリスは、君が想像するような浅はかな女性ではない」
「いいえ、殿下はお騙しになられています!」
ベアトリス様は扇子を広げ、毅然と言い放った。
「私は認めません! 王妃とは、国の顔であり、模範となるべき存在。伝統を守り、礼節を重んじる者でなければなりません。このような奇抜なドレスを選び、ふざけた態度を取る小娘に、その資格があるとは思えません!」
彼女は私を指差し、宣言した。
「リリス・フォン・ローゼンバーグ! わたくしと勝負なさい! もしあなたが王妃に相応しい教養と品格を持っているというなら、それを証明してみせなさい。……もし負けたら、即刻身を引きなさい!」
勝負。 負けたら身を引く。
(勝った……!)
私は確信した。 この勝負、わざと負ければいいのだ。 相手は「歩く礼儀作法書」。 私がどれだけ頑張っても(頑張らないけど)、勝てる相手ではない。
「受けて立ちますわ!」
私は不敵に笑った。
「その勝負、望むところです。ただし、わたくしが負けたら、本当に潔く消えますからね!」
「……いい度胸ね。後悔させてあげるわ」
こうして、私とベアトリス様の『王太子妃の座を賭けた決闘』が幕を開けた。
◇
場所は王宮の庭園。 立会人はアレクセイ様、ハインリヒ、そして噂を聞きつけた生徒会メンバー(シド、ガストン、レン、マリア)。
「勝負の内容は『ティーパーティー』よ」
ベアトリス様が指定した。 テーブルには、最高級の紅茶とケーキが用意されている。
「貴族たるもの、いかなる時も優雅にお茶を嗜まなければなりません。所作の美しさ、会話の知性、そしてマナー。その全てを競います」
「わかりましたわ」
私は席に着いた。 作戦はシンプルだ。 『マナー違反をしまくる』。 音を立てて紅茶を飲み、ケーキを手掴みで食べ、足を組んで貧乏ゆすりをする。 これなら一発アウトだ。
「では、始めます」
ベアトリス様が優雅にカップを持ち上げる。 背筋が伸び、指先の角度まで完璧だ。 まるで絵画のような美しさ。 さすが『鉄の女』。
対する私は。
(さあ、行くわよ!)
私はカップを鷲掴みにした。 そして、ズルズルズルッ! と盛大な音を立てて紅茶をすすった。
「……っ!?」
ベアトリス様の眉がピクリと跳ねる。 周囲のギャラリーもざわつく。
「なんて下品な……」
よし、いい反応だ。 さらに私は、目の前のショートケーキをフォークも使わずに素手で掴み、大口を開けてガブリと噛み付いた。 クリームが口の周りにつき、指がベタベタになる。
「むぐむぐ……んー、甘ったるくて不味いですわね!」
口に物を入れたまま喋る。 マナー違反のトリプルコンボだ。 どうだ、これでも王太子妃と呼べるか!
「勝負ありね」
ベアトリス様が冷たく言い放った。
「これほど酷いとは思いませんでした。あなたは獣ですか? 王宮のテーブルを汚すなど、万死に値します」
「ええ、そうですわ! わたくしは獣ですの! だから早く失格に……」
「――待て」
声を上げたのは、ハインリヒだった。
「お前ら、わかってねぇな」
彼は腕組みをして、感心したように私を見ていた。
「リリスのその食べ方……あれこそが『生命への感謝』だ」
「は?」
「上品ぶってチマチマ食うのが礼儀か? 違うだろ。作ってくれた職人、そして食材となった命に対して、豪快に、かつ残さず食らう。それこそが最大の礼儀だ!」
「そ、そうなの……?」
ベアトリス様が動揺する。
さらに、シドが眼鏡を光らせて解説に入る。
「音を立てて紅茶をすする行為……あれは東方の島国(日本)における『茶道』の作法に通じるものがあります。熱い茶を空気と共に吸い込むことで、香りを最大限に楽しむ……。会長は、西洋の固定観念に囚われず、グローバルな視点でマナーを再定義しているのです!」
「なっ……!?」
「そして、手掴みでケーキを食べる行為! これは『原点回帰』です!」
マリアが目を輝かせて叫ぶ。
「フォークという金属の冷たさを介さず、指先の体温で触れることで、食材との対話を試みているのです! なんて野性的で、なんて人間味あふれる所作でしょう! リリスお姉様、尊い……!」
違う。 ただ行儀が悪いだけよ。 勝手な解釈をしないで!
ベアトリス様が、震える手で扇子を握りしめている。
「ば、バカなことを……。そんな屁理屈が通るわけ……」
「ベアトリス」
アレクセイ様が静かに口を開いた。
「君の作法は、確かに美しい。教科書通りで、減点するところがない。……だが、それだけだ」
「えっ……」
「そこには『心』がない。形式を守ることに必死で、同席者を楽しませよう、共に時間を共有しようという温かさが欠けている。……対してリリスはどうだ?」
アレクセイ様は、クリームまみれの私の口元を、自分のハンカチで優しく拭った。
「彼女は、ありのままの姿を見せてくれた。堅苦しいマナーという壁を取り払い、『もっとリラックスして楽しみましょう』と提案してくれているんだ。……僕には、彼女の食べ方のほうが、ずっと愛おしく感じるよ」
「そ、そんな……」
ベアトリス様が呆然とする。 彼女の完璧なマナーが、「冷たい」「つまらない」と否定され、私の下品な食い方が「温かい」「新しい」と肯定されてしまった。
判定は、まさかのリリス勝利。
(なんでよぉぉぉ!!)
◇
「まだ終わっていませんわ!」
ベアトリス様は諦めなかった。 さすが『鉄の女』、メンタルも鋼鉄製だ。
「次は『ダンス』です! マナーが独自の解釈だと言うなら、ダンスなら誤魔化しは効きません! ステップ、姿勢、リードへの追従。完璧に踊ってみせなさい!」
「望むところですわ!」
私は立ち上がった。 ダンス。 これなら物理的に失敗できる。 アレクセイ様の足を踏む、転ぶ、ドレスを踏んづける。 わざとじゃなく「下手くそ」に見えるように失敗すれば、今度こそ私の評価は地に落ちる!
音楽が始まる。 優雅なワルツ。
私はアレクセイ様の手を取り、踊り出した。
(今よ!)
私は右足を出し、アレクセイ様の足を踏もうとした。 しかし、彼はまるで予知していたかのように、軽やかに足を引いた。
「おっと。情熱的だね」
(くっ、避けた!?)
なら、回転のタイミングで目を回して倒れてやる!
「あ~れ~!」
私はわざとらしくバランスを崩し、床へ倒れ込もうとした。
しかし、アレクセイ様の腕が、ガシッと私の腰を支えた。
「リンボーダンスかい? 面白い振り付けだ」
彼はそのまま私の上体を反らせ、地面スレスレでキープした。 私の身体の柔らかさが仇となり、見事なイナバウアーのようなポーズが決まってしまった。
「おおーっ!」 ギャラリーから拍手が起こる。
「違う! 失敗したの!」
私は焦って起き上がろうとしたが、ドレスの裾が絡まり、今度はベアトリス様の方へよろめいてしまった。
「きゃっ!?」
ドンッ!
私はベアトリス様にタックルする形になり、二人もつれ合って花壇の中へダイブした。
「い、痛たた……」
土まみれ。ドレスも泥だらけ。 最悪だ。 公爵令嬢が、ライバルの令嬢を突き飛ばして泥遊び。 これはもう、言い逃れできない醜態だ。
「あーあ、やっちゃった……」
私は泥だらけの顔で、ベアトリス様を見た。 彼女もまた、完璧だった髪が乱れ、顔に泥がついている。 きっと激怒するだろう。 「なんてことを!」と平手打ちでもしてくるだろう。
「……ぷっ」
「え?」
ベアトリス様の肩が震えている。
「ふふ……あはははは!」
彼女は、腹を抱えて笑い出した。
「な、なによ……」
「ごめんなさい……こんなこと、初めてで……」
ベアトリス様は涙を拭った(その手も泥だらけだ)。
「幼い頃から、服を汚すな、背筋を伸ばせ、完璧であれと教え込まれてきました。……泥まみれになって転ぶなんて、生まれて初めてですわ」
彼女は、泥のついた手を見つめ、どこか晴れやかな顔をした。
「不思議ね。ドレスは台無しなのに……なんだか、胸が軽くなった気がします」
「ベアトリス様……?」
「リリスさん。……あなたの勝ちよ」
彼女は私に手を差し伸べた。
「あなたは、私の知らない世界を知っている。形式に囚われず、失敗さえも笑いに変えてしまう強さがある。……アレクセイ殿下があなたを選んだ理由、少しだけわかった気がします」
「いや、わざとじゃなくて……」
「完敗です。……でも、悪くない気分ね」
ベアトリス様は私の手を取り、力強く立ち上がらせてくれた。 その瞬間、周囲から割れんばかりの拍手が巻き起こった。
「素晴らしい! 女同士の熱い友情だ!」 「泥にまみれても美しい! これぞ青春!」 「鉄の女の心を溶かすとは、さすがリリス会長!」
またしても。 またしても、私の失態が「感動的な和解シーン」として処理されてしまった。
◇
数日後。 王宮のサロンに、再びベアトリス様が現れた。
ただし、以前のような堅苦しいドレスではない。 動きやすいパンツスタイルに、髪もラフにまとめている。
「リリスさん! 来てくださってありがとう!」
彼女は満面の笑みで私を迎えた。
「ベアトリス様、その格好は……?」
「ふふ、影響を受けちゃいました。これからは、もっと自由に生きようと思いまして」
彼女は、かつての『鉄の女』の面影はなく、明るく快活な女性に変貌していた。 そして、恐ろしいことを言い出した。
「私、決めました。リリスさんの『花嫁修業』の教官になります!」
「へ?」
「マナー講師ではありません。あなたが王妃として、もっと自由に、もっと破天荒に輝けるように、私が全力でサポートします! 黒いドレス? 最高じゃない! 私がもっと過激なデザインに改良してあげますわ!」
「やめて! 余計なことしないで!」
「遠慮しないで! さあ、今日は『演説』の特訓よ! 国民の度肝を抜くスピーチを考えましょう!」
ベアトリス様は、私の新たな「親衛隊長」に就任してしまった。 彼女の厳格な知識と、私の破天荒な行動(失敗)が融合し、最凶の化学反応が起きようとしている。
アレクセイ様は、そんな私たちを見て満足げに頷いている。
「よかったね、リリス。頼もしい味方が増えて。これで結婚式の準備は万全だ」
「……帰りたい」
私は遠い目をした。 ライバルが現れれば婚約破棄できると思ったのに。 なぜ、ライバルが最強のサポーターになってしまうのか。 この世界には「私の敵」という概念が存在しないのだろうか?
その夜。 私は夢を見た。 真っ黒なウェディングドレスを着て、泥まみれになりながら、国民に祝福される夢を。 それは悪夢なのか、予知夢なのか。
結婚式まで、あと一ヶ月。 私の自由への逃走ルートは、完全に閉ざされようとしていた。
……いや、まだだ。 まだ最後の手がある。 結婚式の当日、誓いのキスの瞬間に、「ごめんなさい、他に好きな人がいます!」と叫んで逃げ出す『卒業(映画)』作戦だ。
問題は、その「好きな人」役を誰にするかだが……。
「ハインリヒ? ダメね、あいつは尻尾振ってアレクセイに譲りそうだし」 「ゼクス? 影が薄すぎて気づかれないかも」 「ガストン? 絵面が美女と野獣すぎる」
私は枕に顔を埋めた。
「誰か……私をさらってくれる本当の悪党はいないの……?」
その願いが届いたのか、あるいは運命の悪戯か。 遠く離れた隣国、バルドゥール帝国の最奥で、一人の男が動き出そうとしていた。
「ハインリヒが骨抜きにされただと……? 情けない。やはり、私が自ら出向くしかないようだな」
玉座に座る、厳つい髭の男。 『雷帝』ハインリヒの父であり、現皇帝。 最強にして最悪のラスボス候補が、ついに重い腰を上げようとしていた。
王宮の特別サロン。 壁一面に並べられた純白のウェディングドレス。 レース、シルク、サテン。 国中の職人が魂を込めて作り上げた最高級のドレスたちが、私を威圧するように輝いている。
アレクセイ様は、ソファに優雅に腰掛け、愛おしげに私を見つめていた。 その瞳は、獲物を前にした肉食獣のように爛々と輝いている。
「どれも君に似合うだろうけれど、君が選ぶ一着こそが、この国の新たな伝説になるはずだ」
伝説? やめてほしい。 私はただ、この結婚をぶち壊したいだけなのだ。
(……でも、これはチャンスかもしれないわ)
私はドレスの列を見渡しながら、悪巧みを巡らせた。
結婚式において、花嫁の純潔を象徴する「白」を着るのは常識だ。 もし、私がその伝統を無視して、不吉な色……例えば「黒」のドレスを選んだら? あるいは、露出が激しすぎて「下着か?」と見間違えるような卑猥なドレスを選んだら?
きっと、堅苦しい王族や貴族たちは激怒するはず。 「なんて常識のない娘だ!」「王室への侮辱だ!」と。 そして、その非難の声が高まれば、結婚は白紙に戻るかもしれない!
「……デザイナーさん」
私は部屋の隅で控えていた王室御用達のデザイナーを呼んだ。
「はい、リリス様! どのようなデザインがお好みでしょうか? やはり、王道のプリンセスライン? それとも清楚なエンパイアライン?」
「いいえ。わたくしが着たいのは……『これ』よ」
私が指さしたのは、デザイナーが「参考資料(悪魔的なイメージのサンプル)」として隅に置いていた、漆黒のドレスだった。 喪服のように黒く、そして背中が腰まで大きく開いた、背徳的なデザイン。 蜘蛛の巣のような黒いレースがあしらわれ、どこからどう見ても「魔女」か「未亡人」の衣装だ。
「えっ……こ、こちらですか?」
デザイナーが絶句する。
「ええ。わたくしの心はこの色のようにドス黒く染まっておりますの。純白なんて似合いませんわ。……結婚式には、この『絶望の黒』こそが相応しいと思いましてよ」
どうだ。 これならドン引きでしょう。 「縁起でもない!」と怒鳴りつけて、私を部屋から追い出してちょうだい!
デザイナーがチラリとアレクセイ様を見る。 アレクセイ様は、驚いたように目を見開き、そして……口元を手で覆った。
「……っ」
(よし! ショックを受けたわね! さあ、怒りなさい!)
「……素晴らしい」
「はい?」
アレクセイ様が立ち上がり、私の手を取った。
「黒……! まさかその色を選ぶとは! 君の感性は、常に僕の想像の遥か上を行く!」
「えっと、殿下? これ、喪服みたいですわよ?」
「いいや、違う。これは『覚悟』の色だ」
彼は熱っぽく語り出した。
「結婚とは、今までの自分を殺し、新たな自分として生まれ変わること。君はあえて『死』を連想させる黒を纏うことで、『少女時代のリリスは死に、王太子妃リリスとして再生する』という不退転の決意を表現しようとしているんだね!」
「違います。ただの嫌がらせです」
「それに、黒は『何色にも染まらない』強さの象徴だ。他国の圧力にも、古い因習にも屈しない、君の気高い精神を表している。……ああ、黒いドレスの君は、夜空の女神ニュクスのようだ」
アレクセイ様がうっとりとする。 デザイナーも、ハッとした顔でメモを取り始めた。
「なるほど……! 『サムシング・ブラック』! 常識を覆す、新しいウェディングの形……! これは流行ります! 間違いなく歴史に残ります!」
「ちょ、ちょっと! 待って!」
「早速、仕上げにかかります! ヴェールも黒になさいますか? それとも血のような赤でアクセントを?」
「やめて! 呪いの儀式みたいになっちゃう!」
私の抵抗も虚しく、採寸が始まってしまった。 このままでは、私は国中の花嫁に「黒いドレス」を流行らせた元凶として歴史に名を刻んでしまう。
その時だった。
バーン!!
サロンの扉が乱暴に開かれた。
「お待ちなさい!!」
凛とした、しかし怒りを含んだ女性の声が響き渡った。 全員の動きが止まる。
入ってきたのは、一人の貴婦人だった。 年齢は二十代半ばだろうか。 燃えるような赤い髪を厳格なシニヨンにまとめ、隙のない紺色のドレスを着こなしている。 その手には扇子、背筋は剣のように真っ直ぐで、目には強烈な意志の光が宿っていた。
「黒いウェディングドレスですって? 王家の伝統をなんだと思っているのです!」
(!!)
私は心の中でガッツポーズをした。 来た! 常識人だ! この狂った状況に「待った」をかけてくれる、まともな人がようやく現れた!
「……ベアトリス嬢か」
アレクセイ様が、わずかに眉をひそめた。
ベアトリス。 その名を聞いて、私の前世の記憶が検索をかける。 ベアトリス・フォン・オルデンブルク。 大公家の令嬢であり、かつてアレクセイ様の婚約者候補筆頭と呼ばれた才女だ。 幼い頃から「王妃教育」を受け、その完璧すぎる振る舞いから『鉄の女』『歩く礼儀作法書』と恐れられていた人物。
彼女は数年前、語学留学のために国外へ出ていたはずだが……。
「お久しぶりですわ、アレクセイ殿下。帰国早々、耳を疑うような噂を聞きましてよ。殿下が『稀代の悪女』ごときに誑かされ、国を傾けようとしていると!」
ベアトリス様が、鋭い視線を私に向けた。 敵意。軽蔑。そして侮蔑。 完璧だ。私が求めていた視線だ。
「あなたがリリス・フォン・ローゼンバーグね。……ふん、見た目は派手だけど、品性の欠片も感じられないわ。こんな娘が王太子妃? 冗談も休み休み言になさい」
「おっしゃる通りですわ!」
私は彼女に駆け寄り、その手を握りしめた。
「ベアトリス様! よくぞ言ってくださいました! わたくしもそう思いますの! わたくしのような性悪女は、王室には相応しくありませんわ!」
「……は?」
ベアトリス様がキョトンとする。 予想外の反応だったらしい。 普通なら「失礼な!」と怒るところを、全力で同意されたのだから。
「わたくしは浪費家で、性格も歪んでいて、しかも黒いドレスを着ようとするような常識知らずです。どうか、その『鉄の女』の権限で、この結婚を阻止してくださいまし!」
「な、なによ、その態度は……」
ベアトリス様が少し引いている。 いけない、勢い余ってしまった。
「ベアトリス」
アレクセイ様が、私の肩を抱き寄せ、冷ややかな声で言った。
「僕の婚約者に対する無礼は許さない。……リリスは、君が想像するような浅はかな女性ではない」
「いいえ、殿下はお騙しになられています!」
ベアトリス様は扇子を広げ、毅然と言い放った。
「私は認めません! 王妃とは、国の顔であり、模範となるべき存在。伝統を守り、礼節を重んじる者でなければなりません。このような奇抜なドレスを選び、ふざけた態度を取る小娘に、その資格があるとは思えません!」
彼女は私を指差し、宣言した。
「リリス・フォン・ローゼンバーグ! わたくしと勝負なさい! もしあなたが王妃に相応しい教養と品格を持っているというなら、それを証明してみせなさい。……もし負けたら、即刻身を引きなさい!」
勝負。 負けたら身を引く。
(勝った……!)
私は確信した。 この勝負、わざと負ければいいのだ。 相手は「歩く礼儀作法書」。 私がどれだけ頑張っても(頑張らないけど)、勝てる相手ではない。
「受けて立ちますわ!」
私は不敵に笑った。
「その勝負、望むところです。ただし、わたくしが負けたら、本当に潔く消えますからね!」
「……いい度胸ね。後悔させてあげるわ」
こうして、私とベアトリス様の『王太子妃の座を賭けた決闘』が幕を開けた。
◇
場所は王宮の庭園。 立会人はアレクセイ様、ハインリヒ、そして噂を聞きつけた生徒会メンバー(シド、ガストン、レン、マリア)。
「勝負の内容は『ティーパーティー』よ」
ベアトリス様が指定した。 テーブルには、最高級の紅茶とケーキが用意されている。
「貴族たるもの、いかなる時も優雅にお茶を嗜まなければなりません。所作の美しさ、会話の知性、そしてマナー。その全てを競います」
「わかりましたわ」
私は席に着いた。 作戦はシンプルだ。 『マナー違反をしまくる』。 音を立てて紅茶を飲み、ケーキを手掴みで食べ、足を組んで貧乏ゆすりをする。 これなら一発アウトだ。
「では、始めます」
ベアトリス様が優雅にカップを持ち上げる。 背筋が伸び、指先の角度まで完璧だ。 まるで絵画のような美しさ。 さすが『鉄の女』。
対する私は。
(さあ、行くわよ!)
私はカップを鷲掴みにした。 そして、ズルズルズルッ! と盛大な音を立てて紅茶をすすった。
「……っ!?」
ベアトリス様の眉がピクリと跳ねる。 周囲のギャラリーもざわつく。
「なんて下品な……」
よし、いい反応だ。 さらに私は、目の前のショートケーキをフォークも使わずに素手で掴み、大口を開けてガブリと噛み付いた。 クリームが口の周りにつき、指がベタベタになる。
「むぐむぐ……んー、甘ったるくて不味いですわね!」
口に物を入れたまま喋る。 マナー違反のトリプルコンボだ。 どうだ、これでも王太子妃と呼べるか!
「勝負ありね」
ベアトリス様が冷たく言い放った。
「これほど酷いとは思いませんでした。あなたは獣ですか? 王宮のテーブルを汚すなど、万死に値します」
「ええ、そうですわ! わたくしは獣ですの! だから早く失格に……」
「――待て」
声を上げたのは、ハインリヒだった。
「お前ら、わかってねぇな」
彼は腕組みをして、感心したように私を見ていた。
「リリスのその食べ方……あれこそが『生命への感謝』だ」
「は?」
「上品ぶってチマチマ食うのが礼儀か? 違うだろ。作ってくれた職人、そして食材となった命に対して、豪快に、かつ残さず食らう。それこそが最大の礼儀だ!」
「そ、そうなの……?」
ベアトリス様が動揺する。
さらに、シドが眼鏡を光らせて解説に入る。
「音を立てて紅茶をすする行為……あれは東方の島国(日本)における『茶道』の作法に通じるものがあります。熱い茶を空気と共に吸い込むことで、香りを最大限に楽しむ……。会長は、西洋の固定観念に囚われず、グローバルな視点でマナーを再定義しているのです!」
「なっ……!?」
「そして、手掴みでケーキを食べる行為! これは『原点回帰』です!」
マリアが目を輝かせて叫ぶ。
「フォークという金属の冷たさを介さず、指先の体温で触れることで、食材との対話を試みているのです! なんて野性的で、なんて人間味あふれる所作でしょう! リリスお姉様、尊い……!」
違う。 ただ行儀が悪いだけよ。 勝手な解釈をしないで!
ベアトリス様が、震える手で扇子を握りしめている。
「ば、バカなことを……。そんな屁理屈が通るわけ……」
「ベアトリス」
アレクセイ様が静かに口を開いた。
「君の作法は、確かに美しい。教科書通りで、減点するところがない。……だが、それだけだ」
「えっ……」
「そこには『心』がない。形式を守ることに必死で、同席者を楽しませよう、共に時間を共有しようという温かさが欠けている。……対してリリスはどうだ?」
アレクセイ様は、クリームまみれの私の口元を、自分のハンカチで優しく拭った。
「彼女は、ありのままの姿を見せてくれた。堅苦しいマナーという壁を取り払い、『もっとリラックスして楽しみましょう』と提案してくれているんだ。……僕には、彼女の食べ方のほうが、ずっと愛おしく感じるよ」
「そ、そんな……」
ベアトリス様が呆然とする。 彼女の完璧なマナーが、「冷たい」「つまらない」と否定され、私の下品な食い方が「温かい」「新しい」と肯定されてしまった。
判定は、まさかのリリス勝利。
(なんでよぉぉぉ!!)
◇
「まだ終わっていませんわ!」
ベアトリス様は諦めなかった。 さすが『鉄の女』、メンタルも鋼鉄製だ。
「次は『ダンス』です! マナーが独自の解釈だと言うなら、ダンスなら誤魔化しは効きません! ステップ、姿勢、リードへの追従。完璧に踊ってみせなさい!」
「望むところですわ!」
私は立ち上がった。 ダンス。 これなら物理的に失敗できる。 アレクセイ様の足を踏む、転ぶ、ドレスを踏んづける。 わざとじゃなく「下手くそ」に見えるように失敗すれば、今度こそ私の評価は地に落ちる!
音楽が始まる。 優雅なワルツ。
私はアレクセイ様の手を取り、踊り出した。
(今よ!)
私は右足を出し、アレクセイ様の足を踏もうとした。 しかし、彼はまるで予知していたかのように、軽やかに足を引いた。
「おっと。情熱的だね」
(くっ、避けた!?)
なら、回転のタイミングで目を回して倒れてやる!
「あ~れ~!」
私はわざとらしくバランスを崩し、床へ倒れ込もうとした。
しかし、アレクセイ様の腕が、ガシッと私の腰を支えた。
「リンボーダンスかい? 面白い振り付けだ」
彼はそのまま私の上体を反らせ、地面スレスレでキープした。 私の身体の柔らかさが仇となり、見事なイナバウアーのようなポーズが決まってしまった。
「おおーっ!」 ギャラリーから拍手が起こる。
「違う! 失敗したの!」
私は焦って起き上がろうとしたが、ドレスの裾が絡まり、今度はベアトリス様の方へよろめいてしまった。
「きゃっ!?」
ドンッ!
私はベアトリス様にタックルする形になり、二人もつれ合って花壇の中へダイブした。
「い、痛たた……」
土まみれ。ドレスも泥だらけ。 最悪だ。 公爵令嬢が、ライバルの令嬢を突き飛ばして泥遊び。 これはもう、言い逃れできない醜態だ。
「あーあ、やっちゃった……」
私は泥だらけの顔で、ベアトリス様を見た。 彼女もまた、完璧だった髪が乱れ、顔に泥がついている。 きっと激怒するだろう。 「なんてことを!」と平手打ちでもしてくるだろう。
「……ぷっ」
「え?」
ベアトリス様の肩が震えている。
「ふふ……あはははは!」
彼女は、腹を抱えて笑い出した。
「な、なによ……」
「ごめんなさい……こんなこと、初めてで……」
ベアトリス様は涙を拭った(その手も泥だらけだ)。
「幼い頃から、服を汚すな、背筋を伸ばせ、完璧であれと教え込まれてきました。……泥まみれになって転ぶなんて、生まれて初めてですわ」
彼女は、泥のついた手を見つめ、どこか晴れやかな顔をした。
「不思議ね。ドレスは台無しなのに……なんだか、胸が軽くなった気がします」
「ベアトリス様……?」
「リリスさん。……あなたの勝ちよ」
彼女は私に手を差し伸べた。
「あなたは、私の知らない世界を知っている。形式に囚われず、失敗さえも笑いに変えてしまう強さがある。……アレクセイ殿下があなたを選んだ理由、少しだけわかった気がします」
「いや、わざとじゃなくて……」
「完敗です。……でも、悪くない気分ね」
ベアトリス様は私の手を取り、力強く立ち上がらせてくれた。 その瞬間、周囲から割れんばかりの拍手が巻き起こった。
「素晴らしい! 女同士の熱い友情だ!」 「泥にまみれても美しい! これぞ青春!」 「鉄の女の心を溶かすとは、さすがリリス会長!」
またしても。 またしても、私の失態が「感動的な和解シーン」として処理されてしまった。
◇
数日後。 王宮のサロンに、再びベアトリス様が現れた。
ただし、以前のような堅苦しいドレスではない。 動きやすいパンツスタイルに、髪もラフにまとめている。
「リリスさん! 来てくださってありがとう!」
彼女は満面の笑みで私を迎えた。
「ベアトリス様、その格好は……?」
「ふふ、影響を受けちゃいました。これからは、もっと自由に生きようと思いまして」
彼女は、かつての『鉄の女』の面影はなく、明るく快活な女性に変貌していた。 そして、恐ろしいことを言い出した。
「私、決めました。リリスさんの『花嫁修業』の教官になります!」
「へ?」
「マナー講師ではありません。あなたが王妃として、もっと自由に、もっと破天荒に輝けるように、私が全力でサポートします! 黒いドレス? 最高じゃない! 私がもっと過激なデザインに改良してあげますわ!」
「やめて! 余計なことしないで!」
「遠慮しないで! さあ、今日は『演説』の特訓よ! 国民の度肝を抜くスピーチを考えましょう!」
ベアトリス様は、私の新たな「親衛隊長」に就任してしまった。 彼女の厳格な知識と、私の破天荒な行動(失敗)が融合し、最凶の化学反応が起きようとしている。
アレクセイ様は、そんな私たちを見て満足げに頷いている。
「よかったね、リリス。頼もしい味方が増えて。これで結婚式の準備は万全だ」
「……帰りたい」
私は遠い目をした。 ライバルが現れれば婚約破棄できると思ったのに。 なぜ、ライバルが最強のサポーターになってしまうのか。 この世界には「私の敵」という概念が存在しないのだろうか?
その夜。 私は夢を見た。 真っ黒なウェディングドレスを着て、泥まみれになりながら、国民に祝福される夢を。 それは悪夢なのか、予知夢なのか。
結婚式まで、あと一ヶ月。 私の自由への逃走ルートは、完全に閉ざされようとしていた。
……いや、まだだ。 まだ最後の手がある。 結婚式の当日、誓いのキスの瞬間に、「ごめんなさい、他に好きな人がいます!」と叫んで逃げ出す『卒業(映画)』作戦だ。
問題は、その「好きな人」役を誰にするかだが……。
「ハインリヒ? ダメね、あいつは尻尾振ってアレクセイに譲りそうだし」 「ゼクス? 影が薄すぎて気づかれないかも」 「ガストン? 絵面が美女と野獣すぎる」
私は枕に顔を埋めた。
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