『処刑されたはずの悪役令嬢は、3回目の人生で『完璧な悪女』を目指して嫌われたい〜なのに、なぜか今度は王太子殿下から求婚されています〜』

ラムネ

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第12話 ラスボス皇帝が来襲したら、なぜかパパ活(養女)疑惑が浮上しました

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「緊急事態だ! 総員、第一種戦闘配置!」

学園中にけたたましい警報音が鳴り響いた。 生徒たちがパニックになりながら避難する中、私は生徒会室の窓から空を見上げていた。

真っ赤な空。 夕焼けではない。 上空を覆い尽くすほどの巨大な影が、太陽を遮っているのだ。

それは、巨大な軍用飛空艇だった。 側面には、隣国バルドゥール帝国の紋章である『双頭の雷竜』が描かれている。 威圧感だけで窓ガラスがビリビリと震えるほどの、圧倒的な質量。

「……親父だ」

私の隣で、ハインリヒ(帝国の皇太子兼、私の下僕2号)が顔面蒼白になって震えていた。 あの大男が、生まれたての小鹿のようにガクガクしている。

「親父……って、まさか」

「ああ。バルドゥール帝国皇帝、バルバロス・フォン・バルドゥール。……またの名を『暴虐の覇王』だ」

皇帝。 ラスボス。 最強の軍事国家の頂点に立つ男。

(来たわ……!)

私は窓枠を握りしめ、内心で歓喜の声を上げた。

ついに来た! 息子のハインリヒが骨抜きにされ、いつまで経っても帰国しないことに業を煮やして、親父自らが乗り込んできたのだ。 これは間違いなく「激怒」案件である。 「我が息子をたぶらかした悪女はどこだ!」と怒り狂い、私を処刑しようとするに違いない。

これぞ、私が待ち望んでいたシチュエーション。 国際問題になれば、のんきに結婚式なんて挙げている場合ではない。 婚約は破談、私は国外追放(という名の亡命)!

「ふふふ……歓迎しなくてはね」

私は扇を広げ、不敵な笑みを浮かべた。

「リリス、笑ってる場合じゃねぇぞ! 親父はマジでヤバい! 目が合っただけで石化するレベルの殺気だぞ!?」

「あら、ご挨拶ですこと。石化なんてファンタジーな設定、ありませんわよ」

「いや、比喩じゃねぇんだよ! 物理的に動けなくなるんだ!」

ハインリヒの警告を無視して、私は部屋を出た。 目指すは校庭。 飛空艇が着陸しようとしている、その場所へ。

          ◇

校庭には、すでに砂埃が舞い上がっていた。 飛空艇からタラップが降り、整列した帝国兵の間を、一人の男が歩いてくる。

バルバロス皇帝。

デカい。 ハインリヒも大きかったが、この男はさらに一回りでかい。 身長は2メートルを超えているだろう。 岩のような筋肉、顔の半分を覆う荒々しい髭、そして眼光鋭い隻眼(片目は眼帯をしている)。 背中には身の丈ほどの大剣を背負い、一歩歩くごとに地面が揺れるような錯覚を覚える。

(うわぁ……本物のモンスターだわ)

さすがの私も少しビビった。 でも、ここで引いてはいけない。 私は悪女。 世界を敵に回す女なのだから!

皇帝の前には、アレクセイ様と学園長、そして騎士団が立ちはだかっていた。

「ようこそ、バルバロス陛下。……事前の通告なしでの来訪、いささかマナーに欠けるのではありませんか?」

アレクセイ様が、一歩も引かずに問いかける。 笑顔だが、目は笑っていない。

「ふん。倅(せがれ)の顔を見に来るのに、いちいち許可がいるか?」

皇帝の声は、雷鳴のように腹に響いた。

「それに、俺の目的はもう一つある」

皇帝の隻眼が、ギロリと周囲を見渡した。 そして、校舎の入り口に立っていた私を正確に捉えた。

「そこにいるのが、リリス・フォン・ローゼンバーグか」

指名された。 ロックオンされた。

「……はい、そうでしてよ」

私は震える足をドレスで隠し、顎を上げて歩み出た。 群衆がざわめき、道を開ける。

皇帝の前に立つ。 見上げるほどの巨躯。 殺気が肌を刺す。

「ほう。逃げもせず、俺の前に立つか」

皇帝が鼻を鳴らした。

「ハインリヒを骨抜きにし、我が国の宰相補佐官(グスタフ)を手玉に取り、クラーケンさえも素手で屠ったという『魔性の女』……。どんな化け物かと思えば、ただの小娘ではないか」

「あら、失礼ですわね」

私は扇で口元を隠し、精一杯の憎まれ口を叩いた。

「化け物呼ばわりするなんて。……鏡をご覧になったことはなくて? ご自分の顔のほうが、よっぽど魔王に近いですわよ、おじさま」

「……!」

周囲が凍りついた。 帝国兵が剣の柄に手をかける。 ハインリヒが「終わった……」と頭を抱える。

皇帝の眉間の皺が深くなる。 怒るか? 斬るか?

「……ククッ」

皇帝の喉が鳴った。

「ハハハハハ! 言うではないか! 俺を『おじさま』呼ばわりした女は久しぶりだ!」

皇帝が豪快に笑った。 あれ? 怒ってない?

「気に入った。度胸だけは認めてやろう。……だが」

皇帝の笑みが消え、再び冷徹な表情に戻る。

「度胸だけでは、皇帝の嫁(ハインリヒの妻)は務まらん。ましてや、アレクセイの妻など論外だ。……今夜、礼拝堂に来い。そこで貴様を『試験』してやる」

「試験?」

「そうだ。もし合格すれば、俺の『宝』として国に連れ帰ってやる。だが不合格なら……その場で首を刎ねる」

皇帝はそれだけ言い残すと、マントを翻して去っていった。

残された私は、呆然とした。 首を刎ねる? それって処刑?

(……上等じゃない!)

処刑フラグ、いただきました! でも、ここで逃げたら本当に殺される。 ならば、その『試験』とやらで、思いっきり悪態をついて、呆れさせて、「お前ごとき、連れて帰る価値もない!」と捨て台詞を吐かせてやるわ!

          ◇

その夜。 学園の裏手にある古い礼拝堂。

私は一人でそこに向かった。 アレクセイ様やハインリヒは、「絶対に行くな」「罠だ」と止めたが、私は「悪女の度胸を見せてくるわ」と振り切ってきたのだ。 (実際は、アレクセイ様に守られると婚約破棄できないからだが)。

重い扉を開ける。 月明かりだけが照らす静寂の空間。 祭壇の前に、バルバロス皇帝が立っていた。

「来たか」

皇帝が振り返る。 武器は持っていない。 だが、その身から発せられるプレッシャーだけで、空気が重い。

「遅いですわよ、おじさま。乙女を夜に呼び出すなんて、不謹慎極まりないですわ」

私はツカツカと歩み寄り、腕組みをした。

「それで? 試験って何をするのかしら。ダンス? マナー? それとも魔力測定?」

「……顔を見せろ」

皇帝が唐突に言った。

「は?」

「もっと近くで、顔を見せろと言っている」

皇帝が私の腕を掴み、強引に引き寄せた。 顔が近い。 髭の奥にある瞳が、私をじっと見つめている。 値踏みするような、それでいて何かを探すような目。

「……似ている」

皇帝がポツリと漏らした。

「アメジストの瞳。勝ち気な眉。そして、人を食ったような態度……」

皇帝の手が、震えているように見えた。

「貴様の母親の名は、アメリアではないか?」

「えっ」

アメリア。 それは、私の亡き母の名前だ。 私が幼い頃に病死した、優しくて美しい母。 公爵夫人として完璧だった人。

「なぜ、母の名前を?」

「……やはりか」

皇帝の手から力が抜けた。 彼は私から手を離し、よろめくように数歩下がった。

「そうか……アメリアの娘か……」

皇帝が天を仰ぐ。 その目には、まさかの涙が浮かんでいた。

「おじさま?」

「昔の話だ。……俺がまだ皇太子だった頃、この国に留学していたことがある。そこで俺は、一人の女性に恋をした。それがアメリアだ」

えええええ!? お母様!? あの清楚で貞淑だったお母様が、こんなゴリラ皇帝と!?

「俺は彼女に求婚した。帝国に来てくれと。だが、彼女は断った。『私には愛する人がいます』と言ってな。……それが、今のローゼンバーグ公爵だ」

失恋話だ。 しかも結構切ないやつだ。

「俺は諦めきれず、何度もアプローチした。力ずくで奪おうともした。だが、彼女は決して屈しなかった。……『愛は力で奪うものではありません』と、俺の頬を張ったのだ」

皇帝が自分の頬を懐かしそうに撫でる。 なるほど。 ハインリヒのドM属性は、遺伝だったのか。

「貴様のさっきの態度……そして、俺を恐れぬその瞳。アメリアにそっくりだ」

皇帝が私を見た。 今度は、殺気ではなく、とてつもなく重い「情」を含んだ目で。

「リリスよ。……俺の娘にならんか?」

「はい?」

「アメリアは手に入らなかったが、その娘である貴様なら、俺の『養女』として迎えることができる。帝国に来い。次期女帝として、ハインリヒの上に立たせてやる。国中の宝石も、領土も、すべて貴様にやろう」

話が飛躍しすぎている。 失恋の代償行為として、娘を養女にする? ヤバい。 この皇帝、思考回路がアレクセイ様と同レベルでバグっている。

「お断りします!」

私は即答した。

「私は誰のモノにもなりません! 公爵家の娘として、そして何より『リリス』という個として生きますわ! あなたの思い出の身代わりなんて、まっぴらごめんです!」

これで怒るはず。 「生意気な!」と激昂するはず。

しかし、皇帝は……頬を染めてニヤリと笑った。

「ククク……その拒絶の言葉さえも、アメリアに生き写しだ。……たまらん」

ダメだ。 会話が通じない。

「よし、決めた。力ずくでも連れて帰る」

皇帝が一歩踏み出す。 巨大な手が私に伸びる。 誘拐だ。 これはガチの誘拐だ!

「いやぁぁぁ! 助けてーーッ!」

私が叫んだ瞬間。

ドォォォォォン!!

礼拝堂の扉が吹き飛んだ。

「僕の婚約者に触れるなッ!!」

土煙の中から現れたのは、剣を抜いたアレクセイ様だった。 その背後には、ハインリヒ、生徒会メンバー、そしてなぜかベアトリス様まで完全武装で控えている。

「アレクセイ!」

「リリス、遅くなってすまない! ……離れろ、バルバロス!」

アレクセイ様が皇帝に斬りかかる。 速い。 しかし、皇帝は大剣を片手で抜き、軽々と受け止めた。

ガキィィィィン!!

火花が散る。 衝撃波でステンドグラスが割れる。

「ほう。貧弱な優男かと思ったが、なかなかいい太刀筋だ」

皇帝がニヤリと笑う。

「だが、軽いな。愛の重さが足りんぞ?」

「重さなら負けないさ。……リリスへの愛は、地球より重い!」

アレクセイ様がさらに踏み込む。 剣速が上がる。 二人の戦いは、常人の目では追えないレベルだ。

「親父! やめろ! リリスは俺の女帝だ!」 ハインリヒも参戦しようとするが、皇帝の裏拳一発で吹き飛ばされる。 「ぐべっ!」

「私も加勢します!」 ベアトリス様が扇子(鉄製)を投げる。

「援護射撃!」 シドとマリアが魔法を放つ。

礼拝堂がカオスな戦場と化した。 私は祭壇の陰に隠れて、ガタガタ震えていた。

(なんで……どうしてこうなるの……私はただ、静かに暮らしたいだけなのに……)

「リリスを渡せ!」 「渡さない! 彼女は僕の心臓だ!」 「俺の娘にするんだ!」 「僕の妻だ!」

会話がおかしい。 完全に所有権争いだ。

このままでは、礼拝堂が崩壊する。 そして、怪我人が出る。 私が原因で。

(……もう、いい加減にしてよ!)

私の中で、何かがプツンと切れた。

「やめなさいッ!!!」

私は叫んだ。 ありったけの大声で。 そして、祭壇にあった重たい燭台(純金製)を持ち上げ、二人の間に投げ込んだ。

ガシャァァァン!!

燭台が床に激突し、大きな音を立てる。 皇帝とアレクセイ様が動きを止めた。

私はドレスの裾を捲り上げ、仁王立ちになった。

「いい年をした大人が、寄ってたかって何をしているんですの!? ここは神聖な礼拝堂ですわよ! 神様の前でチャンバラごっこなんて、バチが当たりますわ!」

私は皇帝を指差した。

「おじさま! 昔の女への未練を娘にぶつけないで! キモいですわ! 思い出は思い出のままにしておくのが大人の美学でしょう!?」

次にアレクセイ様を指差した。

「あなたも! すぐに暴力を振るうのはやめて! 話し合いで解決できない男は、王としても夫としても三流ですわ!」

そして全員を見回した。

「わたくしはモノじゃありません! 誰の所有物でもない! わたくしの人生はわたくしが決める! ……文句があるなら、かかってらっしゃい! 全員まとめて相手をしてあげますわ!」

シーン……。

礼拝堂に静寂が戻る。 全員が、ポカンと口を開けて私を見ていた。

やってしまった。 皇帝と王太子に説教をしてしまった。 しかも「キモい」「三流」と罵倒して。 これは不敬罪のフルコースだ。 今度こそ処刑だ。

私はハッとして、口元を抑えた。

「あ……今の、なしで……」

しかし、遅かった。

「……ハハハ! ハハハハハハ!」

皇帝が爆笑した。 腹を抱えて、涙を流して笑っている。

「面白い! 最高だ! アメリア以上に気が強いとは! 『キモい』と言われたのは生まれて初めてだ!」

皇帝は大剣を収め、私に近づいてきた。 そして、その巨大な手で、私の頭をガシガシと撫でた(首が折れるかと思った)。

「合格だ、リリス。貴様は見事、俺の試験を突破した」

「は?」

「俺の前でも萎縮せず、正論を吐き、場を制圧する。……その度胸とカリスマ性。貴様なら、帝国の女帝にもなれる器だ。だが……」

皇帝はチラリとアレクセイ様を見た。

「今回は譲ってやろう。この若造も、なかなか骨があるようだしな」

「譲る……?」

「ああ。養女の話は保留にしてやる。ただし! もしこいつ(アレクセイ)が貴様を泣かせるようなことがあれば、いつでも帝国に来い。軍を率いて迎えに行ってやるからな」

皇帝はニカッと笑った。 その笑顔は、どこか吹っ切れたような、頼もしい父親の顔だった。

「アレクセイ。貴様もだ。俺が認めた女を娶るのだ。半端な覚悟では許さんぞ。もしリリスを不幸にしたら、俺がこの国ごと焦土に変えてやる」

「……肝に銘じます。義父上(仮)」

アレクセイ様も剣を収め、深々と頭を下げた。

「義父上とは気が早いな。ま、いい酒が飲めそうだ」

二人はガッチリと握手を交わした。 昨日の敵は今日の友。 男の友情が成立してしまった。

私はへなへなとその場に座り込んだ。

(助かった……のかしら?)

とりあえず、戦争は回避された。 皇帝の誘拐も阻止された。 しかし、結果として得られたのは「皇帝公認の仲」という、さらに逃げ場のない状況と、「帝国のバックアップ」という強大すぎる後ろ盾だった。

          ◇

翌日。 皇帝バルバロスは、満足げに帰国していった……かと思いきや。

「しばらく滞在することにした」

と言い出し、王宮の客室に居座ることになった。 理由は「リリスの結婚式を見届けるため」と「この国の飯(主にリリス考案の激辛料理とクラーケン焼き)が気に入ったから」だそうだ。

学園では、ハインリヒが復活し、さらに調子に乗っていた。

「見ろよリリス! 親父もお前を認めたぜ! これで俺たちの結婚(?)に障害はなくなったな!」

「ないわよ! 結婚しないわよ!」

「照れるなよ。親父から『お土産』も預かってるんだ」

ハインリヒが差し出したのは、帝国の国宝級の魔導書だった。

「これ、古代の『召喚魔法』の奥義書だ。リリスなら使えるだろ? 親父が『魔王の器に相応しい玩具だ』って」

「いりません! 捨てて!」

私は拒否したが、横からシドが奪い取った。

「素晴らしい……! これがあれば、新たな防衛システムが構築できます。会長、ありがとうございます!」

また余計な戦力が増えた。

          ◇

騒動が落ち着いた放課後。 私は一人、生徒会室でため息をついていた。

「はぁ……」

窓の外では、結婚式のパレードの練習をしているアレクセイ様が見える。 手を振る練習をしている。 満面の笑みで。

「どうしてこうなるのよ。私はただ、嫌われたいだけなのに」

悪女ムーブはすべて善行に。 罵倒はツンデレに。 暴力はスキンシップに。 そして、ラスボス皇帝でさえも、ただの親バカ(?)に変えてしまった。

この世界には、私を憎んでくれる人はいないのだろうか? 私を断罪し、処刑台へ送ってくれる「本物の敵」は?

その時。 私の背後で、気配がした。

「……お悩みですか? リリス会長」

振り返ると、そこには見知らぬ生徒が立っていた。 フードを目深に被り、顔が見えない。 制服を着ているが、どこのクラスの生徒かわからない。

「誰?」

「私は『観測者』。……あなたの物語を、ずっと見ていました」

中二病か? 生徒会にはすでに、ゼクス(元暗殺者)やシド(マッドサイエンティスト)がいるから、変なキャラには耐性がある。

「サインなら後にしてくださる? 今、忙しくて」

「ふふ。サインなどいりません。私が欲しいのは……あなたの『絶望』です」

フードの生徒が顔を上げた。 その顔を見て、私は息を飲んだ。

そこにあったのは、のっぺらぼうのような、何の特徴もない顔。 いや、違う。 見るたびに顔が変わる。 男のようでもあり、女のようでもあり、老人のようでもあり、子供のようでもある。

「な、なによ、あなた……」

「この世界は、あなたの『望み』を歪めて叶えるように出来ている。あなたが『嫌われたい』と願えば願うほど、世界はあなたを『愛する』ように補正をかける。……滑稽ですね」

図星だ。 この世界のバグを、この人物は知っている。

「私はそのバグを修正しに来ました。……リリス・フォン・ローゼンバーグ。あなたが望む『本当の破滅』を、プレゼントしてあげましょう」

謎の人物が指を鳴らす。 瞬間、私の足元に黒い魔法陣が出現した。

「えっ、ちょ、何!?」

「結婚式の日。……世界が反転します。楽しみにしていてください」

謎の人物は煙のように消えた。 残されたのは、不吉な予言と、胸騒ぎだけ。

(……何なの? 今の)

怖い。 皇帝よりも、クラーケンよりも怖い。 私の「願い」を知っていて、それを叶える(破滅させる)と言った。 それって、私が求めていたことのはずなのに……なぜか、背筋が凍るような悪寒がした。

「……アレクセイ」

無意識に、彼の名前を呟いていた。

私の運命の結婚式まで、あと一週間。 最後の、そして最大の試練が幕を開けようとしていた。
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