14 / 20
第14話 悪の帝国で『極悪非道』を演じたら、理想の女帝として崇拝されました
しおりを挟む
「ようこそ、我がバルドゥール帝国へ!」
バルバロス皇帝の豪快な声と共に、私は飛空艇の甲板から眼下を見下ろした。
そこには、荒涼とした大地が広がっていた。 赤茶けた岩肌、噴煙を上げる火山、そして黒鉄で作られた巨大な要塞都市。 緑豊かで美しい我が祖国(王国)とは似ても似つかない、まさに『魔境』と呼ぶに相応しい光景だ。
「……世紀末ね」
私はドレスの裾を押さえながら、乾いた風に髪をなびかせた。 誘拐されて数時間。 私はまだ、皇帝の肩に担がれたままである。 お米袋スタイルも板についてきた。
「どうだ、リリス。この荒々しさこそが帝国の誇りだ。力なき者は淘汰され、強き者だけが生き残る。貴様のような『悪女』には最高のステージだろう?」
皇帝がニヤリと笑う。
私は心の中でガッツポーズをした。 そうよ、これよ! 私が求めていたのは、この「殺伐とした空気」よ!
王国の連中は、あのお節介な『観測者』のせいで、私の行動を全て「悪意」として受け取るようになった(アレクセイ様などの重症患者を除く)。 つまり、この帝国でも同じことが起きるはず。 私が何かすれば、「なんて酷い女だ」「極悪人だ」と罵られるに違いない。
そして、ここは「力こそ正義」の国。 弱くて性格の悪い女なんて、真っ先に処刑されるか、奴隷に落とされるはず!
(今度こそ……今度こそ、どん底まで落ちてやるわ!)
私は皇帝の耳元で、精一杯の悪態をついた。
「ふん、汚い国ですわね。砂と鉄の臭いしかしませんわ。こんな場所、わたくしの靴底を汚すのも嫌ですのよ」
どうだ。 皇帝陛下自慢の国を侮辱してやったわ。 さあ、怒りなさい! 「貴様ごときが!」と私を地上へ放り出しなさい!
「……ククッ」
皇帝の喉が鳴る。
「ハハハハハ! いいぞ! その傲慢さ! その不遜な態度! やはり貴様は最高だ!」
「は?」
「帝国の民は、謙虚さなど求めておらん。欲しいのは、自分たちをゴミのように見下し、圧倒的な力で支配してくれる『絶対者』だ! 貴様のその言葉、国民への最高の挨拶になるぞ!」
なんでよ。 なんで怒らないのよ。
飛空艇が帝都の中央広場に着陸する。 そこには、武装した帝国兵と、見るからに柄の悪い国民たちが集結していた。 彼らは皆、殺気立っている。
「見ろ! あれが皇帝陛下がさらってきた女か?」 「王国の公爵令嬢だってよ」 「へっ、どうせ温室育ちのひ弱な女だろ? 俺が一捻りにしてやるぜ」
よしよし、いい反応だ。 敵意がある。殺意がある。 これこそが正常な反応よ!
皇帝が私を地面に下ろした。 私は黒いウェディングドレスの埃を払い、群衆を見回した。
「おい、女」
一人の男が進み出てきた。 全身に刺青を入れた、巨漢の戦士だ。 手には巨大な斧を持っている。
「俺は帝都最強の戦士、ヴォルフだ。陛下が連れてきたからには挨拶してやるが……テメェみたいな細腕の女に、俺たちが従うと思ってんのか?」
男が斧を振り回し、威嚇する。
「ここは実力主義の帝国だ。気に食わねぇなら、今すぐ消えな……」
チャンスだ。 ここで私が無様に悲鳴を上げて逃げ出せば、「腰抜けめ!」と追放される。
しかし。 その時、私の脳裏に『観測者』の声が響いた。
『……警告。世界の反転作用により、あなたの行動はすべて「極悪」に変換されます』
(ええ、知ってるわよ。だから今から「か弱い乙女」を演じて……)
私は「キャッ、怖い!」と叫ぼうとした。 ところが。
「――うるさいわね、雑魚」
私の口から出たのは、氷点下の罵倒だった。
(えっ!?)
口が勝手に! また王妃教育の自動防衛システム(貴族プライド)が作動したの!? それとも、このドレス(ベアトリス様製)の呪い!?
私は男を冷ややかに見下し、扇で鼻を覆った。
「あなた、口臭が酷くてよ? 腐った肉でも食べてきたのかしら。……わたくしの前に立つなら、せめて口を濯いでからいらっしゃい」
シーン……。
広場が静まり返る。 男の顔が真っ赤になる。
「て、テメェ……!」
「それに、その斧。手入れがなっていませんわね。刃こぼれしているじゃない。道具を大切にできない男は、仕事もできない三流よ」
私は止まらない。 煽る。煽りまくる。 死にたいのか、私!?
男が激昂し、斧を振り上げた。
「ぶっ殺してやるぁぁぁッ!!」
斧が振り下ろされる。 死ぬ。 今度こそ死ぬ。
私は目を閉じた。
ドガァッ!!
鈍い音がした。 しかし、痛みはない。
目を開けると、男が白目を剥いて倒れていた。 その背後には、ハインリヒ(いつの間にか追いついていた)が立っていた。 手には、王国の土産物屋で買った木刀が握られている。
「……俺の女帝に触れるな」
ハインリヒが低く唸る。 その瞳は、猛獣のように光っている。
「ハ、ハインリヒ殿下!?」 「殿下が帰ってきたぞ!」
群衆がざわめく。 しかし、ハインリヒは彼らを無視し、私に跪いた。
「すまねぇ、リリス。到着が遅れた。……怪我はないか?」
「ええ、ありませんけど……余計なことを!」
私はハインリヒを睨んだ。 せっかく斧で両断されて伝説になる予定だったのに!
「見ろよ、お前ら!」
ハインリヒが立ち上がり、国民に向かって叫んだ。
「この女は、斧を振り下ろされても眉一つ動かさなかった! それどころか、死の寸前まで相手の欠点を指摘し、精神的に優位に立ち続けた! この『傲慢』こそが、帝国の頂点に立つ者の資質だ!」
「「「おおおおおっ!!」」」
群衆の目の色が変わった。 侮蔑から、畏怖へ。 そして、熱狂的な崇拝へ。
「すげぇ……死をも恐れぬ悪女だ!」 「王国の令嬢とは思えねぇ胆力!」 「あの冷たい目……ゾクゾクするぜ!」
違う。 足がすくんで動けなかっただけよ。
「リリス! リリス!」 「悪の華! 悪の華!」
帝都中にコールが響き渡る。 皇帝が満足げに頷く。
「見たか、リリス。これが帝国の流儀だ。『悪意』を示せば示すほど、ここでは称賛される。貴様は生まれながらにして、この国の女帝なのだよ」
詰んだ。 王国の「善意フィルター」が外れたと思ったら、今度は帝国の「悪意肯定フィルター」に捕まった。 どこに行っても、私は崇められる運命にあるのか。
◇
帝国の皇城『黒鉄城』。 私は、皇帝から与えられた一室で頭を抱えていた。
部屋は広い。無駄に広い。 装飾はすべて黒と金。 壁にはドラゴンの剥製が飾られ、床には虎の毛皮が敷かれている。 趣味が悪いにも程がある。
「どうするのよ、これ……」
窓の外では、まだ私の名前を叫ぶ声が聞こえる。 完全に「悪のカリスマ」として受け入れられてしまった。
「失礼します、リリス様」
扉が開き、一人の男が入ってきた。 帝国の宰相補佐官、グスタフだ。 かつてクラーケンを召喚し、私を陥れようとした黒幕である。
「あら、あなたは……」
「お久しぶりです。……いえ、これからは『陛下』とお呼びすべきでしょうか」
グスタフは恭しく頭を下げた。 その表情には、かつてのような敵意はない。 あるのは、狂信的な忠誠心だ。
「貴女様の『悪逆非道』な振る舞い、王国の学園祭で見せていただきました。……痺れました。あの自作自演の断罪劇、そして民衆を扇動して国を割る手腕。貴女こそが、私が探し求めていた『魔王』です」
「誤解です。ただの事故です」
「謙遜は不要です。……さて、リリス様。帝国にいらしたからには、一つお願いがございます」
グスタフが、羊皮紙の束を差し出した。
「帝国の財政報告書です。ご覧の通り、我が国は軍事費の増大により破綻寸前。国民は重税に苦しみ、不満が溜まっております」
「へぇ、そうなの」
私は興味なさげに書類を弾いた。 チャンスだ。 ここで私が、さらに無茶な増税を命じたり、国庫を空にするような浪費をすれば、今度こそ国民はブチ切れるはず。 暴動が起き、私はギロチン行きだ!
「わかったわ。……グスタフ、命令よ」
私は不敵に笑った。
「帝国の全財産を持ってきなさい。金貨も、宝石も、美術品も、全部よ」
「……全部、ですか?」
「ええ。わたくしが全て使い切って差し上げますわ! この城の改装、毎晩の宴会、そして私のドレス……湯水のように使って、一銭も残さないわ!」
どうだ。 これぞ亡国の悪女。 マリー・アントワネットも裸足で逃げ出す浪費宣言だ。
グスタフは眼鏡を押し上げ、ニヤリと笑った。
「……承知いたしました。貴女様の『欲望』、しかと叶えましょう」
◇
一週間後。
帝都は、かつてないほどの好景気に沸いていた。
「なんでぇぇぇ!?」
私は執務室で絶叫した。 手元にある報告書には、右肩上がりの経済グラフが描かれている。
私が命じたのは、「城の全面改装(黒く塗りつぶせ)」と「毎晩の大宴会(高級食材のみ)」だった。 本来なら、これで国庫は空になるはずだった。
しかし。
グスタフの報告: 「リリス様の命令により、大規模な公共事業(城の改装)が発注され、失業者たちに仕事が行き渡りました。さらに、宴会のために各地から食材を買い上げたことで、物流が活性化し、地方の農村が潤いました」
「は?」
「また、リリス様が選んだ『黒い塗料』や『奇抜なドレス』が、新たな流行(トレンド)として爆発的にヒット。関連商品の売り上げが凄まじく、税収が昨対比300%を記録しました」
「嘘でしょ!?」
「さらに、貴女様が『こんなゴミみたいな宝石いらないわ!』と市場に放出した宝石類が、海外の富裕層に高値で売れ、外貨獲得に貢献しております」
私が「断捨離」したつもりのガラクタが、国家予算レベルの利益を生んでしまったらしい。
「極め付けは、これです」
グスタフが一枚の紙を見せた。 そこには、『リリス女帝記念硬貨』の発行と、その即日完売のニュースが載っていた。
「国民は貴女様の『強欲さ』に憧れ、貴女様のように成功したいと願い、勤労意欲を高めています。……リリス様。貴女は消費と浪費によって経済を回す、現代の錬金術師です!」
「違う! 私はただ、国を滅ぼしたかっただけなの!」
私は机に突っ伏した。 悪政を行ったつもりが、ケインズ経済学もビックリの有効需要創出政策になってしまった。
窓の外からは、今日も国民の歓声が聞こえる。 「リリス様万歳!」「ボーナスが出たぞ!」「今夜も宴会だ!」
この国、チョロすぎる。
◇
そんなある日。 帝国の国境付近にある砦から、緊急の伝令が届いた。
「ほ、報告します! 王国軍が……王国軍が国境を突破しました!」
「えっ?」
私は飛び上がった。 ついに来た! アレクセイ様だ!
「数は!?」
「そ、それが……たったの『5人』です!」
「5人?」
「はい! ですが、その5人が……化け物なんです!」
伝令兵が震えながら報告する。
「先頭を行く銀髪の男……王太子アレクセイは、笑顔で『リリスはどこだ』と呟きながら、城門を素手で破壊しました!」
ヤンデレゴリラだ。
「眼鏡の男(シド)は、謎の光線で要塞の防御システムをハッキングし、巨漢の男(ガストン)は戦車を投げ飛ばしています!」
生徒会メンバーも完全にリミッターが外れている。
「さらに、聖女のような少女(マリア)が『浄化』と称して極太レーザーを放ち、黒装束の男(ゼクス)が影から兵士たちのパンツを脱がせています!」
ゼクス、お前は何をしているんだ。
「このままでは、半日で帝都に到達します!」
「……来たわね」
私は震える手で扇を握りしめた。 アレクセイ様たちが、私を取り戻しに来た。 王国軍(という名の魔王軍)の襲来だ。
普通なら「助けに来てくれた!」と喜ぶべき場面だ。 しかし、今の私にとって、彼らは「私を『聖女』という檻に閉じ込めようとする追っ手」でしかない。
ここで彼らに捕まれば、私は王国に連れ戻され、またあの「息苦しい善の世界」で、愛されながら死んでいくことになる。 それだけは嫌だ! 私はここで、悪の女帝として自由に生きたいの!(※ただし仕事は忙しい)
「迎撃するわよ!」
私は立ち上がった。
「え?」 そばにいたハインリヒが驚く。
「リリス、お前……アレクセイの元に帰らなくていいのか?」
「帰らないわ! わたくしは今、帝国の経済を回すのに忙しいの! あんなストーカー男に捕まったら、また鳥籠の中よ!」
私は宣言した。
「全軍、出撃準備! わたくし自らが指揮を執ります! あの愛の暴走機関車を食い止めるのよ!」
「「「イエスマム!!」」」
帝国軍の士気が爆上がりした。 「女帝陛下が俺たちと共に戦うぞ!」「王国軍を返り討ちにしろ!」
こうして。 『悪の女帝リリス(と帝国軍)』vs『愛の勇者アレクセイ(と生徒会)』。 史上最悪の、そして最低の「夫婦喧嘩」という名の戦争が始まろうとしていた。
◇
帝都防衛線。 荒野の真ん中で、両軍が対峙した。
帝国側は、戦車数百台、魔導兵一万人、そしてバルバロス皇帝とハインリヒ、グスタフ。 中央には、漆黒のドレスに身を包み、玉座(移動式)に座る私。
対する王国側は、たったの5人。 しかし、そのプレッシャーは帝国軍を圧倒していた。
「リリス……」
先頭に立つアレクセイ様が、私を見つめる。 その目は、底なしの沼のように暗く、深く、そして愛に満ちていた。
「やっと見つけた。……迎えに来たよ、僕のお姫様」
「お断りしますわ!」
私はメガホン(魔道具)を使って叫んだ。
「わたくしはこの国が気に入りましたの! ここには『自由』と『悪』がありますわ! あなたのような束縛男の元には帰りません!」
「自由? 悪? ……ふふ、リリスはまだ反抗期なんだね」
アレクセイ様が剣を抜いた。
「いいよ。君が世界を敵に回してでもそこで遊びたいと言うなら……僕がその世界ごと君を抱きしめるまでだ」
「会話が通じない!」
「総員、突撃!」
アレクセイ様が走り出した。 速い。音速だ。
「撃てぇぇぇ! 近づけるなぁぁぁ!」
帝国軍が一斉射撃を開始する。 砲弾の雨。魔法の嵐。
しかし。 アレクセイ様は、それらを全て「剣一本」で切り払った。
「邪魔だッ!」
ズバァァァン!!
一振りで、戦車部隊が吹き飛ぶ。
「リリスへの愛は! 物理法則をも凌駕する!」
彼は止まらない。 一直線に私に向かってくる。
「ひぃぃぃ! 誰か止めて!」
「俺が行く!」
ハインリヒが飛び出した。 「アレクセイ! 俺の女帝に触れるな!」
「どけ、ハインリヒ。君ごときが僕の愛に勝てると思うな!」
二人が激突する。 しかし、今回はハインリヒが押されている。 アレクセイ様の目が、完全にイッてしまっているからだ。
「お姉様! 今、助けます!」
マリアが空を飛んできた(いつの間に飛行魔法を?)。 「浄化の光(メギド・フレア)!」
極太レーザーが私を襲う……いや、私の周りの護衛兵を消し飛ばした。 「邪魔者は排除しました! さあ、お姉様!」
「マリア! あなた聖女でしょう!? なんで破壊神になってるのよ!」
シドとグスタフが頭脳戦(ハッキング対決)を展開し、ガストンと皇帝が肉弾戦(怪獣大決戦)を繰り広げている。
戦場はカオスだ。 そして、その中心で、私は震えていた。
このままでは、アレクセイ様が到達する。 捕まる。 連れ戻される。 そして、一生「愛の牢獄」に……。
(……何か。何か手はないの!?)
私は必死に周囲を見回した。 そして、ハインリヒが持っていた『アレ』を見つけた。 皇帝からのお土産。 古代の魔導書。
「これよ!」
私は魔導書を開いた。 中身なんて読めない。 でも、適当に魔力を込めれば、何かすごいことが起きるはず!
「ええい! 出てきなさい、なんか凄いやつ!」
私は叫んだ。 魔導書がカッと光る。
『……召喚ニ応ジ、顕現スル』
空が割れた。 そこから現れたのは、クラーケンよりも、皇帝よりも巨大な……。
『ドラゴン』だった。
しかも、ただのドラゴンではない。 全身がクリスタルでできた、神々しくも恐ろしい『終焉の竜』。
「ギャオオオオオオオ!!」
ドラゴンの咆哮が、戦場を吹き飛ばした。 帝国軍も王国軍も、全員が吹き飛ぶ。
「……あ」
やっちゃった。 ラスボスよりも強い隠しボスを呼び出しちゃった。
ドラゴンは私を見下ろし、そして……なぜか頬を赤らめた(ように見えた)。
『……ママ?』
「は?」
ドラゴンが私に擦り寄ってきた。 巨大な顔が、私の頬にスリスリする。
『ママ! 会イタカッタ!』
どうやら、私の魔力(というより母性?)が、生まれたばかりの最強ドラゴンに刷り込まれてしまったらしい。
「リリス……君は、ドラゴンまで産んだのか?」
吹き飛ばされたアレクセイ様が、呆然と呟く。
「違います! 召喚しただけです!」
「すごい……やはりリリスは『国母』を超えて『竜の母』になったんだね……」
「解釈をやめろ!」
こうして。 私の悪女ライフは、 『帝国女帝』 『経済の錬金術師』 『竜の母』 という、訳のわからない称号をトリプルゲットして、さらに混沌の沼へと沈んでいくのだった。
バルバロス皇帝の豪快な声と共に、私は飛空艇の甲板から眼下を見下ろした。
そこには、荒涼とした大地が広がっていた。 赤茶けた岩肌、噴煙を上げる火山、そして黒鉄で作られた巨大な要塞都市。 緑豊かで美しい我が祖国(王国)とは似ても似つかない、まさに『魔境』と呼ぶに相応しい光景だ。
「……世紀末ね」
私はドレスの裾を押さえながら、乾いた風に髪をなびかせた。 誘拐されて数時間。 私はまだ、皇帝の肩に担がれたままである。 お米袋スタイルも板についてきた。
「どうだ、リリス。この荒々しさこそが帝国の誇りだ。力なき者は淘汰され、強き者だけが生き残る。貴様のような『悪女』には最高のステージだろう?」
皇帝がニヤリと笑う。
私は心の中でガッツポーズをした。 そうよ、これよ! 私が求めていたのは、この「殺伐とした空気」よ!
王国の連中は、あのお節介な『観測者』のせいで、私の行動を全て「悪意」として受け取るようになった(アレクセイ様などの重症患者を除く)。 つまり、この帝国でも同じことが起きるはず。 私が何かすれば、「なんて酷い女だ」「極悪人だ」と罵られるに違いない。
そして、ここは「力こそ正義」の国。 弱くて性格の悪い女なんて、真っ先に処刑されるか、奴隷に落とされるはず!
(今度こそ……今度こそ、どん底まで落ちてやるわ!)
私は皇帝の耳元で、精一杯の悪態をついた。
「ふん、汚い国ですわね。砂と鉄の臭いしかしませんわ。こんな場所、わたくしの靴底を汚すのも嫌ですのよ」
どうだ。 皇帝陛下自慢の国を侮辱してやったわ。 さあ、怒りなさい! 「貴様ごときが!」と私を地上へ放り出しなさい!
「……ククッ」
皇帝の喉が鳴る。
「ハハハハハ! いいぞ! その傲慢さ! その不遜な態度! やはり貴様は最高だ!」
「は?」
「帝国の民は、謙虚さなど求めておらん。欲しいのは、自分たちをゴミのように見下し、圧倒的な力で支配してくれる『絶対者』だ! 貴様のその言葉、国民への最高の挨拶になるぞ!」
なんでよ。 なんで怒らないのよ。
飛空艇が帝都の中央広場に着陸する。 そこには、武装した帝国兵と、見るからに柄の悪い国民たちが集結していた。 彼らは皆、殺気立っている。
「見ろ! あれが皇帝陛下がさらってきた女か?」 「王国の公爵令嬢だってよ」 「へっ、どうせ温室育ちのひ弱な女だろ? 俺が一捻りにしてやるぜ」
よしよし、いい反応だ。 敵意がある。殺意がある。 これこそが正常な反応よ!
皇帝が私を地面に下ろした。 私は黒いウェディングドレスの埃を払い、群衆を見回した。
「おい、女」
一人の男が進み出てきた。 全身に刺青を入れた、巨漢の戦士だ。 手には巨大な斧を持っている。
「俺は帝都最強の戦士、ヴォルフだ。陛下が連れてきたからには挨拶してやるが……テメェみたいな細腕の女に、俺たちが従うと思ってんのか?」
男が斧を振り回し、威嚇する。
「ここは実力主義の帝国だ。気に食わねぇなら、今すぐ消えな……」
チャンスだ。 ここで私が無様に悲鳴を上げて逃げ出せば、「腰抜けめ!」と追放される。
しかし。 その時、私の脳裏に『観測者』の声が響いた。
『……警告。世界の反転作用により、あなたの行動はすべて「極悪」に変換されます』
(ええ、知ってるわよ。だから今から「か弱い乙女」を演じて……)
私は「キャッ、怖い!」と叫ぼうとした。 ところが。
「――うるさいわね、雑魚」
私の口から出たのは、氷点下の罵倒だった。
(えっ!?)
口が勝手に! また王妃教育の自動防衛システム(貴族プライド)が作動したの!? それとも、このドレス(ベアトリス様製)の呪い!?
私は男を冷ややかに見下し、扇で鼻を覆った。
「あなた、口臭が酷くてよ? 腐った肉でも食べてきたのかしら。……わたくしの前に立つなら、せめて口を濯いでからいらっしゃい」
シーン……。
広場が静まり返る。 男の顔が真っ赤になる。
「て、テメェ……!」
「それに、その斧。手入れがなっていませんわね。刃こぼれしているじゃない。道具を大切にできない男は、仕事もできない三流よ」
私は止まらない。 煽る。煽りまくる。 死にたいのか、私!?
男が激昂し、斧を振り上げた。
「ぶっ殺してやるぁぁぁッ!!」
斧が振り下ろされる。 死ぬ。 今度こそ死ぬ。
私は目を閉じた。
ドガァッ!!
鈍い音がした。 しかし、痛みはない。
目を開けると、男が白目を剥いて倒れていた。 その背後には、ハインリヒ(いつの間にか追いついていた)が立っていた。 手には、王国の土産物屋で買った木刀が握られている。
「……俺の女帝に触れるな」
ハインリヒが低く唸る。 その瞳は、猛獣のように光っている。
「ハ、ハインリヒ殿下!?」 「殿下が帰ってきたぞ!」
群衆がざわめく。 しかし、ハインリヒは彼らを無視し、私に跪いた。
「すまねぇ、リリス。到着が遅れた。……怪我はないか?」
「ええ、ありませんけど……余計なことを!」
私はハインリヒを睨んだ。 せっかく斧で両断されて伝説になる予定だったのに!
「見ろよ、お前ら!」
ハインリヒが立ち上がり、国民に向かって叫んだ。
「この女は、斧を振り下ろされても眉一つ動かさなかった! それどころか、死の寸前まで相手の欠点を指摘し、精神的に優位に立ち続けた! この『傲慢』こそが、帝国の頂点に立つ者の資質だ!」
「「「おおおおおっ!!」」」
群衆の目の色が変わった。 侮蔑から、畏怖へ。 そして、熱狂的な崇拝へ。
「すげぇ……死をも恐れぬ悪女だ!」 「王国の令嬢とは思えねぇ胆力!」 「あの冷たい目……ゾクゾクするぜ!」
違う。 足がすくんで動けなかっただけよ。
「リリス! リリス!」 「悪の華! 悪の華!」
帝都中にコールが響き渡る。 皇帝が満足げに頷く。
「見たか、リリス。これが帝国の流儀だ。『悪意』を示せば示すほど、ここでは称賛される。貴様は生まれながらにして、この国の女帝なのだよ」
詰んだ。 王国の「善意フィルター」が外れたと思ったら、今度は帝国の「悪意肯定フィルター」に捕まった。 どこに行っても、私は崇められる運命にあるのか。
◇
帝国の皇城『黒鉄城』。 私は、皇帝から与えられた一室で頭を抱えていた。
部屋は広い。無駄に広い。 装飾はすべて黒と金。 壁にはドラゴンの剥製が飾られ、床には虎の毛皮が敷かれている。 趣味が悪いにも程がある。
「どうするのよ、これ……」
窓の外では、まだ私の名前を叫ぶ声が聞こえる。 完全に「悪のカリスマ」として受け入れられてしまった。
「失礼します、リリス様」
扉が開き、一人の男が入ってきた。 帝国の宰相補佐官、グスタフだ。 かつてクラーケンを召喚し、私を陥れようとした黒幕である。
「あら、あなたは……」
「お久しぶりです。……いえ、これからは『陛下』とお呼びすべきでしょうか」
グスタフは恭しく頭を下げた。 その表情には、かつてのような敵意はない。 あるのは、狂信的な忠誠心だ。
「貴女様の『悪逆非道』な振る舞い、王国の学園祭で見せていただきました。……痺れました。あの自作自演の断罪劇、そして民衆を扇動して国を割る手腕。貴女こそが、私が探し求めていた『魔王』です」
「誤解です。ただの事故です」
「謙遜は不要です。……さて、リリス様。帝国にいらしたからには、一つお願いがございます」
グスタフが、羊皮紙の束を差し出した。
「帝国の財政報告書です。ご覧の通り、我が国は軍事費の増大により破綻寸前。国民は重税に苦しみ、不満が溜まっております」
「へぇ、そうなの」
私は興味なさげに書類を弾いた。 チャンスだ。 ここで私が、さらに無茶な増税を命じたり、国庫を空にするような浪費をすれば、今度こそ国民はブチ切れるはず。 暴動が起き、私はギロチン行きだ!
「わかったわ。……グスタフ、命令よ」
私は不敵に笑った。
「帝国の全財産を持ってきなさい。金貨も、宝石も、美術品も、全部よ」
「……全部、ですか?」
「ええ。わたくしが全て使い切って差し上げますわ! この城の改装、毎晩の宴会、そして私のドレス……湯水のように使って、一銭も残さないわ!」
どうだ。 これぞ亡国の悪女。 マリー・アントワネットも裸足で逃げ出す浪費宣言だ。
グスタフは眼鏡を押し上げ、ニヤリと笑った。
「……承知いたしました。貴女様の『欲望』、しかと叶えましょう」
◇
一週間後。
帝都は、かつてないほどの好景気に沸いていた。
「なんでぇぇぇ!?」
私は執務室で絶叫した。 手元にある報告書には、右肩上がりの経済グラフが描かれている。
私が命じたのは、「城の全面改装(黒く塗りつぶせ)」と「毎晩の大宴会(高級食材のみ)」だった。 本来なら、これで国庫は空になるはずだった。
しかし。
グスタフの報告: 「リリス様の命令により、大規模な公共事業(城の改装)が発注され、失業者たちに仕事が行き渡りました。さらに、宴会のために各地から食材を買い上げたことで、物流が活性化し、地方の農村が潤いました」
「は?」
「また、リリス様が選んだ『黒い塗料』や『奇抜なドレス』が、新たな流行(トレンド)として爆発的にヒット。関連商品の売り上げが凄まじく、税収が昨対比300%を記録しました」
「嘘でしょ!?」
「さらに、貴女様が『こんなゴミみたいな宝石いらないわ!』と市場に放出した宝石類が、海外の富裕層に高値で売れ、外貨獲得に貢献しております」
私が「断捨離」したつもりのガラクタが、国家予算レベルの利益を生んでしまったらしい。
「極め付けは、これです」
グスタフが一枚の紙を見せた。 そこには、『リリス女帝記念硬貨』の発行と、その即日完売のニュースが載っていた。
「国民は貴女様の『強欲さ』に憧れ、貴女様のように成功したいと願い、勤労意欲を高めています。……リリス様。貴女は消費と浪費によって経済を回す、現代の錬金術師です!」
「違う! 私はただ、国を滅ぼしたかっただけなの!」
私は机に突っ伏した。 悪政を行ったつもりが、ケインズ経済学もビックリの有効需要創出政策になってしまった。
窓の外からは、今日も国民の歓声が聞こえる。 「リリス様万歳!」「ボーナスが出たぞ!」「今夜も宴会だ!」
この国、チョロすぎる。
◇
そんなある日。 帝国の国境付近にある砦から、緊急の伝令が届いた。
「ほ、報告します! 王国軍が……王国軍が国境を突破しました!」
「えっ?」
私は飛び上がった。 ついに来た! アレクセイ様だ!
「数は!?」
「そ、それが……たったの『5人』です!」
「5人?」
「はい! ですが、その5人が……化け物なんです!」
伝令兵が震えながら報告する。
「先頭を行く銀髪の男……王太子アレクセイは、笑顔で『リリスはどこだ』と呟きながら、城門を素手で破壊しました!」
ヤンデレゴリラだ。
「眼鏡の男(シド)は、謎の光線で要塞の防御システムをハッキングし、巨漢の男(ガストン)は戦車を投げ飛ばしています!」
生徒会メンバーも完全にリミッターが外れている。
「さらに、聖女のような少女(マリア)が『浄化』と称して極太レーザーを放ち、黒装束の男(ゼクス)が影から兵士たちのパンツを脱がせています!」
ゼクス、お前は何をしているんだ。
「このままでは、半日で帝都に到達します!」
「……来たわね」
私は震える手で扇を握りしめた。 アレクセイ様たちが、私を取り戻しに来た。 王国軍(という名の魔王軍)の襲来だ。
普通なら「助けに来てくれた!」と喜ぶべき場面だ。 しかし、今の私にとって、彼らは「私を『聖女』という檻に閉じ込めようとする追っ手」でしかない。
ここで彼らに捕まれば、私は王国に連れ戻され、またあの「息苦しい善の世界」で、愛されながら死んでいくことになる。 それだけは嫌だ! 私はここで、悪の女帝として自由に生きたいの!(※ただし仕事は忙しい)
「迎撃するわよ!」
私は立ち上がった。
「え?」 そばにいたハインリヒが驚く。
「リリス、お前……アレクセイの元に帰らなくていいのか?」
「帰らないわ! わたくしは今、帝国の経済を回すのに忙しいの! あんなストーカー男に捕まったら、また鳥籠の中よ!」
私は宣言した。
「全軍、出撃準備! わたくし自らが指揮を執ります! あの愛の暴走機関車を食い止めるのよ!」
「「「イエスマム!!」」」
帝国軍の士気が爆上がりした。 「女帝陛下が俺たちと共に戦うぞ!」「王国軍を返り討ちにしろ!」
こうして。 『悪の女帝リリス(と帝国軍)』vs『愛の勇者アレクセイ(と生徒会)』。 史上最悪の、そして最低の「夫婦喧嘩」という名の戦争が始まろうとしていた。
◇
帝都防衛線。 荒野の真ん中で、両軍が対峙した。
帝国側は、戦車数百台、魔導兵一万人、そしてバルバロス皇帝とハインリヒ、グスタフ。 中央には、漆黒のドレスに身を包み、玉座(移動式)に座る私。
対する王国側は、たったの5人。 しかし、そのプレッシャーは帝国軍を圧倒していた。
「リリス……」
先頭に立つアレクセイ様が、私を見つめる。 その目は、底なしの沼のように暗く、深く、そして愛に満ちていた。
「やっと見つけた。……迎えに来たよ、僕のお姫様」
「お断りしますわ!」
私はメガホン(魔道具)を使って叫んだ。
「わたくしはこの国が気に入りましたの! ここには『自由』と『悪』がありますわ! あなたのような束縛男の元には帰りません!」
「自由? 悪? ……ふふ、リリスはまだ反抗期なんだね」
アレクセイ様が剣を抜いた。
「いいよ。君が世界を敵に回してでもそこで遊びたいと言うなら……僕がその世界ごと君を抱きしめるまでだ」
「会話が通じない!」
「総員、突撃!」
アレクセイ様が走り出した。 速い。音速だ。
「撃てぇぇぇ! 近づけるなぁぁぁ!」
帝国軍が一斉射撃を開始する。 砲弾の雨。魔法の嵐。
しかし。 アレクセイ様は、それらを全て「剣一本」で切り払った。
「邪魔だッ!」
ズバァァァン!!
一振りで、戦車部隊が吹き飛ぶ。
「リリスへの愛は! 物理法則をも凌駕する!」
彼は止まらない。 一直線に私に向かってくる。
「ひぃぃぃ! 誰か止めて!」
「俺が行く!」
ハインリヒが飛び出した。 「アレクセイ! 俺の女帝に触れるな!」
「どけ、ハインリヒ。君ごときが僕の愛に勝てると思うな!」
二人が激突する。 しかし、今回はハインリヒが押されている。 アレクセイ様の目が、完全にイッてしまっているからだ。
「お姉様! 今、助けます!」
マリアが空を飛んできた(いつの間に飛行魔法を?)。 「浄化の光(メギド・フレア)!」
極太レーザーが私を襲う……いや、私の周りの護衛兵を消し飛ばした。 「邪魔者は排除しました! さあ、お姉様!」
「マリア! あなた聖女でしょう!? なんで破壊神になってるのよ!」
シドとグスタフが頭脳戦(ハッキング対決)を展開し、ガストンと皇帝が肉弾戦(怪獣大決戦)を繰り広げている。
戦場はカオスだ。 そして、その中心で、私は震えていた。
このままでは、アレクセイ様が到達する。 捕まる。 連れ戻される。 そして、一生「愛の牢獄」に……。
(……何か。何か手はないの!?)
私は必死に周囲を見回した。 そして、ハインリヒが持っていた『アレ』を見つけた。 皇帝からのお土産。 古代の魔導書。
「これよ!」
私は魔導書を開いた。 中身なんて読めない。 でも、適当に魔力を込めれば、何かすごいことが起きるはず!
「ええい! 出てきなさい、なんか凄いやつ!」
私は叫んだ。 魔導書がカッと光る。
『……召喚ニ応ジ、顕現スル』
空が割れた。 そこから現れたのは、クラーケンよりも、皇帝よりも巨大な……。
『ドラゴン』だった。
しかも、ただのドラゴンではない。 全身がクリスタルでできた、神々しくも恐ろしい『終焉の竜』。
「ギャオオオオオオオ!!」
ドラゴンの咆哮が、戦場を吹き飛ばした。 帝国軍も王国軍も、全員が吹き飛ぶ。
「……あ」
やっちゃった。 ラスボスよりも強い隠しボスを呼び出しちゃった。
ドラゴンは私を見下ろし、そして……なぜか頬を赤らめた(ように見えた)。
『……ママ?』
「は?」
ドラゴンが私に擦り寄ってきた。 巨大な顔が、私の頬にスリスリする。
『ママ! 会イタカッタ!』
どうやら、私の魔力(というより母性?)が、生まれたばかりの最強ドラゴンに刷り込まれてしまったらしい。
「リリス……君は、ドラゴンまで産んだのか?」
吹き飛ばされたアレクセイ様が、呆然と呟く。
「違います! 召喚しただけです!」
「すごい……やはりリリスは『国母』を超えて『竜の母』になったんだね……」
「解釈をやめろ!」
こうして。 私の悪女ライフは、 『帝国女帝』 『経済の錬金術師』 『竜の母』 という、訳のわからない称号をトリプルゲットして、さらに混沌の沼へと沈んでいくのだった。
7
あなたにおすすめの小説
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
10回目の婚約破棄。もう飽きたので、今回は断罪される前に自分で自分を追放します。二度と探さないでください(フリではありません)
放浪人
恋愛
「もう、疲れました。貴方の顔も見たくありません」
公爵令嬢リーゼロッテは、婚約者である王太子アレクセイに処刑される人生を9回繰り返してきた。 迎えた10回目の人生。もう努力も愛想笑いも無駄だと悟った彼女は、断罪イベントの一ヶ月前に自ら姿を消すことを決意する。 王城の宝物庫から慰謝料(国宝)を頂き、書き置きを残して国外逃亡! 目指せ、安眠と自由のスローライフ!
――のはずだったのだが。
「『顔も見たくない』だと? つまり、直視できないほど私が好きだという照れ隠しか!」 「『探さないで』? 地の果てまで追いかけて抱きしめてほしいというフリだな!」
実は1周目からリーゼロッテを溺愛していた(が、コミュ障すぎて伝わっていなかった)アレクセイ王子は、彼女の拒絶を「愛の試練(かくれんぼ)」と超ポジティブに誤解! 国家権力と軍隊、そしてS級ダンジョンすら踏破するチート能力を総動員して、全力で追いかけてきた!?
物理で逃げる最強令嬢VS愛が重すぎる勘違い王子。 聖女もドラゴンも帝国も巻き込んだ、史上最大規模の「国境なき痴話喧嘩」が今、始まる!
※表紙はNano Bananaで作成しています
王国最強の天才魔導士は、追放された悪役令嬢の息子でした
由香
ファンタジー
追放された悪役令嬢が選んだのは復讐ではなく、母として息子を守ること。
無自覚天才に育った息子は、魔法を遊び感覚で扱い、王国を震撼させてしまう。
再び招かれたのは、かつて母を追放した国。
礼儀正しく圧倒する息子と、静かに完全勝利する母。
これは、親子が選ぶ“最も美しいざまぁ”。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
9時から5時まで悪役令嬢
西野和歌
恋愛
「お前は動くとロクな事をしない、だからお前は悪役令嬢なのだ」
婚約者である第二王子リカルド殿下にそう言われた私は決意した。
ならば私は願い通りに動くのをやめよう。
学園に登校した朝九時から下校の夕方五時まで
昼休憩の一時間を除いて私は椅子から動く事を一切禁止した。
さあ望むとおりにして差し上げました。あとは王子の自由です。
どうぞ自らがヒロインだと名乗る彼女たちと仲良くして下さい。
卒業パーティーもご自身でおっしゃった通りに、彼女たちから選ぶといいですよ?
なのにどうして私を部屋から出そうとするんですか?
嫌です、私は初めて自分のためだけの自由の時間を手に入れたんです。
今まで通り、全てあなたの願い通りなのに何が不満なのか私は知りません。
冷めた伯爵令嬢と逆襲された王子の話。
☆別サイトにも掲載しています。
※感想より続編リクエストがありましたので、突貫工事並みですが、留学編を追加しました。
これにて完結です。沢山の皆さまに感謝致します。
悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた
ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。
シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。
そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。
恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。
気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる