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第16話 同郷の転生者に殺されかけたら、激辛茶で餌付けしてしまいました
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「私は『転生者』です。……あなたを殺して差し上げますよ」
帝国の港に停泊した、東方の島国『ジパング』からの黒船。 その甲板で、私は黒髪の美少年と対峙していた。
彼の名は、キョウヤ。 漆黒の着流しに、腰には二本の刀。 切れ長の瞳は涼やかだが、その奥には凍てつくような虚無が宿っている。
「……殺す、ですって?」
私は扇で口元を隠し、動揺を悟られないように問い返した。 心臓がドクンと跳ねる。 恐怖? いいえ、これは期待だ。
今まで、私を崇め、愛し、勘違いしてくる人間ばかりだった。 「死ね」と言ってくれる人なんて、処刑台のアレクセイ様(1回目・2回目の人生)以来だ。
「ええ。リリス・フォン・ローゼンバーグ。あなたは『悪役令嬢』としての役割を全うできずに苦しんでいる」
キョウヤは静かに語り出した。
「本来なら、あなたはヒロインをいじめ、王子に断罪され、惨たらしく死ぬはずだった。それがこの世界の『正史(シナリオ)』だ。……しかし、何かが狂ってしまった」
彼は私の背後に控える、巨大なドラゴン(ポチ)や、遠くで睨み合っている帝国兵と王国兵をチラリと見た。
「見てください、この惨状を。悪役令嬢が愛され、国を動かし、神話級の怪物まで従えている。……これは『バグ』です。物語としての美しさが損なわれている」
キョウヤが、すっと刀の鯉口を切る。
「私は、この歪んだ世界を修正するために来ました。あなたに『理想的な悪役令嬢の最期』をプレゼントします。……痛みはありませんよ。私の『理(ことわり)断ち』の剣は、魂を直接刈り取りますから」
「理想的な最期……」
その言葉は、甘美な響きを持っていた。 私が求めていたのは、それかもしれない。 誰にも愛されず、誰にも迷惑をかけず(いや、かけてるけど)、悪として散る。 そうすれば、このループ地獄から解放されるかもしれない。
「……お願い」
私は無意識に呟きかけた。 「やって」と。
「ママ! ダメ!」
ポチが割って入った。 巨大な頭を私の前に突き出し、キョウヤを威嚇する。
「グルルル……! ママヲイジメルナ! ボクガ食ベチャウゾ!」
「どきなさい、トカゲ」
キョウヤは無造作に刀を抜いた。 銀色の閃光が走る。
「『壱ノ型・無想』」
ヒュンッ。
音が消えた。 次の瞬間、ポチの巨大な身体が、まるで枯れ葉のように吹き飛ばされた。
「ギャンッ!?」
ポチが海面に叩きつけられる。 最強のドラゴンが、たった一振りで? しかも、傷一つ負わせずに、衝撃だけで吹き飛ばした?
「……魔法障壁、物理耐性、竜鱗装甲。すべて無視しました」
キョウヤは刀を振るい、血振るい(血はついていないが)の動作をした。
「私の能力は『設定無視(プロット・ブレイカー)』。この世界の理、魔法、物理法則、そして『ご都合主義』……すべてを無効化し、切り裂く力です」
「設定無視……!」
なんてチートだ。 私にかかっている「愛され補正」という最強のバグすら、彼なら無効化できるということか。
「さあ、リリス様。邪魔者はいなくなりました。……美しく散りましょう」
キョウヤが切っ先を私に向ける。 その刃に映る私は、黒いドレスを着た、ただの無力な少女だった。
(これで……終わるの?)
死ぬ。 本当に死ぬ。 痛みはないと言った。 一瞬で意識が消えるだけ。 それで、私は自由になれる。
私は目を閉じた。 扇を下ろし、覚悟を決める。
「……わかったわ。やってちょうだい」
「賢明な判断です。……さらば、哀れな悪役令嬢」
キョウヤが踏み込む。 死の刃が迫る。
その時。
「させるかぁぁぁぁッ!!」
上空から、白い流星が降ってきた。
ドォォォォォン!!
キョウヤと私の間に、何かが突き刺さる。 土煙が晴れると、そこにはクレーターの中心で剣を構える、アレクセイ様の姿があった。
「ア、アレクセイ!?」
「間に合った……!」
アレクセイ様は肩で息をしながら、私を背に庇った。 その全身からは、凄まじい殺気が立ち上っている。 いつものキラキラした王子様オーラではない。 地獄の底から這い上がってきた修羅のオーラだ。
「誰だ、貴様は。……僕のリリスに、何をしようとした」
「邪魔が入りましたか」
キョウヤは表情一つ変えずに刀を構え直した。
「私はキョウヤ。世界の修正者です。……そこをどいてください、王太子殿下。彼女は死を望んでいる」
「死を望んでいる? ふざけるな」
アレクセイ様が吐き捨てる。
「リリスが望んでいるのは『自由』だ! 『自分らしく生きること』だ! 死などという逃げ道を、彼女が選ぶはずがない!」
「いいえ、選んでいます。彼女の魂は悲鳴を上げている。『もう疲れた』『終わらせてくれ』とね」
キョウヤの言葉が、私の胸に刺さる。 そう。 疲れたのだ。 善意の解釈に、重すぎる愛に、終わらないループに。
「僕が癒やす!」
アレクセイ様が叫んだ。
「彼女が疲れているなら、僕が一生かけて癒やす! 世界が彼女を追い詰めるなら、僕が世界を壊してでも彼女の居場所を作る! ……それが愛だ!」
「愛? くだらない。それはただの『設定(プログラム)』です」
キョウヤが冷たく言い放つ。
「あなたのその感情も、執着も、すべては物語を盛り上げるために付与されたパラメータに過ぎない。……哀れですね。操り人形が、自分の意志で恋をしていると思い込んでいるなんて」
「……言わせておけば」
アレクセイ様のこめかみに青筋が浮かぶ。 ブチッ、と何かが切れる音がした。
「設定だと? プログラムだと? ……上等だ。ならば見せてやるよ。プログラムがバグを起こして、理(ことわり)を超越する瞬間をな!」
「面白い。試してみましょうか。『設定無視』VS『ヤンデレ補正』……どちらが強いか」
開戦。 異次元の戦いが始まった。
キョウヤが消える。 神速の抜刀術。 空間そのものを切り裂く一撃が、アレクセイ様を襲う。
しかし。 アレクセイ様は、それを「愛の力」で受け止めた。
ガギィィィン!!
「な……ッ!?」
キョウヤが目を見開く。
アレクセイ様の剣は、ただの剣ではない。 私の贈った(というか押し付けた)ハンカチを柄に巻き、私の似顔絵が入ったロケットペンダントを鍔に埋め込んだ、特製『リリス愛・聖剣』だ。
「リリスへの愛は! 絶対防御だ!」
アレクセイ様が弾き返す。 キョウヤが後退する。
「物理法則を無視したはず……なぜ防げる!?」
「理屈じゃない! 愛だ!」
「非論理的すぎる……!」
二人の攻防は激化していく。 キョウヤの攻撃は、魔法障壁も鎧もすり抜ける。 しかし、アレクセイ様は「リリスが見ているからかっこ悪いところは見せられない」という謎の精神力で、致命傷を回避し続ける。
「ハァッ! 喰らえ、『愛の千本ノック』!」 「くっ、『弐ノ型・因果断ち』!」
衝撃波で港が壊滅していく。 停泊していた黒船が真っ二つになり、帝国軍の戦車が宙を舞う。
(……置いてけぼりだわ)
私は瓦礫の陰で、ポチ(海から戻ってきた)と一緒に震えていた。
「ママ、パパ強イネ」 「そうね……。人間やめてるわね」
このままでは、二人とも共倒れになる。 キョウヤの能力は強力だが、アレクセイ様の執念も異常だ。 どちらかが死ぬまで終わらないだろう。
(……死なせたくない)
ふと、そう思った。 アレクセイ様はもちろん、あのキョウヤという少年も。 彼は私を殺そうとした。 でも、その瞳には深い悲しみがあった。 彼もまた、この世界の「強制力」に囚われ、苦しんでいる一人なのではないか?
「……お茶にするわ」
私は立ち上がった。
「エ? ママ、今?」
「ええ。喧嘩の仲裁には、美味しいお茶とお菓子が一番よ。……ガストン! シド! 準備しなさい!」
私は隠れていた生徒会メンバーを呼び出した。
「は、はいっ! ここに!」 ガストンが野外炊飯セットを持って現れる。 シドが茶葉を持ってくる。
「作るわよ。ジパング風の『おもてなし』をね」
私はニヤリと笑った。 普通の茶ではない。 私の悪女スキルを全開にした、特製激辛茶だ。 ただし、今回は少し趣向を変える。 ジパング出身の彼のために、あの国の調味料をふんだんに使ってやるのだ。
◇
戦場の中央。 アレクセイ様とキョウヤは、互いに満身創痍で睨み合っていた。
「はぁ、はぁ……しぶといですね」 「君こそ……なかなかやるな」
決着の時が迫る。 互いに最後の一撃を放とうとした、その瞬間。
「――おやめなさい!!」
凛とした声が響き渡った。
「え?」 「リリス?」
二人が動きを止める。 そこには、即席のティーテーブルを用意し、優雅に座る私の姿があった。
「野蛮な男たちね。レディの前でいつまでチャンバラを続けるつもり? ……喉が渇いたでしょう。お茶でもいかが?」
私は湯気の立つカップを二つ、差し出した。
「お茶……?」 キョウヤが警戒する。
「毒が入っているとでも? ……ええ、入っているかもしれないわよ。わたくしは悪女ですもの」
私は挑発的に微笑んだ。
「でも、故郷の味が恋しくないかしら? ジパングの『サドウ(茶道)』を再現してみましたの」
「……!」
キョウヤの眉が動いた。 故郷。 転生者である彼にとって、その言葉は急所だったはずだ。
「……いただきましょう。毒だろうと、私の『設定無視』で無効化できますから」
キョウヤは刀を収め、テーブルについた。 アレクセイ様も、渋々といった様子で対面に座る。
「リリスが淹れてくれたお茶なら、毒でも飲み干すよ」
二人がカップを手に取る。 中身は、鮮やかな緑色の液体。 抹茶……に見えるが、その香りは明らかに異常だ。
ツンッ。 鼻を突く刺激臭。
そう。 これは抹茶ではない。 この世界にある香辛料の中で、最も「ワサビ」に近い刺激を持つ『グリーン・ペッパー・ミント』と、激辛唐辛子をすり潰して混ぜた、特製『激辛わさび茶』だ!
(さあ、飲みなさい! そして咽せ返って、涙を流して、戦意喪失しなさい!)
二人は同時に口へ運んだ。
ゴクリ。
「……!!」
キョウヤの目がカッと見開かれた。 アレクセイ様の顔が赤くなる。
「ぐふっ……!」
来た! 辛いでしょう! 鼻に来るでしょう!
キョウヤが震え出した。 涙がボロボロとこぼれ落ちる。 彼はカップを両手で包み込み、叫んだ。
「こ、これは……!!」
「辛いでしょう!? 罰ゲームよ!」
「……懐かしい!!」
「は?」
キョウヤが号泣していた。 辛さで泣いているのではない。 感動で泣いていた。
「このツンとくる刺激……鼻腔を突き抜ける清涼感……! これは、前世で食べた『寿司』についていたワサビの味だ!」
「えっ」
「ああ、思い出す……。仕事帰りに立ち寄った回転寿司……。サビ抜きの注文を忘れて、涙目で食べたあの日々……。なんて郷愁(ノスタルジー)を誘う味なんだ!」
キョウヤは茶を飲み干し、天を仰いだ。
「美味い……。この異世界に来て数年、ずっと忘れていた故郷の風を、まさかこんなところで感じられるとは……」
アレクセイ様も、涙目で頷いている。
「か、辛い……! だが、この刺激が脳を活性化させる! リリス、君は東方の食文化まで完璧に理解しているのか! これは『ワビ・サビ』というやつだね!?」
「違います。ただの罰ゲームドリンクです」
失敗だ。 またしても失敗だ。 殺人級の不味いお茶が、「思い出の味」として美化されてしまった。
キョウヤが、穏やかな顔で私を見た。 さっきまでの殺気は消え失せている。
「……負けました」
彼は静かに言った。
「え?」
「私はあなたを『歪んだ存在』だと思っていました。物語を壊す異物だと。……しかし、あなたは誰よりもこの世界を、そして他者を理解している」
キョウヤは立ち上がり、私に深々と頭を下げた。
「私の孤独を、この一杯のお茶で癒やしてくれた。……あなたに殺されるなら本望ですが、あなたを殺すことはできません」
「いや、殺してくれてよかったんですけど」
「リリス様。……いえ、姉御(アネゴ)と呼ばせてください」
「は?」
キョウヤが跪く。
「このキョウヤ、本日をもって『設定修正』の任を解き、姉御の『舎弟』として生きることを誓います! これからは私の刀で、姉御に仇なす全ての『理不尽』を断ち切ってみせましょう!」
「なんで舎弟が増えるのよぉぉぉ!!」
私の絶叫は、海風にかき消された。
◇
こうして。 最強の転生者(チート能力持ち)が、私のコレクションに加わってしまった。 ポチ(ドラゴン)、ハインリヒ(皇帝息子)、そしてキョウヤ(侍)。 私の周りの戦力が、もはや国家レベルを超えて「世界大戦級」になっている。
アレクセイ様は、キョウヤと握手を交わしていた。
「よろしく頼むよ、キョウヤ君。君の『設定無視』の力、リリスを守るために役立ててくれ」 「承知しました、義兄貴(アニキ)」 「ふふ、義兄貴か。悪くない響きだ」
意気投合している。 私の知らないところで、最強の義兄弟が誕生していた。
私は港の桟橋に座り込み、夕日を眺めた。
「……帰ろうかしら」
もう疲れた。 帝国に来ても、結局やることは変わらない。 周りが勝手に私を崇め、最強の戦力が集まり、私の悪事は全て伝説になる。
「リリス」
アレクセイ様が隣に座った。
「帰ろう、王国へ。……君の部屋(監禁部屋ではなく普通の部屋)を綺麗にして待っているよ」
「……プレゼントの山は片付けてくださいね」
「善処するよ」
彼は私の肩に頭を乗せた。
「君がどこへ行こうと、何になろうと、僕は君を愛し続ける。……だから、もう逃げようなんて思わないでくれ」
「……はいはい」
私は諦め半分で頷いた。 逃げられないなら、せめてこの状況を楽しむしかない。 悪女として生きるのが無理なら、いっそ「最強の女帝」として世界を牛耳ってやるのも悪くないかもしれない。
「じゃあ、帰りましょうか。……ポチ、みんなを乗せて!」
「ワーイ! オ空ノ散歩ダ!」
私たちはドラゴンの背中に乗り、王国へと帰還することになった。 帝国皇帝バルバロスは、「いつでも遊びに来い! 次はもっと美味いゲテモノ料理を用意しておけ!」と涙ながらに見送ってくれた。
◇
王国への帰路。 ドラゴンの背の上で、キョウヤが真剣な顔で私に話しかけてきた。
「姉御。……一つだけ、報告があります」
「なによ、改まって」
「私が『観測者』と呼んでいた存在……あれの正体がわかりました」
「えっ?」
「あれは、この世界の『神』あるいは『作者』の成れの果てです。……彼らはまだ諦めていません。姉御を『正史(バッドエンド)』に戻すために、最後の手段を用意しています」
「最後の手段?」
「はい。……『魔王の復活』です」
キョウヤが指差した先。 王国のさらに北、極寒の地に、不気味な黒いオーラが渦巻いていた。
「本来のシナリオでは、リリス様が処刑された後に復活し、世界を滅ぼすはずだったラスボス。……それが、リリス様が生存しているというバグを修正するために、前倒しで覚醒しようとしています」
「はぁ!?」
私が生きているせいで、世界が滅ぶ? なんて迷惑な話だ。
「魔王が復活すれば、世界は闇に包まれます。もちろん、姉御の愛するスローライフも消滅します」
「それは困るわ!」
「ですよね。……だから、やりましょう」
キョウヤがニヤリと笑った。
「魔王をボコボコにして、この世界のシナリオを完全に書き換えるんです。姉御ならできます。……なんたって、『最強の悪女』ですから」
私はため息をついた。 嫌われたい。 ただそれだけだったのに。
気づけば私は、魔王を倒して世界を救う『救世主』としての役割を押し付けられようとしていた。
「……わかったわよ」
私は扇をバサリと広げた。
「売られた喧嘩は買うわ。魔王だか作者だか知らないけど、わたくしの人生を勝手に操作しようとしたこと……後悔させてやるわ!」
「その意気です、姉御!」 「僕も手伝うよ、リリス!」 「俺も暴れるぜ!」 「ボクも!」
最強のパーティーが結成された。 目指すは北の地。 ラストバトルが始まる。
帝国の港に停泊した、東方の島国『ジパング』からの黒船。 その甲板で、私は黒髪の美少年と対峙していた。
彼の名は、キョウヤ。 漆黒の着流しに、腰には二本の刀。 切れ長の瞳は涼やかだが、その奥には凍てつくような虚無が宿っている。
「……殺す、ですって?」
私は扇で口元を隠し、動揺を悟られないように問い返した。 心臓がドクンと跳ねる。 恐怖? いいえ、これは期待だ。
今まで、私を崇め、愛し、勘違いしてくる人間ばかりだった。 「死ね」と言ってくれる人なんて、処刑台のアレクセイ様(1回目・2回目の人生)以来だ。
「ええ。リリス・フォン・ローゼンバーグ。あなたは『悪役令嬢』としての役割を全うできずに苦しんでいる」
キョウヤは静かに語り出した。
「本来なら、あなたはヒロインをいじめ、王子に断罪され、惨たらしく死ぬはずだった。それがこの世界の『正史(シナリオ)』だ。……しかし、何かが狂ってしまった」
彼は私の背後に控える、巨大なドラゴン(ポチ)や、遠くで睨み合っている帝国兵と王国兵をチラリと見た。
「見てください、この惨状を。悪役令嬢が愛され、国を動かし、神話級の怪物まで従えている。……これは『バグ』です。物語としての美しさが損なわれている」
キョウヤが、すっと刀の鯉口を切る。
「私は、この歪んだ世界を修正するために来ました。あなたに『理想的な悪役令嬢の最期』をプレゼントします。……痛みはありませんよ。私の『理(ことわり)断ち』の剣は、魂を直接刈り取りますから」
「理想的な最期……」
その言葉は、甘美な響きを持っていた。 私が求めていたのは、それかもしれない。 誰にも愛されず、誰にも迷惑をかけず(いや、かけてるけど)、悪として散る。 そうすれば、このループ地獄から解放されるかもしれない。
「……お願い」
私は無意識に呟きかけた。 「やって」と。
「ママ! ダメ!」
ポチが割って入った。 巨大な頭を私の前に突き出し、キョウヤを威嚇する。
「グルルル……! ママヲイジメルナ! ボクガ食ベチャウゾ!」
「どきなさい、トカゲ」
キョウヤは無造作に刀を抜いた。 銀色の閃光が走る。
「『壱ノ型・無想』」
ヒュンッ。
音が消えた。 次の瞬間、ポチの巨大な身体が、まるで枯れ葉のように吹き飛ばされた。
「ギャンッ!?」
ポチが海面に叩きつけられる。 最強のドラゴンが、たった一振りで? しかも、傷一つ負わせずに、衝撃だけで吹き飛ばした?
「……魔法障壁、物理耐性、竜鱗装甲。すべて無視しました」
キョウヤは刀を振るい、血振るい(血はついていないが)の動作をした。
「私の能力は『設定無視(プロット・ブレイカー)』。この世界の理、魔法、物理法則、そして『ご都合主義』……すべてを無効化し、切り裂く力です」
「設定無視……!」
なんてチートだ。 私にかかっている「愛され補正」という最強のバグすら、彼なら無効化できるということか。
「さあ、リリス様。邪魔者はいなくなりました。……美しく散りましょう」
キョウヤが切っ先を私に向ける。 その刃に映る私は、黒いドレスを着た、ただの無力な少女だった。
(これで……終わるの?)
死ぬ。 本当に死ぬ。 痛みはないと言った。 一瞬で意識が消えるだけ。 それで、私は自由になれる。
私は目を閉じた。 扇を下ろし、覚悟を決める。
「……わかったわ。やってちょうだい」
「賢明な判断です。……さらば、哀れな悪役令嬢」
キョウヤが踏み込む。 死の刃が迫る。
その時。
「させるかぁぁぁぁッ!!」
上空から、白い流星が降ってきた。
ドォォォォォン!!
キョウヤと私の間に、何かが突き刺さる。 土煙が晴れると、そこにはクレーターの中心で剣を構える、アレクセイ様の姿があった。
「ア、アレクセイ!?」
「間に合った……!」
アレクセイ様は肩で息をしながら、私を背に庇った。 その全身からは、凄まじい殺気が立ち上っている。 いつものキラキラした王子様オーラではない。 地獄の底から這い上がってきた修羅のオーラだ。
「誰だ、貴様は。……僕のリリスに、何をしようとした」
「邪魔が入りましたか」
キョウヤは表情一つ変えずに刀を構え直した。
「私はキョウヤ。世界の修正者です。……そこをどいてください、王太子殿下。彼女は死を望んでいる」
「死を望んでいる? ふざけるな」
アレクセイ様が吐き捨てる。
「リリスが望んでいるのは『自由』だ! 『自分らしく生きること』だ! 死などという逃げ道を、彼女が選ぶはずがない!」
「いいえ、選んでいます。彼女の魂は悲鳴を上げている。『もう疲れた』『終わらせてくれ』とね」
キョウヤの言葉が、私の胸に刺さる。 そう。 疲れたのだ。 善意の解釈に、重すぎる愛に、終わらないループに。
「僕が癒やす!」
アレクセイ様が叫んだ。
「彼女が疲れているなら、僕が一生かけて癒やす! 世界が彼女を追い詰めるなら、僕が世界を壊してでも彼女の居場所を作る! ……それが愛だ!」
「愛? くだらない。それはただの『設定(プログラム)』です」
キョウヤが冷たく言い放つ。
「あなたのその感情も、執着も、すべては物語を盛り上げるために付与されたパラメータに過ぎない。……哀れですね。操り人形が、自分の意志で恋をしていると思い込んでいるなんて」
「……言わせておけば」
アレクセイ様のこめかみに青筋が浮かぶ。 ブチッ、と何かが切れる音がした。
「設定だと? プログラムだと? ……上等だ。ならば見せてやるよ。プログラムがバグを起こして、理(ことわり)を超越する瞬間をな!」
「面白い。試してみましょうか。『設定無視』VS『ヤンデレ補正』……どちらが強いか」
開戦。 異次元の戦いが始まった。
キョウヤが消える。 神速の抜刀術。 空間そのものを切り裂く一撃が、アレクセイ様を襲う。
しかし。 アレクセイ様は、それを「愛の力」で受け止めた。
ガギィィィン!!
「な……ッ!?」
キョウヤが目を見開く。
アレクセイ様の剣は、ただの剣ではない。 私の贈った(というか押し付けた)ハンカチを柄に巻き、私の似顔絵が入ったロケットペンダントを鍔に埋め込んだ、特製『リリス愛・聖剣』だ。
「リリスへの愛は! 絶対防御だ!」
アレクセイ様が弾き返す。 キョウヤが後退する。
「物理法則を無視したはず……なぜ防げる!?」
「理屈じゃない! 愛だ!」
「非論理的すぎる……!」
二人の攻防は激化していく。 キョウヤの攻撃は、魔法障壁も鎧もすり抜ける。 しかし、アレクセイ様は「リリスが見ているからかっこ悪いところは見せられない」という謎の精神力で、致命傷を回避し続ける。
「ハァッ! 喰らえ、『愛の千本ノック』!」 「くっ、『弐ノ型・因果断ち』!」
衝撃波で港が壊滅していく。 停泊していた黒船が真っ二つになり、帝国軍の戦車が宙を舞う。
(……置いてけぼりだわ)
私は瓦礫の陰で、ポチ(海から戻ってきた)と一緒に震えていた。
「ママ、パパ強イネ」 「そうね……。人間やめてるわね」
このままでは、二人とも共倒れになる。 キョウヤの能力は強力だが、アレクセイ様の執念も異常だ。 どちらかが死ぬまで終わらないだろう。
(……死なせたくない)
ふと、そう思った。 アレクセイ様はもちろん、あのキョウヤという少年も。 彼は私を殺そうとした。 でも、その瞳には深い悲しみがあった。 彼もまた、この世界の「強制力」に囚われ、苦しんでいる一人なのではないか?
「……お茶にするわ」
私は立ち上がった。
「エ? ママ、今?」
「ええ。喧嘩の仲裁には、美味しいお茶とお菓子が一番よ。……ガストン! シド! 準備しなさい!」
私は隠れていた生徒会メンバーを呼び出した。
「は、はいっ! ここに!」 ガストンが野外炊飯セットを持って現れる。 シドが茶葉を持ってくる。
「作るわよ。ジパング風の『おもてなし』をね」
私はニヤリと笑った。 普通の茶ではない。 私の悪女スキルを全開にした、特製激辛茶だ。 ただし、今回は少し趣向を変える。 ジパング出身の彼のために、あの国の調味料をふんだんに使ってやるのだ。
◇
戦場の中央。 アレクセイ様とキョウヤは、互いに満身創痍で睨み合っていた。
「はぁ、はぁ……しぶといですね」 「君こそ……なかなかやるな」
決着の時が迫る。 互いに最後の一撃を放とうとした、その瞬間。
「――おやめなさい!!」
凛とした声が響き渡った。
「え?」 「リリス?」
二人が動きを止める。 そこには、即席のティーテーブルを用意し、優雅に座る私の姿があった。
「野蛮な男たちね。レディの前でいつまでチャンバラを続けるつもり? ……喉が渇いたでしょう。お茶でもいかが?」
私は湯気の立つカップを二つ、差し出した。
「お茶……?」 キョウヤが警戒する。
「毒が入っているとでも? ……ええ、入っているかもしれないわよ。わたくしは悪女ですもの」
私は挑発的に微笑んだ。
「でも、故郷の味が恋しくないかしら? ジパングの『サドウ(茶道)』を再現してみましたの」
「……!」
キョウヤの眉が動いた。 故郷。 転生者である彼にとって、その言葉は急所だったはずだ。
「……いただきましょう。毒だろうと、私の『設定無視』で無効化できますから」
キョウヤは刀を収め、テーブルについた。 アレクセイ様も、渋々といった様子で対面に座る。
「リリスが淹れてくれたお茶なら、毒でも飲み干すよ」
二人がカップを手に取る。 中身は、鮮やかな緑色の液体。 抹茶……に見えるが、その香りは明らかに異常だ。
ツンッ。 鼻を突く刺激臭。
そう。 これは抹茶ではない。 この世界にある香辛料の中で、最も「ワサビ」に近い刺激を持つ『グリーン・ペッパー・ミント』と、激辛唐辛子をすり潰して混ぜた、特製『激辛わさび茶』だ!
(さあ、飲みなさい! そして咽せ返って、涙を流して、戦意喪失しなさい!)
二人は同時に口へ運んだ。
ゴクリ。
「……!!」
キョウヤの目がカッと見開かれた。 アレクセイ様の顔が赤くなる。
「ぐふっ……!」
来た! 辛いでしょう! 鼻に来るでしょう!
キョウヤが震え出した。 涙がボロボロとこぼれ落ちる。 彼はカップを両手で包み込み、叫んだ。
「こ、これは……!!」
「辛いでしょう!? 罰ゲームよ!」
「……懐かしい!!」
「は?」
キョウヤが号泣していた。 辛さで泣いているのではない。 感動で泣いていた。
「このツンとくる刺激……鼻腔を突き抜ける清涼感……! これは、前世で食べた『寿司』についていたワサビの味だ!」
「えっ」
「ああ、思い出す……。仕事帰りに立ち寄った回転寿司……。サビ抜きの注文を忘れて、涙目で食べたあの日々……。なんて郷愁(ノスタルジー)を誘う味なんだ!」
キョウヤは茶を飲み干し、天を仰いだ。
「美味い……。この異世界に来て数年、ずっと忘れていた故郷の風を、まさかこんなところで感じられるとは……」
アレクセイ様も、涙目で頷いている。
「か、辛い……! だが、この刺激が脳を活性化させる! リリス、君は東方の食文化まで完璧に理解しているのか! これは『ワビ・サビ』というやつだね!?」
「違います。ただの罰ゲームドリンクです」
失敗だ。 またしても失敗だ。 殺人級の不味いお茶が、「思い出の味」として美化されてしまった。
キョウヤが、穏やかな顔で私を見た。 さっきまでの殺気は消え失せている。
「……負けました」
彼は静かに言った。
「え?」
「私はあなたを『歪んだ存在』だと思っていました。物語を壊す異物だと。……しかし、あなたは誰よりもこの世界を、そして他者を理解している」
キョウヤは立ち上がり、私に深々と頭を下げた。
「私の孤独を、この一杯のお茶で癒やしてくれた。……あなたに殺されるなら本望ですが、あなたを殺すことはできません」
「いや、殺してくれてよかったんですけど」
「リリス様。……いえ、姉御(アネゴ)と呼ばせてください」
「は?」
キョウヤが跪く。
「このキョウヤ、本日をもって『設定修正』の任を解き、姉御の『舎弟』として生きることを誓います! これからは私の刀で、姉御に仇なす全ての『理不尽』を断ち切ってみせましょう!」
「なんで舎弟が増えるのよぉぉぉ!!」
私の絶叫は、海風にかき消された。
◇
こうして。 最強の転生者(チート能力持ち)が、私のコレクションに加わってしまった。 ポチ(ドラゴン)、ハインリヒ(皇帝息子)、そしてキョウヤ(侍)。 私の周りの戦力が、もはや国家レベルを超えて「世界大戦級」になっている。
アレクセイ様は、キョウヤと握手を交わしていた。
「よろしく頼むよ、キョウヤ君。君の『設定無視』の力、リリスを守るために役立ててくれ」 「承知しました、義兄貴(アニキ)」 「ふふ、義兄貴か。悪くない響きだ」
意気投合している。 私の知らないところで、最強の義兄弟が誕生していた。
私は港の桟橋に座り込み、夕日を眺めた。
「……帰ろうかしら」
もう疲れた。 帝国に来ても、結局やることは変わらない。 周りが勝手に私を崇め、最強の戦力が集まり、私の悪事は全て伝説になる。
「リリス」
アレクセイ様が隣に座った。
「帰ろう、王国へ。……君の部屋(監禁部屋ではなく普通の部屋)を綺麗にして待っているよ」
「……プレゼントの山は片付けてくださいね」
「善処するよ」
彼は私の肩に頭を乗せた。
「君がどこへ行こうと、何になろうと、僕は君を愛し続ける。……だから、もう逃げようなんて思わないでくれ」
「……はいはい」
私は諦め半分で頷いた。 逃げられないなら、せめてこの状況を楽しむしかない。 悪女として生きるのが無理なら、いっそ「最強の女帝」として世界を牛耳ってやるのも悪くないかもしれない。
「じゃあ、帰りましょうか。……ポチ、みんなを乗せて!」
「ワーイ! オ空ノ散歩ダ!」
私たちはドラゴンの背中に乗り、王国へと帰還することになった。 帝国皇帝バルバロスは、「いつでも遊びに来い! 次はもっと美味いゲテモノ料理を用意しておけ!」と涙ながらに見送ってくれた。
◇
王国への帰路。 ドラゴンの背の上で、キョウヤが真剣な顔で私に話しかけてきた。
「姉御。……一つだけ、報告があります」
「なによ、改まって」
「私が『観測者』と呼んでいた存在……あれの正体がわかりました」
「えっ?」
「あれは、この世界の『神』あるいは『作者』の成れの果てです。……彼らはまだ諦めていません。姉御を『正史(バッドエンド)』に戻すために、最後の手段を用意しています」
「最後の手段?」
「はい。……『魔王の復活』です」
キョウヤが指差した先。 王国のさらに北、極寒の地に、不気味な黒いオーラが渦巻いていた。
「本来のシナリオでは、リリス様が処刑された後に復活し、世界を滅ぼすはずだったラスボス。……それが、リリス様が生存しているというバグを修正するために、前倒しで覚醒しようとしています」
「はぁ!?」
私が生きているせいで、世界が滅ぶ? なんて迷惑な話だ。
「魔王が復活すれば、世界は闇に包まれます。もちろん、姉御の愛するスローライフも消滅します」
「それは困るわ!」
「ですよね。……だから、やりましょう」
キョウヤがニヤリと笑った。
「魔王をボコボコにして、この世界のシナリオを完全に書き換えるんです。姉御ならできます。……なんたって、『最強の悪女』ですから」
私はため息をついた。 嫌われたい。 ただそれだけだったのに。
気づけば私は、魔王を倒して世界を救う『救世主』としての役割を押し付けられようとしていた。
「……わかったわよ」
私は扇をバサリと広げた。
「売られた喧嘩は買うわ。魔王だか作者だか知らないけど、わたくしの人生を勝手に操作しようとしたこと……後悔させてやるわ!」
「その意気です、姉御!」 「僕も手伝うよ、リリス!」 「俺も暴れるぜ!」 「ボクも!」
最強のパーティーが結成された。 目指すは北の地。 ラストバトルが始まる。
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