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私が嫁ぎます。
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エーゲ海の真っ青な海に浮かぶサンティー二島。
この三日月のような形の島を統治するのは、パナギア王国で、エーゲ海の中で貿易の中継地として栄えている小国である。
火山の島で資源に乏しいパナギア王国は、他国の情勢に常に右往左往し、この数年前から続く周辺地域の混沌とした政治情勢により財政はひっ迫していたのであった。
「ケイト姉さま!今日はイカが釣れましたわ!」
金髪の長い髪を一つに束ね、真っ白なドレスを膝上まで捲りあげたメイファは、釣り竿を持って砂浜を駆け上がってきた。
パナギア王国には、エーゲ海の宝石と称される美しい2人の王女がいた。
病弱だが聡明なケイトと活発で明るいメイファである。
日傘を差し、砂浜の上の切り株に腰を下ろしていたケイトは、
『まったくもう…メイファは幾つになってもお転婆娘ね。王家の娘としてはしたなくってよ!?』
半ば、呆れた様に、愛しい目で妹を見つめつぶやいた。
メイファのお転婆を快く思わない両親から彼女を護っていたのはいつも姉だった。
「父様や母様に何言われたって平気よ!私には姉様がいるんだから!!」
そう言って、砂だらけのままケイトの胸に飛び込んだ。
『まったくもう…いつまでもそんな事ではいけません。ずっと傍に居られるわけではないんだからね!』
「いやよ!私、ずーーーっと姉様と一緒にいる!」
この日はいつにも増して海と空が、真っ青だった。
城に帰ると、執事達がバタバタとしていた。
空気がピリッとしているように感じた姉妹に、筆頭執事であるジェゼフが走りよってきた。
『ケイトお嬢様、急ぎご出発の準備を!』
「え?何のこと?」
キョトンとするメイファとは対照的に、ケイトは冷静であった。
『分かりました。ついにこの日が来たのですね。』
「この日って?出発って?」
ケイトは1人焦っていた。嫌な予感しかしない。
筆頭執事のジョゼフが落ち着いた声で説明した。
『ケイト様はこれから砂の王国デュークへ嫁ぐことになりました。このパナギア王国の命運がかかっております、急ぎお支度を。』
砂の王国デュークは、石油採掘に成功した上、黒い繋がりにより近年力を付けている強国であった。
欲しいものの為には手段を選ばないやり方は、周辺諸国から恐れられていた。
「ダメよ!あんな野蛮な国に嫁ぐなんて、ダメ!お願い、姉様、行かないで。」
縋って泣くメイファの頭を優しく撫で、
『メイファ、これは王家の娘の運命です。パナギア王国の存続のためなら私は喜んで嫁いで参ります。』
「だって、、姉様!アレクは?アレクはどうするの?愛してるんでしょ?」
『アレクは、仲の良い幼なじみですよ。私たちに愛などありません。』
言いながら震えているケイトの手を、メイファは握りしめた。
メイファには分かっていた。
身分の違いの中で育ったとは言え、ケイトとアレクは幼い頃から思いあっていることを…。
それに病弱な身体のケイトに、灼熱の国での生活が耐えられるとは思えないのだ。
「私が、私が行きます。」
辺りが静まり返る。
「私がデューク王国に嫁ぎます。」
元より姉の方を可愛がっていた両親は、何の反対もせず、メイファをケイトとして嫁がせることとなった。
この三日月のような形の島を統治するのは、パナギア王国で、エーゲ海の中で貿易の中継地として栄えている小国である。
火山の島で資源に乏しいパナギア王国は、他国の情勢に常に右往左往し、この数年前から続く周辺地域の混沌とした政治情勢により財政はひっ迫していたのであった。
「ケイト姉さま!今日はイカが釣れましたわ!」
金髪の長い髪を一つに束ね、真っ白なドレスを膝上まで捲りあげたメイファは、釣り竿を持って砂浜を駆け上がってきた。
パナギア王国には、エーゲ海の宝石と称される美しい2人の王女がいた。
病弱だが聡明なケイトと活発で明るいメイファである。
日傘を差し、砂浜の上の切り株に腰を下ろしていたケイトは、
『まったくもう…メイファは幾つになってもお転婆娘ね。王家の娘としてはしたなくってよ!?』
半ば、呆れた様に、愛しい目で妹を見つめつぶやいた。
メイファのお転婆を快く思わない両親から彼女を護っていたのはいつも姉だった。
「父様や母様に何言われたって平気よ!私には姉様がいるんだから!!」
そう言って、砂だらけのままケイトの胸に飛び込んだ。
『まったくもう…いつまでもそんな事ではいけません。ずっと傍に居られるわけではないんだからね!』
「いやよ!私、ずーーーっと姉様と一緒にいる!」
この日はいつにも増して海と空が、真っ青だった。
城に帰ると、執事達がバタバタとしていた。
空気がピリッとしているように感じた姉妹に、筆頭執事であるジェゼフが走りよってきた。
『ケイトお嬢様、急ぎご出発の準備を!』
「え?何のこと?」
キョトンとするメイファとは対照的に、ケイトは冷静であった。
『分かりました。ついにこの日が来たのですね。』
「この日って?出発って?」
ケイトは1人焦っていた。嫌な予感しかしない。
筆頭執事のジョゼフが落ち着いた声で説明した。
『ケイト様はこれから砂の王国デュークへ嫁ぐことになりました。このパナギア王国の命運がかかっております、急ぎお支度を。』
砂の王国デュークは、石油採掘に成功した上、黒い繋がりにより近年力を付けている強国であった。
欲しいものの為には手段を選ばないやり方は、周辺諸国から恐れられていた。
「ダメよ!あんな野蛮な国に嫁ぐなんて、ダメ!お願い、姉様、行かないで。」
縋って泣くメイファの頭を優しく撫で、
『メイファ、これは王家の娘の運命です。パナギア王国の存続のためなら私は喜んで嫁いで参ります。』
「だって、、姉様!アレクは?アレクはどうするの?愛してるんでしょ?」
『アレクは、仲の良い幼なじみですよ。私たちに愛などありません。』
言いながら震えているケイトの手を、メイファは握りしめた。
メイファには分かっていた。
身分の違いの中で育ったとは言え、ケイトとアレクは幼い頃から思いあっていることを…。
それに病弱な身体のケイトに、灼熱の国での生活が耐えられるとは思えないのだ。
「私が、私が行きます。」
辺りが静まり返る。
「私がデューク王国に嫁ぎます。」
元より姉の方を可愛がっていた両親は、何の反対もせず、メイファをケイトとして嫁がせることとなった。
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