姉様の身代わりになります。砂の国へ嫁ぐ日、私は復讐を決意した…なのに溺愛されてます。

紫陽花

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望むところですわ。

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案内された部屋は、私専用の部屋だった。

「アンリ!来て来て!このベッドフワフワッ!」

挨拶を済ませて一安心したメイファは、ベッドにダイビングして、そのスプリングの良さを確かめた。

「それに、、このシルクのシーツ…気持ちいいわーー」

ツルツルした肌触りを確かめながら、ベッドに大の字になっている。

『ちょっとちょっと…メイファ様!!!ここではケイト様として生きるのでしょう?
メイファ様丸出しになってますわよ!?』

アンリは気が気ではない。
何せ、メイファは、病弱で聡明な長女ケイトとして嫁いでいるのだ。

流れるような金髪や、華奢な後ろ姿はそっくりでも、性格は真反対。

アンリは落ち着かず、キョロキョロとしている。
そこへ…

トントンッ!ガチャッ!

ノックと同時にドアが開き、長身の男がたっている。ギムレット殿下である。

『部屋は気に入って貰えましたか?』

ギムレットは手に花束を持ち部屋へ入ってきた。

メイファはベッドからおもむろに立ち上がり、

「ギムレット殿下、返事も待たずにドアを開けるのが、この国のやり方なのですか?失礼ですわよ!」

と、静かに言った。

『これは失礼しました。楽しそうな声が聞こえてきてたのでつい…。』

『アンリ、少し2人きりにさせて貰えませんか?』
ギムレットはアンリに向かって言った。

『殿下、かしこまりました。侍女の部屋で控えさせていただきます。ケイト様、失礼いたします。』

深々とお辞儀をしてアンリは出ていった。
さっきの会話を聞かれてなければよいが…と心配になったがアンリは立ち去るしかなかった。

2人きりになり、メイファは緊張した。

ケイトとしてまずはこの男に気に入られなければならない。

「ギムレット殿下、このような素敵な部屋を用意していただき、ありがとうございます。」
頭を下げ、スカートの裾を持ち、礼をした。

『ケイト、これから婚礼の儀を経て私達は夫婦になるのです。ギムレットと呼んでください。』

メイファの前に跪き、手を取りながらギムレットは言った。

そして花束を手渡し、手の甲にそっと口付けをした。
真っ赤な薔薇の花束だ。


また、この甘い匂い…。
私にはこの香りは強すぎる。
そして、まっすぐに見つめてくるエーゲ海の瞳…苦手だ…。
甘い吐息に美しい瞳…花束を持つ長い指も綺麗でクラクラする…。

花束を手に取ってしばらく見つめあったが、メイファから目を逸らしてしまった。



フッと笑い、ギムレットは、

『強気な口調かと思いきや、恥じらう姿も可愛らしい…』

メイファの頭をポンポンッと撫でて、
『どうやら我が妻と仲良くなるには時間がかかりそうだ…』
と微笑みながら言った。

ボボッと頬が赤くなるのが自分でも分かった。

「私ももう18歳です。レディとしての嗜みは心得ておりますわ」

メイファは、実際は16歳なのだが色々な事を覚悟しなくてはいけないと思った。

立ち上がると長身のギムレットはメイファを見下ろす形となる。

『ハハハ、それは頼もしいな。』

ギムレットは、フワッとメイファを抱き上げた。
驚いたメイファは落ちないようにギムレットの首に手を回し、ギュッとしがみついた。

『の、望むところですわ』
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