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ギルド
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「そういえばあなたみたいな人に前に会ったことがあるの」女は「ついてきて」と手招きされたので後ろをついて行った。
建物のなかは西部劇に出てくる酒場のような感じだった。受付のような所に何枚も張り紙が貼ってあり、茶髪のお姉さんに赤髪の女は話しかけた。
「この人異世界から来たみたい」
と耳打ちするように言うと茶髪のお姉さんは「わかったよ」と頷き「こちらへどうぞ」と案内された。
「ここで待ってるから!」
と赤髪の女は手を振った。
お姉さんはギルドの地下に案内した。
少し嫌な空気が漂っている。それに寒気もした。
扉の前に立つと「ではここにいる方とお話してもらった紙を私に出してください」お辞儀をしお姉さんは戻った。
「え…?」
とりあえず言われた通り、扉を開けるとそこには変な帽子を着けた老人が椅子に座っており、机には水晶のような物が置いてあった。
椅子に座っても良いのか尋ねると「どうぞ」と言われたのでそっと椅子に座った。
すると老人はいきなりお経のような物を言い出した。
その姿は童話に出てくる魔女のような感じだった。
お経のような物を言い終えると水晶が赤く光だした。
「あなた…前世はとても苦労しましたね?」
「え…?」
何も事情を話していないのに、老人は俺の人生をすべて言い当てた。
「あなたは前世はエリートでしたね、本当に人間性も素晴らしい方だ。しかし、家族との関係は別です
本当に辛かったですね、エリート一家の中であなただけ落ちこぼれで…ですが努力して何もかもを良い方向に持っていたのですね
そしてお嫁さんとの間に娘さんも出来て順風満帆だったのに…残念でしたね」
思わず息を飲んだ。この人は何者なのだろうか。
「ここに来たあなたのような異世界人は皆、前世では、いじめられて引きこもりになった人や職につかずにだらだら過ごしている人だったので、あなたのような聖人は珍しいです」
俺の努力を認めてくれたのは母と姉と妻と娘だけだった。家族でもない第三者の人に褒められたのは初めてだった。
「ありがとうございます」
礼を言うと老人は「いえいえ」とお辞儀をした。
「ですが…前世での聖人はこの世界では…上手くいかないかもしれないです…」
「どういう意味ですか?」
思わず驚きで立ち上がってしまった。
「俺は家に帰りたいだけで、この世界では何もするつもりは無いんですけど?」
すると老人は申し訳なさそうに話し始めた。
「前の世界でのあなたはもう死んでいるんです
この水晶を覗き込んで下さい」
水晶から娘と妻の泣き声が聞こえてきた。
覗いてみると病院のベットで横たわった俺がいて、周りには妻と娘そしてドアの付近で姉が泣いていた。
「これって…」
老人は首を振り「もうあなたはこの世界で生きていかなければなりません」
一瞬で力が抜け椅子に座り込み顔を塞いだ。
何もかもがどうでも良くなった。
俺がエリート一家の落ちこぼれだという事も、妻と娘の事ももう気にしなくて良いのだ。
「俺…これからどうすれば良いんですかね?」
「この世界でも新しい出会いがあります、
確かに大切な人との別れは悲しいものです
私もこの歳になるまでに何人もの人と出会い、出会った分だけ別れました。
そして、私は今日あなたと出会いました。
これから、あなたは前世以上に辛いことがありますが天命を全うしてください」
老人の言葉に感化され、ふらついていた足元を支えられた気分がした。
ここは未知なる異世界だ。まだ俺が家族に戻れるチャンスも歩き続ければ恵んで来るのかもしれない。
老人は紙と何か良くわからない宝石を貰った。
「その宝石はあなたを助けてくれます、大事な時に使ってください」
老人にお辞儀をして部屋を出て階段を登り地上にある受付の所まで戻った。
「どうだった?」
赤髪の女は興奮気味に聞いてきた。
「どうって…最悪の気分だよ…」
紙を受付のお姉さんに渡すとお姉さんと女はそれを読み始めた。
「そんな…」
お姉さんは驚愕していた。
それと同時に女に「何とかなるさ」と肩を叩かれた。
そして逃げるようにギルドを出ようとした女をお姉さんは呼び止めた。
「シエルさんこの方を守ってくださいね、
連れてきたのはあなたなのですから!」
シエルは重い足取りでこちらへ向かってきた。
「あのねルイさん私は弱い人を助けるためのボランティアをする暇はないの!」
「紙にはなんて…?」
ルイに尋ねると一から説明された。
「異世界からきた方は大抵この世界では最強クラスの冒険者になるんです」
「冒険者って言うのはここに来る奴らとか私みたいに武器を持ってる人が冒険者だよ
冒険者は魔物退治とか、ダンジョン攻略とかいろんなことをするんだけどね」
シエルの補足説明で冒険者というのは分かった。
「そして、異世界から来た最強クラスの冒険者は英雄と呼ばれて町から人気者になれます。
ですがその人達の前世は大抵職についていない親不孝ものがほとんどなんです。
その人らに前世が可哀想だからと天が強い力を与えて
英雄と呼ばれる程の冒険者になりますが…
そんな中であなたはしっかり努力をして英雄たちとは比べ物にならない素晴らしい人生を送ったので、天はあなたには何も与えませんでした。」
「天は二物を与えずってやつだな」
「それで俺はどうなったんですか?」
ルイはそっと紙を手渡し「見てください」と言われたので受け取ってまじまじと見た。
「冒険者ランク…Z?」
「冒険者ランクって言うのは強さのことだよ。
英雄クラスになるとSくらいだね。
まぁ私はBだけどね」
シエルは胸を叩いて自慢していた。
「Zってことは…俺は雑魚ってことですか…?」
ルイは苦笑いしながら「そう言うことになりますね」と申し訳なさそうに言った。
「…別に俺は冒険者になりません、前世では一応一流企業に勤めていたので、体ではなく頭を酷使する仕事に…」
「異世界から来た人には市民権が与えられていないので、そういう仕事には就けないですね」
俺が現実を突きつけられ固まっているとシエルは「どんまい」と一言残しギルドから出た。
「俺これからどうすれば良いですかね…」
ルイは「すみません、私にもこれ以上対応は出来ないです、ここの仕事もあるので…」と謝り「寝床は用意しておくので、夜になったらギルドにまたお越しください」と最後まで優しく接してくれた。
「ありがとうございます…ですが俺にはもう必要ないかもしれないです」
軽くお辞儀をしギルドから出た。
建物のなかは西部劇に出てくる酒場のような感じだった。受付のような所に何枚も張り紙が貼ってあり、茶髪のお姉さんに赤髪の女は話しかけた。
「この人異世界から来たみたい」
と耳打ちするように言うと茶髪のお姉さんは「わかったよ」と頷き「こちらへどうぞ」と案内された。
「ここで待ってるから!」
と赤髪の女は手を振った。
お姉さんはギルドの地下に案内した。
少し嫌な空気が漂っている。それに寒気もした。
扉の前に立つと「ではここにいる方とお話してもらった紙を私に出してください」お辞儀をしお姉さんは戻った。
「え…?」
とりあえず言われた通り、扉を開けるとそこには変な帽子を着けた老人が椅子に座っており、机には水晶のような物が置いてあった。
椅子に座っても良いのか尋ねると「どうぞ」と言われたのでそっと椅子に座った。
すると老人はいきなりお経のような物を言い出した。
その姿は童話に出てくる魔女のような感じだった。
お経のような物を言い終えると水晶が赤く光だした。
「あなた…前世はとても苦労しましたね?」
「え…?」
何も事情を話していないのに、老人は俺の人生をすべて言い当てた。
「あなたは前世はエリートでしたね、本当に人間性も素晴らしい方だ。しかし、家族との関係は別です
本当に辛かったですね、エリート一家の中であなただけ落ちこぼれで…ですが努力して何もかもを良い方向に持っていたのですね
そしてお嫁さんとの間に娘さんも出来て順風満帆だったのに…残念でしたね」
思わず息を飲んだ。この人は何者なのだろうか。
「ここに来たあなたのような異世界人は皆、前世では、いじめられて引きこもりになった人や職につかずにだらだら過ごしている人だったので、あなたのような聖人は珍しいです」
俺の努力を認めてくれたのは母と姉と妻と娘だけだった。家族でもない第三者の人に褒められたのは初めてだった。
「ありがとうございます」
礼を言うと老人は「いえいえ」とお辞儀をした。
「ですが…前世での聖人はこの世界では…上手くいかないかもしれないです…」
「どういう意味ですか?」
思わず驚きで立ち上がってしまった。
「俺は家に帰りたいだけで、この世界では何もするつもりは無いんですけど?」
すると老人は申し訳なさそうに話し始めた。
「前の世界でのあなたはもう死んでいるんです
この水晶を覗き込んで下さい」
水晶から娘と妻の泣き声が聞こえてきた。
覗いてみると病院のベットで横たわった俺がいて、周りには妻と娘そしてドアの付近で姉が泣いていた。
「これって…」
老人は首を振り「もうあなたはこの世界で生きていかなければなりません」
一瞬で力が抜け椅子に座り込み顔を塞いだ。
何もかもがどうでも良くなった。
俺がエリート一家の落ちこぼれだという事も、妻と娘の事ももう気にしなくて良いのだ。
「俺…これからどうすれば良いんですかね?」
「この世界でも新しい出会いがあります、
確かに大切な人との別れは悲しいものです
私もこの歳になるまでに何人もの人と出会い、出会った分だけ別れました。
そして、私は今日あなたと出会いました。
これから、あなたは前世以上に辛いことがありますが天命を全うしてください」
老人の言葉に感化され、ふらついていた足元を支えられた気分がした。
ここは未知なる異世界だ。まだ俺が家族に戻れるチャンスも歩き続ければ恵んで来るのかもしれない。
老人は紙と何か良くわからない宝石を貰った。
「その宝石はあなたを助けてくれます、大事な時に使ってください」
老人にお辞儀をして部屋を出て階段を登り地上にある受付の所まで戻った。
「どうだった?」
赤髪の女は興奮気味に聞いてきた。
「どうって…最悪の気分だよ…」
紙を受付のお姉さんに渡すとお姉さんと女はそれを読み始めた。
「そんな…」
お姉さんは驚愕していた。
それと同時に女に「何とかなるさ」と肩を叩かれた。
そして逃げるようにギルドを出ようとした女をお姉さんは呼び止めた。
「シエルさんこの方を守ってくださいね、
連れてきたのはあなたなのですから!」
シエルは重い足取りでこちらへ向かってきた。
「あのねルイさん私は弱い人を助けるためのボランティアをする暇はないの!」
「紙にはなんて…?」
ルイに尋ねると一から説明された。
「異世界からきた方は大抵この世界では最強クラスの冒険者になるんです」
「冒険者って言うのはここに来る奴らとか私みたいに武器を持ってる人が冒険者だよ
冒険者は魔物退治とか、ダンジョン攻略とかいろんなことをするんだけどね」
シエルの補足説明で冒険者というのは分かった。
「そして、異世界から来た最強クラスの冒険者は英雄と呼ばれて町から人気者になれます。
ですがその人達の前世は大抵職についていない親不孝ものがほとんどなんです。
その人らに前世が可哀想だからと天が強い力を与えて
英雄と呼ばれる程の冒険者になりますが…
そんな中であなたはしっかり努力をして英雄たちとは比べ物にならない素晴らしい人生を送ったので、天はあなたには何も与えませんでした。」
「天は二物を与えずってやつだな」
「それで俺はどうなったんですか?」
ルイはそっと紙を手渡し「見てください」と言われたので受け取ってまじまじと見た。
「冒険者ランク…Z?」
「冒険者ランクって言うのは強さのことだよ。
英雄クラスになるとSくらいだね。
まぁ私はBだけどね」
シエルは胸を叩いて自慢していた。
「Zってことは…俺は雑魚ってことですか…?」
ルイは苦笑いしながら「そう言うことになりますね」と申し訳なさそうに言った。
「…別に俺は冒険者になりません、前世では一応一流企業に勤めていたので、体ではなく頭を酷使する仕事に…」
「異世界から来た人には市民権が与えられていないので、そういう仕事には就けないですね」
俺が現実を突きつけられ固まっているとシエルは「どんまい」と一言残しギルドから出た。
「俺これからどうすれば良いですかね…」
ルイは「すみません、私にもこれ以上対応は出来ないです、ここの仕事もあるので…」と謝り「寝床は用意しておくので、夜になったらギルドにまたお越しください」と最後まで優しく接してくれた。
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