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新世界
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とりあえず町を歩いてみることにした。
町並みは昔友達がやっていたRPGのゲームに出てきた主人公の生まれた町に似ている。
「ゲームの舞台になった町なのかな…?」
よくよく見れば歩いている人たちの着ている服もゲームにあった服のような気がする。そして、一番驚いたのは老若男女、髪の色がばらばらだと言うことである。
「髪を染めるのが普通の町なのか…?」
歩き疲れ、噴水のある公園のベンチに座った。
「どうしよう…」
家に帰る事が出来ないのではないかと焦り、冷や汗が出てきた。
「おにーさん大丈夫?」
俺の娘と同い年くらいの女の子が話しかけてきた。
「あぁ…大丈夫だよ」
その子を見ていると娘の面影と重なりますます悲しくなり、今にも泣き出しそうだったが口を抑え泣くのを我慢した。
俺は大人だ。
もう子供なんかじゃない。
そう心の中で自分に言い聞かせた。
「おにーさんこれあげる」
女の子は持っていたカゴの中からりんごを取り出して俺にくれた。
「ありがとう」
そして女の子は手を振り母親らしき人の元へ向かった。俺はお辞儀をしてその場を去った。
とにかくここが日本のどこなのか、それを知る必要がある。
ポッケから携帯を取り出そうとしたが入っておらず、どこにも見当たらなかった。
「俺は倒れた時に携帯を握っていたはず…」
あの時、力が入らず落としてしまったのかもしれない。
「まじかよ…」
その場でしゃがみ落ち込んでいたが、女の子からもらったりんごを見た途端、「諦めてはいけない」と背中を押された気がした。
自分の今置かれた状況を考え直してみることにした。
「俺は倒れて知らない町にいる…町…」
俺は閃いた。
「町役場に行けばここがどこかわかるぞ…!」
手当たり次第に町役場を探したが、それらしき建物はなく、置いてある看板を見たが日本語じゃないので読むことができなかった。
「話しかけるしかないか…すみません!」
通りかかった人に「町役場ってどこですか?」と尋ねたが首を傾げ町の名前を聞いても「ここは第3町だよ」
と聞いたこともない町だったので「ありがとうございます」と軽くお辞儀をしてその場を離れた。
これを3回繰り返したが返答も同じだった。
「町の人が町役場知らなくてどうするんだよ…」
町の人に呆れ、また歩きだした。
「あれは…?」
いかにも他の人とは違う格好をしている人達が大勢入って行く建物を見つけた。
「あれは…スーツ?」
紋章のような物を胸に着けており、剣を腰にぶら下げている。
「…銃刀法違反…だけどそれが許されてる…のか?」
姉は弁護士で一度話を聞いたことがあるが銃刀法違反で捕まる人達は珍しくないらしい。
「そこでこそこそ何してるんだ?」
「いや…剣持ってて大丈夫なのかなって…」
隣には鎧をが所々に纏っている赤髪の女の人がいた。
「うわ!」
驚き腰を抜かすと、赤髪の女はゲラゲラ笑っていた。
「男のくせに腰を抜かすなよ」
手を差しのべられたので立つために掴もうとすると、
赤髪の女はいきなり手の力を抜いてまた俺は転んだ。
そして赤髪の女は腹を抱えてゲラゲラ笑っていた。
ここは大人としてガツンと言わないと、この子のためにもならないと思い、一喝した。
「あのなぁ!大人を茶化すのもいい加減にしろ!」
すると女は黙りこんでこちらを睨み付けた。
「大人だから何?」
鋭い眼光が俺の心をズタズタに引き裂いた。
そして何か強いオーラを感じ取った。
草食の動物が肉食に食べられる瞬間のように。
俺は言い返す言葉も見つからずただただ黙っていた。
女はため息をつき冗談だよと手を差しのべ今度はちゃんと力を入れてくれた。
「ありがとう」
ズボンについた土を払っていると「ギルドには何しにきたの?」と尋ねられた。
「ギルド…?」
ゲームでしか聞いたことがない言葉を出され戸惑っていると「お兄さんは異世界からきたの?」と言われた。
「異世界…?」
ここは日本のはずなのに、そんな空想上の言葉を言われ頭はもうパンクしそうだった。
「お兄さん…残念だけどここはあなたの住んでいた所とは違うんだよ」
「ここは日本じゃないのか?」
女は躊躇いながらも頷いた。
衝撃の事実を突きつけられた瞬間頭が真っ白になった。そしてポケットに入れていたはずのりんごが転げ落ちた。
町並みは昔友達がやっていたRPGのゲームに出てきた主人公の生まれた町に似ている。
「ゲームの舞台になった町なのかな…?」
よくよく見れば歩いている人たちの着ている服もゲームにあった服のような気がする。そして、一番驚いたのは老若男女、髪の色がばらばらだと言うことである。
「髪を染めるのが普通の町なのか…?」
歩き疲れ、噴水のある公園のベンチに座った。
「どうしよう…」
家に帰る事が出来ないのではないかと焦り、冷や汗が出てきた。
「おにーさん大丈夫?」
俺の娘と同い年くらいの女の子が話しかけてきた。
「あぁ…大丈夫だよ」
その子を見ていると娘の面影と重なりますます悲しくなり、今にも泣き出しそうだったが口を抑え泣くのを我慢した。
俺は大人だ。
もう子供なんかじゃない。
そう心の中で自分に言い聞かせた。
「おにーさんこれあげる」
女の子は持っていたカゴの中からりんごを取り出して俺にくれた。
「ありがとう」
そして女の子は手を振り母親らしき人の元へ向かった。俺はお辞儀をしてその場を去った。
とにかくここが日本のどこなのか、それを知る必要がある。
ポッケから携帯を取り出そうとしたが入っておらず、どこにも見当たらなかった。
「俺は倒れた時に携帯を握っていたはず…」
あの時、力が入らず落としてしまったのかもしれない。
「まじかよ…」
その場でしゃがみ落ち込んでいたが、女の子からもらったりんごを見た途端、「諦めてはいけない」と背中を押された気がした。
自分の今置かれた状況を考え直してみることにした。
「俺は倒れて知らない町にいる…町…」
俺は閃いた。
「町役場に行けばここがどこかわかるぞ…!」
手当たり次第に町役場を探したが、それらしき建物はなく、置いてある看板を見たが日本語じゃないので読むことができなかった。
「話しかけるしかないか…すみません!」
通りかかった人に「町役場ってどこですか?」と尋ねたが首を傾げ町の名前を聞いても「ここは第3町だよ」
と聞いたこともない町だったので「ありがとうございます」と軽くお辞儀をしてその場を離れた。
これを3回繰り返したが返答も同じだった。
「町の人が町役場知らなくてどうするんだよ…」
町の人に呆れ、また歩きだした。
「あれは…?」
いかにも他の人とは違う格好をしている人達が大勢入って行く建物を見つけた。
「あれは…スーツ?」
紋章のような物を胸に着けており、剣を腰にぶら下げている。
「…銃刀法違反…だけどそれが許されてる…のか?」
姉は弁護士で一度話を聞いたことがあるが銃刀法違反で捕まる人達は珍しくないらしい。
「そこでこそこそ何してるんだ?」
「いや…剣持ってて大丈夫なのかなって…」
隣には鎧をが所々に纏っている赤髪の女の人がいた。
「うわ!」
驚き腰を抜かすと、赤髪の女はゲラゲラ笑っていた。
「男のくせに腰を抜かすなよ」
手を差しのべられたので立つために掴もうとすると、
赤髪の女はいきなり手の力を抜いてまた俺は転んだ。
そして赤髪の女は腹を抱えてゲラゲラ笑っていた。
ここは大人としてガツンと言わないと、この子のためにもならないと思い、一喝した。
「あのなぁ!大人を茶化すのもいい加減にしろ!」
すると女は黙りこんでこちらを睨み付けた。
「大人だから何?」
鋭い眼光が俺の心をズタズタに引き裂いた。
そして何か強いオーラを感じ取った。
草食の動物が肉食に食べられる瞬間のように。
俺は言い返す言葉も見つからずただただ黙っていた。
女はため息をつき冗談だよと手を差しのべ今度はちゃんと力を入れてくれた。
「ありがとう」
ズボンについた土を払っていると「ギルドには何しにきたの?」と尋ねられた。
「ギルド…?」
ゲームでしか聞いたことがない言葉を出され戸惑っていると「お兄さんは異世界からきたの?」と言われた。
「異世界…?」
ここは日本のはずなのに、そんな空想上の言葉を言われ頭はもうパンクしそうだった。
「お兄さん…残念だけどここはあなたの住んでいた所とは違うんだよ」
「ここは日本じゃないのか?」
女は躊躇いながらも頷いた。
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