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第二章その4 ~信じてほしいの!~ ガンコ才女の説得編
留吉の罪滅ぼし2
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「な、何だこいつら? どこから入ったんだ?」
目をゴシゴシこする留吉をよそに、小さな生き物は会話している。
「こいつやな」
「そのようです。写真から10年経ってますが、モウレツに悪人面なので見分けがつきます」
関西弁のキツネ、メガネをかけた賢そうな牛が言うと、ライオンのような鬣をもち、眼帯を付けた子犬?が後を続ける。
「ええい面倒じゃい、どうせ悪党なんじゃし、とっとと地獄に送ってしまおう」
「そうはいきません。一応ちゃんと調べねば」
牛は箱のような機械を床に置くと、アンテナを留吉に向けて伸ばす。
それからカタカタ機械のキーボードを叩くと、レシートのような紙が、機械から長く伸びてきた。
「うわ、出るわ出るわ、すごい悪事を働いてきたんやなあ」
キツネがレシート?を見ながら感心すると、牛はメガホンを手にし、留吉に語りかけた。
「えー、レンコン堂留吉さん」
「煉獄堂だっ!」
留吉がツッコミを入れるも、牛はまるで動じていない。
「そうその、煉獄堂留吉さん。時間がないので手短にお伝えしますが、あなたは沢山悪い事をしてきました。至急悔い改めませんと、モウすぐ死に至りますよ」
「……な、何を言ってるんだ。どうせ幻だろう。今日は寝不足だからな、ガハハ」
留吉は笑い飛ばした。
「あかんで、反省の色なしや」
「第2段階に移行しましょう」
小さな生き物は相談していたが、留吉はもう気にしなかった。
「ふん、ちびっこどもめ、何が出来るものか」
留吉はその場を去ろうとしたが、そこで傍らに背の高い影が立っているのに気付いた。
「うっ、うわっ!?」
そこにいたのは、不気味な黒い人影だった。
黒マントに黒いフードを被り、白い手袋をはめた手には、大きな鎌を握り締めていた。
顔は見る事が出来なかったが、フードの中の暗闇に、目のような光が2つ輝いている。
「な、ななななっ、何だこいつは……!?」
うまく言葉が出ない留吉の傍に、さっきの生き物が近寄ってきた。
「何って、それが死神やで。お前が悔い改めんから、地獄行きの手続きをしたんや」
キツネは何でもない事のように言う。
「死神はワイらと同じく神様の使いやから、悪い霊やないんや」
「そうです、モウ手遅れの人を呼びに来るだけなのです」
「手遅れって、ワシがか!?」
血走った目で問う留吉をよそに、小さな生き物は帰り支度を始めていた。
「せや、もう手続きしたからワイらは帰るで」
「いやちょっと待って、帰るって……ひいっ!?」
死神はメジャーリーガーのように、鎌を振り回して素振りしている。
「ちなみにどこまで逃げても追いかけるし、お祓いしても絶対に無駄じゃい。お祓いは神様の力で行うけど、死神は神様の命令で動いとるからな」
眼帯を付けた生き物の言葉に、留吉もようやく事態を理解した。
「こ、このワシを、バチを当てて殺すと言うのか……?」
「そうやないって、ほんまにアホやな」
キツネが心底呆れたように答える。
「考えてみい、お前の知らん不思議な力で殺されるんやろ。そしたら現世じゃない、あっちの世界もあるいう事やろ」
「……つ、つまり……どういう事でしょう……?」
とうとう敬語になり始めた留吉に、キツネは面倒臭そうに言った。
「ええか、バチが当たって死ぬんやない、バチを当てるためにあっちに呼ぶんや。死んで終わりみたいな楽な話あるかい、あっちに呼ばれてからが本番やねん。ほな!」
「ほなじゃなくてっ!!!」
留吉は勢い良くヘッドスライディングをして、立ち去ろうとするキツネ達に追いすがった。
「なんやねん、生きのええおっさんやな」
「た、助かる方法は……?」
「えーっ、別に助からんでもええやろ」
「よくないので教えてくれ! いや、下さい!」
必死に嘆願する留吉に、小さな生き物は身を寄せ合って相談していたが、やがてキツネが腕組みして言った。
「しゃーないの。ワイらは丁度腹が減ったで」
「しっししし、しばしお待ちをっ!」
留吉は瞬時に起き上がって走り去ると、お盆に菓子を山盛りにして戻ってきた。
菓子は様々な種類があったが、他の船団でもレシピが採用されたというサツマイモの菓子、『おいも侍』が多かった。
小さな生き物は喜び、遠慮なく食べ始めたが、ちゃっかり死神もしゃがみ込んで、おすそ分けをいただいている。
「……お、お口に合いますでしょうか……?」
恐る恐る尋ねる留吉に、牛が前足を上げて言った。
「……ふうむ、モウそろそろお茶が必要ですね」
「かしこまり、ましたっ!」
留吉は陸上選手のようにクラウチングスタートをきると、急須と湯のみを持ってきた。
やがて大量のお菓子を平らげ、闖入者達は満足げにお茶を飲み干した。
留吉はたまりかねて尋ねる。
「し、して助かる方法とは……?」
キツネは留吉の肩に飛び乗り、元気良く前足を上げた。
「決まっとるやろ。罪滅ぼしや」
目をゴシゴシこする留吉をよそに、小さな生き物は会話している。
「こいつやな」
「そのようです。写真から10年経ってますが、モウレツに悪人面なので見分けがつきます」
関西弁のキツネ、メガネをかけた賢そうな牛が言うと、ライオンのような鬣をもち、眼帯を付けた子犬?が後を続ける。
「ええい面倒じゃい、どうせ悪党なんじゃし、とっとと地獄に送ってしまおう」
「そうはいきません。一応ちゃんと調べねば」
牛は箱のような機械を床に置くと、アンテナを留吉に向けて伸ばす。
それからカタカタ機械のキーボードを叩くと、レシートのような紙が、機械から長く伸びてきた。
「うわ、出るわ出るわ、すごい悪事を働いてきたんやなあ」
キツネがレシート?を見ながら感心すると、牛はメガホンを手にし、留吉に語りかけた。
「えー、レンコン堂留吉さん」
「煉獄堂だっ!」
留吉がツッコミを入れるも、牛はまるで動じていない。
「そうその、煉獄堂留吉さん。時間がないので手短にお伝えしますが、あなたは沢山悪い事をしてきました。至急悔い改めませんと、モウすぐ死に至りますよ」
「……な、何を言ってるんだ。どうせ幻だろう。今日は寝不足だからな、ガハハ」
留吉は笑い飛ばした。
「あかんで、反省の色なしや」
「第2段階に移行しましょう」
小さな生き物は相談していたが、留吉はもう気にしなかった。
「ふん、ちびっこどもめ、何が出来るものか」
留吉はその場を去ろうとしたが、そこで傍らに背の高い影が立っているのに気付いた。
「うっ、うわっ!?」
そこにいたのは、不気味な黒い人影だった。
黒マントに黒いフードを被り、白い手袋をはめた手には、大きな鎌を握り締めていた。
顔は見る事が出来なかったが、フードの中の暗闇に、目のような光が2つ輝いている。
「な、ななななっ、何だこいつは……!?」
うまく言葉が出ない留吉の傍に、さっきの生き物が近寄ってきた。
「何って、それが死神やで。お前が悔い改めんから、地獄行きの手続きをしたんや」
キツネは何でもない事のように言う。
「死神はワイらと同じく神様の使いやから、悪い霊やないんや」
「そうです、モウ手遅れの人を呼びに来るだけなのです」
「手遅れって、ワシがか!?」
血走った目で問う留吉をよそに、小さな生き物は帰り支度を始めていた。
「せや、もう手続きしたからワイらは帰るで」
「いやちょっと待って、帰るって……ひいっ!?」
死神はメジャーリーガーのように、鎌を振り回して素振りしている。
「ちなみにどこまで逃げても追いかけるし、お祓いしても絶対に無駄じゃい。お祓いは神様の力で行うけど、死神は神様の命令で動いとるからな」
眼帯を付けた生き物の言葉に、留吉もようやく事態を理解した。
「こ、このワシを、バチを当てて殺すと言うのか……?」
「そうやないって、ほんまにアホやな」
キツネが心底呆れたように答える。
「考えてみい、お前の知らん不思議な力で殺されるんやろ。そしたら現世じゃない、あっちの世界もあるいう事やろ」
「……つ、つまり……どういう事でしょう……?」
とうとう敬語になり始めた留吉に、キツネは面倒臭そうに言った。
「ええか、バチが当たって死ぬんやない、バチを当てるためにあっちに呼ぶんや。死んで終わりみたいな楽な話あるかい、あっちに呼ばれてからが本番やねん。ほな!」
「ほなじゃなくてっ!!!」
留吉は勢い良くヘッドスライディングをして、立ち去ろうとするキツネ達に追いすがった。
「なんやねん、生きのええおっさんやな」
「た、助かる方法は……?」
「えーっ、別に助からんでもええやろ」
「よくないので教えてくれ! いや、下さい!」
必死に嘆願する留吉に、小さな生き物は身を寄せ合って相談していたが、やがてキツネが腕組みして言った。
「しゃーないの。ワイらは丁度腹が減ったで」
「しっししし、しばしお待ちをっ!」
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