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~プロローグ~ その日、悪夢が始まった

その日、悪夢が始まった

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 その日、12月某日。

 神代の昔から人々を守り続けた女神・岩凪姫いわなぎひめは、この世界から姿を消した。

 あれほど力強く不滅に思えた彼女も、周到しゅうとうに仕掛けられた邪神の罠に、全ての力を使い果たしたのだ。

『約束しておくれ。何があっても、決して望みを捨てないと。最後の最後まで生き延びて、きっと幸せを掴むのだ……』

 そんな言葉をかけた彼女は、白い光となって弾けた。

 光は日本中に降り注ぎ、人々の体に吸い込まれていったのだ。

 ……だが悲しむ暇などどこにも無かった。破滅はすぐそこまで迫っていたからだ。

 大地はひび割れ、山々は赤い火柱を吹き上げた。

 降り注ぐ噴石が、湧き出す溶岩が各地の避難区を襲い、跡形もなく破壊していく。

『もうすぐ幸せになれる。もう絶望の時代は終わったのだ』

『復興して、あの懐かしく幸せな世界を取り戻したい』

 そんな思いをあざ笑うかのように、荒々しい殺意が日本列島を蹂躙じゅうりんしていった。

 日の本の命運を賭けた最後の戦い…………そのきっかけとなる絶望の夜は、こうして始まりを告げたのだ。
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