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第六章その5 ~恐怖の助っ人!?~ ディアヌスとの再会編
大きい人は大きい人が怖い
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「……ここだ。この射撃だけ、なぜか外れてるんだよな」
誠は鶴に映像を巻き戻してもらい、何度も繰り返しその瞬間を観察した。
空中でよろめく誠の機体……トドメとばかりに攻撃してくる千里眼。しかしその矢は外れたのだ。
「何だろう。百発百中の技のはずなのに、どうして外れたんだ?」
カノンが考えながら答えてくれる。
「これって、爆発で機体がずれた時に外してるわよね? こっちが予想外の動きをしたからじゃないかしら」
香川がそこで口を挟む。
「でも副隊長、それを含めて当てる能力があるんだろう? じゃなきゃ並の射撃と同じじゃないか」
「香川の言う通りだな。こっちの動きで外れるんなら、そもそも車両班だって蛇行してたし……よけた車があってもおかしくないはずだ」
誠は再び考え込んだが、そこでふと、横手から元気のいい声がかかった。
「あれっ、船団長! ていうかみんな、何で勢ぞろいしてんだ?」
誠達が目をやると、図書館の玄関口から、2人の少年が駆け寄ってくる。
どちらもやや小柄だが、いかにも活発そうな印象であり、紺の剣道着が良く似合っていた。
誠もよく知る九州の雄・志布志壮太と、東海の猛者・武田玄太だ。服装を見る通り、2人とも剣道経験者なのだろう。
彼らの後ろからは、編みかごを下げた清水こころが、にこにこしながら歩いてくる。
2メートル近い長身で、健康的でしっかりした体つき。
普段はとてもおっとりした少女なのだが、ディアヌスを見た瞬間に後ずさった。
「うっ、うわあっ、大きい人がいるよぉっ!?」
「いやこころ、それはお前もだろ」
玄太は呆れてツッコミを入れる。
長身の子は自分より大きい人をあまり見ないので、たまに見ると驚くのだろうか。
「3人とも、あの時はありがとな。稽古してたのか」
誠が言うと、玄太は長短2本の竹刀を掲げた。
「決戦前に気合入れようと思ってさ。丁度壮太も同じ避難区にいるし」
「そーだぜ、こいつとはライバルだからよ」
壮太も竹刀を振りかぶって構える。やや右にずらして振り上げる様は、薩摩武士が得意とした示現流・蜻蛉の構えだ。
対する玄太は二刀流だったから、この対戦はなかなかに面白そうだった。
「それで船団長までお揃いで、みんなで何を話してたんです?」
玄太が興味深げに画面を覗き込むので、誠は彼らにも映像を見てもらった。
やがて玄太が呟いた。
「どう動いても絶対当ててくる相手が、この時だけなぜか外した……壮太、お前はどう思う?」
「どう思うって言われてもなあ……」
壮太は頭をボリボリ掻きながら困った。
「晶がいればいいんだけど、俺じゃ良く分かんねえよ。瞬きでもしたんじゃねーか? それで見失ったとか」
「瞬きって、お前な。相手は霊体っていうか邪神なんだぞ?」
「うふふ、壮太くんらしいねえ」
玄太は呆れ、こころは楽しそうに笑っている。
「でもね、見失うって言えば、サッカーでも似たような事あるよねえ。オフサイドの誤審とか」
サッカー王国静岡の出身だけあって、こころはやはりそっちに例えた。
「練習試合でね、絶対オフサイドじゃないんだけど、審判がそう言う時があったんだよ。それと同じかなあ?」
「確か、フラッシュラグ現象だっけか。目と脳の時間差が原因じゃなかったっけ……」
誠がそう言った時、鶴の頭上に?マークが現れた。
手足が生え、仁王立ちする?マークは、鶴が話を理解できない時に現れ、どんどん増えてしまうのだ。
九州でもそうだったが、こいつらは増殖すると悪さを始める。
誠は焦って説明を試みた。
「そっ、それはなヒメ子。人って、目で見てから頭で理解するまでにズレがあるんだよ。目がボールを見て、その情報を脳に送る。でもその間にボールはどんどん進んでる。これってすごく危なくないか?」
「確かにそうね。戦でも、矢が見えないと困るものね」
鶴は口ではそう言ったが、?マークはまだ立ち去らなかった。
「そ、そうだろヒメ子。だから速く動く矢があると、人の頭は矢の次の位置を予想するんだよ。こんだけ速く動いてるから、次はこのぐらいにいるだろうって、さも見たかのように思い描く。それが行き過ぎると、頭で想像した矢の位置と、実際の場所がずれるんだよ」
これをフラッシュラグ現象と呼び、サッカーのオフサイドで言えば、現実より選手が前に来ているように見えて、誤審の原因になるのだった。
しかし相手は邪神なのだ。
そんな人間臭いミスをするとは考えがたいが…………
誠は鶴に映像を巻き戻してもらい、何度も繰り返しその瞬間を観察した。
空中でよろめく誠の機体……トドメとばかりに攻撃してくる千里眼。しかしその矢は外れたのだ。
「何だろう。百発百中の技のはずなのに、どうして外れたんだ?」
カノンが考えながら答えてくれる。
「これって、爆発で機体がずれた時に外してるわよね? こっちが予想外の動きをしたからじゃないかしら」
香川がそこで口を挟む。
「でも副隊長、それを含めて当てる能力があるんだろう? じゃなきゃ並の射撃と同じじゃないか」
「香川の言う通りだな。こっちの動きで外れるんなら、そもそも車両班だって蛇行してたし……よけた車があってもおかしくないはずだ」
誠は再び考え込んだが、そこでふと、横手から元気のいい声がかかった。
「あれっ、船団長! ていうかみんな、何で勢ぞろいしてんだ?」
誠達が目をやると、図書館の玄関口から、2人の少年が駆け寄ってくる。
どちらもやや小柄だが、いかにも活発そうな印象であり、紺の剣道着が良く似合っていた。
誠もよく知る九州の雄・志布志壮太と、東海の猛者・武田玄太だ。服装を見る通り、2人とも剣道経験者なのだろう。
彼らの後ろからは、編みかごを下げた清水こころが、にこにこしながら歩いてくる。
2メートル近い長身で、健康的でしっかりした体つき。
普段はとてもおっとりした少女なのだが、ディアヌスを見た瞬間に後ずさった。
「うっ、うわあっ、大きい人がいるよぉっ!?」
「いやこころ、それはお前もだろ」
玄太は呆れてツッコミを入れる。
長身の子は自分より大きい人をあまり見ないので、たまに見ると驚くのだろうか。
「3人とも、あの時はありがとな。稽古してたのか」
誠が言うと、玄太は長短2本の竹刀を掲げた。
「決戦前に気合入れようと思ってさ。丁度壮太も同じ避難区にいるし」
「そーだぜ、こいつとはライバルだからよ」
壮太も竹刀を振りかぶって構える。やや右にずらして振り上げる様は、薩摩武士が得意とした示現流・蜻蛉の構えだ。
対する玄太は二刀流だったから、この対戦はなかなかに面白そうだった。
「それで船団長までお揃いで、みんなで何を話してたんです?」
玄太が興味深げに画面を覗き込むので、誠は彼らにも映像を見てもらった。
やがて玄太が呟いた。
「どう動いても絶対当ててくる相手が、この時だけなぜか外した……壮太、お前はどう思う?」
「どう思うって言われてもなあ……」
壮太は頭をボリボリ掻きながら困った。
「晶がいればいいんだけど、俺じゃ良く分かんねえよ。瞬きでもしたんじゃねーか? それで見失ったとか」
「瞬きって、お前な。相手は霊体っていうか邪神なんだぞ?」
「うふふ、壮太くんらしいねえ」
玄太は呆れ、こころは楽しそうに笑っている。
「でもね、見失うって言えば、サッカーでも似たような事あるよねえ。オフサイドの誤審とか」
サッカー王国静岡の出身だけあって、こころはやはりそっちに例えた。
「練習試合でね、絶対オフサイドじゃないんだけど、審判がそう言う時があったんだよ。それと同じかなあ?」
「確か、フラッシュラグ現象だっけか。目と脳の時間差が原因じゃなかったっけ……」
誠がそう言った時、鶴の頭上に?マークが現れた。
手足が生え、仁王立ちする?マークは、鶴が話を理解できない時に現れ、どんどん増えてしまうのだ。
九州でもそうだったが、こいつらは増殖すると悪さを始める。
誠は焦って説明を試みた。
「そっ、それはなヒメ子。人って、目で見てから頭で理解するまでにズレがあるんだよ。目がボールを見て、その情報を脳に送る。でもその間にボールはどんどん進んでる。これってすごく危なくないか?」
「確かにそうね。戦でも、矢が見えないと困るものね」
鶴は口ではそう言ったが、?マークはまだ立ち去らなかった。
「そ、そうだろヒメ子。だから速く動く矢があると、人の頭は矢の次の位置を予想するんだよ。こんだけ速く動いてるから、次はこのぐらいにいるだろうって、さも見たかのように思い描く。それが行き過ぎると、頭で想像した矢の位置と、実際の場所がずれるんだよ」
これをフラッシュラグ現象と呼び、サッカーのオフサイドで言えば、現実より選手が前に来ているように見えて、誤審の原因になるのだった。
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