105 / 160
第六章その12 ~魔王を止めろ!~ 決死の柱突入編
思いがけない助っ人登場
しおりを挟む
飛び去る白い機体を見送り、難波は呟いた。
「あーあ、やってもうた。鳴っちと鶴っち無しで戦うねんな」
「心配いらねえっ、こっからが俺様の大活躍の見せ場だからよ」
こんな場面にも関わらず、宮島は鼻息荒く言い放つ。
「ああいいぞ、どんどん言え宮島。俺らがヤバイ相手を引き付けたら、隊長が進みやすくなるからなっ」
香川もそうはやし立てたが、そこで相手も動きを見せた。
「ええいくそっ、予定が狂った! 命は縮むが、こうなったら奥の手だ!」
リーダー格らしき巨体の鬼は、苛立ちを込めて言い放つ。それに応え、他の老鬼達が何かの呪文を唱え始めた。
やがて鬼達が姿を消すと、床から巨大なものが競り上がってきた。
身の丈は数十メートルに達するだろう。
がっしりした体は鎧のような硬皮に包まれ、各所に鋭い角が生えている。
頭には阿修羅のごとく3つの顔があったが、両肩にも同様の顔があり、それぞれ意思を持って赤い目を動かしていた。
『我らがじきじきに葬ってやろう! その後に奴らを始末する!』
鎧は5重に重なった声で叫ぶと、やにわに腕を振りかぶる。
そのまま力任せに叩き付けると、床が粉微塵になって舞い上がった。
必死にかわす難波達だったが、特務隊の何人かの機体と、怪物化した『元人間』が押し潰されていた。
『ちょこまかと……ならばこれでどうだっ!!!』
巨大な鎧は、全身に備わる角を輝かせた。
青紫の光を帯びた角は、光の幾何学模様を発生させる。
空間が歪む程の力場を生み出すと、鎧は5つの口を開いて咆えた。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
周囲に猛烈な雷が発散される。
咄嗟に電磁シールドで防ぐ難波達だったが、それでも相殺し切れない威力に、吹き飛ばされて叩きつけられた。
「ぐっ…………!」
一瞬、衝撃で意識が遠退いた。
何とか気絶は免れたものの、手足がしびれてうまく機体が操れない。
「衝撃だけじゃないわ。呪詛の雷で……体が痺れてるみたい……!」
カノンが画面上で苦し気に呟いた。
老鬼達の乗る鎧は、地響きを立てて迫ってくる。
『これで終わりだ……! 忌々しい里の汚点と共に、貴様らを消し去ってやる……!』
そう言って、鎧は巨腕を振り上げる。
(あかん、これは死ぬわ……間違いなく死ぬ……)
やけにスローに見える腕を眺めながら、難波は他人事のように思ったのだが。
次の瞬間、何か人ならぬ存在が、巨体の鎧に飛び蹴りしていた。
着地した3体のそれは…………以前難波達が、本州で会った鬼達の鎧である。
剛角、紫蓮、刹鬼姫。彼らが駆る鎧が、この場に馳せ参じてくれたのだ。
「おんどりゃあっ、ええ加減にせいやこのクソったれが!」
剛角の雄たけびと共に、鎧達は並び立つ。
リーダー格らしい鎧が肩に太刀を乗せ、振り返らずに呟いた。
「どうやら間に合ったようだな、姉上」
「あーあ、やってもうた。鳴っちと鶴っち無しで戦うねんな」
「心配いらねえっ、こっからが俺様の大活躍の見せ場だからよ」
こんな場面にも関わらず、宮島は鼻息荒く言い放つ。
「ああいいぞ、どんどん言え宮島。俺らがヤバイ相手を引き付けたら、隊長が進みやすくなるからなっ」
香川もそうはやし立てたが、そこで相手も動きを見せた。
「ええいくそっ、予定が狂った! 命は縮むが、こうなったら奥の手だ!」
リーダー格らしき巨体の鬼は、苛立ちを込めて言い放つ。それに応え、他の老鬼達が何かの呪文を唱え始めた。
やがて鬼達が姿を消すと、床から巨大なものが競り上がってきた。
身の丈は数十メートルに達するだろう。
がっしりした体は鎧のような硬皮に包まれ、各所に鋭い角が生えている。
頭には阿修羅のごとく3つの顔があったが、両肩にも同様の顔があり、それぞれ意思を持って赤い目を動かしていた。
『我らがじきじきに葬ってやろう! その後に奴らを始末する!』
鎧は5重に重なった声で叫ぶと、やにわに腕を振りかぶる。
そのまま力任せに叩き付けると、床が粉微塵になって舞い上がった。
必死にかわす難波達だったが、特務隊の何人かの機体と、怪物化した『元人間』が押し潰されていた。
『ちょこまかと……ならばこれでどうだっ!!!』
巨大な鎧は、全身に備わる角を輝かせた。
青紫の光を帯びた角は、光の幾何学模様を発生させる。
空間が歪む程の力場を生み出すと、鎧は5つの口を開いて咆えた。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
周囲に猛烈な雷が発散される。
咄嗟に電磁シールドで防ぐ難波達だったが、それでも相殺し切れない威力に、吹き飛ばされて叩きつけられた。
「ぐっ…………!」
一瞬、衝撃で意識が遠退いた。
何とか気絶は免れたものの、手足がしびれてうまく機体が操れない。
「衝撃だけじゃないわ。呪詛の雷で……体が痺れてるみたい……!」
カノンが画面上で苦し気に呟いた。
老鬼達の乗る鎧は、地響きを立てて迫ってくる。
『これで終わりだ……! 忌々しい里の汚点と共に、貴様らを消し去ってやる……!』
そう言って、鎧は巨腕を振り上げる。
(あかん、これは死ぬわ……間違いなく死ぬ……)
やけにスローに見える腕を眺めながら、難波は他人事のように思ったのだが。
次の瞬間、何か人ならぬ存在が、巨体の鎧に飛び蹴りしていた。
着地した3体のそれは…………以前難波達が、本州で会った鬼達の鎧である。
剛角、紫蓮、刹鬼姫。彼らが駆る鎧が、この場に馳せ参じてくれたのだ。
「おんどりゃあっ、ええ加減にせいやこのクソったれが!」
剛角の雄たけびと共に、鎧達は並び立つ。
リーダー格らしい鎧が肩に太刀を乗せ、振り返らずに呟いた。
「どうやら間に合ったようだな、姉上」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる