127 / 160
第六章その13 ~もしも立場が違ったら~ それぞれの決着編
これで俺はお前になれる
しおりを挟む
「ぐおおおおおおおっっっ!!!」
不是が振り下ろした強力な一撃を受け、両者の刀が砕け散った。
もちろん不是は能力を駆使し、すぐに刀を再生していく。
誠も意識を集中し、あの神器の太刀を呼び出した。ディアヌスとの戦いでも使った、岩凪姫がくれた武器だ。
「そんななまくら刀でよおっ!!! もっとマシな武器出してこいや!!!」
女神の太刀を侮辱され、誠も咆えた。
「いいや、俺はこれでいいっっ!!!」
相手の攻撃を太刀でいなし、逆にこちらから切り込んでいく。
つばぜり合いで火花が舞い、互いの機体を明々と照らした。
「この剣は、岩凪姫がくれた武器だ! 自分が辛い目にあったのに、それでも助けに来てくれた女神の剣だっ! これ以上の武器なんて、俺は知らないんだよっ!!!」
誠は相手を押し返し、機体の足で突き飛ばした。
不是は吹っ飛びながらも言い返してくる。
「くそがっ、てめえは恵まれてただけだろうがっ! そんな先読みみたいなチート持ちが、偉そうな事ぬかしてんじゃねえっ!」
紙一重の命のやり取りが、しばらく続いた。
ただ全力で攻撃し、身をかわす。それだけを死に物狂いで繰り返した。
手が痺れる。視界がかすむ。今にも意識が飛びそうだった。
やがて間合いが離れた時、不是は画面上で不気味に笑った。
「随分、疲れてるよなあ。実は、俺もそうなんだよ……」
「……っ、……っ、」
誠が答えられないでいると、不是は更に不気味な笑みを浮かべた。
「けど残念だな。俺にはまだ、奥の手があるんだよなあ……!」
「………っ!!?」
誠は反応し、動揺を表に出してしまった。
ハッタリかとも思ったが、不是はまだ言葉を続ける。
「これがとっておきだ……俺の創生能力でなあ、お前の能力をコピーしてやる……! 目の細胞を、お前と同じにすりゃいいんだろ……?」
「なっ……!?」
「ははは、驚いたか!? そうだろう、だからとっておいたんだ! 最後の最後に、お前が絶望するのを見たかったからな!!!」
不是の目が青く輝き、首筋の血管のようなものが、一際大きく脈打った。
「俺の勝ちだっ!!! これで俺は、お前になれるっ!!!」
……………………………………
しばし、無言の時が流れた。
不是は呆然と宙を見つめている。
何度か唇が動きかけたが、うまく言葉が出ないようだ。
目にした光景が、あまりにも予想と違っていたからだろう。
……当然だ。誠の力は、未来予知でも何でもない。ただ周囲の磁場が見えるだけなのだから。
今までの膨大な戦闘経験によって、わずかな磁場の変化から、相手の次の動作をイメージ出来るようになっただけなのだ。
「な……何だよこれ……チートなんかじゃねえじゃねえかよ。こんなクソみたいな能力で、なんで……」
「必死だっただけだ……!」
誠は答え……そして突っ込んだ。
最後の攻防が始まった。
不是も疲弊しているが、誠ももう限界だった。
けれどその時、周囲の壁が虹色に光ったのだ。
反魂の術が、とうとう佳境に入ったのだろうか?
(何だ、この光……!?)
動揺する誠をよそに、次の瞬間、何かの映像が頭に浮かんだ。
不是が振り下ろした強力な一撃を受け、両者の刀が砕け散った。
もちろん不是は能力を駆使し、すぐに刀を再生していく。
誠も意識を集中し、あの神器の太刀を呼び出した。ディアヌスとの戦いでも使った、岩凪姫がくれた武器だ。
「そんななまくら刀でよおっ!!! もっとマシな武器出してこいや!!!」
女神の太刀を侮辱され、誠も咆えた。
「いいや、俺はこれでいいっっ!!!」
相手の攻撃を太刀でいなし、逆にこちらから切り込んでいく。
つばぜり合いで火花が舞い、互いの機体を明々と照らした。
「この剣は、岩凪姫がくれた武器だ! 自分が辛い目にあったのに、それでも助けに来てくれた女神の剣だっ! これ以上の武器なんて、俺は知らないんだよっ!!!」
誠は相手を押し返し、機体の足で突き飛ばした。
不是は吹っ飛びながらも言い返してくる。
「くそがっ、てめえは恵まれてただけだろうがっ! そんな先読みみたいなチート持ちが、偉そうな事ぬかしてんじゃねえっ!」
紙一重の命のやり取りが、しばらく続いた。
ただ全力で攻撃し、身をかわす。それだけを死に物狂いで繰り返した。
手が痺れる。視界がかすむ。今にも意識が飛びそうだった。
やがて間合いが離れた時、不是は画面上で不気味に笑った。
「随分、疲れてるよなあ。実は、俺もそうなんだよ……」
「……っ、……っ、」
誠が答えられないでいると、不是は更に不気味な笑みを浮かべた。
「けど残念だな。俺にはまだ、奥の手があるんだよなあ……!」
「………っ!!?」
誠は反応し、動揺を表に出してしまった。
ハッタリかとも思ったが、不是はまだ言葉を続ける。
「これがとっておきだ……俺の創生能力でなあ、お前の能力をコピーしてやる……! 目の細胞を、お前と同じにすりゃいいんだろ……?」
「なっ……!?」
「ははは、驚いたか!? そうだろう、だからとっておいたんだ! 最後の最後に、お前が絶望するのを見たかったからな!!!」
不是の目が青く輝き、首筋の血管のようなものが、一際大きく脈打った。
「俺の勝ちだっ!!! これで俺は、お前になれるっ!!!」
……………………………………
しばし、無言の時が流れた。
不是は呆然と宙を見つめている。
何度か唇が動きかけたが、うまく言葉が出ないようだ。
目にした光景が、あまりにも予想と違っていたからだろう。
……当然だ。誠の力は、未来予知でも何でもない。ただ周囲の磁場が見えるだけなのだから。
今までの膨大な戦闘経験によって、わずかな磁場の変化から、相手の次の動作をイメージ出来るようになっただけなのだ。
「な……何だよこれ……チートなんかじゃねえじゃねえかよ。こんなクソみたいな能力で、なんで……」
「必死だっただけだ……!」
誠は答え……そして突っ込んだ。
最後の攻防が始まった。
不是も疲弊しているが、誠ももう限界だった。
けれどその時、周囲の壁が虹色に光ったのだ。
反魂の術が、とうとう佳境に入ったのだろうか?
(何だ、この光……!?)
動揺する誠をよそに、次の瞬間、何かの映像が頭に浮かんだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる