新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART6 ~もう一度、何度でも!~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

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第六章その15 ~おかえりなさい!~ 勇者の少年・帰還編

チッス以外に何をするの?

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 映らなくなった画面の前で、肩をいからせているカノン。

 他の面々はなかなか声を発せないので、やむなく難波が話しかけた。

「か、カノっち? ここ子供って……もしかして鳴っちと……?」

 難波も混乱しているので、なかなかうまく言葉が出ない。

「い、いやそもそも、そんな早く分かるんか? あ、神さんが教えてくれたりするんかな?」

 難波の問いに、カノンはようやく口を開く。

「あたしは違うわ。でもその、お姫様は心当たりあるでしょ?」

 一同の視線が、急激に鶴に集まる。

「ほ、ほんじゃ鶴っち……変な事聞くんやけど。鳴っちとは……あの夜どうやったん?」

「まあ!!!」

 鶴は一瞬で真っ赤になった。

 手で頬を押さえ、もじもじし、何か言おうとしてはまたもじもじしている。

 何度かそれを繰り返し、意を決した表情になっては恥じらいモードに原点回帰だ。

 話がいっこうに進まないので、見かねてコマが催促した。

「ごめん鶴、そこはちゃんと説明しようよ」

「まあ! デリカシーのない狛犬ね! そんなオソロシイ事をズバズバ聞くなんて、飼い主の顔が見たいわ!」

「君じゃないか!」

「すまんな鶴っち。で、鳴っちとは、その……?」

 難波の問いに、鶴は顔から湯気が出そうになりながら答えた。

「そ、そうなのよね。あの夜2人は、熱いチッスを交わしたのよ……!」

「えっ……!!?」

 一瞬、カノンも難波も固まった。

「ち、チッスって鶴っち、その先は……???」

「先?」

 鶴はキョトンとしている。つまりはこういう事だった。



 あの夜、鶴は誠とキスを交わした。

 しかし500年の人生初のラブい時間に、鶴は感極まったのだ。

「けしからん、実にけしからんわ! これでやっと黒鷹と結ばれたのね! 500年待ったかいがあったわ!」

 鶴は叫ぶと、そのまま誠の手を引いてしゃがんだ。

「さあ座って、もっともっとお話ししましょう! 2人の絆を深めるのよ!」

 誠は少し戸惑っていたが、とりあえず床に座る。そのまま2人は沢山話して、やがて眠りについたのだ。



『ええええええっっっ!!!???』

 はにかみながら語る鶴に、一同は絶叫した。

「なんなのもうっ、こんな事ならあたしが、あたしがっ……!」

 カノンはうずくまって頭を抱えていたが、他の女性陣を見渡した。

「……で、でもあの変態っ、誰か1人ぐらい心当たりあるでしょっ!?」

 カノンは順番に『ヒロインズ』を見つめ、目で問いかけていく。

 雪菜、天草、鳳……皆がそれぞれ赤い顔で首を振る。難波を見ようとしてやめたので、なんでやねんとツッコミが飛んできた。

 ともかく誰1人、彼と深い仲になっていなかったのだ。

「えっ、誰も……???」

 カノンは一瞬ひるんだが、そこで天を見上げて叫んだ。

「何でもいいから戻ってきなさい、大バカあああっっっ!!!」
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