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第三章その6 ~みんな仲良く!~ ドタバタの調印式編
比翼の勇者
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機体を降りた鶴は、気さくに船団長2人に歩み寄っていく。
「それじゃあ2人とも、もう意地は張らないわね? 祝言の日取りはいつ?」
「しゅ、祝言って……」
嵐山は真っ赤な顔で慌てたが、鶴はまだ追い詰める。
「あなた達は先駆者だから、何が何でも幸せにならなきゃいけないの。頑張った人が不幸になったら、誰も後に続かないでしょ?」
「で、でも……」
なおも戸惑う嵐山だったが、そこで船渡が遮った。嵐山の肩に手を置き、胸を張ってはっきり言う。
「謹んでお受け致します、お姫様……!」
「け、健児……!?」
嵐山は、しばらく真っ赤な顔で彼を見上げていたが、やがて覚悟を決めたらしい。緊張からか、ぎこちなく鶴に頭を下げる。
「……わっわたっ、私もっ……どうかよろしくお願いしますっ……!」
健児はなおも胸を張って続けた。
「……正直この先、どれだけ生きられるか分かりません。でもここまで来たら、どこまでもこいつと一緒に行くつもりです……!」
「素晴らしい! 本当にすんばらしいわね!」
鶴が上機嫌で指を弾くと、2人はいきなり和装の新郎新婦姿へと変わった。
船渡も、嵐山も互いを見て、それから顔を赤らめる。
ずいぶんと傷だらけでボロボロの夫婦である。支えあわなければ、立つ事だって難しい。
けれどあの混乱の中、多くの人々を守り抜いた2人である。誰もバカにする者などいないだろう。
「支え合って立つ比翼の夫婦。人々の希望の始まり、国守りの勇者2人のご結婚だ。いや、めでたい事この上無いですなあ」
高山が言うと、周囲から拍手が鳴り響く。
神使達がピーピーと草笛を吹き鳴らし、花吹雪が舞い上がる。
おめでとうの大合唱の中、船団長2人は赤い顔で微笑んだ。
「それじゃあみんな、記念写真だよ!」
コマが三脚付き写真機に乗って手を振るので、誠達もぞろぞろ集まった。
北陸に来てから随分カメラにおびえた誠だったが、こういうカメラなら何度でも大歓迎である。
嵐山は涙を拭き、明るい笑顔で皆に言った。
「待って、私達の機体も、一緒に写真撮って欲しいな。あの子達も頑張ったから……」
だがそこで、嵐山は動きを止める。
「…………ん?」
「どうした紅葉」
「……ちょ、ちょっと待って。会場に機体を配置する時って、誰か乗った……?」
「え、そりゃそうだろ……? 歩かなきゃ配置出来ないし……」
船渡も言って、そこで彼も固まったのだ。
『ああああああっ!!?』
2人は同時に悲鳴を上げ、周囲のパイロット達を見た。彼らは皆ニヤニヤしている。
「いや、お熱いですねえ。操縦席、思い出の品ばっかりで。ごちそうさまです」
「お蕎麦食べて下さいね。細く長く幸せに、ですか」
「ともに白髪の……」
「い、いやああああっ!!!」
嵐山の悲鳴が響き渡る。
「恥ずかしい、お願い、ごめんっ、忘れてぇえええっ!!!」
一同は再び笑いに包まれたのだ。
「うんうん、めでたしめでたしよ♪」
印刷された絶叫記念写真を眺め、鶴は満足げに頷く。
鶴はそれから誠に向き直った。
「それはそうと黒鷹。あの女と戦った時、変なものが流れ込んできたのよ。あの柱と敵の情報、南蛮風に言えば大スプークよ」
「マジかヒメ子! さっそく聞かせてくれ!」
まだ悶えている嵐山達をよそに、一同はさっそく全神連の本部へと移動したのだ。
「……重ね重ね申し訳ございません、夜祖大神様。泣き暮らしの神人が、引き際を誤ったようで……おまけに両船団は、強固に同盟を結んでしまいました」
黒衣の女は、そう言って深く頭を下げた。
「構わぬ。どのみち此度の勝ちは決まっているのだ」
夜祖は静かにそう答える。
「……ただ、泣き暮らしは肥河と魂を結んだ神人。奴が戻るまで、あまり無理をさせるな」
「畏まりました」
女は頭を下げたままに答えた。
「それじゃあ2人とも、もう意地は張らないわね? 祝言の日取りはいつ?」
「しゅ、祝言って……」
嵐山は真っ赤な顔で慌てたが、鶴はまだ追い詰める。
「あなた達は先駆者だから、何が何でも幸せにならなきゃいけないの。頑張った人が不幸になったら、誰も後に続かないでしょ?」
「で、でも……」
なおも戸惑う嵐山だったが、そこで船渡が遮った。嵐山の肩に手を置き、胸を張ってはっきり言う。
「謹んでお受け致します、お姫様……!」
「け、健児……!?」
嵐山は、しばらく真っ赤な顔で彼を見上げていたが、やがて覚悟を決めたらしい。緊張からか、ぎこちなく鶴に頭を下げる。
「……わっわたっ、私もっ……どうかよろしくお願いしますっ……!」
健児はなおも胸を張って続けた。
「……正直この先、どれだけ生きられるか分かりません。でもここまで来たら、どこまでもこいつと一緒に行くつもりです……!」
「素晴らしい! 本当にすんばらしいわね!」
鶴が上機嫌で指を弾くと、2人はいきなり和装の新郎新婦姿へと変わった。
船渡も、嵐山も互いを見て、それから顔を赤らめる。
ずいぶんと傷だらけでボロボロの夫婦である。支えあわなければ、立つ事だって難しい。
けれどあの混乱の中、多くの人々を守り抜いた2人である。誰もバカにする者などいないだろう。
「支え合って立つ比翼の夫婦。人々の希望の始まり、国守りの勇者2人のご結婚だ。いや、めでたい事この上無いですなあ」
高山が言うと、周囲から拍手が鳴り響く。
神使達がピーピーと草笛を吹き鳴らし、花吹雪が舞い上がる。
おめでとうの大合唱の中、船団長2人は赤い顔で微笑んだ。
「それじゃあみんな、記念写真だよ!」
コマが三脚付き写真機に乗って手を振るので、誠達もぞろぞろ集まった。
北陸に来てから随分カメラにおびえた誠だったが、こういうカメラなら何度でも大歓迎である。
嵐山は涙を拭き、明るい笑顔で皆に言った。
「待って、私達の機体も、一緒に写真撮って欲しいな。あの子達も頑張ったから……」
だがそこで、嵐山は動きを止める。
「…………ん?」
「どうした紅葉」
「……ちょ、ちょっと待って。会場に機体を配置する時って、誰か乗った……?」
「え、そりゃそうだろ……? 歩かなきゃ配置出来ないし……」
船渡も言って、そこで彼も固まったのだ。
『ああああああっ!!?』
2人は同時に悲鳴を上げ、周囲のパイロット達を見た。彼らは皆ニヤニヤしている。
「いや、お熱いですねえ。操縦席、思い出の品ばっかりで。ごちそうさまです」
「お蕎麦食べて下さいね。細く長く幸せに、ですか」
「ともに白髪の……」
「い、いやああああっ!!!」
嵐山の悲鳴が響き渡る。
「恥ずかしい、お願い、ごめんっ、忘れてぇえええっ!!!」
一同は再び笑いに包まれたのだ。
「うんうん、めでたしめでたしよ♪」
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鶴はそれから誠に向き直った。
「それはそうと黒鷹。あの女と戦った時、変なものが流れ込んできたのよ。あの柱と敵の情報、南蛮風に言えば大スプークよ」
「マジかヒメ子! さっそく聞かせてくれ!」
まだ悶えている嵐山達をよそに、一同はさっそく全神連の本部へと移動したのだ。
「……重ね重ね申し訳ございません、夜祖大神様。泣き暮らしの神人が、引き際を誤ったようで……おまけに両船団は、強固に同盟を結んでしまいました」
黒衣の女は、そう言って深く頭を下げた。
「構わぬ。どのみち此度の勝ちは決まっているのだ」
夜祖は静かにそう答える。
「……ただ、泣き暮らしは肥河と魂を結んだ神人。奴が戻るまで、あまり無理をさせるな」
「畏まりました」
女は頭を下げたままに答えた。
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