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6話~通学~
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6話~通学~
オアシスと思っていたら実は枯れていて、毒沼だった土日が終わり、また次のオアシスまでの長い道のり、地獄の月曜日が始まる。ぼっちは俗に言うサザエさん症候群をもろに受けてしまう。人付き合いから解放された土日から、人付き合いを強制される5日間の始まり。
二度寝への誘惑に抗いながら、朝食の準備を行う。準備と言ってもトーストを焼いて、レタスをちぎって、オレンジジュースを注ぐだけだ。そんな簡単なことでも体の動きは鈍い。能力を使えばいいのだが、こうした細かい動きは自分が手でやった方が楽だ。
制服も息苦しい。普段はゆったりとした服装でだらけている反動だ。
荷物も重い。鞄の中は教科書でパンパンに膨れ上がっている。置き勉と称される、学校に教科書をすべて置いておく手法は、僕の諸事情で使うことができないので仕方ない。だが能力を使えるようになってからはこの負担は格段に減少した。
出発前に鏡を見る。我ながら死んだ魚のような目だ。連続での人付き合いという毒薬を飲み続ければぼっちはこうなる。あとは、はまっていたアニメや漫画の最終回を見た後なんかも同様だ。
人に対する執着心は非常に弱いが、こういう物(特にお金!)に対する執着心は強い。
そしてため息をつきながらいざ通学・・・・・・と重い玄関を開けるとそこには毒薬がいた。
「おはよー!前田君も学校だよね、一緒に行こっ」
満面の笑みの花崎さん。僕の家の前は通学路でもある。他の学生は彼女の笑みに見とれている。しかし、当事者は恐怖である。
「もしかして、ずっとここで待ってたんですか・・・・・・?」
「ううん、今来たところだから」
待った?からの今来たところ、は大体待っている。そう直感が告げていた。だが、ここまで来られたらどうしようもない。朝からもめる体力も気力もない。
「・・・・・・わかりました。行きましょう」
「うんっ!」
我ながら、よくこんな男と一緒に通学しようなどと考えるな、と思う。半ば強制的に家を追い出すような男だぞ。女子というのはよくわからん。いや、人間全般がよくわからん。
無言で歩き続ける。コミュ障ぼっちがいきなり誰かと通学しても当然こうなる。花崎さんは途中何か話しかけてきたが、即会話が終了する。
例えば「今日は暖かいね~」と来たら「はい」・・・・・・完。「桜ももうだいぶ散ってきたね」と来たら「そうですね」・・・・・・完。「カフェでこんな話をしたんだ~」と来たら「へぇ~」・・・・・・完。会話を終わらせる天才がここにいる。
というより、何を話していいかさっぱりわからないのだからこれが自然である。こんな会話?で多分相当お怒りだろうと花崎さんをみると、なんと楽しそうにしている。いっそ「話し続ける気がないの!」とか「そんなに私の話がつまらないんだ!」とか言ってもらった方が気楽なのだが、本当によくわからない。
駅に着いて、いつもの電車を待つ。満員電車だ。ストレス社会を加速させる一要因であり、男には非常に危険な場所である。
「ねぇ、わたしね、この間この電車で痴漢にあったんだ」
ここでモテモテ集団団員は「大丈夫だった!?」のような心配や共感、もっと上位になってくれば「俺がいれば大丈夫」というような「守ってやる系」の言葉を振りまくのだろうが、当然そんなことを僕がするわけでもなく、
「そうだったんですね、それなら女性専用車両に行って来てください」
これで逃げられる。そう思った。
「冷た!?でも、今日は前田君がいるから、守ってくれるよね」
「え・・・・・・」
「あっ、すごい嫌そうな顔、今のいただきっ」
そう言うとスマホのシャッターが僕の顔めがけておりる。肖像権の侵害だ。そして人の流れに押されて、ちょうど来た満員電車に飲み込まれていった。
「前田君、どうして万歳してるの?ニヤニヤ」
「自己防衛策」
「いいよ~別に手を下ろして、いろいろ触れちゃっても。私と前田君の仲じゃない」
「どんな仲ですか・・・・・・」
「そんなこと聞いちゃうの?この満員電車で!?」
「そんなことって、なにもないですよ!」
「照れてる?」
「照れる要素がない」
「・・・・・・さすが大将。堅いな・・・・・・」
「なにか?」
「ううん、何でもない」
その後、花崎さんは電車を降りるまで終始ニコニコしながら、僕以外の周囲のお客を魅了していたのだった。
電車を降りると花崎さんは、「ちょっとお手洗いへ行くから先に学校へ行って」ということなので別れた。やっと解放されたと思うと、今度は6~7人の男衆に囲まれた。イケメン集団、モテモテ集団、人気者集団(僕が勝手に名付けているだけだが)である。
「なんですか」
「お前よ、調子のってんじゃねーよ」
がたいのいい、いかにもスポーツマンのような感じの男子学生だ。見た目からして上級生か?にしても、いきなり胸ぐらをつかんでどうしたんだ。ここは公共の場所だぞ。
「まぁまぁ、で、君、花崎さんと一緒に通学していたみたいだけどどういう関係なんだい?答え次第だと、ちょっと看過できなくなるよ」
今度は爽やか系イケメン。有名な芸能プロダクションにいそうな男子学生だ。看過しようがしまいが、僕にはどっちでもかまわない。彼らはあまりいい噂は聞かないので関わると面倒なのは間違いない。それに
「まったく、なにも、これっぽっちも関係はありません。今日は完全にたまたまです」
嘘は言っていない。本当にたまたまだ。玄関先で恐怖を感じたくらい、たまたまだ。
「そんな訳あるか!俺が毎日、通学路一緒だから一緒に行こうと誘っても、断られているのに」
それはご愁傷様。
「そうなんだよね~、あんなかわいい子、僕ならいつも一発で落とせたのに花崎さんだけはいつも上手くかわされてうまくいかないんだよね」
「てか、こいつ、いつも一人で本読んでいる陰キャぼっちだろ。こんなん好きになるやつ、いるわけがないだろ」
僕はそこで「そうだそうだ」と声を上げてしまった。心の声が漏れた。
「・・・・・・お前、ずいぶん変わってんな」
そうこうしているうちに、花崎さんが戻ってきた。
「あれ、前田君まだいたの?ひょっとして私を待っててくれたの?ん?他にもいるけど、お友達?」
「違います。たまたま会っただけです」
「ちょうどいいや、本人が居るしはっきりさせようか」
そう言うと俺様系イケメンが花崎さんに迫り、まさかの壁ドン。そして花崎さんの顎をくいっとあげる。現実で、冷静に見ると気持ち悪くて砂糖をはきそうである。
「なぁ、あいつとお前の関係ってなんだ」
超美声。バリトンボイス。そして驚くことに、花崎さんは顔を赤らめている。おお、さすがイケメンパワー、珍しい光景だ。しばらく花崎さんは黙っていた。
「言わなきゃ、ダメ・・・・・・?」
「ああ、それにあいつなんかより俺と一緒に学校行こうよ。明日からさ」
俺様系イケメンはもう勝ち誇ったかのように、次のステップを見据えている。そうしてくれると僕も非常に助かる。
「実は・・・・・・私と前田君は付き合ってるんです!!」
「・・・・・・はぁ!?」
一斉にイケメン集団等が視線を僕に向ける。
「俺らに嘘ついて、どうなるかわかってんだろうな!」
「やれやれ、これは本格的に見過ごせなくなってきたね」
何を言う。驚いているのはこちらの方だ。好き勝手言われていい迷惑である。これからの安定のぼっち生活3年間を脅かす爆弾をどうにか処理しなければならない。
「ほら~、いつものように私のこと、下の名前で呼んでよ~、ミ、ラ、イって」
爆弾の導火線がさらに激しく燃えていく。
「花崎さん!僕は付き合ってすらないし、誰とも付き合う気はない!」
「外では付き合ってないふりをするって約束だったもんね!でも、ここまできたらもういいよ」
なんだその約束は!でっち上げにもほどがある。ああほら、なんかイケメン集団等から黒いオーラみたいなものがもんもんと出てる。怒りの爆弾はもはや爆発寸前である。
どうすればいい。能力で吹き飛ばして逃げるか?いや、それでは根本解決にはならない。3年間怒りの爆弾の矛先は僕に向け続けられる。それでは安定のぼっち生活3年間は保全されない。正直に、僕と花崎さんは付き合ってないと伝えるか?これもダメだ。もうすでに何を言っても止まらないだろう。なにか・・・・・・なにかないか。そうだ、これなら!
僕は力を行使した。照準を俺様系イケメンと花崎さんにセット。そして二人を引き合わせ、
「おい、お前ら!?なにしてんだ!」
花崎さんの唇が俺様系イケメンの頬にダイレクトアタック。さらに腕を腰に回してひしとお互いを抱きしめさせる。百聞は一見にしかず、である。どんな言葉も、キスという絶対的行為にひれ伏す。僕に向けられた爆弾は俺様系イケメンへと狙いを変えた。
「やはり、さっきので俺に惚れたか?いけない子だ」
台詞がいちいち甘い、甘すぎる・・・・・・ってそんなことはもうどうでもいい。これはとどめだ。
「民法770条だったか?つきまとい、他の男とのキスもろもろ、その他こんい・・・・・・お付き合いを継続しがたい重大な事由と判断します。どうぞこれからはお二人でお幸せに」
満面の笑み向けて去って行く僕を見て、イケメン集団等は唖然としていた。花崎さんという一つの花を巡って後は奪い合うなり、争うなりしてくれ。僕は遠くで傍観しているから。
あの後、駅で女子高生が男子高校生を思いきりビンタしたとか、いろいろ揉めたようで駅員や学校の先生が対応に当たっていた。おかげで1時間目は自習だ。今朝の一件もこの時間を得るためと考えれば良かった・・・・・・いや、丸一日自習くらいでないと割に合わないかもしれないが、とりあえず一息つけたのはありがたい。ただの通学で、ここまで大事になる。これからどうなるのか心配で仕方がない。
「あの・・・・・・前田君?」
「え!あっはい、どうかしましたか?えーと、雪本さん」
何回か声をかけていたようだが、さっぱり気付かなかった。そもそもこんなに声をかけられること自体が異常なのだ。見られず、聞かれず、話されずが基本スタイルの僕に、なぜこうも慣れないことばかり起こる。
「えっとね、朝、駅で見かけたんですけど」
「はい」
「その・・・・・・前田君と花崎さんって付き合っているんですか?」
「付き合ってません」
「でも花崎さんが」
「付き合ってません」
「え、あ・・・・・・そうなんだ」
少し暗そうな面持ちだったが、少し雪本さんの顔が明るくなった。よくわからないが、朝から調子でも悪かったのだろう。サザエさん症候群なのかもしれない。
「誰とも付き合う気はないです」
あれ、また雪本さんの顔が暗くなった。目までうるうるしている。ほんとに人というのはよくわからん!
オアシスと思っていたら実は枯れていて、毒沼だった土日が終わり、また次のオアシスまでの長い道のり、地獄の月曜日が始まる。ぼっちは俗に言うサザエさん症候群をもろに受けてしまう。人付き合いから解放された土日から、人付き合いを強制される5日間の始まり。
二度寝への誘惑に抗いながら、朝食の準備を行う。準備と言ってもトーストを焼いて、レタスをちぎって、オレンジジュースを注ぐだけだ。そんな簡単なことでも体の動きは鈍い。能力を使えばいいのだが、こうした細かい動きは自分が手でやった方が楽だ。
制服も息苦しい。普段はゆったりとした服装でだらけている反動だ。
荷物も重い。鞄の中は教科書でパンパンに膨れ上がっている。置き勉と称される、学校に教科書をすべて置いておく手法は、僕の諸事情で使うことができないので仕方ない。だが能力を使えるようになってからはこの負担は格段に減少した。
出発前に鏡を見る。我ながら死んだ魚のような目だ。連続での人付き合いという毒薬を飲み続ければぼっちはこうなる。あとは、はまっていたアニメや漫画の最終回を見た後なんかも同様だ。
人に対する執着心は非常に弱いが、こういう物(特にお金!)に対する執着心は強い。
そしてため息をつきながらいざ通学・・・・・・と重い玄関を開けるとそこには毒薬がいた。
「おはよー!前田君も学校だよね、一緒に行こっ」
満面の笑みの花崎さん。僕の家の前は通学路でもある。他の学生は彼女の笑みに見とれている。しかし、当事者は恐怖である。
「もしかして、ずっとここで待ってたんですか・・・・・・?」
「ううん、今来たところだから」
待った?からの今来たところ、は大体待っている。そう直感が告げていた。だが、ここまで来られたらどうしようもない。朝からもめる体力も気力もない。
「・・・・・・わかりました。行きましょう」
「うんっ!」
我ながら、よくこんな男と一緒に通学しようなどと考えるな、と思う。半ば強制的に家を追い出すような男だぞ。女子というのはよくわからん。いや、人間全般がよくわからん。
無言で歩き続ける。コミュ障ぼっちがいきなり誰かと通学しても当然こうなる。花崎さんは途中何か話しかけてきたが、即会話が終了する。
例えば「今日は暖かいね~」と来たら「はい」・・・・・・完。「桜ももうだいぶ散ってきたね」と来たら「そうですね」・・・・・・完。「カフェでこんな話をしたんだ~」と来たら「へぇ~」・・・・・・完。会話を終わらせる天才がここにいる。
というより、何を話していいかさっぱりわからないのだからこれが自然である。こんな会話?で多分相当お怒りだろうと花崎さんをみると、なんと楽しそうにしている。いっそ「話し続ける気がないの!」とか「そんなに私の話がつまらないんだ!」とか言ってもらった方が気楽なのだが、本当によくわからない。
駅に着いて、いつもの電車を待つ。満員電車だ。ストレス社会を加速させる一要因であり、男には非常に危険な場所である。
「ねぇ、わたしね、この間この電車で痴漢にあったんだ」
ここでモテモテ集団団員は「大丈夫だった!?」のような心配や共感、もっと上位になってくれば「俺がいれば大丈夫」というような「守ってやる系」の言葉を振りまくのだろうが、当然そんなことを僕がするわけでもなく、
「そうだったんですね、それなら女性専用車両に行って来てください」
これで逃げられる。そう思った。
「冷た!?でも、今日は前田君がいるから、守ってくれるよね」
「え・・・・・・」
「あっ、すごい嫌そうな顔、今のいただきっ」
そう言うとスマホのシャッターが僕の顔めがけておりる。肖像権の侵害だ。そして人の流れに押されて、ちょうど来た満員電車に飲み込まれていった。
「前田君、どうして万歳してるの?ニヤニヤ」
「自己防衛策」
「いいよ~別に手を下ろして、いろいろ触れちゃっても。私と前田君の仲じゃない」
「どんな仲ですか・・・・・・」
「そんなこと聞いちゃうの?この満員電車で!?」
「そんなことって、なにもないですよ!」
「照れてる?」
「照れる要素がない」
「・・・・・・さすが大将。堅いな・・・・・・」
「なにか?」
「ううん、何でもない」
その後、花崎さんは電車を降りるまで終始ニコニコしながら、僕以外の周囲のお客を魅了していたのだった。
電車を降りると花崎さんは、「ちょっとお手洗いへ行くから先に学校へ行って」ということなので別れた。やっと解放されたと思うと、今度は6~7人の男衆に囲まれた。イケメン集団、モテモテ集団、人気者集団(僕が勝手に名付けているだけだが)である。
「なんですか」
「お前よ、調子のってんじゃねーよ」
がたいのいい、いかにもスポーツマンのような感じの男子学生だ。見た目からして上級生か?にしても、いきなり胸ぐらをつかんでどうしたんだ。ここは公共の場所だぞ。
「まぁまぁ、で、君、花崎さんと一緒に通学していたみたいだけどどういう関係なんだい?答え次第だと、ちょっと看過できなくなるよ」
今度は爽やか系イケメン。有名な芸能プロダクションにいそうな男子学生だ。看過しようがしまいが、僕にはどっちでもかまわない。彼らはあまりいい噂は聞かないので関わると面倒なのは間違いない。それに
「まったく、なにも、これっぽっちも関係はありません。今日は完全にたまたまです」
嘘は言っていない。本当にたまたまだ。玄関先で恐怖を感じたくらい、たまたまだ。
「そんな訳あるか!俺が毎日、通学路一緒だから一緒に行こうと誘っても、断られているのに」
それはご愁傷様。
「そうなんだよね~、あんなかわいい子、僕ならいつも一発で落とせたのに花崎さんだけはいつも上手くかわされてうまくいかないんだよね」
「てか、こいつ、いつも一人で本読んでいる陰キャぼっちだろ。こんなん好きになるやつ、いるわけがないだろ」
僕はそこで「そうだそうだ」と声を上げてしまった。心の声が漏れた。
「・・・・・・お前、ずいぶん変わってんな」
そうこうしているうちに、花崎さんが戻ってきた。
「あれ、前田君まだいたの?ひょっとして私を待っててくれたの?ん?他にもいるけど、お友達?」
「違います。たまたま会っただけです」
「ちょうどいいや、本人が居るしはっきりさせようか」
そう言うと俺様系イケメンが花崎さんに迫り、まさかの壁ドン。そして花崎さんの顎をくいっとあげる。現実で、冷静に見ると気持ち悪くて砂糖をはきそうである。
「なぁ、あいつとお前の関係ってなんだ」
超美声。バリトンボイス。そして驚くことに、花崎さんは顔を赤らめている。おお、さすがイケメンパワー、珍しい光景だ。しばらく花崎さんは黙っていた。
「言わなきゃ、ダメ・・・・・・?」
「ああ、それにあいつなんかより俺と一緒に学校行こうよ。明日からさ」
俺様系イケメンはもう勝ち誇ったかのように、次のステップを見据えている。そうしてくれると僕も非常に助かる。
「実は・・・・・・私と前田君は付き合ってるんです!!」
「・・・・・・はぁ!?」
一斉にイケメン集団等が視線を僕に向ける。
「俺らに嘘ついて、どうなるかわかってんだろうな!」
「やれやれ、これは本格的に見過ごせなくなってきたね」
何を言う。驚いているのはこちらの方だ。好き勝手言われていい迷惑である。これからの安定のぼっち生活3年間を脅かす爆弾をどうにか処理しなければならない。
「ほら~、いつものように私のこと、下の名前で呼んでよ~、ミ、ラ、イって」
爆弾の導火線がさらに激しく燃えていく。
「花崎さん!僕は付き合ってすらないし、誰とも付き合う気はない!」
「外では付き合ってないふりをするって約束だったもんね!でも、ここまできたらもういいよ」
なんだその約束は!でっち上げにもほどがある。ああほら、なんかイケメン集団等から黒いオーラみたいなものがもんもんと出てる。怒りの爆弾はもはや爆発寸前である。
どうすればいい。能力で吹き飛ばして逃げるか?いや、それでは根本解決にはならない。3年間怒りの爆弾の矛先は僕に向け続けられる。それでは安定のぼっち生活3年間は保全されない。正直に、僕と花崎さんは付き合ってないと伝えるか?これもダメだ。もうすでに何を言っても止まらないだろう。なにか・・・・・・なにかないか。そうだ、これなら!
僕は力を行使した。照準を俺様系イケメンと花崎さんにセット。そして二人を引き合わせ、
「おい、お前ら!?なにしてんだ!」
花崎さんの唇が俺様系イケメンの頬にダイレクトアタック。さらに腕を腰に回してひしとお互いを抱きしめさせる。百聞は一見にしかず、である。どんな言葉も、キスという絶対的行為にひれ伏す。僕に向けられた爆弾は俺様系イケメンへと狙いを変えた。
「やはり、さっきので俺に惚れたか?いけない子だ」
台詞がいちいち甘い、甘すぎる・・・・・・ってそんなことはもうどうでもいい。これはとどめだ。
「民法770条だったか?つきまとい、他の男とのキスもろもろ、その他こんい・・・・・・お付き合いを継続しがたい重大な事由と判断します。どうぞこれからはお二人でお幸せに」
満面の笑み向けて去って行く僕を見て、イケメン集団等は唖然としていた。花崎さんという一つの花を巡って後は奪い合うなり、争うなりしてくれ。僕は遠くで傍観しているから。
あの後、駅で女子高生が男子高校生を思いきりビンタしたとか、いろいろ揉めたようで駅員や学校の先生が対応に当たっていた。おかげで1時間目は自習だ。今朝の一件もこの時間を得るためと考えれば良かった・・・・・・いや、丸一日自習くらいでないと割に合わないかもしれないが、とりあえず一息つけたのはありがたい。ただの通学で、ここまで大事になる。これからどうなるのか心配で仕方がない。
「あの・・・・・・前田君?」
「え!あっはい、どうかしましたか?えーと、雪本さん」
何回か声をかけていたようだが、さっぱり気付かなかった。そもそもこんなに声をかけられること自体が異常なのだ。見られず、聞かれず、話されずが基本スタイルの僕に、なぜこうも慣れないことばかり起こる。
「えっとね、朝、駅で見かけたんですけど」
「はい」
「その・・・・・・前田君と花崎さんって付き合っているんですか?」
「付き合ってません」
「でも花崎さんが」
「付き合ってません」
「え、あ・・・・・・そうなんだ」
少し暗そうな面持ちだったが、少し雪本さんの顔が明るくなった。よくわからないが、朝から調子でも悪かったのだろう。サザエさん症候群なのかもしれない。
「誰とも付き合う気はないです」
あれ、また雪本さんの顔が暗くなった。目までうるうるしている。ほんとに人というのはよくわからん!
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