怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

文字の大きさ
47 / 203
生徒会勧誘編

試合終了①

 ここまでお膳立てされてやらないわけにはいかない。
 それに、この人達となら生徒会の活動も楽しくやれそうだ。

「高坂、本当に生徒会に入ってくれるの?」

「ああ。前橋も会計やるんだろ? サッカー談義の相手もいることだし、楽しそうじゃんか」

「…………うん、私も楽しみ」

 そう言って笑う前橋に、少しだけどドキッとした。

「梨音も入るだろ?」

「ま、まぁ神奈月先輩にも誘われてるし、修斗やきいもいるんだったら確かに楽しそうだよね。私ももちろん入るよ」

 梨音ならそう言ってくれると思った。

「え? え? 3人とも生徒会に入るの? ずるいずるい! 仲良し3人組じゃん! じゃあ私も!」

「お前はサッカー部のマネージャーだろうが……」

「兼用するよ! 高坂っちと同じで!」

「俺はサッカー部に入った覚えはねぇよ!」

「あれ? そうだっけ?」

 この人、相変わらず隙あれば俺をサッカー部に入れさせようとしてくるんですけど。
 そのうち俺がサッカー部に入ったって噂を流して外堀から埋めてきそうで怖いんですけど。

「そもそも生徒会の席がもう無いから美月は難しいかも……」

「む~……! いいもーん。私はサッカーに生きるもーん」

「桜川、も……サッカーやってたの?」

 前橋が聞いた。
 そう言えばこの二人は今日が初対面だったのか。

「美月でいいよ! 前橋っちほど上手くはないけど中学までクラブチームでね」

「そうなの……? チームは……?」

「FC鴨川ドルフィンっていうところ。弱小だけどね~」

 あはは、と桜川が苦笑いをした。

「知ってる……! 戦ったことはないけど」

「戦ったことないんかーい! ちなみに前橋っちはどこにいたの?」

 ああ、そういえば俺も前橋がどこにいたのかは聞いたことなかったな。

「……FC横浜レグノス」

「え!?」

「え!?」

「何で修斗も驚いてるの?」

 いやそりゃ梨音、FC横浜レグノスって言えば……。

「男子と一緒に混ざってたってこと!?」

「う……うん」

 FC横浜レグノスは東京Vと同じくJ1におり、ユースの育成にも力を入れているところだ。
 女子チームは無かったはずだから、試合をやる時は男子の中に混ざってやるしかなかったはずだ。

「FC横浜レグノスは、クラブチームの中でもかなり強豪だぞ。俺もリーグ戦や大会で戦ったことあるし。何で女子サッカーチームじゃなかったんだ?」

「お兄ちゃんが…………そこのチームにいたから」

「お兄ちゃん……? あっ!!」

 今度はどうした桜川。

「もしかして前橋っちのお兄ちゃんって、サッカー部キャプテンの前橋ひじり先輩!?」

「……うん」

 部活紹介の時に前に立って話してた人か……。
 あの人も元々FC横浜レグノスにいて、兄がいるクラブチームに妹も一緒に入ったってわけか。
 確かに親からしたら兄妹一緒のチームにいた方が安心するよな。

「どうりで足元の技術レベルが高いわけだ」

「……試合にはほとんどBチームでしか出られなかったけど……」

「前橋先輩も凄い上手いし、兄妹揃ってサッカー好きなんだね!」

「お兄さんはユースチームには行かなかったの?」

「お兄ちゃんは……ユースには上がれなかったみたい。選考外だって」

「そう……なんだ」

「俺と一緒だな」

 クラブから戦力外通告された時の残酷さは俺もよく知っている。
 目の前が歪んでクラッとするんだよな。

「……高坂は怪我のせいじゃん」

「だといいんだけどな」

 もし怪我をしていなければ、俺は提携する高校に入学して今もヴァリアブルでサッカーをしていたのか。
 そうなっていれば桜川や前橋と出会うことはなく、ここで今こうしてフットサルをやっていたこともなかった。

 それはそれでさびしいことでもある。
 怪我という分岐点によって俺の人生は大きく狂ってしまったのかもしれないが、そこから先の人生が全て下降していくかというと、そういうわけでもない。

 普通の高校に通っているからこそ、それぞれの楽しむ人生がある。
 これから先も俺は、サッカー以外に夢中になれる何かを探していくことができるのだろうか。

「どうしたの? 修斗」

「怪我…………痛む?」

「私、氷取ってこようか」

「違う違う、ちょっと考え事してただけだから」

 少なくとも今ここに3人、俺と仲良くしてくれている人達がいる。
 過去を見るのではなく、これからを大切にしていきたい。
 ふと、そう感じた。
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。